第36話 BECKルシール 
No.1 No.2 No.3 No.4
 弾痕をどうやって表現しようか試行錯誤しています。
 練習用にどうしようもないストラトのボディを使っています。まずはこういったもので、叩いてみましょう。
 はい、ただのへこみにしか見えません。
 次はトンカチで直接叩いてみました。
 うーん、ただの打痕にしか見えません。それにしても、普段はこのへこみをどうやって上手く直そうかと考えているのに、真逆なことをやっていることに多少の後ろめたさがあります。
 次は三角刀で彫ってみました。
 これはなかなか良いようですが、いかにも「彫りました」感はぬぐえませんね。
 こういった砥石を止まりかけの独楽のような動きで、使ってみました。
 随分頭の中にあるイメージに近づいてきたように思います。
 その周りをトンカチで叩いて潰してみました。
 これは余り良くないですね。妙なリアルさは必要ないかも知れません。美的配慮がなによりも写実性に優先すると、映画制作にも手を染めていたアラン・ロブ・グリエも言っていました。
「旦那、真のことでやんすか」
「うっ、いやその、何じゃ・・・」
 それでは、実際にレスポールのボディに弾痕を付けていきましょう。
 ハロルド作石『BECK』 南リュウスケ所有のルシールの弾痕と同じ位置にマーキングします。
 良く切れないビットで穴を空けます。
 しかも一気にいきます。
 切れないビットを使うのは貫通口でチップさせるためです。
 普段はチップさせないように細心の注意を払っている作業なのですが・・・。
「旦那、ある意味、得意技といえやすなあ」
「やかましいわ」
 それでは三角刀で放射状に削っていきましょう。
 所々木が欠けたように長い削りを入れておきます。
 砥石を倒れかけの独楽のように動かして擂鉢状に削っていきます。
 この砥石は元々円筒形だったものをグラインダーで独楽のような形に加工しました。どうやらグラインダーの砥石の方が強かったようです。グラインダーの方が負けてたら、笑っちゃいますものね。
 一応穴開け作業?は終わりました。
 うーん、木工作業にしか見えない。大体拳銃で撃たれたらギターがどうなるのか分かりません。
 削り痕をブラウンで着色します。
 少し落ち着いた感じになりました。
 更にブラックで隅の方を汚します。
 はい、こんな感じです。
 全体はこんな感じです。
 ボディの裏はこうなっています。
 もう少し茶色のボディが欲しかったのですが、これは女王様のハイヒールのように赤々しています。
 ピックガードも加工しておきます。
 って、一体どんな加工なんじゃ・・・。
 仮に置いてみました。
 下のボディにつけた弾痕とピックガードの割れがピッタリと合って、妙に喜んでいる私です。やれやれ・・・。
 エスカッションのビス穴が微妙に合わないので、埋めています。
 サンディングすると後々面倒なので、丸刀で掬い取るように爪楊枝を削っています。
 ピックアップを置いてみました。
 フロントの高音側が落ちているという設定です。
 バネを外してみました。
 あくまでもこのリペアは洒落です。