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DVD(Digital Versatile Disc

 DVDフォーマット

 DVDディスクの構造を考えるとき、ディスク全体を「物理レイヤ」と「論理レイヤ」という2つのレイヤ(層)に分けられる。物理レイヤとは、ディスクの物理構造のこと。つまり、DVD−R/RW、DVD+R/+RW、DVD−RAM、以上5種類の規格をいう。
 一方、論理レイヤとは、ディスクにデータを書き込んでいく際の決まりごとと考えておけばいい。別の言葉で言うと「論理フォーマット」、あるいはファイル管理構造を意味する「ファイルシステム」である。例えばHDDやFDには「FAT32」や「NTFS」といったファイルシステムがある。それと同様に、DVDでは基本的に「UDF」(Universal Disk Format)というファイルシステムを用いることになっている。記録型DVDを単なる大容量リムーバブルディスクとして使う際、UDF形式でフォーマットされたディスクにファイルを書き込んでいくというイメージになる(DVD−RAMではFAT32フォーマットも使用可能)。
 ただしDVDに映像を記録する場合、この論理レイヤにかぶさる形で、さらに別のレイヤが存在する。つまりUDF形式でフォーマットされたディスクの上に、さらに一定の決まりごとに基づき映像データを書き込んでいく形になっている。この決まりごとが、「DVDビデオフォーマット」「DVDビデオレコーディングフォーマット」「DVD+RWビデオレコーディングフォーマット」である。この最上位のレイヤのことを「アプリケーションレイヤ」と呼び、このレベルでの論理構造(決まりごと)のことを「アプリケーションフォーマット」と言う。
 市販のDVDビデオディスクの中身を、エクスフローラで開いて内容を表示させると「VIDEO_TS」と「AUDlO_TS」というディレクトリがあり、その下に「VTS_01_0.VOB」といったファイルが収められている。この構造はどのようなDVDビデオディスクでも同じである (AUDlO_TSディレクトリはない場合もある)。つまり、このようなツリー構造でファイルが記銀されているDVDディスクのことを、DVDビデオディスクと呼んでいる。
 結局、DVDビデオディスクは次の3レイヤから成り立っていることになる。

@物理レイヤ
 →ディスクの物理的構造
A論理レイヤ
 →ディスクの論理的構造(ファイルシステム)
Bアプリケーションレイヤ
 →ファイル配置の構造

 このようなレイヤ構造を取るメリットは、下位レイヤの違いを上位レイヤで吸収できる点だ。似たようなレイヤ構造を取るものとして、インターネットにおけるデ一タ通信が挙げられる。物理レイヤ(メディアタイプともいう)が100BASE-TXであろうがRS-232Cによるシリアル伝送であろうが、論理レイヤとしてIPパケッ卜を通す手順さえ確立されていれば、その上にアプリケーションレイヤを構築してHTTPやSMTPなどの形式でデータをやりとりできる。
 DVDビデオフォーマットとDVD+RWビデオレコーディングフォーマットとではファイル配置が微妙に異なるが、プレーヤ側ではどちらも問題なく読み取れるようになっている。下図は2タイトルのビデオデータが収められている状態を示す。上段で、DVDビデオフォーマットの各ブロックの下にあるのは、ディスクに記録される際のファイル名である。
「VTS_Ol_#.VOB」〜「VTS_03_#.VOB」の#の部分には、映像ファイルの分割数によって1以上の整数が入る。

 DVDビデオ(DVD-Video)
 家庭用DVDプレーヤを始め、パソコンのDVDドライブやゲーム専用機などで再生できる。映像を書き込んだ後、メディアをクローズする必要があるため追記、編集ができない
 DVDビデオはMPEG2方式で圧縮されている。しかしMPEG2は古くからある技術でデジタルビデオカメラやブルーレイのフルHD映像を扱うには向いていない。
 DVD-Video形式のディスクが挿入されているドライブをエクスプローラなどで開くと、最初に「VIDEO_TS」と「AUDlO_TS」という2つのフォルダがあるのがわかる。2つのフォルダの中身を開くと「VIDEO_TS」には多くのファイルが存在しているのにも関わらず、「AUDlO_TS」にはファイルが存在しない。これはDVD-ROMファミリのファイルフォーマットが、DVD-ROM(PC用途)、DVD-Video、DVD-Audioに渡って共通で、民生用機器とコンピュータシステムで共通に取り扱うことを可能にしているため、形式的にフォルダが残っているからである。もしこれがDVD-Audio形式のディスクなら、「AUDlO_TS」のフォルダには多くのファイルが収録されているが、「VlDEO_TS」は空のフォルダという逆の構造となる「VIDEO_TS」の中身を開いてみると、3種類のファイルで構成されているのがわかる。各拡張子の役割は以下のとおりである。また、ファイル名は大文字でなければならない

