第33話

タイトル

放映日:87年11月29日

放映時

大包囲網 熱き友情の脱出

監督:三ッ村鐵治

シナリオ

ネロス軍団復活・ 危うし!トップガンダー (仮題)

脚本:高久 進

あらすじシナリオ準備稿シリーズ解析
 
エピソードガイド
トップガンダーの夢
  ゴーストバンクに潜入し、ゴッドネロス暗殺に成功するトップガンダー。
  メタルダーに喜んでもらおうと大声を上げながら荒地を駆けていく。
「ネロスを倒した! これでオレは自由だ! 世の中は平和になる」
  その声に応えてメタルダーが姿を現すが、トップガンダーが近づくとメタルダーは背を向けて去っていく。
「待て、メタルダー! どこへ行く!? 戻って来い! メタルダー!!」
荒地
  ここで目を覚ますトップガンダー。夢だったのだ。
「メタルダー……。お前が去っていく夢がこんなに寂しいとはな」
  なんだかメタルダーにゾッコンなガンちゃんですが、ふと足元を見るとコオロギの死骸が目に入る。
  それをつまみあげてみる。
「死か。命あるものは、いつか必ず死んでいく」
  コオロギのお墓を作る。
「オレはヒットマンとして戦い、勝つことだけを生きがいと信じてきた。だが、もう疲れた」

  秋も深まりセンチな気分になってます。
  しかし、実は台本では、ただセンチになっているわけではないのです。帝国から離れたトップガンダーのエネルギーは尽きかけており、体の調子も良くないことになっています。
「エネルギーが切れかけている……補給しなければ、俺の命は永くはない」
「間もなく冬が来る。それまでこの体永えることができるだろうか?」
  実作では完全に省かれていますが、枯渇寸前のエネルギーゲージを具体的に見せたりして、全体を通じて死にフラグを立てつつ話は進みます。

  その時、爆音が聞こえてきた。
  崖を越えた向こうを見てみると、そこではネロス軍団員が演習を行っていた。
  メタルダーに倒されたはずのチューボ、ガラドー、ジャムネ、ジャースも復活している。
  そのことをメタルダーに報せるため その場を離れようとすると、上空のバーべリィに発見される。
  逃げるトップガンダーと追う軍団員たち。
  トップガンダーは、復活軍団員たちを次々と蹴散らしていく(弱ッ!)。だが、腕を伸ばしたバンコーラに銃をつかまれ(第5話の意趣返しになってる!)狙いを定められず、弾を撃ちつくし、チューボ(チューボは2代目もなかなかやる)やブライディの波状攻撃に防戦一方になる。
  そんな中、草むらの中からトップガンダーを狙う銃口があった。クロスランダーだ。その銃弾がついにトップガンダーの頭を撃ち抜く。カプセルが破壊され、その中の顔が露出する。
  捕らえられるトップガンダー。
  警報を聞いて駆けつけていたスプリンガーは、このことを流星に報せるべく走り去った。
ゴーストバンク
「とうとう裏切り者を捕らえたか!」
  ゴッドネロスの高笑いが鳴り響く。
「トップガンダー、最後に何か言うことはないか」

「オレは、ネロス帝国を裏切ったことを誇りに思っている。殺しの美学、それがいったいなんだっていうんだ。
「オレは、メタルダーという最高の友を得た。メタルダーはオレにとってただひとりの友だ。もうこの世に思い残すことなにもはない。処刑するなら早くしろ!」

  殺しの美学にこだわった殺し屋はもうそこにはいない。メタルダーという親友を得て、殺しの美学で心を武装してまでも殺し続けることから離れることができたというのは、それはそれで良いことなんですが、誇り高い一匹狼としてのスタンスを投げ捨てたその言動は、ちょっと残念な気もします。

「よし。オレがお前を地獄に送ってやる!」
  トップガンダーの言葉にいきり立つクロスランダーを、ネロスは制止する。
「ならん! トップガンダーはひとりではあの世に行かせん。地獄にひとりで堕ちては、奴も寂しかろう」
「では、トップガンダーをおとりにしてメタルダーをおびき寄せ、二人一緒に抹殺を」
  クールギンがネロスの狙いを確認する。
「その通りだ。処刑の前祝いだ。高らかにファンファーレを!」
  勝ち誇るネロスを前に、トップガンダーは、我が身がメタルダーを倒すのに利用されることにがっくりとうなだれる。
「……すまない、メタルダー」

