侍石 久慈市

朝から丸ごとどっぷりはまった生まれ故郷の久慈。どの漁港も猫の額のようで小ぢんまりとして見る何物もないが、歌い文句の“海水プール”は如何にと見ていた。荒波の太平洋を背に、岸壁で囲まれた漁港をプールと呼ぶには、外海の大きなうねりの荒波がもろに入り、波は荒いし、これでは泳げたもんじゃないなと思い、車をUターンさせるために港の一番下の岸壁まで行って引き返そうとしていたら、初めて見たのだが、車椅子に乗った障害者が普通の人にも負けないようなコッコいい“太公望”を決めて釣りをしている姿が目に入った。今まで獏も含めて弱っちい障害者しか目にした事しかなかったので、感心してその雄姿をカメラに収めた。

久慈市役所の車が一台いたので聞いて見るとプールは上に有ると言う。土産話にと見に行った。車で入れる所まで行って車から降りると、水こそ張っていなかったが、外枠が岩で長方形に形作られ、砂利を敷き詰めた岩風呂、露天風呂のようなプールが有った。海水は太いバキュームパイプで二ケ所ほど見えたモーターで汲み上げる仕掛けのようだった。周囲の岩には今が盛りと浜百合等から名も知らない海の花たちが、さも散りばめられでもしているかのように咲き競っていて、プールを一周して写真に収めた。どこでも険しい断崖でなければ出会えなく、今となっては写真を撮る事も叶わなかったのに、此処では一歩一歩気をつけて、杖をついて歩き進むだけの、僅かな努力で、もう撮れないだろうと諦めていた浜の妖精の花たちを撮ることが出来た。

近寄れない岩場以外の花はひと通り撮り終えたので、釣り客にも聞いたら此処で日の出も見えると言うし、漁場の上の北侍浜キャンプ場へ今日は流石に疲れを感じたので、早々に切り上げて、もう運転はしないぞと決めて、草々と陣取った。運転をしないと決めると頭の中から、聞こえるもの、小鳥の囀りに、蝉の音に、鹿のいななきに、見るものすべてがすっきり爽やかに見えるから不思議だった。北侍浜のキャンプ場で、ガスで何も見えないながら、漁港の荒波を眼下に、日の出へ向けて東向きに車を止め、先ずは酒をと用意ドン。夕方、入って来た船が水揚げなのかロープで固定し、今日の作業は一切終わりなのかモーターを回して引き上げる様子だった。食事をしていると猫が二匹入れ替わりに寄ってきた。キャンプの人にいつもおねだりをしている様子の猫だった。アリンコがこぼしたカップヌードルをせっせと運んでいた。酒を飲みながら字が読めなくなるまで「宮本武蔵」を読んだ。

陸中海岸 自然遊歩道 案内図陸中海岸北限の道

このコースは、陸中海岸の北限に位置し、海食棚の美しい岩場が見える。岩場には「侍石」といわれる浸食岩がある。自然の岩場を利用した海水プールのある北侍浜キャンプ場。また断崖や絶景地の横沼展望台からの海岸線や外洋の景観は最高である。アカマツの自然林を通り、所々には小園地があり、また違った海岸美を魅せてくれる飽きさせないみちである。延長4,8km、約2時間の自然歩道である。

おすすめコース

北侍浜キャンプ場→侍石→北侍浜キャンプ場→横沼展望台→北限閣→北侍浜キャンプ場   
所要時間 壱時間40分  観察ポイント 海水プール、侍石

堪能コース

田子の木→侍石→北侍浜キャンプ場→北限閣→横沼展望台→白前漁港所要時間 2時間  観察ポイント 侍石、海水プール、横沼展望台、白前漁港

北リアスの浜歩きを重ねて、身体障害者としてはこの辺が限界だと思った。所々に遊歩道の入口が有る。その昔は健脚を誇った黄金の足も、今となってはその遊歩道が歩けなく、遊歩道を歩けると、遊歩道から遊歩道へとリアスの海の景観が見えるらしいが、車ではいちいち通行不可能になっては国道へ戻って、又入り江や漁港へと下りられる道路を辿って行ったり来たりの連続、ひとつも見逃すまいとその都度浜へ下って、写真を撮って来たのだったが・・・。

ようやく字が読めるぐらいに夜が明るんだ。昨夜は夢うつつに雨の音を聞いて、その後、上空には煌々と月が出、北斗七星までが見えていた。しかし、上空だけが青空で水平線の彼方は以前ガスっていた。さ、装具をつけて行動開始だ。一艘の小船が出漁、北の海を目指して出て行った。昨日よりは穏やかな海。車のエンジンをつけてフロントガラスの曇りを取り除く。以前、水平線の視界はボンヤリと閉ざされたまま。朝からの鹿の嘶きに小鳥のけたたましい囀りが何とも心地良い。一艘の小船が外海で何やら朝の漁をしているのが見える。良く見ると所々に3嫂も見える。今日は朝日は拝めないまま夜が明けるのかも? 朝食完了 それから浜へ下りるとボンヤリとした夜明けながら、薄明かりの浜に小船で網の補修なのか、小猫と一緒の作業風景、水揚げ光景などの昨日の淡白な日の出より、気の利いた写真が撮れたように思えた。

ふと見れば 車椅子乗り カッコ決め 海釣りしてる 障害者