ワイバーンエレメント リプレイ
 
ユグドラシル戦役


 第1作戦


   ラウパナカ飛行隊出撃せよ



 青銀に光る草原の彼方に、湾曲した垂直安定翼が数基、天に向かって聳えている。
 巨大な背ビレのようなその翼端は、高層雲から突き出ていた。古びた山脈を思わせる威容だ。
 安定翼の峰峰が早朝の光を受けて輝きはじめる様には、神話の一場面のような荘厳さがあった。

 中でもひときわ巨大な垂直安定翼は、<大竜母>の脊椎管付近から直立する<大棘翼>である。
 全長数十キロにもなる飛行生物<大竜母>の姿勢を安定させるための翼だ。
 その規模は、地球型惑星でいう高山性山地に匹敵する。徒歩であれば、登頂には優に14イナンナ日は要するだろう。

 そんな巨大な安定翼のそこここに、埃のような塊がわだかまっている。塊の一つ一つが、数百人の高地民族が住む集落なのだ。

 集落をかすめ、数隻の船が草原に降下してきた。船底に下がる竜骨翼が船尾側に収納される。船団は滑るように草原に降り立つ。昆虫の脚に似た降着フックが展開され、大竜母の地盤を噛む。

 左右に三対ずつ広がる円月帆には、染め抜かれた多重三角形のエンリル紋が目だつ。
 小柄な船体は、野生竜の甲殻や骨を利用して作られている。伝統工芸品らしい優美な曲線である。
 スキマーと呼ばれる、この惑星特有の飛行艦船だ。

 船底が接地するが早いか、民族衣装を着た漁師たちが翼をばたつかせながら飛びだす。
 有翼人種、エンリルである。

 エンリルの漁師たちは、空中で器用に円月帆をたたみ、船体上部のバルブ類や動索をあわただしく操作する。
 豊漁祈願の紋様が描かれた流線型の気嚢(きのう)が、船体に覆い被さるように下ろされる。浮上用ガスは入ったままだ。

「仕掛けをしまったらすぐ再離床だ。<明けの乱流>が近い、いそげ」

 着陸中のスキマーは、船体上部の気嚢が風の影響を受けやすいため、突風などに弱い。

 草原に点在する骨塚から、長大な経文旗が幾つも、空に向かって伸びていた。七色の布が連なった、派手な旗である。
 経文旗の末端はムササビのような獣人属ニャンコンに掴まれ、空中高く舞っている。大竜母の外縁を超え、経文旗が幾つも雲海の水平線にたなびく光景は、最上甲板層の日常だ。

 どこまでも広がる紅の雲海の下に、大地はない。

 雲の下は、<深層域>とよばれる大乱流層に支配されている。
 深層域は、超高圧の嵐が永久に吹き荒れる領域だ。そこに墜ちた者は、二度と戻らない。
 たなびく幾条もの経文旗は、大竜母を離れて空を行く旅人が深層域に墜ちないよう、祈りを捧げるためのものだ。

 経文旗が風を受けて発する振動音が、次第に高まってきた。外縁風が強まっている。離床準備を急がねばならなかった。

「船長、こんな小さな船団じゃ、獲物は狙えねえですよ。燃料費のほうが高くついちまう」

 若い有翼の漁師が、漁具を畳みながらぼやく。両耳の羽が、不満そうに揺れている。
 浮遊延縄の仕掛けに、ほとんど天空魚はかかっていない。

「分かっとるわい。他の大竜母からの船団と組まなきゃ、アプラカルのでかい群れは追い込めんからな」

「いつになったら、わが竜母様は群れに戻れるんですかねえ」

 青年漁師は天を仰いだ。
 朝焼けの空、遙か高みに。
 肉食獣の爪痕のように、3つの航跡雲がのびていく。

 飛竜だ。

 大竜母上からはゆっくり移動しているように見えるが、高度を考えれば、速度は音速を超えているだろう。
 船長と呼ばれた老エンリルも、高空を行く飛竜編隊を見上げた。

「ほう」

 −−珍しいな。隊長騎は、ギリュウ類の双発騎か。それに天到戦鰭と、アルシャルナとは。

「みろ、航空隊の連中も頑張ってる。きっと近いうちに戻れるだろうよ。さあ、仕掛けを畳んだら、わしらも離床だ!」


* * *


 遙か彼方の恒星系を巡る惑星、ナーガローカ3。

 大地をもたないこの星で、人々は巨大浮遊生物<大竜母>に住まう。
 大竜母を守るのは、<奏竜士>と呼ばれる、空の戦士たちだ。
 奏竜士は超音速の飛竜を駆り、来襲した侵略者<ファーグニル企業複合体>と、長きに渡る戦いを繰り広げてきた。

 これは、ある大竜母に生きる奏竜士たちが戦った、戦役の記録である。



●奏竜士の作成


 2016年10月、オンライン・セッションツール「どどんとふ」の一室に、GM(ゲームマスター)清水三毛と、三人のPL(プレイヤー)がログインした。ワイバーンエレメントのセッションが始まる。

GM:こんにちわ、清水三毛です。ワイバーンエレメントのセッションをしましょう。皆さん、キャラクターはすでに作成済みですね。

PL1:こんばんわー。

PL2(以後クラシーグ):とりあえず、ランダムにダイスでPCを作ってみた(笑)。クラシーグという少年エンリルだよ。

クラシーグ

クラシーグ

冷静な少年エンリル。
過去の戦いで右羽を失い、義翼に換装している。
空戦戦術は、重戦闘竜による一撃必殺の白兵戦重視型。


種属など:エンリル、18歳、男性
外見:耳と腰に竜翼がある(右腰翼は喪失)
飛竜:深鰭類/天到戦鰭<シーラク>
戦歴:輸送部隊
生命値:9

トラウマ1【4 強力な敵の戦闘機隊に襲われ、生き残ったのは自分だけだった】 
トラウマ2【7 強力なハグレ竜に苦戦し、体の一部を失った(右腰翼)】 
願望【ファーグニル軍を絶滅させたい】


画:清水三毛


PL1:クラシーグ、深鰭(じんき)類の飛竜を選んでいたか! これはスタンダードな部隊にならないかもな(笑)。

クラシーグ:そういえば、天到戦鰭(てんとうせんき)は古代魚型だったね。飛竜とはいうものの(笑)。


 天到戦鰭は、深鰭類の一種だ。速力と上昇力に優れる飛竜で、古生代の甲冑魚のような形態をしている。気性は荒く、協調や整備はしづらい。


GM:PCの名前ですが、できれば、PC全員の名前の文字数や発音がばらけていると、読みやすくて良いと思います。

PL3:よろしくお願いします。作ったキャラクターはギリュウ乗りなのですが、需要ありますか?

