字謎 |
蛇足 |
「字謎」とは、漢字を使ったなぞなぞのようなものです。漢字を偏・傍・冠・脚などに分解したり組み合わせたりしてその趣向を楽しむものです。 例を挙げると、 「人在草木間、目在竹木傍」は「茶箱」です。 「雪ふれば木毎に花ぞ咲きにけるいづれを梅とわきて折らまし」 梅を木+毎と分解した趣向です。 万葉集の「出」を「山上復有山」と表現しているのも字謎の一種ですね。 今日は広い意味で、字を分解して表現するものなどを集めて見ました。 ■漢字の覚え方 昔は漢字の覚え方に使う場合もあったようです。 「恋」の旧字体「戀(こい)」を「いとしい、いとしい、いう、こころ」などと覚えたそうです。 ■落語「平林」 落語の「平林」にもそんな話が出てきます。 ある人が平林さんの所に使いに出るわけですが、読み方を忘れてしまいます。 そこで、道行く人に聞くのですが、教えられたのが「たいらばやし」「ひらりん」「いちはちじゅうのもくもく」「ひとつとやっつにとうきっき」。 これらを呼びながら探し歩くお話です。 この原型は次の文献に見えます。 「醒睡笑」1623年 元和9年 安楽庵策伝編 「きのふはけふの物語」1647年 正保2年 作者不詳 ■年齢 長寿の関係の言葉は、言葉遊びが多いですね。 ☆華年(かねん) "華"の字を分解すると、十の字が六つと、一の字になることから61歳、つまり還暦のことです。 ☆傘寿 "傘"の略字が八十と書くことから、80歳の祝い。 ☆半寿 "半"の字が八十一に分解できることから、81歳の祝い。 ☆米寿 "米"の字を分解すると八十八になることから、88歳の祝い。 ☆卒寿(そつじゅ) "卒"の略字"卆"が九十と分解できることから、90歳の祝い。 ☆白寿 "白"という字は"百"から"一"を引いたものだから、99歳の祝い。 ☆茶寿 "茶"と言う字で、草冠が古い字体で十が二つ、下の部分が八十八。 足して、108歳の祝いです。 ☆皇寿 "皇"の字を、白、一、十、一に分解し、99+1+10+1=111歳の祝い。 ■雑 ★若干 若は「〜のようだ」の意味です。また、干は分解すると一と十になります。 結局、一のようでも有り十のようでもあるの意味となります。 あまり多くはない数で、定まらない場合に使われます。 ★くの一 これは有名ですね。女を意味する言葉ですが、現在は女性の忍者を指して使われます。女の字が「くノ一」と分解できることから来ています。 ★ロハ 最近は死語でしょうか? 只(ただ)と言う漢字をロとハに分解したものです。 お金のかからない、タダを意味します。 ★匁(もんめ) 「Vol.188単位」に出てきましたが、重さの単位で、真珠の国際単位に残っています。 この字は国字(日本で作った字)です。"文"と"メ"を組み合わせて作られた字です。 字謎の逆ですね。 ★大無人、天無人 僧侶の間で使われた隠語です。 大から人を取ると一、天から人を取るとニ。 以下、王無中、罪無非、吾無口、交無人、切無刀、分無刀、丸無点、千無点などと続きます。 ★漢字の偏・旁(つくり) ・殳(るまた) 「殳」を「ル又」に分解したものです。 殳(ほこつくり)とも言います。 ・一の貝(いちのかい) 「頁」の字を「一ノ貝」と分解したものです。 頁(おおがい)と言う方が多いでしょうか。 ・一夕偏(いっせきへん) 「一夕」は"歹"の字を分解したものです。 がつへん(歹偏)・かばねへんと言う方が普通です。残、殊、死などがそうです。 ★川柳から 江戸の川柳に 「品川の客人偏のあるとなし」 と言うのがあります。 品川は遊里で有名でしたが、「侍」(薩摩藩士をさす)と「寺」(僧をさす)で繁盛していた様子を皮肉ったものです。 品川と言えば、幕末、高杉晋作などが入り浸っていたことでも有名ですが、新吉原の「北」に対して「南」と呼ばれていました。 |
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