平成21年度措置法改正 法人税関係(国税庁改正税法資料より)

「経済危機対策」による税制上の措置(「租税特別措置法の一部を改正する法律」(平成21年法律第61号))

これまでの経済対策に加え、新たに「経済危機対策」(平成21年4月10日)が取りまとめられ、雇用対策や金融対策をはじめ、幅広い措置を講じられることとなりました。この中で、政策手段を総動員する観点から、税制措置も講じることとされ、特に需要不足に対処する観点から、
 ◯住宅取得等のための贈与税の軽減、◯中小企業の交際費課税の軽減、◯研究開発税制の拡充が決定され、

本対策に基づき、4月27日に「租税特別措置法の一部を改正する法律案」が国会に提出、6月19日に可決・成立し、26日に施行されています。
 本稿は、法人税関係の改正についての解説です。

中小企業の交際費等の損金不算入制度の改正

【改正前の制度】平成18年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度において支出する交際費等の額は、次の場合を除き、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないというものです。

※ 1人当たり5,000円以下の一定の飲食等に要する費用については、本制度における支出する交際費等の額から除かれます。
 ※ 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人については、支出する交際費等の額の年400万円以下の部分の10%に相当する金額と年400万円を超える部分の金額との合計額が損金不算入となります。

【改正後】上記400万円の「定額控除限度額」が600万円に引き上げられることになりました。

【適用関係】平成21年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用されます。

改正後法人税申告書別表十五 の様式はこちらから

試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例の創設

今回の改正は、期限の定めがあるとは言え、法人税の特別税額控除額の上限等の引上げを行うことにより、企業の研究開発投資を下支えし、経済の成長力強化図ろうとするものです。

【改正前の制度】改正前の試験研究費の税額控除制度の概要は、下記の制度が併存する形態となっています。

①試験研究費の総額に係る税額控除制度

青色申告書を提出する法人で、損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その事業年度の所得に対する法人税額から、試験研究費の額に試験研究費割合に応じた税額控除割合(8〜10%)を乗じて計算した金額を控除することができる制度。※1

特別控除税額は、当期の法人税額の20%相当額を限度とし、控除限度超過額については、1年間の繰越しが可能。繰越税額控除制度は、③の制度。

②特別試験研究費の額に係る税額控除制度

青色申告書を提出する法人で、損金の額に算入される特別試験研究費の額がある場合に、その事業年度の所得に対する法人税額から、その事業年度の特別試験研究費の額に税額控除割合を乗じて計算した金額を控除することができる制度。※1
 また、この税額控除割合は、12%から上記①の税額控除割合を控除した割合とされ、これにより、特別試験研究費については、上記①の制度と合わせて12%相当額の税額控除をすることができます。

特別控除税額は、上記①の試験研究費の総額に係る税額控除制度と合わせて法人税額の20%相当額を限度とし、控除限度超過額については、1年間の繰越しが可能。繰越税額控除制度は、③の制度。

③繰越税額控除限度超過額に係る税額控除制度

青色申告書を提出する法人の各事業年度において、繰越税額控除限度超過額を有する場合には、当該各事業年度の試験研究費の額が前事業年度の試験研究費の額を超えていることを要件として、当該事業年度の法人税の額から当該繰越税額控除限度超過額に相当する金額を控除できる制度。

特別控除税額は、法人税額の20%相当額が限度とされていますが、その事業年度において、上記①又は②の制度の適用がある場合には、法人税額の20%相当額からこれらの制度により法人税の額から控除される金額を控除した金額が限度となります。

④中小企業技術基盤強化税制

青色申告書を提出する中小企業者等で、損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、上記①及び②の各税額控除の適用に代えて、その事業年度の法人税の額から試験研究費の額の12%相当額を控除することができる制度。※1

税額控除限度額は、当期の法人税額の20%相当額とし、控除限度超過額については、1年間の繰越しが可能。繰越税額控除制度、⑤の制度。

⑤繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度

青色申告書を提出する法人の各事業年度において、繰越中小企業者等税額控除限度超過額を有する場合には、当該各事業年度の試験研究費の額が前事業年度の試験研究費の額を超えていることを要件として、当該事業年度の法人税の額から当該繰越中小企業者等税額控除限度超過額に相当する金額を控除できるという制度。

特別控除税額は、法人税額の20%相当額が限度となりますが、その事業年度において、上記④の制度の適用がある場合には、法人税額の20%相当額から④の制度により法人税の額から控除される金額を控除した金額が限度となります。

⑥試験研究費の増加額等に係る税額控除制度

青色申告書を提出する法人が、平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度において、次の①又は②に該当する場合に、それぞれ(1)又は(2)の算式により計算した金額を税額控除することができる制度。
 ただし、法人が(1)と(2)のいずれにも該当する場合には、法人の選択によりいずれか1の制度のみ適用することになり、双方を同時に適用することはできません。

税額控除される金額は、当期の法人税額の10%相当額を限度とされます。
 (1)当期の試験研究費の額が、比較試験研究費の額を超え、かつ、基準試験研究費の額を超える場合

(1) 試験研究費の税額控除制度

(2)当期の試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合

(2) 試験研究費の税額控除制度 超過税額控除
割合とは⇒
試験研究費の税額控除制度

⑦連結納税制度における試験研究費の総額に係る税額控除制度等

連結親法人又はその連結子法人の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に上記①から⑥までとほぼ同様の制度となっています。

※1 合併による解散以外の解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度は、この制度の適用なし。

【改正後の制度】

①平成21年度及び平成22年度に開始した事業年度の特例

上記①から⑤までの制度・・・・・平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に開始する各事業年度における税額控除の限度額が、当期の法人税額の20%から30%に引き上げられています。

②平成23年度及び平成24年度に開始した事業年度の特例

上記③及び⑤の制度・・・・・平成23年4月1日から平成25年3月31日までの間に開始する各事業年度における繰越税額控除について、次の特例が設けられました。
 イ 平成23年4月1日から平成24年3月31日までの間に開始する事業年度において平成21年度に生じた繰越税額控除限度超過額がある場合には、これを含めて繰越控除できることとされました。
 また、平成21年度又は平成22年度に生じた繰越税額控除限度超過額がある場合に、繰越控除の適用を受けることができる限度額は、当期の法人税額の30%となります。
 ロ 平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間に開始する事業年度において平成21年度又は平成22年度に生じた繰越税額控除限度超過額がある場合には、これを含めて繰越控除できることとされました。この場合に、繰越控除の適用を受けることができる限度額は、当期の法人税額の30%となります。

改正後法人税申告書別表六(七) の様式はこちらから

法人税の額から控除される特別控除額の特例の創設

【改正前の制度】法人が一の事業年度において、租税特別措置法における特別税額控除制度のうち複数の規定の適用を受けようとする場合において、この適用に関する調整規定が存在しないため、控除税額の合計額が当期の法人税額を超えることがあった場合に、その超える部分の金額は切り捨てるべきか、繰越控除すべきか等の処理について、規定上、明らかではありませんでした。

【改正後の制度】今改正で、その適用を受けようとする規定による税額控除可能額の合計額が当期の法人税額を超える場合には、その超える部分の金額は、当期の法人税額から控除せずに、各税額控除制度の繰越税額控除限度超過額として翌期以後に繰越控除することが明らかにされました。

これは、税額控除の適用を受けることができる法人税額に対する限度額が拡充されることに伴い、整備されたものです。

【適用関係】平成21年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用されます。

適用を受けるには、明細書の添付等が必要となります。

創設された法人税申告書別表六(二十四) の様式はこちらから

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最終更新 平成22年4月

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