平成23年税制改正 所得税関係

下記は、国税庁「平成23年分 所得税の改正のあらまし」を基に主な改正事項を抜粋し記述しております。

 この「改正のあらまし」は、次の目次となります。
├1 平成23年分所得税の主な改正事項
├2 平成22年度の改正事項のうち、平成23年分の所得税から適用される主なもの
├3 平成23年度の改正事項のうち、平成24年分の所得税から適用される主なもの
├4 その他の改正事項
└5 東日本大震災の被災者等の対する税制上の措置

1 平成23年分所得税の主な改正事項

1 年金所得者の申告手続の簡素化

(1) その年において公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、その年分の所得税について確定申告書を提出することを要しないこととされました。

(注1) この場合であっても、例えば、医療費控除による所得税の還付を受けるための申告書を提出することができます。

(注2) 公的年金等以外の所得金額が20万円以下で所得税の確定申告書の提出を要しない場合であっても住民税の申告が必要です。

(適用関係) この改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。

(2) 公的年金等に係る源泉徴収税額の計算における控除対象に寡婦(寡夫)控除が加えられました。

(適用関係)この改正は、平成25年1月1日以後に支払うべき公的年金等について適用されます。

2 申告義務のある者の還付申告書の提出期間

所得税の確定申告書の提出期間(その年の翌年2月16日から3月15日まで)について、申告義務のある者の還付申告書の提出期間は、その年の翌年1月1日から3月15日までとされました。

(適用関係)この改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。

3 認定NPO法人等に対する寄附金に係る特別控除の創設

(1) 認定NPO法人寄附金特別控除の創設
認定NPO法人が行う特定非営利活動に係る事業に関連する寄附金については、その年中に支出したその寄附金の額の合計額(その年分の総所得金額等の40%相当額が限度。)が2,000円を超える場合には、寄附金控除(所得控除)との選択により、その超える金額の40%相当額(所得税額の25%相当額が限度。)をその年分の所得税の額から控除することとされました。

その年分の寄附金につき、この税額控除の適用を受けようとするときは、寄附金の明細書並びに寄附金を受領した旨、寄附金が認定NPO法人の主たる目的である業務に関連するものである旨、寄附金の額及び受領年月日を証する書類を確定申告書に添付しなければなりません。

(適用関係)この改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。

認定NPO法人寄附金特別控除の解説はこちらから

(2) 公益社団法人等寄附金特別控除の創設
特定寄附金のうち、次のイからニまでに掲げる法人(その運営組織及び事業活動が適正であること並びに市民から支援を受けていることにつき一定の要件を満たすものに限ります。)に対するもの(以下「税額控除対象寄附金」といいます。)については、その年中に支出した税額控除対象寄附金の額の合計額(その年分の総所得金額等の40%相当額が限度。)が2,000円を超える場合には、寄附金控除(所得控除)との選択により、その超える金額の40%相当額(所得税額の25%相当額が限度。)をその年分の所得税の額から控除することとされました(措法41の18の3)。 イ 公益社団法人及び公益財団法人 ロ 学校法人等 ハ 社会福祉法人 ニ 更生保護法人 (注1) 税額控除限度額(所得税額の25%相当額)、控除対象寄附金額(総所得金額等の40%相当額)及び控除適用下限額(2,000円)は、上記(1)(注1)に準じた方法で判定します。 (注2) その年分の寄附金につき、この税額控除の適用を受けようとするときは、寄附金の明 細書及び次の書類を確定申告書に添付しなければなりません。 ① 寄附金を受領した旨、寄附金がその法人の主たる目的である業務に関連する寄附金である旨、寄附金の額及び受領年月日を証する書類 ② 所轄庁のその法人が税額控除対象法人であることを証する書類の写し

(適用関係)この改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。

公益社団法人等寄附金特別控除の解説はこちらから

4 税務手続の電子化に伴う改正

電子証明書等特別控除について、税額控除額(改正前5,000円)が、平成23年分は4,000円、平成24年分は3,000円に引き下げられた上、その適用期限が2年延長されました。

6 金融証券税制の改正

(1) 上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)の適用期限が平成25年12月31日まで2年延長されました。

(2) 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税について、非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に次のものが追加された上、施行日が2年延長され平成26年1月1日から適用することとされました。

(3) 次の対象とならない大口株主等が支払を受ける配当等の要件について、その配当等の支払を受ける者が保有する株式等の発行済株式等の総数等に占める割合が100分の3(改正前100分の5)以上に引き下げられました。

イ 上場株式等に係る配当所得の課税の特例、ロ 上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率等の特例、ハ 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得の非課税

(適用関係)上記イ及びロの特例については、平成23年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用され、上記ハの特例については、平成26年1月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用されます。