GM:ギリュウ類、いいですよ。ちょうどばらけているかんじですね。

PL1:一人ぐらいは剛尾類がいたほうがいいかもしれないから、俺はリルユランにしようか。珈琲のみながらチョコをつまんでTRPGキャラを深夜に作るのって、くっそ楽しい(不健康)。

GM:(笑)。ちょっといま、進攻判定を組んでるので、それをみてからでも遅くないかも。


 ワイバーンエレメントは、基本的にシナリオ不要でプレイできる。

 GMは、セッション開始の直前に、最終攻撃目標であるNPC敵機などを選択し、あわせて、PC飛行隊が敵部隊に接触するまでに成功させなければならない幾つかの[進攻判定]を決めるだけで、すぐにセッションを開始できる。
 [進攻判定]は、最終目標にPCが到達するまでの過程を表現する判定セットである。
 内容は、たとえば高高度への上昇判定、低空飛行を行う運動判定など、作戦の内容によって異なる。
  [進攻判定]の組み合わせを選び、演出を決めることにより、GMは、航空作戦を細かく表現できるのだ。



PL3(以後ラウパナカ):乗る飛竜は、ギリュウ類の「4式早期警戒機」にしました。

クラシーグ:おお、AWACSっぽい機体は助かるね。


 早期警戒機とは、強力なレーダーにより遠距離の敵機を探知し、味方の戦闘飛竜に情報を与え、戦闘指揮をとる機体である。地球でいうAWACSに近い。

 4式早期警戒機は、機械種属コロガリがナーガローカ3に持ち込んだ機械の飛竜である。
 ワイバーンエレメントでは珍しい、地球製の航空機タイプで、2基のターボプロップ・エンジンを搭載している。
 プロペラ機とはいっても、亜音速に至る高速性もあり、侮れない。背中に背負った大きなレーダードームによる索敵能力も優秀だ。



ラウパナカ

ラウパナカ

飛行隊隊長を務める女性エンリル。鋭い分析力で、飛行隊を適確に指揮する。
人付きあいは苦手な面もあるようだ。
空戦戦術は、早期警戒竜による支援が中心。


種属など:エンリル、22歳、女性
外見:耳と背中に翼(羽毛型)
飛竜:ギリュウ類/4式早期警戒機<エルイダム>
戦歴:輸送部隊
生命値:13

トラウマ1【56 飛竜の病気を治療できず、死なせたことがある】 
トラウマ2【38 戦闘中、飛竜の意識に過剰同調してしまい、深層自我に触れて発狂しかけた】 
願望【深層域を探検できる飛竜を育てたい】


画:清水三毛


ラウパナカ:天到戦鰭乗りがいらっしゃるようでしたので、空中給油でもお役に立てるかと思います。

GM:いいですねえ。4式は燃料搭載量が多いですからね。

ラウパナカ:「私、誰よりも飛竜の気持ちがわかる自信があるんです」キズナ判定値が、10あります。

GM:高っ。

ラウパナカ:それなのに、[トラウマ]は、飛竜が病死するのを見てるしかなかったり、飛竜の深層自我に触れてしまったりという内容でした。


 PC作成時、PLは、ルールブック掲載の100個の[トラウマ]から2個をランダムまたは任意に選択する。これによりPCが過去に空戦で追った心の傷を表現する。セッション中、[トラウマ]をRP(ロールプレイ)すると、PCに有利な修正が加えられる。


PL1(以後、三上掘法作ったぜ。アルシャルナ乗りの羽根ナシ男性、三上掘ファーグニル企業軍から逃げてきたので、名前は暗号だ。いい年のおっさんにしたいので、29歳ということで、よろしくな。

三上

三上

飛行隊の最年長。
羽根ナシゆえか素直でない面もあるが、内に熱い闘志をもつ男性。
空戦戦術は、主力戦闘竜でミサイル戦から白兵戦まで幅広く対応する。


種属など:羽根ナシ、男性、29歳
外見:
飛竜:剛尾類/アルシャルナ<光芒>
戦歴:偵察部隊
生命値:8

トラウマ1【47 補給が絶たれた状態で孤立し、生きるために、戦死した仲間(エンリル?)を食った】 
トラウマ2【38 戦闘中、飛竜の意識に過剰同調してしまい、深層自我に接触して発狂しかけた】 
願望【罪滅ぼしにエンリルを助けたい】


画:清水三毛


GM:アルシャルナか、代表的な飛竜ですね。速度重視の傾向があるけど、一通りのことが出来ます。


 「羽根ナシ」は、ファーグニル企業軍から逃亡、あるいは亡命してきた地球人である。もともとは敵軍の人間であり、ほかの種属に比べて少数派なので、大竜母では肩身が狭い。多くは空中海賊、傭兵、犯罪者である。


GM:「どどんとふ」メイン画面の上に「共有メモ」というボタンがあるので、それでPCデータをマップ上に追加するとほかの参加者にも見えるようになって、何かと便利ですよ。

ラウパナカ:ラウパナカを簡単にお絵かきしてみました。(PL作成の絵が画面に表示される)

三上掘ラウパナカさんかわゆし。

GM:4式に、アルシャルナに、天到戦鰭か……濃い飛行隊になりそうですね。

ラウパナカ:「支援は任せて!」

図1:アルシャルナ種の飛竜
アルシャルナ種飛竜

画:清水三毛


GM:さて、今回キミたちが倒すべき最終目標NPCと、そこに至るための進攻判定は、こんなかんじです。
 なお、ルール上、今回は特別に、空戦マップを2種使います。しかも最初の1ターンめでは、近距離プロセスから強制的に[エンゲージ]となる特殊な仕様です。


 最終目標:
 大竜母級の巨大空中生物だ。未知の目標であり、危険な任務になる可能性がある。いずれの勢力に属するのか判明していない。属性としては、「艦艇」と推測されるため対艦兵器の装備が必須だが、護衛戦闘機の存在も予測される。
 この目標は、大竜母を捕食するとの伝承もあり、早急に撃破する必要があると司令部は判断した。
 いま、わが大竜母で出撃できる飛行隊は、君たちだけだ。
 目標は、その体内に弱点を有するとの情報がある。内部に低空飛行にて侵入し、「弱点」を撃破せよ。
 本目標との戦闘では、目標内部に侵入するため、高確率で白兵戦が生じると予測される。注意されたし。

 作戦目的:
 最終目標の撃墜

 今回の資源値(初期資源値/潤沢値/枯渇値):
 25/18/13

 進攻判定:
 白兵戦→ステルス→運動→ステルス



GM:今回の作戦では、最終目標と接敵するまでに、白兵戦判定・ステルス判定・運動判定・ステルス判定の4つの進攻判定をクリアしなければいけません。進攻判定1つにあたり、燃料を1点、消費するので、飛竜の[航続力]は最低でも4、必要です。

三上掘大竜母を捕食って……(絶句)。

ラウパナカ:白兵戦は苦手だなあ。

GM:今回は、特殊なギミックを試してみたくて、敵NPCも新たに作りました。戦闘の形式は、対艦、対空、白兵戦、いずれも発生しますので、セッション中に獲得できる[変異]と、出撃時に選ぶ[搭載武装]で対応いただけると思います。


 ワイバーンエレメントでは、セッション開始時に、作戦目標や、いわゆるラスボスであるNPCの大まかな性質が公開される。その情報をもとに、セッション中、訓練を行って飛竜を成長させ、出撃時に[搭載武装]を選ぶのである。

 なお、本作の飛竜は、いわゆるマルチロール戦闘機に近い。
 作戦に応じて、対空ミサイルや対艦ミサイルなど、さまざまな武装を搭載し、運用できるのだ。
 そのため本作では、「特定の職業のPCがいないから、ある種の任務に対応できない」といった事態は基本的に起こらない。
 こうした理由から、ワイバーンエレメントは、GM1人、PC1人からでもプレイ可能である。



三上掘ところで、過去に仲間を食べてしまったという[トラウマ]を三上靴六ってるんだけどよ……。撃墜されて不時着時に食料が尽きて、仕方なく、戦友エンリルの遺体を食べてしまったというかんじかね。

GM:そのことは、部隊内で知られている設定にします? それとも秘密?

