アルミ加工

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はじめに
ロボット製作では多くの方が構造物としてアルミを使用される事が多いと思います。 アルミは軽くて加工がしやすいうえA5052Pなどはかなりの強度も備えています。 サーボホルダーなどを購入する方法もあるとは思いますが、私はより高い設計自由度を 求めて全てアルミ板を加工してロボットを製作しています。 ここでは私が行っているアルミ加工の方法をご紹介させて頂きます。

アルミ加工
加工の前にどんな部品を作るか設計しなければなりません。 私はVisioという2次元お絵描きソフトを使っています。 他のソフトでも実寸で入力や印刷ができて、角度指定で図形の回転なんかも出来れば用は足りると思います。 図面を書いたら印刷です。 私は裏がシールになっているA4の光沢紙を使用しています。 東急ハンズで10枚で\1,500でした。

■図面の張りつけ
まずは印刷した図面をアルミ板に張りつけます。裏面がシールになっているので簡単です。 ただ引っ張ったりしわになったりすると図面がズレて精度が落ちてしまうので注意しましょう。 今回は加工物が小さいので紙も必要なサイズにカットしてから張りつけています。 アルミも紙も残った分は後で再利用できます。

■ケガキ線を引く
曲げをいれる部分にケガキ線を入れます。私はカッターで引いています。 ここでケガキ線を入れる理由は、この後の様々な加工により張りつけたシールが 微妙にずれてくるからです。特に曲げ加工を行うと強烈にズレますので、 全くズレていない状態で線を引いておきます。 コツはとにかく線の真上から引くことです。印刷した線を真っ二つに切り裂くつもりで ケガいてください。曲げの精度を決めるので慎重に確実に。 それと図面上では曲げシロを0.5mmとっています。1mm厚のA5052Pではこれでバッチリ。 他の厚みや材質の場合は何度か曲げて曲げシロを確認してください。

■ポンチング
穴を空けたい位置にポンチを打ち込みます。 私はOptical Center Punchというものを使っています。 これは台座にはめたレンズを覗くと写真のように十字のサイトが出るので 非常に高精度に中心を合わせられるという物です。 穴あけ用に印刷した十字線とサイトの十字線が重なるように合わせるとやりやすいです。 センターを合わせたらレンズを抜き取り金属のポンチをはめて金槌で叩きます。 一発だけガンと叩くのがコツです。何度もコンコン叩くと衝撃でズレます。 穴あけの精度を決めるので慎重に。

■捨て板を張りつける
穴あけを行うと板の裏にバリが出ます。そのまま他の穴を空けると、 バリで板が傾き正確な穴あけが出来なくなります。 そこでアルミ板の裏に木の捨て板を貼り付けます。 私は東急ハンズで購入した3mm厚、300×225のMDF板を使用しています。一枚\40でした。 アルミ板の裏の四隅に両面テープを張り、これで捨て板に張りつけます。 両面テープの面積があまり大きいと剥がす時大変なので程々に。

■捨て板をカット
捨て板の大きさに対してアルミは300mm×200mmと25mm小さくなっています。 私のボール盤は奥行き110mm程度しかないので捨て板を張りつけると穴あけできない 位置が出てしまいます。そこで余剰分の25mmをカットしています。 写真はカット後の切りくずを掃除しているところ。 一つ加工したら、掃除、片付けは重要です。

■バリ取り
捨て板をカットすると盛大にバリが出ます。 これは加工のとき邪魔になるのでカッターで綺麗に削り取ってあげます。 写真はカット後のもの。綺麗な状態で加工すると気分が良いですよ。

■センタードリル
穴あけの前にセンタードリルというもので予備穴を空けておきます。 これでドリルを当てた時のズレが大幅に少なくなります。 私は先端が1mmのセンタードリルを使用しています。 ドリルをゆっくり下げていき、ポンチングした凹みに入った感触を感じたら、 じわっとドリルを押しつけています。

■予備穴加工後
写真はセンタードリルで予備穴を空け終わった状態です。 ポンチが正確に打てていればセンタードリルでズレる事はあまりありません。 ポンチが少々ずれているように感じても逆らわずに穴を空けましょう。 ドリルで修正しようとしても大抵上手く行きません。

■穴あけ
本来の穴径ドリルで穴あけです。 センタードリルで予備穴を空けていればよほど大径のドリルで無い限り すんなり行くはずです。 ドリルの先端が予備穴に入った感覚があったらじわりと押し下げると共に 加工物をしっかり固定しましょう。

■お掃除
穴あけ加工が終わったら、ボール盤と周辺を綺麗に掃除して片付けます。

■捨て板を剥がす
穴あけが終了したので捨て板を剥がします。 アルミ板と捨て板の間にカッターを挿入してスライドさせると綺麗に取れます。 無理にこじったりすると板に傷が付くだけでなくカッターの刃が折れて危険ですので、 注意しましょう。

