Mus!c For The Masses
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Ocean Colour Scene / Bayside Jenny

 今さら言うまでもないがOcean Colour Sceneの作り出す音は取り立てて新しくはない。音楽のカテゴリーの壁が取り払われ、カテゴリーを超え、様々な要素を自分の中に抱え込んでいくことによって、オーディエンスの興味を惹きつけるアプローチが主流の現在においては、新しいものとの出会いの興奮度は一桁小さいかもしれない。もちろん、彼ら自身の音の中での新しいアプローチはあるが、それは外界と比較したときには笑ってしまうほどシンプルでスタンダードだ。ところが、それでも良いものはいい。いや、逆にシンプルなだけに、メロディやアレンジ、ライブでの良さがストレートに飛び込んでくる場合がある。そして、それは従来当然のことであったのだが。

 98年のIMPホールのライブよりも、狭いベイサイドジェニーはこの日のステージを進めるにはピッタリの場所だった。ライトが落ちて、メンバーが登場すると会場に拍手が起こる。この拍手は例えば、Primal ScreamやThe Chemical Brothersとは違うように感じた。何故かものすごく暖かくて優しい拍手に感じた。1曲目からノリのいい曲で始まる。昨年リリースされたアルバムの曲はこれまでよりもメロディが強力ではあるが、ミディアムでメロウな曲が多い。そこでライブの要所要所では必ず1枚目、3枚目の曲が活躍する。少しだれてきたと思うと絶妙のタイミングで「ダンスしたいかい ?」と尋ねてアップテンポな曲を始めるなど、ステージングには余裕が感じられた。何よりも、ビールを飲み続けているにも関わらずボーカルは安定し、ときには繊細に、ときにはダイナミックに響く。バックの楽器群もタイトでグルーヴを感じさせるもので、会場も手伝ってか、これまでに聞いたライブの中でもずば抜けた音の良さだった。

 そして、何よりも良かったのは、素直に楽しいと感じられたことだった。そして、メンバーがステージの上で僕たちに負けずに笑顔でいたことだった。確かに、僕たちはあの時間を共有できた。メンバーの誕生日だと言うことで歌った"Happy Birthday"なんて普通なら恥ずかしすぎるけど、この日だけは違った。心が温かくなるような音楽があったからだろうか。あの場にいた人は誰もが彼らの音を楽しんだはずだ。先端の音に触れる楽しみとは違ったハートウォーミングな時間を過ごすことができた。

 彼らのライブ、音楽には過去の遺物などではない、多様化したメインストリームの中でも十分に輝ける原石があちこちにちりばめられていた。新しい音楽は期待感というマージンを味方にできる。ところが、スタンダードは正攻法しかない。テクノ、ビッグビート、サイケデリックなどありとあらゆるジャンルの音楽を飲み込んだ、何でもありの今、Ocean Colour Sceneの音楽は笑ってしまうほど無防備だ。ただ、それは彼らにとっての最高の攻撃であり、主張なんだろう。歌とメロディを堪能できたライブだった。