三上掘本人は知らせていないが、部隊内の人は暗に知っている可能性もある、ぐらいで。

ラウパナカ:それは、PCは知らない方が、知ってしまったときの衝撃があって良さそうですね。

GM:おっ! なるほど、セッション中に過去の秘密を明らかにする劇的なRP(ロールプレイ)が出来そうですね。

クラシーグ:私のほうは……輸送部隊で唯一、生き残って、企業軍の殲滅を志して天到戦鰭乗りになったのに、自分の羽を喰われるくらいのハグレ竜と遭遇するという[トラウマ]があります。

三上掘羽根ナシだから大竜母社会では肩身が狭いけれど、逃げてきた自分を受け入れてくれたのがエンリルだから、恩返ししたいと思っている。

GM:では、[戦友]をほかのPCから一人選んで、その戦友に対する[感情]を決めていただきます。とくにこだわりがなければ、アイコンの並んでいる順に、クラシーグ→ラウパナカ→三上窟クラシーグ の順に決めて下さい。

クラシーグ:ふむ。

GM:[感情]内容は、ルールブックP42にあります。ROC(ダイスか任意)できめてください。これはロールプレイ指針ですね。で、感情をとった相手が、[戦友PC]に指定されます。戦友PCについては、訓練フェイズなどでの「支援RP」の効果が大きくなります。

クラシーグ:では振ってみよう。ラウパナカさんにですね……「好意」。

三上掘甘酸っぱいな?

クラシーグ:無難な出目が出たね。運の良い奴(笑)。

GM:片思いなのかどうかは、実戦フェイズ前の[追加感情]取得で分かる……(笑)。

ラウパナカ:じゃあ、私も振りますねー。「好敵手」だそうです。なぜか三上靴鬟薀ぅ丱觧襪靴討い泙后

GM:では三上靴らクラシーグへの[感情]指定ですね。

ラウパナカ:感応翼を持たないにも関わらず、飛竜を理解しようと努力する三上靴了僂惑Г瓩討襪茲Δ任后

三上掘それは嬉しいね。

GM:おおー、それっぽい。

三上掘俺は、クラシーグさんを……(ダイスを振る)……「軽蔑」しているらしい。

GM:なぜ「軽蔑」なのか(笑)。

ラウパナカ:やはり大惨事表だった。

GM:やりづらければ任意でもいいですよ(笑)。


 あえてネガティブな[感情]を戦友に抱いたままセッションをはじめて、[実戦フェイズ]で戦友への感情をポジティブなものに変更するというのも、ワイバーンエレメントの王道ではある。感情ひいては関係性の変化により、戦友同士の葛藤と、その解消を表現できるのだ。


クラシーグ:ROCだからね(笑)。

ラウパナカ:三上靴蓮∧厖磴無くなっているクラシーグの姿を見ると、ひそかに、自分がかつて戦友エンリルを食べたのを思い出してしまう……とかどうでしょう。

GM:ありそう。

三上掘かつて食べちゃった戦友と重ねてしまっているのかもしれん。似ているだけに、彼の若さと翼が眩しく感じられて、正視できないのかも。

GM:それで表面上は軽蔑しているそぶりを……なんだか深いですね。

三上掘クラシーグが良ければ、[感情]はこれで行きたい。

 
 セッション開始時の感情内容

 クラシーグ→「好意」→ラウパナカ
 ラウパナカ→「好敵手」→三上
 三上窟「軽蔑」→クラシーグ

クラシーグ:問題ないよ。

三上掘ありがとよ。


 その後、ルールにより、ラウパナカが飛行隊長となった。ラウパナカ戦闘飛行隊の誕生だ。


GM:では、キャラクター作成はこれぐらいにして、いよいよセッションを始めましょう。


 ●ブリーフィング




GM:最初なので、簡単にワールド説明とルール説明を。

三上掘よろしく頼むぜ。

GM:舞台は、銀河のかなたにある惑星ナーガローカ3(イナンナともいう)。皆さんは、そのガス惑星に浮かぶ巨大な島のような生きた空母、<大竜母>に暮らしています。この星には固体の地表というものがないので、PC種属は基本的に飛行可能です。
 大竜母の神経中枢からは、摂取した生き物を不老不死とするエキス<神血>が採取されます。それを狙って、数百年前、地球の企業<ファーグニル企業複合体>の宇宙艦隊がナーガローカ3に来襲しました。君たちは、ファーグニル企業軍を迎撃するため、飛竜に乗りこんで、大竜母を守るために戦い続けています。
 なお、PCのいる大竜母は一隻で漂流中なので、資源が不足しがちです。これは日常判定で成功すると、回復できます。

 PCは基本的にナーガローカ3に生息する異種属です。主要な種属としては、有翼人<エンリル>のほか、古き飛行軟体生物<翼足>、機械知性<コロガリ>、知性化クジラ<鯨鬼>、飛行獣人<ニャンコン>などがいます。


 ナーガローカ3にもともと棲んでいた種属は翼足のみで、もとはといえばエンリルも大昔に地球から入植してきた種属である。一説によると、恒星間植民用に、遺伝子改造された地球系人種だったのだという。
 コロガリは地球軍がかつて使役していた無人機がその起源であるし、鯨鬼も、地球企業に酷使されていた知性化クジラ類が種属として独立した人々である。



GM:さてルールですが、ほとんどの場面でPCは飛竜に乗っているので、PC能力値と飛竜の能力値を合計した[騎竜判定値]を使って判定します。10面体ダイス2個をふって出目を[騎竜判定値]に合計し、指定難易度以上になれば、判定は成功です。
 PCの[トラウマ][願望]をロールプレイすると、それぞれについて+1Dの修正を得ます(1フェイズ1回まで)。あと、[大竜母設定]をセッション開始前に決めますが、これもRPに反映させると、同様のボーナスが入ります。あとはプレイしながら説明しましょう。

ラウパナカ:トラウマのロールプレイって、抗うRP以外にも、心の傷に負けているRPでもいいんでしょうか。

GM:いいですよー。要は、PCが過去に負った心の傷を表現すればいいのです。

三上掘3人はもう同じ飛行隊にいるのか?

