数学関連


初等整数論の初歩
初等整数論の初歩を解説しました。
高校の教科書の「整数の性質」には,証明がきちんと書かれていないので,それを埋めるために,高木貞治先生の「初等整数論講義」などを参考にしました。
教科書や参考書などでは満足できない数学好きの高校生向きで,最難関大学を目指す高校生のために,大学入試問題を豊富に取り入れています。
原始根の存在定理と平方剰余の相互法則
初等整数論の初歩の続編で,原始根の存在定理と平方剰余の相互法則の証明を書きました。
大学受験のレベルは超えている内容で難しいですが,数学ボーイや数学ガールにも理解できるように,丁寧に証明したつもりです。
高木貞治先生の「初等整数論講義」などを参考にしました。
フィボナッチ数列9999
問題 1
a1=1,a2=1,an+2=an+1+an  で定義されるフィボナッチ数列
    1,1,2,3,5,8,13,21,……
の項の中に,下4桁が9999となるものが存在することを示しなさい。
一般に,nを任意の自然数として,下n桁がすべて9になる項が存在します。

問題 2
第n項には,1がn個並ぶ数列
   1,11,111,1111,11111,……
を考えます。この数列の項の中に,2の倍数と5の倍数は存在しません。
しかしながら
    111は3の倍数,111111は7の倍数,11は11の倍数,111111は13の倍数,1111111111111111は17の倍数,……
などとなります。
一般に,2,5以外の素数について,この数列の項の中に,その素数で割り切れるものが存在します。
2027年に出題するなら,次のような問題になります。
「この数列の項の中に2027で割り切れるものが存在することを示せ。」

さらに一般化すると,次のような問題になります。
「自然数mが2でも5でも割り切れなければ,この数列の項の中に,mで割り切れるものが存在することを示せ。」

なお,次の数は素数です。1が並ぶ素数は他にも存在するようです。
 11
 1111111111111111111
 11111111111111111111111
 11111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111
 11111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111

問題1は解答を付けましたが,問題2は解答を付けません。問題1の解答を参考にして考えてみて下さい。問題2には,問題1と同様に鳩ノ巣原理を用いる証明 の他に,初等整数論のオイラーの定理を用いる証明があります。
13枚の金貨
金貨が13枚あって,その中に1枚だけ重さが違う偽金貨がある。偽金貨は,本物より重いか軽いか分からない。その偽金貨を,天秤 を3回だけ使って見つけよ。ただし,偽金貨が本物より重いか軽いかを見分けなくて良いものとする。
上記の問題を一般化して,(3n-1)/2枚のとき,天秤をn回だけ使って見つける証明ができたので掲載します。


素数が無限に存在することの証明
補題 a,bを互いに素な整数とすると,ab と a+b は互いに素である。
証明 ab と a+b が互いに素でないと仮定すると,ある素数pが存在して,整数k,lを用いて ab=kp,a+b=lp と表される。
このとき,ab=kpより,a,bの少なくとも一方はpの倍数である。
aがpの倍数であるとすると,b=lp-aよりbがpの倍数となり,aとbが互いに素であることに矛盾する。
bがpの倍数であるとしても,同様に矛盾する。
ゆえに,ab と a+b は互いに素である。

証明の基本形(以下のすべての証明は,この証明の変形です。)

自然数Nは,「N=K×L,KとLは互いに素な自然数」と分解できる。
このとき,K×L と K+L は互いに素であるから,N´=N×(K+L) の異なる素因数の個数は,Nの異なる素因数の個数より多い。
この操作は,無限に続けることができるから,素数は無限に存在する。

ユークリッドの証明(証明の基本形と同じになるように,少し変形 しました。)
p1, p2,……,pn が異なる素数の組であるとき,p1×p2×……×pn と P=p1×p2×……×pn+1 は互いに素である。
よって,Pの素因数の1つをpn+1とすると,p1, p2,……,pn, pn+1も異なる素数の組である。
この操作は,無限に続けることができるから,素数は無限に存在する。

