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価値の転換
地球と人類の未来のために

グローバル・フォーラム
世界科学技術会議・滋賀1993
レヴュー

The Global Forum

 グローバル・フォーラム(The Global Forum of Spiritual and Parliamentary Leaders on Human Survival)は、1985年、国連40周年を機に、『地球と人類の存続』をヴィジョンに掲げ創設された国連NGO(非政府組織)で、ニューヨークに本部を置く。
 1988年に英国オックスフォード大学、1990年にモスクワ(クレムリン)で世界の政治経済,科学技術,文化芸術,民族宗教の指導者が一堂に会して開催された二度の国際会議は、極めて高い評価を得た。更に、1992年の国連環境開発会議(UNCED)では、ブラジル国会との共催で、国会議員による地球サミットを開催。

 そして、1993(平成5)年4月、京都国際会館における総会(グローバル・フォーラム京都会議)に先駆けて、「美しい自然」と「銅鐸に象徴される歴史文化」と「最先端の情報技術」が共存する滋賀県野洲町に、六大陸20ヶ国から第一線の科学者,技術者が集まり、グローバル・フォーラム世界科学技術会議・滋賀1993(京都会議科学技術分科会)が開催された。


会議概要

名   称 グロ−バル・フォ−ラム世界科学技術会議・滋賀
 Global Forum Scientists' Conference in SHIGA 1993
テ − マ “価値の転換−地球と人類の未来のために”
 新たな文明の創造をめざして
本部科学委員長
コーディネータ
実行委員長
実行委員会幹事
プロデューサー
カール・セイガン(コーネル大学惑星研究所長)
ロバート・ソコロウ(プリンストン大学環境学部長)
尾上久雄(滋賀大学長)
山口 薫(名古屋商科大学教授)
川口伸明(グローバル・フォーラム日本事務所長代行)
会   期 1993年4月17日(土)〜20日(火)
会   場 野洲町立中央公民館(分科会)
野洲文化ホ−ル(全体会)
野洲文化小劇場(リセプション)
主   催 グロ−バル・フォ−ラム
グロ−バル・フォ−ラム世界科学技術会議・滋賀 実行委員会
ユネスコ(国連教育科学文化機関)
後   援 外務省,環境庁,滋賀県,野洲町,
滋賀県教育委員会,野洲町教育委員会



グローバル・フォーラムへの出席者(一部)

アル・ゴア米国副大統領,ゴルバチョフ元ソ連大統領,デクエアル元国連事務総長,国連各事務局長,リヒテンシュタイン侯国アルフレッド侯,
ダライ・ラマ14世,マザ−・テレサ,ツツ大主教,カンタベリ大主教,
カ−ル・セイガン,フリッチョフ・カプラ−,レスタ−・ブラウン,ジェ−ムス・ラブロック,
ロバ−ト・レッドフォ−ド,ジョン・デンバ−,ポ−ル・ウィンタ−,バイロン・ジャニス ほか


世界科学技術会議・滋賀1993 報告書から

 グローバル・フォーラム科学委員長の故カ−ル・セイガン博士(当時・コ−ネル大学惑星研究所長)は、開催に当たり、次のようなメッセージを送ってきた。

「この会議は、惑星環境の保護と保全をめざす様々な組織において、益々大きくなっていく科学者の役割を象徴するものである。」

カ−ル・セイガン/グローバル・フォーラム科学委員長

 このメッセージからもわかるように、この会議の目的は、危機的な地球環境問題の解決のために、科学・技術と科学技術者が、どのような貢献をし得るのか、を問うことにあった。しかし、実行委員長を務めた尾上久雄博士(滋賀大学長,当時)は、この会議の報告書の冒頭において、次のような見解を述べている。

「本会議により、問題は単なる自然保護や環境保全の領域にとどまらず、 現代文明のあり方そのものを検討し、新しい文明の創造をめざさねばならない点にあることが、益々はっきりしてきた。巷間、ときにジャ−ナリズムにさえ姿を現わす感情的な非文明主義のような傾向は、この会議では殆んど見られなかった。さすがに世界的科学者,技術者を結集しただけあって“価値の転換”を媒介として、力強く地球と人類の未来に立ち向おうという姿勢が示された。今後、科学者や技術者が人々の批判に応えて、新しい文明論を構築する基礎となるであろう。」

尾上久雄/世界科学技術会議・滋賀 実行委員長

 尾上博士のこの評価に見られるように、グローバル・フォーラム滋賀が、既存の環境会議と大きく異なる点は、環境問題を文明的視座で捉えただけでなく、科学あるいは技術サイドからの、未来への新しい価値体系創造への挑戦を行ったということに尽きよう。反科学・文明否定という安易な環境論に傾斜しがちの当時にあって、科学・技術の果たすべき役割と責任を深く議論したことの意義は大きい。このことは、会議に参加した国連関係者、科学者・技術者のみならず、会場を埋め尽くした地元生活者からの提言や、野洲町内の小学校児童のこの会議へ向けての作文などにも見られた。その中から幾つかを披露する(役職等は当時のもの)。