GM:そうですね、同じ飛行隊の所属ということで。
 セッション全体の流れとしては、

[ブリーフィング]
 ↓
[訓練フェイズ]
 ↓
[変異フェイズ]
 ↓
[日常フェイズ]
 ↓
[実戦フェイズ]

 という順に処理します。ブリーフィングでは、今回の作戦内容と敵NPC情報が説明されます。つづいて、飛竜との訓練フェイズ、訓練と関連した変異を得る変異フェイズ、PCの戦友との交流や恋人とのやりとりを演出する日常フェイズをへて、最後に作戦目標と戦う実戦フェイズです。
 各フェイズの間に、[資源チェック]で資源が減ったり増えたり、[大竜母イベント]表が適用されたりします。
 では、軽く、PC自己紹介をお願いします。クラシーグ、ラウパナカ、三上靴僚腓如

クラシーグ:男性、18才で少年然とした奏竜士だよ。種属はエンリルで、耳と腰に翼があるけど、過去に右の翼を失っている。翼は、竜型ということで。騎竜は、天到戦鰭の<シーラク>。

GM:いいですね、少年奏竜士! では、ラウパナカさん、どうぞ。

ラウパナカ:22歳、エンリルの女性で、翼は耳と背中にあります。騎竜は4式早期警戒機で、<エルイダム>と名付けて毎日可愛がっています。翼は羽毛タイプです。もふもふです。

GM:いいですねモフ(語尾)。ラウパナカさんは、4式ですし、支援が得意なのかな。

ラウパナカ:はい、高度は余りとれませんけれど、[竜キズナ]の最大値が10あるので、航続距離が短い他の2人に、燃料をわけたりもするつもりです。

GM:[竜キズナ]をどんどん使えそうですね。[竜キズナ]の初期値は最大値の半分ですが、竜との交流をRPするか、訓練で判定に成功すると手に入ります。これは、あらゆる判定に加算できるボーナスポイントです。

三上掘「俺の名は三上(ミカミ)。見ての通り羽根ナシだ。向こうでは偵察部隊に所属していた。色々あってここに流れてきたんだが、その際エンリルに世話になった……だから恩返しをしたいんだ」

GM:おおーなるほど。それでエンリルの多い飛行隊にきたのかも。

三上掘そんなわけで、羽根ナシおっさん(虚弱体質)です。

GM:かつてエンリルを食べちゃったことは秘密なんですね。

三上掘騎竜はアルシャルナ、<光芒>と名付けています。かつて戦友の遺体を食べちゃったことは秘密だぜ。[トラウマ]のせいで、必要以上に恩返しに一生懸命だ。

GM:では、よろしくお願いします。

三上掘よろしく!

ラウパナカ:よろしくお願いしまーす!

クラシーグ:宜しくお願いします。

GM:セッションをはじめましょう。[ブリーフィング]からです。


 果てしない大雲海を行く、生きた巨大空母、大竜母。

 その骨格岩盤の奥深くに、ラウパナカ戦闘航空隊の作戦会議室がある。
 集まったPCたちに、イダム百騎長が作戦内容の説明をしていた。
 神官装束のよく似合う男性士官だ。
 雄々しい双の感応翼が、背中で微かに揺らいでいる。
 航空隊基地は祭礼の場でもある。薄暗い神殿の中、若い有翼の司令官は竜神に祈りを捧げ、説明を始めた。

「龍王の加護のあらんことを。よく集まってくれた。今回の作戦目標は、未知の巨大飛行生物……素性が明らかでない天空礁ともいわれる、<冥竜母エレシュキガル>だ。
 こいつは、大竜母を喰らうという伝承もあり、普段は<深層域>に棲息しているはずなのだが、なぜか我が大竜母に接近しつつある。類別はいちおう[艦艇]だが、こんな大物は、通常の作戦では阻止できない。

 そこで参謀本部は、<エレシュキガル>の内部に飛竜で低空進攻し、中枢神経球をピンポイントで破壊する、という作戦を立案した。
 作戦目的は、この中枢神経球の撃破だ。

 航続力は最低でも4必要だ。エレシュキガルとの戦闘空域にいたるまでに、敵・護衛戦闘機との白兵戦を切り抜け、ステルス判定2回、さらに運動性を活かした空域進攻に成功する必要がある。何か質問はあるか?」



ラウパナカ:手をあげます。「百騎長。作戦内容はわかりましたが、わが隊の航続力に少し問題があります」

GM/百騎長:「滑腔カタパルトを使用して出撃すれば、燃料を節約できる。どうだね」

ラウパナカ:「滑腔カタパルトは身体への負担が大きく、場合によっては命に関わります。空中給油騎は出せないでしょうか?」

GM/百騎長:そう、滑腔カタパルトは、使用するとPCと飛竜にダメージが入るからね。加速度があまりに大きいので。
「わかった、考慮するよう補給部隊に要請しておこう。大竜母の状況さえよければ、空中給油騎を出すよう手配しておく」

ラウパナカ:「ありがとうございます、百騎長」

GM:ルール上、出撃時に大竜母の[資源値]が[潤沢値]以上であれば、空中給油があったものとして各飛竜に航続力+4される。今回、[潤沢値]は18以上ですね。[資源値]が18を下回らないよう、頑張ってください。

三上掘「ラウパナカ隊長、俺の飛竜じゃ、滑腔カタパルトを使用しても航続力が足りなかったぜ。ありがとよ」

GM:大竜母の[資源値]を確保するのは大事です。

ラウパナカ:「帰りの燃料に手を付けたら、飛竜に酷い負担がかかりますからね」と、三上靴望亟蕕鮓せる。

クラシーグ:「カタパルトを使わなきゃいけない時は、それも仕方がないし。いざ使うとなっても、僕は行くよ。勿論、もっといい状況で目標へ行けるのならそれが一番だけどね。ありがとう、ラウパナカ隊長」

GM:なかよしな飛行隊っぽいですね(笑)。

ラウパナカ:「もし空中給油が受けられなくても、きっと私が何とかしますから、安心してくださいね」

GM/百騎長:「付け加えておくと、近時、中層甲板街の一部羽根ナシが、ファーグニル軍と連絡をとっているという情報がある。もちろん情報工作は情報部隊の仕事だが、君たちも防諜には注意してほしい」


 今回の[大竜母設定]は7。大竜母設定は、GMがセッション開始前に設定表を使って決める。
 それによると、今回PCがいる大竜母では、

 「野生飛竜による大規模な襲撃が相次いでいる」

 らしい。
 この設定をPCがRPに活かすと、1フェイズ1回まで、判定値+1Dの修正を得られる。他の修正と重ねても使用できる。



GM/百騎長:「では作戦実施まで訓練に励んでくれ。諸君らの武運を祈る。解散!」

三上掘一部の羽根ナシがなにか企んでいるのか。

GM:何か話したいことなどあれば、ここでPCどうし会話もできますよ。

クラシーグ:「よろしくお願いします、ラウパナカ三騎長」

GM:最近、三上靴蓮旧友の羽根ナシが地下組織に接触しているという噂を耳にしていた。
 同年代の、気の良い羽根ナシだったが、亡命後は大竜母社会になじめず、奏竜士にもなれず、苦労しているようだった。今度、中層甲板街で呑みに行く約束をしているのだが……。

