寺社関連の豆知識


庚申塔図

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庚申塔

道の辻や、寺社や墓地の入り口などによく置かれ、延命長寿にご利益あるといわれる庚申塔や庚申塚、その中で主流となるのは、「青面金剛刻像塔」 である。
この「青面金剛刻像塔」には、主尊の青面金剛以外に、日月や猿、鶏、邪鬼、等が配されている。
「青面金剛」は、頭髪の逆立った像もあれば、僧形や頭巾姿などいろいろあり、表情も憤怒の相から慈悲の相まで千差万別である。
腕の数は、二臂から八臂まで、 持物は、三叉戟、棒、法輪、羂索、弓矢、剣、杖、蛇など、変わった物としては、「ショケラ」 と呼ばれる上半身裸の女人像の頭髪をつかんでぶら下げているものもある。
   

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「庚申」とは

庚申塔や庚申塚の庚申は、中国の陰陽五行説に基づく「干支」という年・月・日の数え方により、干支六十組のうちの五十七番目の庚申「かのえさる」をさす。
年では60年で干支が一巡することから還暦を祝う。中国道教では、一年間で6〜7回ある庚申の日を特別の日として位置付けている。
中国道教での「守庚申」とは
中国の道教では、人中に潜む「三尸の虫(上尸=頭、中尸=腹、下尸=足)は、庚申の夜、人が眠りにつくと天に昇り、天帝にその罪を告げ、天帝は罪の軽重に応じて、その人の寿命を決めていくといわれる。そこで、長生きを願う人々は、この日は眠らずに夜籠して身を慎んだという。
これが日本に伝わり、奈良時代末頃から貴族を中心に定着した。夜を徹するための趣向を凝らしたさまざまな遊びは、「源氏物語」「枕草子」「栄華物語」などにも描かれている。
日本での変化
このように当初は「三尸の虫」が寝ている間に抜け出さないように夜を守る「守庚申」だったが、次第に礼拝の対象を求めるようになり、特に「三尸の虫」との類似から、室町期には伝尸病(結核)に霊験あらたかな、青面金剛が本尊とされるようになった。一説には、大阪の四天王寺の別院の庚申堂に伝えられる『四天王寺庚申縁起』に見られるように、 道教の天帝を仏教の帝釈天と同一視して、その使者である青面金剛を司命神としたからだともいう。
帝釈天とは
帝釈天は、もともとインドの雷神・インドラが仏教に入ったものである。仏教では、宇宙の中心は須弥山で、これを取り巻く「九山八海」に人間界を含む四つの州があるとされる。帝釈天は、この須弥山頂上にある「喜見城」に住み、朷利天を統括している。そして、須弥山中腹の下天にあって、四方を守る四天王(持国天、増長天、広目天、多門天)を天下に派遣し、世の善悪を報告させ、自らそれを視察するという。三尸と四天王、数こそ違うが、この類似性が天帝との同一視を生んだものと思われる。

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青面金剛

一方、青面金剛のほうは、本来奇病を流行らす鬼神で、猿の化身ともいわれる。その容姿については、『陀羅尼集経第九』 に、

「一身四手、左辺の上手は三股叉を把り、下手は棒を把る。右辺の上手は掌に一輪を託し、下手は羂索を把る。其身は、青色にして大張口、狗牙は上出す。眼の赤きこと血の如くして三眼あり・・・・・」

とある。要約すると「三眼の憤怒相で四臂、それぞれの手に、三叉戟(三又になった矛のような法具)、棒、法輪、羂索(綱)を持ち、足下に二匹の邪鬼を踏まえ、両脇に二童子と四鬼神を伴う」姿で現されるが、一般には、足元に邪鬼を踏みつけ、六臂(二・四・八臂の場合もある)で法輪・弓・矢・剣・錫杖・ショケラ(人間)を持つ忿怒相で描かれることが多い。頭髪の間で蛇がとぐろを巻いていたり、手や足に巻き付いている場合もある。また、どくろを首や胸に掛けた像も見られる。彩色される時は、その名の通り青い肌に塗られる。この青は、釈迦の前世に関係している。
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青面金剛と釈迦前世談

その時の釈迦は雪山童子と呼ばれ、雪山(ヒマラヤ)で修行していたところ、羅刹に身を替えた帝釈天が現われ「諸行無常 是生滅法(諸行は無常なり、これ生滅の法なり)」と唱えた。
童子がその続きを問うと、羅刹は「腹が減ったから人の肉が食べたい」と答えた。
童子がさらに「続きを聞かせてくれるなら、自分の命は惜しまない」というと、「生滅滅巳 寂滅為楽(生滅を滅し巳え、寂滅を楽と為す)」と教えた。
喜んだ童子は、後の世に残すため、木や石にこの四句を書きつけ、樹上より身を投げて羅刹に与えようとしたところ、帝釈天がそれを受け止めたという。
この話を帝釈天自身でなく、その眷族である四鬼とする説があり、これを「四句文刹鬼」と呼ぶ。鬼たちはそれぞれ、四句の一句を表わすとされ、その肌は諸行無常=青、是世滅法=赤、生滅滅巳=黒、寂滅為楽=肉色だという。すなわち、諸行無常を表わす鬼が青面金剛ということになる。
これとは別に、帝釈天の眷族とされる四夜叉も、色こそ違うが四つの色で表わされるところから、どこかで混合や同一視が起こったものと考えられる。
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青面金剛と鶏