世界科学技術会議・滋賀1993 における提言から

「このまま何もしなければ、推定あと200〜300年で大気中の二酸化炭素濃度が人類の致死量に達する。我々は大変急がなければならない。」

西澤潤一/東北大学総長

「我々は一つの地球の上に棲んでおり、今この地球は危機に直面している。現在の状況は、世界を破壊させてしまう危険性を有している。地球環境の危機とは、文明の危機でもあるのだ。即ち、我々人類には今、新たな宇宙的理念・哲学が必要であり、我々の努力は、地球レベルでのhealing(癒し)へと昇華させていかねばならない。我々にはもはや時間がないのだ。」

C.L.シャルマ/国連UNESCO事務局次長

「人類は今こそ真に問わなければならない。『我々はどのような文明を望むのか』を。世界の先住民族は、古代から継承してきたシステムにおいて、ほどよく地球との調和を図ってきた。我々が未来へ向けて新しい文明を創造するときには、その叡智を吸収し、少くとも7世代先の人々のことまで考えていかねばならない。」

リヒテンシュタイン侯国アルフレッド侯/ウィ−ン未来科学アカデミ−会長

「我々は現在、変化の時代に置かれている。それは規模においても、時間の尺度においても、変化の強度においても、過去に例を見ないほどに激しいものである。この変化は、環境面・経済面・社会面に対して、同時進行的・複合的に起こっている。我々は3つの特性(参加型・透明性・権限委譲性)を持つ新しい制度を開発する必要がある。貧困を排除し、民主的な政策を導入し、平和的手段を通じて、地球環境問題の本質的な原点を解決することが重要である。科学技術は環境と開発をより良い方向に導く可能性を持っており、我々には創造性がある。子孫のために、豊かで安全な社会を創ろうではないか。」

ネイ・トウン/国連UNEPアジア太平洋地域事務所長

「我々は今、Global Ecological Monitoring (地球規模生態学監視)という 国際プロジェクトを、以下の原則のもとに、推進しようとしている。
(1)科学の原則:地球生態系の総合化、環境と文明との関係性の解明(2)技術の原則:宇宙,惑星,地球、3つのレベルでの研究(3)分野・国を遥かに超えた地球レベルでの研究システムの構築」

グレゴリ−・バレンボイム/ロシア ESCOS 生物物理・生態学研究所長

「我々は進化していく宇宙の中にいる。我々が真に理解すべきことは、中世からの世界観『階級的な鎖』や近代の『時計じかけの世界』ではなく、生命の進化とは、一つの形態が更に複雑な形態へと統合され、有機的に相互作用しているということである。進化とは、非常に豊富に枝分かれした『一つの樹』のようなものである。我々全ての人類・生命、そしてこの宇宙に存在する全てのものは、究極的に辿れば全ての源である『宇宙の始まり』へと行き着くのだ。宇宙はすくすくと伸びていく樹のようなものであり、全ての存在はその 同じ樹の葉である。もし、このような『生命の樹』があるのなら、宇宙の中には大きな一本の樹しかない。我々の未来の創造には、このような新たな宇宙観が必要だ。」

ワ−ウィック・フォックス/タスマニア大学環境研究センタ−長


「大量生産・大量消費の構造を支え、要求している中には、我々一般市民全てが含まれている。皆がそれに対して行動を起こすべきなのに、それが今はできていないのが事実である。このまま放置していけば、更に事態が悪化する。こうした背景には、本質的原因の追究がなされていないこと、正確な情報の不足、それらの対策に向けての教育の欠如などがあげられる。どれだけコンピュータ・ネットワークや情報産業が発展していっても、その情報の中に、現在最も緊急で大切な問題や本質的な価値観が欠如していてはどうにもならない。この会議に参加された科学者の方々には、今後のアクション・プランにおいて、そのような本質的な情報を統合する、地球規模でなおかつ地域性のある情報システムの構築を、是非とも検討していただきたい。」

会場参加の市民からの提言

「未来のことは分からないけれど、その分からない未来を動かしていけるのは私たちなんだなあと思うと、今でもとてもドキドキワクワクしてきます。いつまでもいつまでも、緑の豊かな地球でありますように、と願っています。」

閉会式で発表された地元小学生の作文


総 括

 以上のような提言と会議全体の成果により、“地球と人類の未来”を創造するためには、環境と文明に関する「転換された価値」を提示すること、そして、文明の「パラダイムとシステム」のグローバル・チェンジに向けた本質的なアクション・プランを始動させねばならないとの認識を得た。そして、その想いは次の言葉によく表われている。

「天の理を活かして、地の上の人と社会に幸福をもたらす。それが工学の役割である。現在地球上に存在する様々な問題を、科学技術でなるべく吸収していきたい。文明の危機における様々な人間的ストレスを、世界中の人々にかけたくない。それでも科学技術だけでは追いつかないかもしれない。その時には、様々な分野の英知を結集して、対処していきたい。そして科学技術者は、その能力、可能性を極限まで出し尽くさなくてはならない。」

西澤潤一/東北大学総長


参考文献

' THE GLOBAL FORUM DECADE ' (The Global Forum , N.Y., 1995)

「新たな文明の創造をめざして/価値の転換−地球と人類の未来のために」
グロ−バル・フォ−ラム世界科学技術会議・滋賀報告書
(監修・尾上久雄,編集・川口伸明/秋桜社,1994)

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by Nobuaki Kawaguchi, Ph.D.

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