 今回は、日常シーン表を判定内容のみ適用し、描写は置き換えています。ワイバーンエレメントはシナリオ不要ですが、GMがやりたければ、オリジナルのイベントを用意したり、表の描写を変更してもいいのです(事前にPLの同意を得る必要はある)。

ラウパナカ:ほぉぅ……。

クラシーグ:ふむ。

三上掘「一部の羽根ナシ……。アイツが関係してないといいんだが」
 小声でつぶやいている。


●資源チェック1




GM:では、[資源チェック]に移りますー。


 ワイバーンエレメントでは、PCの住む大竜母は単独で漂流しており、満足な補給を得られない状態だ。これを表現するため、各フェイズ間に、[資源値]がどれぐらい減少したか、1Dをふって確かめる[資源チェック]がある。
 その際、イベント表によってランダムに[大竜母イベント]が発生する。
 運が悪いと、[資源チェック]だけでなく、[大竜母イベント]でも更に資源値が減少することすらある。

 資源値が[枯渇値]以下になると、飛竜が出撃時に搭載する武装の数に制限を受ける。
 さらに、資源値が0以下になった場合、PCや飛竜に直接ダメージが加えられてしまうのだ。



GM:ダイス合計:3 (1D10 = [3])

GM:大竜母の資源-3。経済情勢が安定しているようです。次に、[大竜母イベント]をチェックします。

GM:ダイス合計:15 (2D10 = [8 7])

ラウパナカ:資源が増えるやつですね。

クラシーグ:良かった良かった。

GM:(イベント表の結果を読みながら)……大竜母の乗組員が、空図にない<天空礁>を発見したようです。これにより[資源値]が2ふえて、現在24。安心できそうですね。
 イダム百騎長が呟く。「未知の天空礁が発見されるとは……大気循環が変化しているのかもしれんな。<深層域>から危険な生物が浮上してくる可能性も否定できない……」


 <深層域>(アプス)とは、激しい嵐が常に吹き荒れる低高度空域のことである。
 ここに墜落したキャラクターは、どれだけ生命値が残っていようと、直ちに失われる。ルール上、[高度]0になったキャラクターは、<深層域>に墜落したものとして処理される。
 <深層域>に墜落した飛竜は失われるが、[脱出]判定に成功すれば、奏竜士(PC)だけは死亡を免れる可能性はある。飛竜は[高度]を消費すると強力な判定ボーナスを得られるが、常に高度1以上を維持する必要があるのだ。



三上掘空中給油を発生させるには[潤沢値]以上をキープしなきゃいけないから、[資源値]は大事だよなあ。

クラシーグ:うまく維持したいところだね。

 現在の[資源値]は、24。まだ余裕はある。燃料弾薬や食料が、安定して手に入る状態だ。


●訓練フェイズ




 栄養液に満たされた巨大な卵のような半透明のポッドのなかで、飛竜たちは垂直になった状態で休息していた。
 林立する巨大ポッド群は緑色の燐光に照らされ、暗闇に飛竜の甲殻を鈍く光らせている。
 数十騎もの飛竜たちが翼を休める<竜母漿窟>は、胎内のようでもある。内壁には導管や血管が無数に走り、大竜母の重々しい鼓動が遥か深奥からかすかに響く。
 飛竜は、遥か太古より、大竜母の体内に抱かれ、共生する戦闘生物として進化してきたのだ。胎内という表現も、的外れではない。

「0300より、戦闘訓練開始。養竜小隊は飛行隊の全飛竜を、発進体制に移行せよ」

 イダム百騎長の指示が隊内無線で下される。

「発進準備! 第二種訓練形態だ、もたもたすんじゃねえぞ!」
 竜母漿窟では、大柄な十騎長コロガリ属が、無数の作業腕を展開しながら部下の養竜兵たちに指示を出していた。球形をした機体各所の塗装が剥げており、かなりの老兵のようである。
 日ごろ、竜の整備・飼育・武装の点検などを行うのは、かれら<養竜士>だ。

 神経パルスが飛竜たちの戦闘中枢を刺激する。
 センサが起動され、飛竜が目覚める。
 生体ジェットエンジンに火がともり、幾重にも重なったハイパーセラミック質のタービンブレードがゆっくりと回転数を上げていく。
 戦闘中枢が、騎体各部の自律診断シークエンスを処理し始めた。神経系、騎竜ポッド収納腔、エンジン、兵装システム、センサ群……どの飛竜にも、異常はない。

 《がんばってこいよ》

 アルシャルナ種飛竜に群がって整備していた知性化イルカの一人が、超音波言語で声をかける。反射波が伝える装甲殻の感触は、絶好調だ。鯨鬼属の養竜兵たちは、ヒレを慌ただしく動かし、待機エリアへと退避していった。

「気象班から、絶好の訓練日和との報告だよ」
「ありがとう、クラシーグ奏竜士。がんばりましょ」

 ポッドルームでは、奏竜士が次々に騎竜ポッドに乗りこんでいた。
 戦闘装束に身を包んだ奏竜士たちが、流線型の豆莢のような騎竜ポッドに滑り込むと、ポッドの装甲ハッチが閉鎖される。

「操縦系、異常なし。ポッド挿入シークエンスを始めてくれ」

 大竜母には珍しい地球人男性の奏竜士が、無精ひげを撫でながら片手で操縦桿を操作する。三上靴任△襦
 三上靴乗り込んだ騎竜ポッドは、粘液に満たされた傾斜トンネルをくぐりぬけ、竜母漿窟へと投下された。
 ポッドは、栄養液に飛び込むとほぼ同時に、壁面で待機していた巨大な蜘蛛の脚のような支持腕に掴み取られる。
 支持腕は静かにポッドを飛竜の背へと運ぶ。
 飛竜の背面装甲が展開され、騎竜ポッドを内部に呑み込む。ポッドの神経ソケットが飛竜の神経系と接続され、背面装甲が閉じる。

「ポッド接続完了。騎体チェック、異常なし。ラウパナカ3より管制巣へ、発進許可を要請する」
『管制巣よりラウパナカ3へ、発進を許可する。発進後、上昇軌道021を使用せよ』

 鳥の骨のようなスイッチ類を、三上靴操作する。
 スロットルレバーを押しこみ、エンジン推力を上げていく。
 操縦桿などの操縦装置は、物理的に飛竜の動翼に繋がれているわけではない。操縦装置への入力は飛竜の中枢脳で処理され、飛竜自身が、最適な形で各部の動翼や推進系に反映してくれる。
 奏竜士が操縦装置にごく軽く触れるだけで、騎体の方で最善の制御をしてくれるのだ。