青面金剛には、よく雌雄一対の鶏が刻まれているが、これは申の次ぎの日、すなわち酉の日になるになるまで籠るからだといわれる。あるいは、夜を徹して、朝に鶏の声を聞くまで念仏を唱えるからだという説もある。
青面金剛と三猿
中国道教では、天帝を北斗と同一視することもあり、北斗は天・地・水の三官とともに人の功過善悪を調べ、生死禍福を司るといわれる。江戸時代になると、庚申信仰は、この北斗を本地(本地垂迹の元になるほう)とする比叡山の山王信仰と結びつき、山王権現の使者・猿=申という連想から庚申と結びついたとも考えられる
やがて三猿を三尸の虫になぞらえ、「見ざる・言わざる・聞かざる」で、天帝に罪を報告させない、という意味へこじつけていったようである。
この三猿の起源については、従来伝教大師・最澄や弘法大師・空海、あるいは儒教や道教などの道徳的見地に由来するとされてきたが、近年アンコールワットの調査により、樹上で三猿らしきポーズをとる人間像が発見されたことから、中近東起源説が有力になっている。
あるいは、古代エジプトの土偶にも、耳と目を両手で押さえた二体の像と、片手で頭を、もう片手で胸を押さえた像が同時に出土していることから、エジプト起源説をとる学者もいる。
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庚申と日輪・月輪

いずれにせよ、庚申信仰は室町時代に盛んとなり、「月待ち」「日待ち」などの習俗とも混淆して、次第に「庚申待ち」という念仏講的色彩の強いものとなっていく。青面金剛の頭上に日輪・月輪だ描かれるのはこれが基になっていると思われる。
庚申と道祖神
一方神道系は江戸時代になって、申=猿の関係から猿田彦大神をまつるようになる。猿田彦は、天孫降臨の折に道案内を務めたことから、道祖神と同一視されているが、これも、庚申塔と同様村の辻や境界に置かれることが多いので、両者が次第に結びついていった側面もあると考えられる。
(小学館「東京近郊・ご利益散歩ガイド」東京散歩倶楽部編著を参考・転載)
庚申堂

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四天王寺庚申堂

聖徳太子ゆかりの大阪市阿倍野区にある四天王寺の南大門から南200m程の処に日本最古と云われる庚申堂がある。堂内に掲げられている由緒書によると奈良時代文武天皇の御代(697〜707)に疫病が流行し、天王寺の僧が一心に祈願したところ正月七日庚申の刻に、帝釈天の使いと称して青面金剛童子が現われたという。

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庚申堂由来記

庚申堂は四天王寺南大門より南二百米の処にあり、本尊は青面金剛童子を祀る。今から千二百余年前、人皇第四十ニ代文武天皇の御代、大宝元年春庚申の日はじめて本地を示し我朝に降臨し給う。
その由来をたづねると、このまえいろいろ疫病が流行り、諸人大いにこれを悩み、良医の薬をもとめ、高僧のいのりなどさまざまであったが、なんの効験もなかった。この頃津の国、天王寺に民部の郷僧都毫範という貴い御僧があって、慈悲の心ふかく、広く人間の悩みを助けようと天に祈る丹誠の余り、あらたなる霊験を得て、諸人の悩みをまぬがれしめた。
時に正月七日庚申の刻であったが、年の頃が十六歳ぐらいと思われる一人の童子があらわれて、僧都のみまえで「帝釈天のおつかわし者であるが、天の命によって、汝が人間のなやみをあわれむ、その至誠を感じて我を天より下さしめ、除災無病の方便をあたえよう」とのお告げがあった。以来毫範阿闍梨が感徳した青面金剛童子を祀ることとなった。
庚申とは一年に六度あるいは七度あって、庚申を祀る人々は一願をかなえられ、これを申の刻に行うと身も心も清浄となり、百味の飲食を供えて本懐を念ずればこの世の雑科速やかに滅し請願が成就するのである。これすなわち庚申の霊験となって我が国庚申のはじめなり。庚申を祀ろうとする者は皆当寺にきて免許を得、尊像の分身を勧請するのを例としたのである。(四天王寺庚申堂由緒より)


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庚申塔案内

散歩道で紹介している中で庚申塔があるのは次の寺社等である。神社は鳥居の手前の参道脇、寺や墓地は入り口や入り口側にある六地蔵等と一緒に祀られている。ただし、案内がないところは注意して見ていないので見落している場合もあると思う。
タイトル寺社名等写真備考
三鷹−吉祥寺井の頭弁財天無し不動堂の前に祀られている
安養寺あり門の手前左側に祀られている
庚申塔と回国供養塔あり欅橋のたもとにある祠内
庚申供養塔あり武蔵野市民文化会館前の祠内
寺社巡り井口八幡神社あり参道前の祠内
野崎八幡神社無し入り口脇左路傍に祀られている
古八幡神社無し参道脇に2体祀られている
諏訪神社無し入り口に五体祀られている
龍源寺無し門前左側に六地蔵等と祀られている
祇園寺無し観音堂前参道脇に祀られている
野川を歩く小金井小次郎墓あり墓地入り口
滄浪泉園 あり園内の鼻欠け地蔵
道標・庚申塔あり三叉路脇の祠内





えと、または、かんし
さんし
しょうめんこんごう
たいしゃくてん
しゅみせん
きけんじょう
とうりてん
せつざんどうじ
けんぞく
しくもんせつき
ごうはん