天の川って何?

 
 皆さんは
「天の川」を見たことがありますか? 最近の子に「織姫星(ヴェガ)と彦星(アルタイル)は天の川で隔てられているから七夕の日にしか会えないんだよ」なんて言ってもピンとこないことでしょう。だって、都会では天の川はおろか、3等星も危ういくらいにしか星は見えないからです。だから、七夕の神話を聞いた子供に、実際の織姫星や彦星を見せても、その間を走る天の川が見えないことでは、七夕神話の真実味もあったものではありません(神話なのでもともと真実味なんてないですが…)。かく言う私自身も、天文学を専門にしながら、きれいな天の川を肉眼で見たことがありません。お恥ずかしながら。という事なので、皆さんには、実際の天の川をお見せしましょう!下の写真が「天の川」です。

 この写真は、北半球で見える天の川や南半球で見える天の川などの写真をつなぎ合わせたものなので、実際にこのように天の川が見えるポイントは世界中のどこにもありません。しかし、暗い所で夜空を見上げると、この天の川のどこか一部はきっと見えるはずです。どこか旅行に行った際には、ぜひ夜空を見上げてみてください。

 さて、この写真を見てみると、光が細長く密集している様子が分かります。そうです。もちろんこの光は星の光です。という事は、夜空の中に、このように星が極めて密集している道があるという事です。一体なぜここだけ星がこんなに密集しているのでしょう?そのことについて考えていきましょう。
 このナゾを考えていくためには、まず「宇宙は何からできているのか」という事を考えていかなければなりません。さて、宇宙は何からできているのでしょう?
 真っ先に聞こえてきそうな答えは「星!」というものでしょう。確かに間違いではありません。夜空には数多くの星が光っていますし、実際、宇宙の中には数え切れないほどたくさんの星があります。しかし、もっと大きなスケールで宇宙を眺めた時、
宇宙は「星」からできているのではなく、「銀河」からできているといった方が正確なのです。

 それでは、「銀河」って一体何なのでしょう? 詳しくは「銀河にはどんな種類があるの?」を参照していただきたいのですが、簡単に言うと、星の集まりです。以下の写真は、アンドロメダ銀河という銀河の写真です。


 一つの銀河には太陽のような星がおよそ1000億個ほど集まっています。つまり、宇宙の中では、星はバラバラに存在しているのではなく、銀河という集団になっているのです。そして、そのような銀河が宇宙の中にはたくさんあるのです。宇宙って大きいですね。

 星が銀河という集団になって集まっているということは、もちろん私たちの住んでいる太陽系もある銀河に属しています。私たち太陽系が属している銀河のことを、「銀河系」または「天の川銀河」といいます。この名前を聞いて勘の鋭い人ならピンと来たでしょう。そうです。夜空に見える天の川は、私たちが属している銀河を中から見た姿なのです。
 ピンと来なかった人のために、順を追ってゆっくり説明して行きましょう。まず、私たちは「天の川銀河」という銀河に属しているということは分かりましたね。じつは、下の図のように、
太陽系は天の川銀河の端っ子のほうにあるのです。ちなみに、1光年=約9兆4800億kmです。(詳しくは「遠くの星までの距離ってどうやって調べるの?」を参照してください)

 銀河って言うのは、星の集まりなんだから、太陽から銀河中心の方向を見ると、星がいっぱい見えるわけです。つまりこういうことですね。

 つまり、天の川とは私たちの住んでいる銀河系の姿だったのです! そう言われて良く見てみると、最初に紹介した写真の天の川の形は、まさに銀河の形をしていますね。
 ちなみに、夏の天の川がきれいなのは、ちょうど銀河の中心の方向を見ているからです。冬の天の川は、銀河中心と反対の方向を見ていることになるので、夏と比べると星の数は多くありません。
 また、私たちが
普段目にしている星のすべては、天の川銀河に属する太陽の兄弟星達です。天の川銀河に属していない星を肉眼で見ることはできません。遠すぎて肉眼では見えないのです。しかし、天の川銀河に属していない天体でも、肉眼で見えるものもいくつかあります。北半球で見えるものは、上の写真で紹介したアンドロメダ銀河です。アンドロメダ銀河とは、天の川銀河のお隣の銀河なのです。そして、肉眼で見えるもっとも遠い天体です。肉眼で見えるといっても、4等級の明るさしかないので、かなり暗い所に行かないと見えません。また、南半球に行けば、「大マゼラン星雲」「小マゼラン星雲」というものが見えますが、これも天の川銀河の外にある銀河です。これらはかなり明るく見えるそうです。
 ちなみに、大小マゼラン雲やアンドロメダ銀河は、最初に紹介した天の川の写真にもちゃっかり写っています。どれがそうだか分かりますか? 中心から右下に行ったところに小さなしみが2つありますね。それらが大小マゼラン雲です。アンドロメダ銀河はもっと分かりにくいのですが、左下の方に小さいしみみたいなのが2つあるのが分かると思うんですが、その右上のヤツです。

 最初の方にも言いましたが、私はまだきれいな天の川というものを見たことがありません。でも、いつか近いうちに必ず見に行こうと思ってます。皆さんもぜひ、本物の天の川を見てみてくださいね。あの天の川の一つ一つの光の粒が、太陽みたいな星であること、そして、この宇宙にはそのような銀河がたくさんたくさんあること。そんなことを想像すると、宇宙は一体どれくらい大きいんだろうって考えちゃいますよね。