 三上靴犯竜の感覚が同調していく。
 内壁全周スクリーンに、飛竜がレーダーの目で「視て」いる光景が映し出される。
 ポッドの外から、泡立つような音が聞こえる。発進に備え、漿窟内の栄養液が排出されているのだ。吊り下げられた飛竜の眼前にあるのは、竜母漿窟の射出ハッチだ。

「ラウパナカ3、発進する」

 射出ハッチが、硬質な花弁のように、外に向かって開く。
 外界の光が眩しく視界を埋めるが、それも一瞬のことだった。
 ナーガローカ3の赤褐色の密雲が、眼前に広がっている。

 飛竜はハッチから落下し、大空へと躍り出た。飛散した栄養液の飛沫が、陽光に輝く。

 高度が下がり、密雲が迫ってくる。

 アルシャルナのジェットノズルが、赤熱した炎を吐く。
 翼を広げ、高揚力補助翼を展開し、一気に飛竜が上昇へと転じた。
 エンジン排気に燃料を噴射し、一時的に推力を大幅に増強する、バーストブレスを使ったのだ。

 瞬時に、さっきまで三上靴燭舛いた大竜母は、遥か眼下に遠ざかった。
 三上靴蓮同じように上昇してきた飛竜の騎影を探し、難なく編隊を組む。
 今日もまた、ラウパナカ飛行隊の訓練が始まる。



GM:では訓練フェイズです。ラウパナカ飛行隊が、次々に竜母漿窟(りゅうぼしょうくつ)から射出され、大竜母の腹側から空中に躍り出る。

三上掘どの訓練にするかねえ。

GM:ROCで、順番に訓練内容をこなしていきます。成功すると飛竜が有利な[変異]を獲得したり、[竜キズナ]を入手できたりします。
 [竜キズナ]は、あらゆる判定に加算できるボーナスポイントなので、なるべく稼いだほうがいいですね。訓練以外でも、竜との交流をRPすると入手できます。
 ではラウパナカから、ROCで訓練内容を指定お願いします。こっちでふってもいいですけれども。他のPCも同じ編隊にいるので、[支援RP]が可能です。

ラウパナカ:「対艦攻撃訓練」にします。今回の作戦目標にもあっていますし、目標値が低めなので。

GM:紅に光る大雲海に、ターゲットの無人艇が航行している。レーダーでそれを捕捉した君の飛竜はそれを追っていく。索敵判定値で難易度10、つぎに対艦射撃判定で難易度10、合計2回の判定をお願いします。

 なお、1フェイズ1回まで、[戦友]や他のPCは[支援RP]が可能です。対象を助けるRP(演出)をすると、戦友相手なら+1d、それいがいなら+1、判定に有利な修正が入ります。

ラウパナカ:2d10+9 索敵判定

DiceBot : (2D10+9) → 14[10,4]+9 → 23

ラウパナカ:索敵判定に成功しました。

GM:判定に自信が無ければ、[トラウマ]、[願望]、[大竜母設定]を絡めた演出をすれば、それぞれ+1Dの修正が入りますよ。

クラシーグ:では、ラウパナカ隊長に支援RPを入れてみるよ。

GM:RPは、セリフでもいいし、行動の描写でもいいですよ。必ずしもセリフを演じる必要はありません。

ラウパナカ:「諸元入力。対空砲火の濃いところに突っ込んだりさせないから大丈夫だよ、エル」

クラシーグ:先行して標的を撃って、ラウパナカ隊長の道筋を作る感じにしよう。

ラウパナカ:ありがとうございますー。

GM:クラシーグからラウパナカへの支援RPですね、オッケーです。ラウパナカの判定+1Dです。

三上掘うまいな。

GM:クラシーグの対艦ミサイルが、護衛の無人標的艦を次々に撃破していった! 対空砲火の弾幕が薄くなる。

クラシーグ:「先行します。後にどうぞ!」
 <シーラク>の高速性を生かして、標的の迎撃予想範囲を抜けて道筋を作る。

ラウパナカ:クラシーグの攻撃で薄くなった対空攻撃の中を駆け抜け、対艦攻撃を試みます。

ラウパナカ:3d10+6 対艦射撃

DiceBot : (3D10+6) → 11[5,2,4]+6 → 17

GM:<エルイダム>が、プロペラの轟音をもって応じる。騎体腹側にあるウェポンベイが展開され、次々に対艦ミサイルが投下される。ミサイルは、空中で噴射炎を吐いて加速していく。

三上掘支援効果が覿面に表れてるな。

GM:戦友PCの支援は1Dのボーナスなので、効果大ですね。判定成功です。ラウパナカの対艦攻撃は、適確に目標を撃沈した! ということで、ラウパナカは、[竜キズナ]+1。このあとの[訓練フェイズ]で、[索敵]か[対艦射撃]に関した変異を獲得できます。

ラウパナカ:飛竜との交流を演出したので、その分の[竜キズナ]ももらえますか?

GM:おっ、そうですね。たしかに! ではさらに[竜キズナ]+1です。[竜キズナ]は、いつでもあらゆる判定に1点あたり+1Dの修正につかえるほか、飛竜の[耐久]回復にも使用できます。ワイバーンエレメントには、回復アイテムはないので大事。

ラウパナカ:やったあ。

GM:判定に余裕があれば、トラウマRPなどではなく、[竜キズナ]獲得のためにロールプレイするのも、いいですね(笑)。 では次はクラシーグさん。どの訓練がよいでしょう。

クラシーグ:では、低空侵入訓練にしよう。

GM:おお……天到戦鰭で低空侵入。

三上掘やはりデス・スター破壊作戦にはこれだよなぁ(笑)。

GM:必要です(笑)。

クラシーグ:作戦的に必要だろうしね。

ラウパナカ:今のところ、クラシーグに戦友として[支援RP]できるのは三上靴任垢諭

GM:クラシーグの天到戦鰭が、雲海ぎりぎりの低空進攻マニューバをみせる。衝撃波で雲海が割れていく。判定は、ステルス判定値10、くわえて速力10です。2回とも成功しないといけません。


 判定名のあとに数字を表記しているのは、判定と、その難易度を意味する略称である。ワイバーンエレメントのオンライン・セッションでは多用する表記法だ。


三上掘「イダム百騎長は、なぜ彼をこの飛行隊に……。まったく、なんて危なっかしい操縦だ」文句を言いつつ、低空を維持するよう適格な航路を指示して支援する。

GM:大人っぽい支援RPで、いいですね(笑)。 地形追随プログラムを起動して、適確な航路を演算してリンクで教えた、といったところでしょうね。判定+1Dです。

クラシーグ:「<シーラク>、頼むぞ。高高度に上がらないでもお前と飛べるようにならないといけないからな」

三上掘おお、かっこいい。

ラウパナカ:いいですねえ。

GM:甲殻に覆われた大顎を動かし、飛竜が応える。ロケットノズルから噴射炎が爆発的に吐き出された。

クラシーグ:「航路演算か。三上稽技里和崚戮呂△鵑覆任癲△笋襪海箸呂笋辰討れるんだな」

GM:左右にそそりたつような巨大な乱流雲<天蓋壁>を右に左によけつつ、クラシーグの竜は降下していく……。

クラシーグ:3d10+5 ステルス判定、合計29だね。

三上掘凄っ!