 ■声優ネタ 
  このシーン、トップガンダーとクールギンの掛け合いも少しあって、第5,6話同様、森篤夫はトップガンダー専任で、クールギンは飯田道郎がしてるみたい?
  あと、チューボ依田英助、ガラドー西尾徳、ジャムネ渡部猛なんだけど、ジャースが分かりません。

街中
「トップガンダーがネロスの軍団員に捕まった!?」
  流星と八荒は、スプリンガーから話を聞いた。

  ビルから出てきたおばさんが、犬と二人の若者が話をしているのを見て、ギョッと後ずさりするのが面白い。実際は、ビルから出たらTVの撮影をやっていて驚いた、というところだと思いますが。
  流星がシルバーカークスを離れて八荒と街中にいるのは、台本では舞の写真展を見に来てることになっています。そういえば、今回、舞の出番がないんですね。台本ではここだけ舞が出てます。

  顔色を変えて行こうとする流星を八荒は押し止める。 
「待て、止めときな」
「トップガンダーは僕の親友だ。見殺しにはできない」
「ネロスはお前のその気持ちを読んでいる。罠を張って待ち構えているぜ」
「分かっている。でも、もし僕がトップガンダーのように危険な目に遭っても、君は助けに来てくれないのか」
と、このヘタレ、……もとい普通の人間に言っても仕方ないと思うのですが、
「それとこれとは話が別だ」
と、八荒も普通に返します。こっちはこっちで友情が深まってます。
「八荒……。僕は行くよ」(<『心配してくれるのはうれしいけれど、行かないわけにはいかないじゃないか』という感じの この言い回し、絶妙で好きです)
  ファミリア擬装車で去っていく流星を見送りながら、「まったく、お人好しなんだから」と八荒もバイクでいずこかへ去っていく。

  この“お人好し”が誰を指すのかと言えば、この時点ではもちろん流星のことを指していると思うのが自然ですが、その実、「流星が行くんだったらしょうがないな」と、トップガンダー救出をわざわざ手伝おうとする自分自身のことを言ってるのだという意見もあります。言われてみると、そういうニュアンスも多分にありますよね。

洞窟
「これが一匹狼のヒットマンとして敵から恐れられたトップガンダーのなれの果てか」
  鎖に縛られたトップガンダーをクロスランダーがあざ笑う。
  不用意に近づいて、自由になってる足で蹴られる。
  頭にきたクロスランダーはトップガンダーに向けて銃を乱射する。
「帝王のご命令です。メタルダーをおびき寄せるまでは奴を生かしておかなければ」
ゴブリットとデデモス(以下、ゴブデデ)が慌てて止めに入る。

  この二人、とことん仲悪いよな(^_^;
  やったら余計に酷いことをされるのが分かっていながらやらないではいられないトップガンダーの気質もすごいし、鎖に縛られた相手に足蹴にされるクロスランダーのヘタレ具合も、この人、トップガンダーの前ではとことんダメな人だな、って感じでふたりの関係がよく出てます。

荒地の崖の上から
  流星がスプリンガーに聞いた場所に来てみると、向こうの広っぱにトップガンダーが木枠から鎖でぶら下げられていて、ゴブデデに痛めつけられているのが見えた。
  八荒もやって来る。
「どんな感じだ? またあいつらか。頭に来るな、もう(<実感がこもってて楽しい)。助けに行こうぜ」
  出て行こうとする八荒を流星は押し止める。
  流星と八荒のいる崖と原っぱの間の草むらの中には、大勢の軍団員が身を潜めていた。

