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プロトン導電性セラミック研究グループ

プロトン導電性セラミックの応用

近年、地球の環境問題がクローズアップされ、石油をはじめとする化石燃料の使用が見直されはじめ、ますます排ガス規制が厳しくなってきている。こうした時代背景の中、石油に代わる代替エネルギーとして太陽光発電や原子力発電など、様々な方法により電気エネルギーを得ることが試みられている。 その一方で、核融合技術や燃料電池など、次世代技術による代替エネルギーの模索も行なわれている。

 ABO3で表されるペロブスカイト型の酸化物であるSrCeO3やSrZrO3のようなBサイトを3価の希土類で置換した酸化物は、数百度の高温で高いプロトン導電性を示すことが、岩原らにより見出された。この酸化物は酸素欠損を有し,そこに水素または水などの水素原子を含む物質を接触させることでプロトン( H+ )を取り込むことができる。このプロトン( H+ ) はペロブスカイト構造内の酸素原子とOH 結合を作って酸化物中に存在し,この酸素近傍の準安定な位置間をホッピング機構により移動すると考えられている。
この酸化物は高温でも安定であり、特に400〜700℃において良好なプロトン導電性を示す。 これらの酸化物は、ある温度領域では、ほぼ100%のプロトン導電性を示すことが知られており、上記で述べた核融合装置におけるガスセンサーデバイスや燃料電池の電解質膜への利用が考えられている。

プロトン導電性セラミックへのイオンドープ

プロトン導電性酸化物であるBaCeO3やSrZrO3は、CeおよびZrサイトへの3価のアクセプターイオンの置換により、より高いプロトン伝導性を示す事が知られており、YやYbなど様々なアクセプターイオンの置換が試みられている。しかしながら、これらのイオンドープにより、電極とのプロトン伝導が上手くいかなくなったり、物質としての安定性が低下してしまうなど様々な問題があり、これらのイオンドープにおける置換元素の最適化も今後の課題の一つである。

また、このプロトン導電体のプロトン生成に欠かせない電極での電気化学反応に関しても、電極材料と酸化物の構成元素との間の相性により、プロトン伝導性の優劣はその組み合わせに大きく依存し、電極材料の選択一つとってみても検討の余地が残されている。

本研究室の研究概要

本研究室では、基板上に、BaCeO3およびSrZrO3の膜を作製し、電極を形成した後、構造・電気化学的な評価を行っている。また、これらのプロトン導電性膜に+3価のアクセプターイオンをドープしプロトン導電動作温度の低下を検討している。薄膜の作製には、簡便で低コストであり、工業的な応用にも適した懸濁液噴霧法(スプレー法)を用い、400℃付近で高いプロトン伝導性を示す膜の最適条件を検討している。


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