あかるくのどかな汽車旅〜〜タイ国鉄南東線

 

その5  パタヤにて

 

 

■パタヤにて

 列車はパタヤに到着した。プーケット島や、あるいは隣国マレーシアはランカウイ島に後を追われつつあるものの、著名なマリン・リゾートの地位を失ってはいない。とはいえ、一日一往復の列車でやってくるのは勇気が要るところだ。

 ……と思っていたら、明らかに観光目的の降車客が幾人かいて驚いた。ホアランポーン駅からしてバンコクの中心部から外れているし、このパタヤ駅だって高層ホテル街からはかなりの距離がある。この人たちに勇気があるのか、それとも汽車旅になじみがあったものか。わからないけれど、なんとなくうれしい。

  パタヤ

 

■旅路の涯のその涯に

 駅のホームからは、ひとりの御老人が列車の出発を見送ってくれた。

 いいなあ、この笑顔。悩みなどまったくなさそうで、人生の楽しみを満喫している風情が、福々した笑みの背後から伝わってくる。こういった心境に達するには、おそらく精神が老い熟しきらなければならず、野心だとか向上心などはその邪魔にしかならないのかもしれない。あくせくした文明社会に身を置くむなしさを、ふと思う。

  パタヤ

 

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