.IFO:インフォメーションファイルで、動画や音声データの情報が記録されている。
.BUP:.lFOファイルのバックアップファイルで、.lFOとともに必ず存在しなければならない。
.VOB:再生される動画ファイルや音声ファイル、字幕などが1つにまとめられたファイル。
 これらのファイルのうち、リッピンクのターゲットになるのが、「.VOB」ファイルである。.VOBファイルは、通常2種類存在する。「VlDEO_TS.VOB」と「VTS_XX_*.VOB」(「XX」は01〜99までの数字、「*」は0〜9までの数字)である。
 VIDEO_TS.VOBは、タイトル選択メニューなどのコンテンツが記録されているファイルで、存在しなくとも動作するファイルである。映画DVDを再生すると、コピーライトやルートメニューが表示されるが、これらのデータが記録されている。
 一方、VTS_XX_*.VOBは、最大1048574KB(PCで見ると0.99GB)で構成されているデータファイルで、これらのファイルをDVDプレーヤにドラッグ&ドロップすると、映像や音声が再生される。通常2時間の映画では、VTS_XX_*.VOBは7つ前後存在し、DVD−Videoの約9割を占めている。つまり、最大8.54GBのDVD-VIDEOを、4.7GBの記録型DVDにすべて記録するためには、このVTS_XX_*.VOBファイルを再編集しなければならない。
 やり方はいろいろあるが、Web上で出回っているフリーのツールを利用するのがいちばん手っ取り早い。「DVD2AVI」(http://arbor.ee.ntu.edu.tw/~jackei/dvd2avi/)と「TMPEGEnc」(http://www.tmpgenc.net/)を使って、VOBファイルをMPEG2ファイルに変換し、それをDVDオーサリングソフトでビットレートを下げてから記鋳型DVDメディアに焼いてしまうという方法もある。ただし、このようにしてしまうと、オリジナルに存在したルートメニューやチャプターはすべて消えてしまう。
DVDビデオフォーマット
VMG VTS(#1) VTS(#2)
VMGI VMGM_VOBS VMGI
(Buckup)
VTSI#1 VTSM_VOBS#1 VTSTT_VOBS#1 VTSI#1
(Buckup)
VTSI#2 VTSM_VOBS#2 VTSTT_VOBS#2 VTSI#2
(Buckup)
VIDEO_TS.INF VIDEO_TS.VOB VIDEO_TS.BUP VTS_01_0.IFO VTS_01_0.VOB VTS_01_#.VOB VTS_01_0.BUP VTS_02_0.IFO VTS_02_0.VOB VTS_02_#.VOB VTS_02_0.BUP

VIDEO_TS
    ┣ VIDEO_TS.IFO  ディスク全体のコントロール情報
    ┣ VIDEO_TS.VOB  タイトルメニューのデータ
    ┣ VIDEO_TS.BUP  VIDEO_TS.IFOのバックアップファイル
    ┣ VTS_01_0.IFO  タイトル1のコントロール情報
    ┣ VTS_01_0.VOB  タイトル1のメニューデータ
    ┣ VTS_01_1.VOB  タイトル1本体のデータ
    ┣ VTS_01_2.VOB  タイトル1本体のデータ
    ┣ VTS_01_3.VOB  タイトル1本体のデータ
    ┣ ・ ※1GB毎に区切られている
    ┣ ・  
    ┗ VTS_01_0.BUP VTS_01_0.IFOのバックアップファイル
AUDIO_TS    
    ┗ --------- 空フォルダ ※無い場合もある