7 住宅税制

(1) 住宅借入金等特別控除及び特定増改築等住宅借入金等特別控除)について、次の改正が行われました。

イ 住宅の新築、取得又は増改築等の対価の額又は費用の額に関し補助金等(国又は地方公共団体から交付される補助金又は給付金その他これらに準ずるものをいいます。以下8において同じです。)の交付を受ける場合には、その住宅の取得等の対価の額又は費用の額からその補助金等の額を控除することとされました。

特定増改築等住宅借入金等特別控除について、特定断熱改修工事等又は断熱改修工事等に関し補助金等の交付を受ける場合には、その補助金等の金額を控除した残額が30万円以上の場合にこの控除の適用を適用することができることとされました。

ロ 住宅の取得等に際し住宅取得等資金の贈与を受け、住宅取得等資金の贈与税の非課税)又は相続時精算課税選択の特例を適用した場合の住宅借入金等特別控除の計算における家屋等の取得対価の額は、その特例の適用を受けた部分の金額を控除した残額とすることが法令に規定されました。

ハ 住宅借入金等特別控除における増改築等の対象又は特定増改築等住宅借入金等特別控除における断熱改修工事等の対象となる国土交通大臣が財務大臣と協議して定める一定のエネルギーの使用の合理化に資する修繕又は模様替えを加える措置(いわゆる省エネ要件の緩和措置)が平成24年12月31日まで延長されました

(適用関係)これらの改正は、居住者が平成23年6月30日以後に住宅の取得等に係る契約を締結する場合について適用されます。

平成23年分住宅借入金等特別控除等の様式はこちらから

(2) 住宅耐震改修特別控除について、適用対象となる地域の要件が廃止されるとともに、住宅耐震改修の費用に関し補助金等の交付を受ける場合には、その住宅耐震改修に要した費用の額からその補助金等の額を控除することとされました。

(適用関係)この改正は、平成23年6月30日以後に住宅耐震改修に係る契約を締結する場合について適用されます)。

平成23年分住宅耐震改修特別控除の様式はこちらから

(3) 住宅特定改修特別税額控除について、次の改正が行われた上、その適用期限が平成24年12月31日まで2年延長されました。

イ 高齢者等居住改修工事等に係る税額控除額の上限額(改正前20万円)が、平成23年分は20万円、平成24年分は15万円に引き下げられました。

ロ 一般断熱改修工事等の費用に関し補助金等の交付を受ける場合には、その一般断熱改修工事等に要した費用の額からその補助金等の額を控除することとされました。

(適用関係)上記ロの改正は、平成23年6月30日以後に改修工事に係る契約を締結する場合について適用されます。

平成23年分住宅特定改修特別税額控除の様式はこちらから

9 事業所得等関係 項目のみの掲載

(1) エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除の創設

(2) 雇用者の数が増加した場合の特別税額控除の創設

(3) 特定設備等の特別償却についての改正

(4) 特定地域における工業用機械等の特別償却についての改正

(5) 医療用機器等の特別償却についての改正

(6) 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却(措法13)についての改正

(7) 次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の建物等の割増償却制度の創設

(8) 高齢者向け優良賃貸住宅の割増償却についての改正

(9) 特定再開発建築物等の割増償却(措法14の2)についての改正

(10) 倉庫用建物等の割増償却についての改正

ほか適用期限が延長されている特別償却の制度があります。

10 山林所得関係

山林所得に係る森林計画特別控除の特例について、その適用期限が1年延長され、平成24年までとされました。

11 譲渡所得関係

(1) 特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例についての改正

(2) 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、次の改正が行われた上、その適用期限が3年延長され平成26年12月31日までとされました。

イ 既成市街地等の内から外への買換えについて、買換資産のうち農業及び林業以外の事業の用に供されるものが都市計画法の市街化区域のうち同法の規定により区域区分を定めるものとされている区域内にあるものに限定されました。

ロ 都市開発区域等及び誘致区域の外から内への買換えについて、対象区域から半島振興対策実施地域及び離島振興対策実施地域が除外されたほか、買換資産の都市開発区域内における対象区域が市街化区域等に限定されるとともに、都市開発区域のうち既成市街地等内にある譲渡資産が一定の事務所又は事業所として使用されている建物又はその敷地の用に供されている土地等に限定されました。

ハ 日本船舶から日本船舶の買換えについて、環境への負荷の低減に係る要件が見直されたほか、買い換えた船舶の船齢が譲渡した船舶の船齢を下回っていることが要件に追加されるとともに、買換資産となる漁船が一定の要件に該当するものに限定されました。