  「そんなことだろうと思ってな」と、リュックの中を流星に見せる八荒。どこで調達してきたのか、火薬玉がいっぱい入っている。現場で使ってる火薬そのものなんでしょうね(^_^;
  火薬玉をばらまいて爆発させる八荒。隠れていた軍団員がそちらに気を取られ、白煙にまかれて狼狽している間に流星は瞬転し、ゴブデデを蹴散らし、トップガンダーを解放する。しかし、自由になったトップガンダーは、あろうことか、隠してあった狙撃銃をメタルダーに向けた。
「なぜだ、トップガンダー!?」
  メタルダーが驚いていると、クロスランダーがズタボロのトップガンダーを連れて現れる。
「メタルダー、罠にはまったな! そいつは偽者だ!
「お前とトップガンダーは誰の手にも渡さずオレのこの手で始末したかった。お前たちを葬れば、オレの名はネロス帝国で不滅のものとなる。豪将をとび越え、いっきに凱聖だ!」
  最高にハイな気分で高笑いを上げるクロスランダー。
  いよいよメタルダーに二挺拳銃を向け、最高の喜びをもって引き金を引く指先に力を込めたとき、クロスランダーは、後からトップガンダーに膝カックンをやられる。トップガンダーの足癖の悪さは天下一品だ。
  背後で起こった騒動に、瞬間 偽トップガンダーは気を取られてしまう。その銃口を、メタルダーは蹴り上げる。
  クロスランダーから銃を奪い取ったトップガンダーが、偽トップガンダーを撃ち抜く。
  それでも、クロスランダーはメタルダーに照準を合わせる。トップガンダーは我が身を盾にして、クロスランダーの銃弾からメタルダーを守る。しかも、爆煙で煙る中、さらに撃ち返す!  けなげなトップガンダーに燃える!  つか、萌える(^_^;

  目の前で親友を撃たれたメタルダーは、怒りの込もったレーザーアームをクロスランダーに叩き込むと、すぐさま身をひるがえし、崩れ落ちるトップガンダーを抱きとめ、クロスランダーの爆風から守ってやるのだった。

  このクロスランダーの死に際の無視されっぷりがいいですよね。メタルダーには斬り捨てられただけで闘士として向き合ってもらえなかったし、ストーリー的にもトップガンダーがどうなるかが主眼なわけだし。様々な戦場を渡ってきてすれた狂犬がただいなくなっただけという寂寞感があって、彼にふさわしい死に様だったなという気がします。得意の絶頂にあるところを叩き落されるのとかね。

  サイドファントムにトップガンダーを乗せると、こちらに気付いた軍団員が押し寄せる中、メタルダーは突っ切っていく。
  トップガンダー救出に成功したのを見届けると、八荒もまた、いそいそと戦場を後にした。

  第31話「夢ちゃん」に続き、流星の男友達として活躍する八荒第2弾でした。流星との連携もばっちりでしたし。爆発に吹き飛ばされたりと、大きなアクションもありましたし。

シルバーカークスへと急ぐ道すがら
「命あるものは、いつか滅ぶ。人生には、必ず別れの時がある。オレはお前と知り合えて幸せだった。もう思い残すことは、なにもない」
「何を言う!  ぼくたちは友達だ。死ぬも生きるも一緒なんだ。
「ぼくは、絶対に君を見捨てはしない」
「……ありがとう、メタルダー」

  はたしてトップガンダーは助かるのか!?  なんか、けっこう感動的なセリフを言うし、ズタボロなんで、このまま死んでしまうんじゃないかとハラハラしてしまいます。

修理を受けるトップガンダー
N「トップガンダーの破壊された回路の修復は困難を極めた。夜を徹して行われた」

  そして、数日後……

  朝日が昇ってくる。
  山の上には、それを拝みながら、友情を確かめ合うトップガンダーと流星の姿があった。

N「剣流星は、最愛の友トップガンダーの無事を喜び、またゴッドネロスとの決戦が近い
  ことをひしひしと感じていた」

  正直、やったーーー!!というよりは、あれだけ死にそうで感動的な遺言もしておきながら死なかったのかよ、という気分が大きかったです。夢ちゃんの時も、部品1個残っていただけで蘇ってしまうのはどうよ、って気もしました。まぁ、殺した方が泣けるっていうのもなんですが。

  ただ、次の第34話から、これまで舞の話の中だけに登場していた海外特派員の舞のパパがゴッドネロスに迫る資料を携えて帰国し、最終決戦へとなだれ込んでいきます。そこで共に戦うメタルダーとトップガンダーの姿を見ると、生かしておいて良かったな、という気はします。

  殺しの美学にこだわる殺し屋は死んだ。長いモラトリアムを経て、ここにようやく、正義のヒーローの助っ人が生まれた。という感じでしょうか。トップガンダーは第16話で復帰して、すぐにメタルダー寄りになったものの、一部の軍団員を除き(^_^;  特にネロスと全面対決するという感じでもなかったので。