■バリ取り
アルミ板の裏側から出ているバリを大き目のドリルでゴリゴリと取ってあげます。 面倒くさいからといって省略してはダメですよ。

■バリ取り終了
写真はバリが取れた状態です。手で触ってみて妙な引っ掛かりが無いか確認します。

■切断
次にアルミを切断します。 私はバンドソーという機械を使っています。 5mmの刃を使用すると当て板無しでもかなり正確に真っ直ぐ楽々カットできます。 糸ノコや電動ノコでも良いと思います。ポイントは内側に切り込まないように することです。出っ張った分は後でヤスリで削れますが、凹んだ分は帰ってきませんから。

■切断終了
写真は切断が終わった状態です。 次は曲げ加工ですが、その前にもう一度曲げ加工を行う部分にカッターでケガキ線が入っているか確認します。

■紙を剥がす
ここでアルミ板に張りつけた図面を剥がします。 シールになっているので剥がしづらいので、私は秘密兵器を使っています。 それがライターに使うジッポオイル。これをかけてまんべんなくすり込んでやると、 メチャクチャ簡単に剥がせます。コンビニで売っていますし安いのでお勧めです。

■表のバリ取りとやすりがけ
写真はシールを剥がし終えたところです。綺麗に剥がれているのが分かると思います。 表面にも穴あけで多少バリが出ているのでこれも取ります。 後は切断面のヤスリがけです。手で触ってツルツルと引っかかりが無くなるまで、 しっかりとヤスリがけしましょう。

■いよいよ曲げ加工
さぁ次は曲げ加工です。写真は私が使用しているSimpleBenderです。 ただ購入時のままですと、少々精度的につらいものがあるので多少改良しています。 まずはボルト。 M8のボルトでガッチリ締めつけます。ワッシャーを挟むのを忘れないように。 ワッシャーが無いとボルトをねじ込んだ際にベンダーがズレてしまいます。 そしてもう一点。加工物と同じ厚さの板をベンダーの端に両面テープで付けています。 付属のM6のボルトではベンダーを加工物に装着する際に回ってずれてしまいますし、 調整の精度が今一なので対策しました。

■位置合わせ
作業机の上にベンダーを垂直に置き、加工物をベンダーに挟み込み、手で両側のボルトを閉めこみます。 それから両側のボルトを軽〜くレンチで締め込んでから、ケガキ線に位置を合わせます。 これが非常に重要です。必ずベンダーに対し水平方向から確認してください。 上から見たり横から見ると確実にズレます。ここでズレると穴の位置も メチャクチャになりますので慎重に慎重に。 私はさらにL字型の定規を使って位置を調整しています。

■締め込み
ボルトを締め込みます。左右のボルトを順番に少しずつ締め込みます。 片方だけを思いっきり締め込んでしまうとベンダーが傾いて挟み込んでしまうため 曲げる時に片側がズレ、斜め曲げになってしまうので注意しましょう。 とにかく左右順番にこれ以上締め込めないというところまでボルトを締め上げます。

■上側のベンダーを装着
下のベンダーに乗せるように上側のベンダーを装着します。 後は同様に左右順番に限界まで締め込みます。 閉めこむ前に上のベンダーが下のベンダーを挟み込んでないか確認して まずは手でボルトを締め込むと良いと思います。

■曲げ!!
ベンダーを固定したらおりゃ!!っと曲げます。力の限り限界まで曲げます。 躊躇してはなりません。その後垂直になるように戻します。 私はこの時もL字型の定規を利用して垂直が出ているか確認しています。

■ベンダーを外す
加工物に変な方向に力がかからないように注意してベンダーを外せば 1回目の曲げは終了です。後はこれを必要な数だけ繰り返して行きます。

■ちなみに
SimpleBenderは30mmまでの内々曲げに対応していますが、 私は写真のように加工して15mmまでの内々曲げまで出来るようにしています。

■完成!!
写真は全ての加工が終了して完成した部品です。 手間をかけて作っただけあって素晴らしい出来映えです。 奥は曲げ加工前の部品。曲げに失敗した時のための予備だったのですが、 この方法のお陰で一発で加工できました。

■装着
さあ、装着です。これはサーボをくるっと囲むように取りつける部品です。 精度が出ていないと全く話にならない見た目とは裏腹に結構高度な 技術を要求される部品なのです。 結果は御覧の通り、ジャストフィットです。 余白0mmの設計なのでググっと言う感じで入っていきます。 これも予想通り。完璧です。これなら良いロボットが作れそうだ!! ちなみに後ろにあるのはこの方法の確立と曲げシロ確認の為に散っていった 部品達。君らのお陰で良い加工が出来たよ。ありがとう!

アルミ加工は楽しいぜ!!

2003/05/19 初版

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