ニ 次の買換えが適用対象から除外されました。① 大気汚染規制区域の内から外へのばい煙発生施設の買換え、② 騒音規制地域の内から外への騒音発生施設の買換え、③ 水質汚濁規制水域の特定施設等及び公共用水域の湖沼特定施設等の買換え、④ 市街化区域又は既成市街地等の内から外への林業用土地等の買換え、⑤ 誘致区域の外から内への買換えのうち流通業務市街地の整備に関する法律の流通業務地区に係る措置、⑥ 農村地域工業等導入促進法の農村地域及び誘致区域の外から同法の実施計画に定められた工業等導入地区内への買換え、⑦ 市街地区域又は既成市街地等の地域内における建物の高層化に伴う買換え、⑧ 人口集中地区の区域内における木造貸家住宅から中高層貸家住宅への買換え、H 防災再開発促進地区内における認定建替計画による買換え、I 内航日本船舶から内航日本船舶以外の減価償却資産への買換え

ホ 短期所有(所有期間5年以下)土地等の譲渡に対する特例の不適用措置の適用停止期限が、2年延長され平成25年12月31日までとされました。

(適用関係)上記イ、ハ及びニ⑦の改正は、平成23年6月30日以後に取得をする資産について適用されます)。 上記ロ及びニ④、⑤の改正は、平成23年6月30日以後に行う資産の譲渡について適用されます。 上記ホの改正は、平成23年分以後の所得税について適用されます。

事業用資産の買換特例についての解説はこちらから

(3) 既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例について、特定民間再開発事業の施行区域内における中高層耐火建築物への買換えの対象となる譲渡資産から、個人の事業の用に供しているものが除外されました。

(適用関係)この改正は、平成23年6月30日以後に行う譲渡資産の譲渡について適用されます。

2 平成22年度の改正事項のうち、平成23年分の所得税から適用される主なもの

1 扶養控除等の改正

(1) 年少扶養親族(扶養親族のうち、年齢16歳未満の者をいいます。)に対する扶養控除が廃止されました。これに伴い、扶養控除の対象となる控除対象扶養親族は、年齢16歳以上の扶養親族とされました。

(2) 年齢16歳以上19歳未満の者に対する扶養控除については、上乗せ部分(25万円)が廃止され、扶養控除の額が38万円とされました。これに伴い、特定扶養親族の範囲が、扶養親族のうち年齢19歳以上23歳未満の扶養親族とされました。

(3) 扶養控除の改正に伴い、居住者の扶養親族又は控除対象配偶者が同居の特別障害者である場合において、扶養控除又は配偶者控除の額に35 万円を加算する措置に代えて、同居特別障害者に対する障害者控除の額が75万円(改正前40万円)に引き上げられました。

平成23年分からの扶養控除の控除額

参考 平成23年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書はこちらから

3 平成23年度の改正事項のうち、平成24年分の所得税から適用される主なもの

2 先物取引に係る雑所得等の課税の特例等の改正

先物取引に係る雑所得等の課税の特例及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用対象に、次に掲げる取引に係る雑所得等が加えられました。

イ 商品先物取引法第2条第14項第1号から第5号までに掲げる取引で同法に規定する店頭商品デリバティブ取引の差金等決済、ロ 金融商品取引法第2条第22項第1号から第4号までに掲げる取引で同法に規定する店頭デリバティブ取引の差金等決済、ハ 金融商品取引所に上場されていない金融商品取引法第2条第1項第19号に掲げる有価証券に表示される権利の行使若しくは放棄又はその有価証券の譲渡

(適用関係)この改正は、先物取引に係る差金等決済で平成24年1月1日以後に行われるものについて適用されます。

4 その他の改正事項

2 金地金等の譲渡の対価に係る支払調書

居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者に対し国内において、金地金又は白金地金の譲渡の対価の支払をする者(金地金等の売買を業として行う者に限ります。)は、その支払金額等を記載した支払調書を、その支払の確定した日の属する月の翌月末日までに、その支払をする者の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされました。 (注) 同一人に対するその金地金等の譲渡の対価の支払金額が200万円以下である場合には、その金地金等の譲渡の対価に係る支払調書の提出は要しません。

(適用関係)この改正は、平成24年1月1日以後に行われる金地金等の譲渡について適用されます。

5 東日本大震災の被災者等に対する税制上の措置

5 震災関連寄附に係る寄附金控除及び税額控除の特例

平成23年3月11日から平成25年12月31日までの間に支出した震災関連寄附金(※)について、次の措置が講じられました。

※ 「震災関連寄付金」とは、国又は大震災により著しい被害が発生した地方公共団体に対する寄附金及び大震災に関連する財務大臣が指定寄附金として指定した寄附金をいいます。

(1) 震災関連寄附金に対する寄附金控除の控除対象限度額が、総所得金額等の80%相当額とされました。

(2) 認定特定非営利活動法人及び共同募金会連合会に対して支出した震災関連寄附金のうち被災者の支援活動に必要な資金に充てられるものについて、その寄附金の額が2,000円を超える場合には、寄附金控除(所得控除)との選択により、その超える金額の40%相当額(所得税額の25%相当額が限度。)をその年分の所得税額から控除することとされました。

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最終更新 平成24年4月

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