GM:華麗に成功です。仮想されたレーダー覆域を余裕で回避する。クラシーグは、高難易度の低空侵入を、扱いづらい天到戦鰭で見事に実行した。

三上掘「ふん……。上手くいったようだな」と、しかめっ面で言う。

GM:さっきのは[竜キズナ]のRPですよね。でしたらクラシーグも[竜キズナ]+1です。

ラウパナカ:そして速力判定ですね。

GM:ですね。

クラシーグ:では速力判定をしてみよう。

GM:さっきの[支援RP]で、+1Dです。

クラシーグ:29!

三上掘わーお!

GM:成功、全く問題ないですね!

クラシーグ:では低空侵入し、限界まで飛竜を加速させる。

GM:ロケット飛竜ならではの高速性能を発揮する天到戦鰭。クラシーグは、激しいGによって騎竜ポッドに押しつけられる! 君の飛竜が放った衝撃波で、雲海が一直線に割れていく。[竜キズナ]+1、あと、[ステルス]と[速力]関係の変異を、のちほど獲得できます。

クラシーグ:ではGに耐えつつ、天到戦鰭の練度をさらに高めたということで。うむ、いい感じ。

三上掘「……くっ」忌々しく眺めている。

GM:(笑)。

クラシーグ:[竜キズナ]が6点に上がった。

三上掘三上にとって、クラシーグは眩しすぎる。

GM:飛行隊の内部でも、いろいろな人間模様が。

三上掘俺の番か。白兵戦訓練をしようかね。

GM:表の2番ですね。白兵戦判定値、15で判定をお願いします。トラウマRPなどのせるなら、どうぞ。1フェイズに1回まで使えます。

ラウパナカ:訓練を始める前に、「飛竜がどこを突かれると痛がるか」みたいな知識を教える形で[支援RP]します。

GM:では、戦術データリンクで、ラウパナカ騎からデータが送られてくる。

三上掘ありがとう!

GM:支援オッケーです。判定値+1D。訓練用の凶暴そうなリルユラン種飛竜が、かぎ爪を広げて、三上靴離▲襯轡礇襯覆魴涎發垢襦

三上掘「今回の暴龍……おそらくヤツだ。もう負けられない、アイツのためにも……」これは[トラウマ]RPです。

GM:空中で激突する二体の飛竜!

三上掘24に+8で、達成値32だな。

GM:[トラウマ]RPにより、さらに+1Dですね。すばらしい。

クラシーグ:凄いなぁ。

GM:適確な味方からの支援、そして脳裏にうずくトラウマの記憶が、三上靴卜呂鰺燭┐拭三上靴離▲襯轡礇襯覆、尻尾のブレードで、相手飛竜をたたき伏せた。撃墜判定が審判騎より通達される。

ラウパナカ:では無線で「白兵戦はお互いに危険な距離での戦闘です、あとで負傷してないかしっかり確認してくださいね?」と声をかけます。

GM:ラウさんやさしみ……。

クラシーグ:優しい。

三上掘「そうだった。ラウパナカ、ありがとう。 そうなんだよ……」29歳のおっさんにラウさんの優しみがしみるなぁ。

GM:29歳がおっさん…ウッ(ダメージ)。

ラウパナカ:なお、ラウパナカが気にしているのは三上靴任呂覆<光芒>の方である。

クラシーグ:せつない(笑)。

三上掘せっかくラウパナカが誘導してくれたので、間に合うなら飛竜と交歓したいね。

GM:ふむふむ。

三上掘「無理させてすまないな、光芒。今回は負けられないんだ。一緒にアイツの敵を討とう」

GM:<光芒>が騎体後部のエアブレーキを振るわせて、きみに応えた気がした……! 竜キズナ+1です。ということで合計竜キズナ+2、あとで白兵戦に関した変異を獲得可能です。

三上掘さっきのセリフは独り言なんだが、クラシーグと隊長に聞かれてないよな?

ラウパナカ:無線を切っておけば大丈夫でしょう。

三上掘じゃ、無線を切っていたということで頼む。

GM:訓練フェイズはここで終了。今日も激しい訓練を終えた飛行隊が、竜母漿窟の入り口にある衝撃緩衝ゼリーに突入していく。大竜母の側面にある断崖に幾つも巣穴のような穴があいていて、そこに飛竜が次々、突入する。内部には高粘度の衝撃緩衝材・兼・栄養液のゼリーが満たされていて、飛び込んだ飛竜をやさしく受け止めるのだ。

ラウパナカ:どぼん。

クラシーグ:生ものだなぁ(笑)。

GM:ゼリーで停止した飛竜を支持アームが支えて、騎竜ポッドが背中から取り出される。といったところで訓練フェイズが終わりです。


 GMはここで十分間の休憩を入れた。ワイバーンエレメントは進行が細かくフェイズで区切られており、時間管理をしやすい。こまめに休憩を入れるとよいだろう。


●資源チェック(2回目)




GM:では再開しましょう。

三上掘おおう、プレイヤーは珈琲いれてたぜ(笑)。

GM:皆さん、今日のセッションは何時まで大丈夫ですか? 私は予定ないので、場合によっては夕食後も続行をかんがえています。

ラウパナカ:私は朝まででもー。

クラシーグ:僕も今日は問題ないですね。

三上掘俺も平気だが、途中で1時間休みを入れてもらえれば助かる。あとは夜中までつきあうぜ。

GM:了解しました。では、資源チェックいきます。

ラウパナカ:どきどき。

GM:[資源値]が3点、減りました。マシな方ですね。ほっ。

三上掘うれしみ。

GM:大竜母イベントです……水源地で伝染病が発生した!! [資源値]-2。

クラシーグ:むう。まあ2点の減少なら、まだやさしい。

GM:資源19に。このままだと潤沢値を切ってしまいそうです(笑)。

三上掘「伝染病……まさか羽根ナシの一部による破壊工作か?」 

GM:いいですね、その設定。

ラウパナカ:ま、まあ日常フェイズで判定に成功すればいいのよ。

GM/百騎長:「羽根ナシを装った工作員による破壊工作との情報もある。一部の羽根ナシが敵に通じているのかもしれんな……」と、顔をくもらせる。

三上掘「なんてことを……どうにかしなきゃな」


 現在の[資源値]は、19となった。
 今回、[潤沢値]は18なので、これ以上資源が減ると万全とはいえない状況になるが、まだ余裕はある。


●変異フェイズ




GM:変異フェイズです。飛竜と交流し、[訓練フェイズ]の結果を反映して、[変異]を獲得する場面ですね。飛竜が強くなりますよ。

ラウパナカ:エンリルの真骨頂〜。

GM:皆さん訓練に成功したので、自身の飛竜の分類に該当する「変異一覧」から、訓練で行った判定に関連する[変異]をゲットできます。[特殊変異]は、このときにしか獲得できません。

ラウパナカ:対艦射撃判定をやりましたけど、「武装+1」の変異ってとれますか?


