あらゆる人間関係は金銭関係?

  「すべての人間関係は、金銭関係になると思うか」って問いかけられたら、なんて答える?
 「何言ってんの?夫婦ならともかく、親子や兄弟の関係が金銭関係になるわけないでしょ!」って答えるようなら、まだまだ修行が足りません。
 親子ですら、金銭関係のもつれから骨肉の争いになっている例をたくさん見てきたオレとしては、とりあえず「そのとおり」と言いたいね。
 一般に、親子の愛情は、「無償の愛」って言われてる。何の代償も求めない愛。これぞ真髄の愛、っていいたいけど、これすら代償を求めていないわけではない。
 「自分の遺伝子を継続させたい」という本能的な欲求がベースにあるわけだし、古い世代なら、家督を継いだり、将来面倒を見てもらうための要員確保という動機がある。どこが無償なもんですか。第一、子どもをペット代わりに盲愛してる親なんて、愛欲または自己愛の変形にすぎない。
 そもそも、親子の関係といったって、親子がまともなうちだけの話。子どもがグレたら、勘当するでしょう。子どもだって、親がカネをくれるうちはすり寄ってくるけど、父さんが倒産しちゃったり、母さんがぼけちゃったりしたら、誰も近づいてこない。冷たいもんだよ。
 親子だってこの程度なんだから、夫婦なんていう他人の変形の場合なんか、いつ後ろから谷底に突き落とされるか、わかったもんじゃない。「あら、あぶないじゃない」なんて言いながら押すんだから、お前のほうがよっぽどあぶないんだよ。
 だからね、どんな人間関係も、いったん金銭関係がベースにあるものとして、冷静にそのことを確認しておくべきなんだ。それでこそ、金銭関係がこわれても、何かが残る。少なくとも全部ぐじゃぐじゃになることはない。
 オレは唯物論者ではない。むしろ、自他共に許す超ロマンチストだ。だからこそ、簡単に「愛があれば」とか、「心がすべて」なんて軽々に考えたくない。いったん冷たく割り切る態度が大切なことは、とことんひどい目にあった人なら、わかること。そこまで冷静に割り切った上で残る感情こそ、本物だろう。理性は人を裏切るけど、感情が人を裏切ることはないんだ。
 オレとお前の中だから、契約書なんていらないだろうなんていうヤツに限ってあぶない。約束は絶対守る、という意志があるからこそ、書面にできるんであって、その逆はあり得ない。
 ほら、そう考えると、まわりにいっぱいいるでしょ、金銭関係が絡むとすぐ逃げ出すヤツが。そういうケチなヤツとつきあってると、運が逃げていくよ。

世の中すべて、カネ、カネ、カネ。いやな渡世だな〜。

ミッチャンのエセエッセー                      by 竹下光彦

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