 VRフォーマット
  DVDビデオ形式では追記に対応できないがVRフォーマットであれば追記、編集が可能。TVキャプチャボードで直接DVDに番組を録画したり、オリジナル映像を追記、編集ができる。また記録済み映像をトリミングしたり、削除したりといった再編集にも対応している。ビデオ形式のようなクローズ(ファイナライズ)処理が必要ないので何度でも追記できる。またリアルタイムレコーディングをサポートしているためテレビチューナーカードやキャプチャーカードからの映像をディスクに直接記録することも可能である。
DVD+RWビデオレコーディングフォーマット
VMG VTS(#1)〜VTS(#2)
VMG1 VMGM_VOBS VI-101
(Buckup)
VTSI#1 VTSI#2 VTSM_VOBS#1 VTSTT_VOBS#1 VTSM_VOBS#2 VTSTT_VOBS#2 VTSI#1
(Buckup)
VTSI#2
(Buckup)

注意

  1. DVD-Rディスクに記録する場合は、DVDビデオ形式で記録され、ファイナライズという作業が必要となり、VRフォーマットでの記録はできない。DVD-RAMの動画ファイルを動画編集ソフトなどを用い、再度DVD作成を行う。
  2. ハードディスクにDVD-RAMデータをそのままコピーし、DVD-Rを作成するという方法では作成は行えない。 

 音声形式

 PCMPulse Code Modulation
 DVDに採用される音声形式のなかで唯一の無圧縮のフォーマット。無圧縮なので音楽番組などの高音質保存に向いている。ただ音質がよい分ファイルサイズがかさむのが難点。
 MP3
 テレビ録画ではもっとも一般的な形式。 ファイルサイズはコンパクトだが、ほかの形式にくらべると音質は劣る。多くのDVDプレイヤーはサポートしているが、古い製品などでは未対応の場合がある。
 AC3
 DVDビデオでもっともー般的な形式で、別名「ドルビーデジタルサウンド」と呼ばれている圧縮形式。ファイルサイズと音質のバランスがよく、サポートするオーサリングソフトも徐々に増えてきている。
 DD1、DD2
 ドルビラボラトリーの民生用デジタル録音方式。DD1はDolby Digital 192Kbps、DD2は384Kbps。

 ビットレート

ビットレートの目安 画質モード
8Mbps 高画質
4Mbps 標準
2Mbps 節約

 コピー防止

 デジタル放送で使用されるコピープロテクト技術(CCI Copy Control Information) には、一度だけコピーが可能な「コピーワンス」のほか、録画が不可能な「ネバーコピー」、何度でもコピーできる「コピーフリー」などが存在する。ネバーコピーやコピーワンスの番組は暗号化して放送するため、「B−CASカード」というICカードが入ったチューナーを搭載した製品でないと録画どころか視聴もできないようになっている。
 デジタル放送の録画には保護規格「CPRMContent Protection for Recordable Media)」に対応した機器が必要になる。CPRMは、コンテンツ(番組)に含まれるCCI信号をチェックして、それがコピーワンスであるか、ネバーコピーであるかなどを判断し、録画を行う。コピーワンスのコンテンツの場合は、一度録画してしまうと別のメディアにコピーできないしくみになっている。
 HDD&DVDレコーダーのHDDに録画したコピーワンスコンテンツをDVDメディアに転送する場合、HDD内のデータはCPRMのルールに従って消去される。もちろん、この場合のDVDメディアはCPRMに対応していなければならない。
 CPRMは、録画する機器と使用するメディアにコピープロテクトを併用することで強固なシステムを作り上げている。パソコンの場合、モデルや使用するソフトによりさまざまなちがいがあるため、このようなシステムを構築するのは難しい。
 パソコンで録画したテレビ番組のDVDビデオを作成したり、DivXやMPEG4でコンパクトに保存するなどできなくなるためデジタルコンテンツを家中どこでも楽しめる「デジタルホーム」や次世代ホームネットワーク「eHOME」というコンセプトは根底から崩れてしまう。

 用語

 チャプター
 DVDを再生する際にスキップできるように、DVD作成時にムービー上の任意のポイントに信号を加え、そのポイントで頭出しができる部分。DVD-Videoのシーン毎のスキップの為に用いられる。
 オーサリング
 動画や音声、静止画をまとめ、DVD-VideoやVideoCDとして一般プレイヤーで再生できるように各規格に準拠した形に変換すること。
 オーサリング作業で変換したデータが「VIDEO_TS」フォルダーにあたり、このデータさえ用意できればディスクへの書き込みはライティングソフトでデータ書きしても良い。