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The Shins (official page / MySpace)

Chutes Too Narrow (2003)                                               The Shins - Chutes Too Narrow

★★★★
Sub PopレーベルのThe Shinsのセカンドアルバムは3分前後のカラリとしたポップミュージックを基本にして、巧い具合にアクセルをベタ踏みしたり緩めたりしながら常に変化を演出。そして、いわゆるギターポップに特徴的な小気味良いスピード感や疾走感だけではなく、こちらの身構えた壁をぶち壊して進入してくるのに必要十分な馬力も兼ね備えています。パワーとポップさの調整ツマミを大きく右に捻ったBelle & Sebastianのような"Mine's Not A High Horse"や"So Says I"の洗いざらしのシャツのような肌触りは心地良く、アルバム全体でも作り込み過ぎないザックリ感が曲の本来の姿をストレートに主張しています。反面、オッサン臭さを抑えたI Am Klootのような"Saint Simon"では、しみったれたメロディとアレンジとの相性も良く、適度なメランコリーをサラリと演出するという技も発揮。正直、このアルバムの曲よりキャッチーなメロディも、カッコ良いアレンジも少し探せば見つかるだろうけど、「もう少し○○が□□でも良いんだけどな」的な痒いところに少し手が届かないマゾヒスティックなバランス感覚で鳴らされている音は個人的ストライクゾーン。複雑な展開を見せる訳でもないのに、こちらの期待をいなしてカウンターを連打するような意外性の音は飄々としていますが、その切れ味は抜群。重さがないので一発でKOこそされませんが、ジワジワと効いてきます。(2004/1/4)

Wincing The Night Away (2007)                                                      

★★★★
Frank ZappaやBeckなどのエンジニアを務めたJoe Chiccarelliプロデューサによるオレゴン出身の5ピースの約3年ぶりの3rdアルバム。大雑把に言えばドリーミーな印象の強いギターポップですが、薄いノイズを重ねたり、音同士のスペースの取り方に工夫がされていたりと複雑な音処理が施されていて、ステレオタイプなギターポップとは一味違った内容に仕上がっています。フワフワした雰囲気を持ったイントロで始まり、最終的に骨太の世界を構築する"Sleeping Lessons"で幕を開けると、軽いフットワークで動き回るベースと途中で挟まれるバンジョーの音が耳に付く"Australia"と出だしはサウンドプロダクションが印象的。その後も、打ち込みっぽいリズムにストリングスを重ねた"Sea Legs"や抽象度を高めた"Black Wave"など、飄々とした表情で「メロディ上等主義」へカウンターを連発。ギターポップが持つミニマムな属性のみを継承し、M0/F0層の現在進行形の疾走感やM1/F1層以上の過去完了形のノスタルジーというメソッドをオーバーライドしたサウンドは、基本的には客観的関係を維持するための社会距離を維持。その分、一撃必殺の即効性には欠ける一方で、プロクセミクスに変化が生じた途端、元来の人懐っこいメロディが一気に身体を浸食。全力疾走タイプの音楽にはない味わいは好みが分かれそうですが、じっくり腰を落ち着けて聴くにはピッタリの一枚です。(2007/2/24)