訳註
[1]
ギリシア神話に出てくるダイダロスが、巻貝に糸を通すにはどうすればよいか、という問題に、蟻に糸を巻きつけて通した逸話のことだと思われます。
[2]
名高い言語論的転回のテーゼです。これは、ウィーン学団がフレーゲおよびウィトゲンシュタインから全面的に受け継いだ思想です。(最初に「言語論的転回」という語を使ったのは、ウィーン学団のメンバー G.ベルクマンと言われています。) 20世紀の分析哲学は、このテーゼを受け入れることによって成立し、やがて方法論という枠を超えてそれ自体が目的であるかのように言語理論の精緻化が推し進められます。
ただし、哲学の方法論としての言語分析というのは、シュリックが言うほど新奇な発想ではありません。むしろ、中世のスコラ哲学や古くは古代ギリシアにも存在した、どちらかというと伝統的なものです。その辺りの誇大宣伝は差し引いて読むべきでしょう。
[3]
検証主義については、
「意味と検証」を参照。
[4]
具体的に人名を挙げるなら、代表格はイギリスの J.S.ミルです。ミルは『論理学体系』(1843)において、それまでの演繹・帰納という二つの方法論を区別する通常の見方に対し、帰納だけによって全ての推論を説明することを試みました。さらに彼の目的は、同様の方法を心理学や社会学などの社会科学全般にまで敷衍することにありました。
ミルの経験主義に対しては、シュリックの思想的先人の一人フレーゲも『算術の基礎』で鋭い批判を行っています。
第7節から
第10節を参照。