エラトステネスの篩による証明
nを自然数として,集合Enと自然数pnを次のように帰納的に定義する。
   Ⅰ  2以上の自然数の集合をE1とし,p1=2とする。
   Ⅱ Enの要素からpnの倍数を除いてできる集合をEn+1と する。
        このとき,p1×p2×……×pn+1 はp1, p2,……,pn の倍数でないから,En+1の 要素であり,En+1は空集合でない。
        En+1の要素の最小値をpn+1と する。
Ⅱの操作は無限に続けることができ,pnは素数だから,素数は無限に存在する。

フェルマー数による証明の変形
数列 {an} は,a1を1より大きい整数として,次の漸化式により定義される数列とする。
    an+1=a1a2a3……an+1
任意の自然数nについて,an+1と ak (k=1,2,3,……,n) は互いに素であるから, {an} の各項は,どの2つも互いに素である。
よって,任意に多くの異なる素因数を作れるので,素数は無限に存在する。

サイダックの証明
nは1より大きい整数とする。n と n+1 は連続する整数であるから,これらは互いに素である。
したがって,N2=n(n+1) は少なくとも2つの異なる素因数を持つ。
同様に,n(n+1) と n(n+1)+1 は連続する整数であるから,互いに素である。
よって,N3=n(n+1){n(n+1)+1} は少なくとも3つの異なる素因数を持つ。
この操作は,無限に続けることができる。

漸化式 an+1=a1a2a3……an+1 において Nn=a1a2a3……an とおくと, an+1=Nn+1,Nn+1=Nnan +1 であるから Nn+1=Nn(Nn+1) が成り立つ。
よって,フェルマー数による証明とサイダックの証明は同等であると言える。補足証明

スティルチェスの証明の背理法を使わない変形
p1, p2,……, pn を異なる素数の組であるとき,p1×p2×……×pn と P=p1×p2×……×pm+pm+1×……×p は互いに素である。
よって,Pの素因数の1つをpn+1とすると,p1,p2,……,pn,pn +1も異なる素数の組である。
この操作は,無限に続けることができるから,素数は無限に存在する。

オイラーのφ関数を用いた証明
p1, p2,……,pn が異なる素数の組であるとき,φ(p1×p2×……×pn )=(p1-1)×(p2-1)×……×(pn -1)>1 であるから,素数は無限に存在する。

どの証明も,本質的にはユークリッドの『原論』にある証明の変形で,別証明ではないですね。
変形として,「a1,a2,……,an のどの2つも互いに素ならば,a1a2……an と a2a3……an+a1a3……an+a1a2a4……an+…… +a1a2a3……an-1は互いに素である」 ことを用いた証明もあります。

ユークリッドの証明を発展させた次の命題は,ショルンの証明を変形して得られたものです。
命題 小さい方からk番目の素数をpkと する。n≧2のとき,pn+2 から p1p2……pn×(pn+2) +1 までの整数のなかに,pn+2 個以上の素数が存在する。
証明 T=p1p2……pn とし,aj=T×j+1 (1≦j≦pn+2) を考える。
    (ai,ak)=(T×i+1,T×k+1)=(T×i+1-T× k-1,T×k+1)=(T×(i-k),T×k+1)
i>k とする。このとき,1≦i-k≦pn+1 (pn+1は偶数)であるから,i-k の素因数はすべて T の素因数である。
よって,T×(i-k)  の素因数はすべて T×k の素因数であるから,T×(i-k)  と T×k+1 は互いに素である。
したがって,ai と ak は互いに素である。
さらに,aj=T×j+1 (1≦j≦pn+2) と pj (1≦j≦n) はどの2つの組も互いに素であるから,aj の素因数はすべて pn より大きい。
ゆえに,pn+2 から T×(pn+1)+1=p1p2……pn×(pn+2) +1 までの整数のなかに,pn+2 個以上の素数が存在する。

これより,素数は無限に存在する。( a1=p1p2……pn+1 だけを考えれば,ユークリッドの証明と一致する。)

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