シナリオ比較
  実は、準備稿ではトップガンダーはこの回で死んでしまうのです。しかも、メタルダーの手によって介錯されます。
  そこで、ここでは準備稿の紹介をします。
  全体の話の流れは決定稿と変わりません。ラスト、クロスランダーを斬り捨てたメタルダーが、崩れ落ちるトップガンダーを抱きかかえるところから、抜粋ぎみに引用します。
37│岩場
「……生あるものは、いつかは滅ぶ ……人生には、必ず別れの時がある……
それがこの世の宿命だ」(トップガンダー)
  悲痛に眺めるメタルダーと八荒。
「……俺は、お前と知り合えて幸せだった  ……もう思い残すことはない」
  苦痛の呻きを上げたトップガンダー。
「……頼む。俺のトドメを……」
  メタルダーと八荒、ハッとなる。
  更に苦しんだトップガンダー。
「……メタルダー! 俺の最後の願いだ!」
  屹っと頷いたメタルダー。
「さらばだ、トップガンダー!」
  倒れているトップガンダーにそっと手を合わせたメタルダー、心を鬼に
してレーザーアームで切り下げる。
  爆発するトップガンダーの体。
38│湖のほとり
  八荒と共にトップガンダーの四散した遺体を拾って埋葬したメタルダー
が、流木をけずってつくった十字架を墓に突き刺す。
  『わが最愛の友、ここに眠る』
N「超人機メタルダーは、その時ゴッドネロスとの対決が間近いことをひしひ
  しと感じ、友の死を無駄にしないことを心に誓った」

  トップガンダーのお墓のシーンは、TV37話ラストシーンに重なります。
  このメタルダーによるトップガンダー殺しが、TV最終話の八荒による流星殺しのヒントとなったのだろうか?  と思ったりもします。


シリーズ考察

■もし、トップガンダーが33話で死んでいたら……? 
  トップガンダーが修理されて復活するくだりは、どうしても唐突感がありますが、もともとここで死んでしまう流れだったんですね。
  どういう事情でトップガンダーを生かすことにしたのかは分かりませんが、もし33話で死んでいれば、その後の展開はどうなっていたでしょう。

  もし33話死んでいれば、37話で友の名を呼ぶばかりでかっこいいセリフのひとつも遺せなかった無様な死に様をトップガンダーは見せないで済んだとも言えます。33話で死んでいた方がかっこよく締まったとは、思います。
  ただ、個人的には、33話でかっこよく散るよりは、クロスランダー同様、トップガンダーもこれまで多くの人々を殺めてきた者として、ああいう何も言い残せずただ死んでいく寂寞とした感じがふさわしいような気はします。

  もし33話で最愛の友を失った状態で34話からの最終決戦編に突入していれば、メタルダーはひとりで戦わなければならず、初期の孤独な路線に戻って、悲壮感が高まったかもしれません。
  ただ、個人的には、最終決戦になってようやくメタルダーとトップガンダーとが一緒に戦う場面が出てきて、バディもの的な雰囲気が出てきたので、死なないで良かったなと思います。
  それまでのメタルダーとトップガンダーって共闘している印象が薄いんですよね。トップガンダーは蔭ながらサポートに徹している感じで。だいたい「メタルダー」ってタイマン主義なところがあって、メタルダー対メイン軍団員、トップガンダーは他の軍団員を蹴散らすというふうに分担している感があって、ふたり一緒にひとりの敵と戦うことがないので。
  最終決戦になってようやく多勢対ふたりの戦闘が描かれます。
  第36話で、負傷したメタルダーがシルバーカークスで修理を受けている間、トップガンダーがひとりで防御するのとか。第37話のゴーストバンク突入で、勝手知ったるトップガンダーが先導するのがいい感じですし、なんといっても、機甲軍団員大虐殺をメタルダーひとりで担当しなくて済んだわけですし。

  ただ、33話で死んでいれば、36話でトップガンダーがバルスキーに銃を向けることはなかったのにな、とは思いますね。

  バルスキー「トップガンダー、あくまでもネロス帝国にたてつくつもりか」
  トップガンダー「メタルダーはオレの友達だ」

  ……って、そこまでメタルダーべったりかよ! ていう気がするんで。2度までも自分の命を救ってくれたとはいえ、メタルダーにベタベタです。
  それに、ゴチャックがトップガンダーの銃弾であっけなくやられることもなかったかもしれませんし。でも、トップガンダーがいなかったらいなかったで、レーザーアームの一閃で瞬殺されていそうですが。ゲバローズみたいに。

2008年 3月30日初版

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