 訓練の内容と[変異]が関連しているかどうかは、PCが説明できれば、GMは関連を認めてよいだろう。ここでは、武装を使用した以上、当然に関連性が認められるとGMは考えて、とくに説明は求めていない。


GM:良いですよ。で、変異を獲得したら、キズナ判定を15でお願いします。失敗すると竜キズナ-1です。

ラウパナカ:やったー。では<エルイダム>は兵器庫が大きくなります。これって飛竜自身が自己改造してるんでしょうか?

GM:ギリュウ類なので、工場みたいなところで、ウェポンベイを拡張したとか、そういうかんじかな。飛竜の種類によって具体的な変異の獲得描写は違いますが、そのあたりはお好みで。

ラウパナカ:じゃあコロガリの養竜兵さんにお願いして兵器庫を増設してもらってます。

GM:ナノマシン内蔵のスマートスキン装甲とかなら、ギリュウでも、自発的な形状変化も可能かなと。

ラウパナカ:改造中も近くで椅子に座って飛竜を見守っています。

GM/コロガリ養竜兵:年老いた、塗装のはげた自律戦車っぽい機械職人コロガリが、きみの飛竜を近代化改修してくれる。
「若いのに、相当使いこんでおるな、エンリルよ。その調子でがんばれや」と、コロガリ職人が励ます。

ラウパナカ:「ありがとうございます、この子もきっとがんばってくれます」にこにこ。

三上掘カーンカーンカーン。

ラウパナカ:ってカーンカーンカーンは解体だからヤメテー!(艦これ)。

GM:<エルイダム>のコンソールにあるスクリーンに「肯定する。私も努力しよう」と、テキストメッセージが表示されます。キズナ判定15をお願いします。例によって、トラウマや願望や大竜母設定のRPをのっけてもよいです。

ラウパナカ:「いつかは深層域だって飛べるようになろうね」と[願望]RPして……24で、キズナ判定に成功。

GM:コンソールのモニタに、肯定するアイコンが灯る。あ、竜と交流していたので、竜キズナ+1してよいです。

ラウパナカ:やったあ。

GM:では飛竜は暴走しませんでした。ラウパナカは、コロガリとも協力して、無事に飛竜の改修を終えた。兵器倉が大きくなりました。


 さらに、ラウパナカはエンリルの[種属特技]により、ランダムでもう1個、[変異]を獲得する。


ラウパナカ:また武装+1だと……。

GM:重武装の早期警戒機とは(笑)。 電子戦装備が増えたり、レーダーが強化されてるのかもしれませんね。

三上掘頼もしい。

GM:では、次はクラシーグ。どの変異がよいでしょう。

クラシーグ:ふむ、ではまず[特殊変異]を取ろうかな。

GM:「絶対先制」ですね。いいですよ。ではキズナ判定15を。

クラシーグ:では[願望]RPを入れよう。「<シーラク>……今回の相手は竜で、企業軍じゃないが、これも強くなる為だ。頑張ろう」

GM:では[願望]RPで+1D。

クラシーグ:「誰よりも速く、高く飛べるお前を操って、必ずこの星のファーグニルの奴らを絶滅させてやる……!」

GM:天到戦鰭の甲殻が鋭さを増した気がした。あとそのRP内容だと[竜キズナ]+1してよいです。

クラシーグ:21で判定成功。

GM:RPしてよかったですね! 深鰭類は扱いづらいから。

三上掘「……ふん」忌々しそうにクラシーグの方を眺めている。若さが眩しい(笑)。

GM:巨大な栄養液タンクの中で、飛竜は魚のような安定翼を振動させて、クラシーグに応えたのだった。

クラシーグ:[竜キズナ]が7に上がった。僕もエンリルだから、もう1個の[変異]もランダムで取っておくよ。運動性+1、ヒレが煌びやかになった。

GM:三上靴蓮△匹諒儖曚鬚箸蠅泙垢。

三上掘特殊[変異]の[超空戦機動]を取ります。

GM:栄養液タンクの中で、薬剤によって変異が誘導される。三上靴糧竜の各所にカナードや空力パーツが増えて、運動性が大幅に増加した。

ラウパナカ:おっと、三上靴魯ズナ判定が苦手でしたね。サポートしなきゃ。

三上掘<光芒>に、「お前の前の主人を屠った相手との戦いだ、頼むぞ。エンリルでなく、俺みたいな羽根ナシを載せてくれてほんとうにありがとうな」
 [トラウマ]と[大竜母設定]をぶち込んでみたが、どうだろう?

ラウパナカ:じゃあ自分の飛竜の整備の合間に後ろから歩み寄って、
「そんなこと言っちゃいけませんよ、その子にとっては三上さんこそが自慢の相棒なんですから」と声をかけます。[支援RP]です。

三上掘ラウさんのやさしみーーーー!!

ラウパナカ:「ね?」にこ。

GM:了解です。三上靴砲蓮∪鏤爐靴織┘鵐螢襪鮨べてしまったという[トラウマ]があるので、その時の戦いを思い出したということかもしれませんね。合計+3Dで判定どうぞ!

三上掘27+4=31だ。

クラシーグ:おー。

GM:すごい、がんばりましたね(笑)。

三上掘ラウさんの優しさを噛みしめてるぜ。

GM:三上靴了廚い法◆禪芒>が応えるように、装甲に覆われた顎を開いてみせる。その内に、粒子加速器の白熱光が微かに見えた。三上掘◆領汽ズナ]+1してよいです。

三上掘了解。だが[竜キズナ]はすでに上限いっぱいだ。

GM:なんと上限。すごい。飛竜との相性がいいんですね。


●資源チェック(3回目)




GM:最後の資源チェックいきましょう。……[資源値]が1点、減少しました。

クラシーグ:今回の消費は優しい。

GM:次に、大竜母イベントをチェック。(ダイスを振って、イベント表を適用する)……ある夜、飛行隊の弾薬庫が爆発事故を起こした!

ラウパナカ:羽根ナシの爆破工作か!

GM:ひびく警報、吹き上がる火柱。資源-1D。

クラシーグ:くっ……テロリストめ。

GM:で、減少した資源が……3点ですね。

ラウパナカ:損害は軽微でした。とはいえ、潤沢とはいえない状況になってしまいましたね……。

GM:まあでも穏やかなほうです。たぶん日常フェイズで挽回できるでしょう。

三上掘「あいつら……なんてことを」かつての仲間とやらに、ますます会いに行かねばならんな。

GM/百騎長:「警備部の調査によると、あの爆発事故は、破壊工作の線が濃厚らしい。捜査を進めてはいるが……」

 現在の[資源値]は、15となった。
 [潤沢値]を下回った。このままでは、出撃時、PCは空中給油を受けられず、作戦空域まで到達できない飛竜も出てくる。
 さらに、[枯渇値](今回は13)を下回ると、飛竜に搭載できる武装が半減してしまう。

 日常フェイズでの判定で良い結果を出せば、[資源値]は回復するが、果たして……。



 
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清水三毛 2017.04.09.