医療消費者ネットワーク MECON

医師の本音アドバイス

1.手術について

 「手術を第一に考えてはならない。手術はつねに二番目である」と、アメリカを代表する外科医ジョン・カークリンが述べている。

(ジョン・ルイス著 諏訪邦夫訳 『手術を勧められたとき読む本』 講談社 1992)

※ 著者は、アメリカでは不要な手術による死亡数が年間1万例に達するという実態を挙げて「医師が情熱を燃やしているだけの無用な手術、危険なだけの手術を受け入れて身を危うくしないように」と警告している。また、「手術に期待をかけすぎると、病気より手術の後遺症に悩まされることになる」、「手術には過ちが付き物で、金輪際なくならない」とも言う。全国各地から本会へ寄せられた多くの苦情からみて、これは今にも通じる貴重な助言だと思う。

2.検査について

 心臓カテーテル検査とは、手術の前に、最終的な評価をするために行うものである。しかも、かなり症状が重い場合に限られる。……
 もし、ただ心臓の状態を診るためだけに「カテーテル検査をしましょう」と言う医者がいたら、その医者は紛れもない失格者だ!
 カテーテル検査は、ふつうのレベルの技術を持った医者がやる分には、それほど危険はない。だが、レベルの低い医者に任せるとこの上なく危険である。安易にこの検査をしようとする医者には警戒が必要だ。 ……

(森功著 『診せてはいけない』 幻冬舎2001)

※ 心臓カテーテル検査はときに命がかかる危険な検査だが、安易に勧められ事故に遭うことがある。患者は、この助言をしっかりと理解して、気をつけたい。

※ 脳血管造影検査も同様にリスクが高く、死亡事故が少なくない。夫や母親を失くした遺族の話では、「簡単だから」とか「念のため」といった軽い言葉で医師や看護婦に誘導されている。ある脳外科医に聞いたところ、森ドクターと同じようなことを指摘した。検診程度の軽い感覚で行なう検査ではなく、病状が切羽詰っていて手術するような場合に限られるようだ。

※ 内視鏡検査も危険を伴う。受ける前に充分に考えたい(内視鏡検査・手術の医療事故)。

3.がん治療について

 どういうがんも、もどきか本物のがんのどちらかです。本物のがんであれば治療後も、身体のどこかに臓器転移が潜んでいるわけで、いずれ増大して出現してきます。…
 これに対し、もどきの場合には、どこにも臓器転移がないので、原発病巣の治療後は、患者はいわば健康人です。健康人をいくら頻繁に検査しても、これまたメリットはない。……
 がんもどきとは何かを理解すると、手術、抗がん剤治療、治療後の検査などを自己決定するのに役立ちます。

(近藤誠著 『あなたの癌は、がんもどき』 梧桐書院 2010)

※ がんを克服して長期生存を果たす人も今や増えている。医師の説明にもとづいて治療法を自己決定する患者も増えた。がんの3大療法(手術、抗がん剤、放射線)はとても過酷だし、治療死もあり得る。患者自身がどんな治療を受けるか否かを考えることは大切だ。
 しかし、がんと告知されると、不安や焦りからか医師に勧められるまま治療を受けてしまう人はいまだに大半を占めるだろう。そのためか、思わぬ治療結果に納得できず、後悔する人が多い(がん治療の苦情と医師のコメントがん治療の医療被害さまざま)。がんが身近な病気になった現在、後悔しないために、常日頃からがん治療に関心をもって考えておきたい。
 本書は、がんと言われたとき、将来がんになったとき、自分や家族は一体どうすればいいか、を考えるのに役立つと思う。

4.薬について

 まず「コレステロールが高めは病気ではない」ことをシッカリと認識してください。今はコレステロールが240〜280mg/dlの間の人が一番長生きしていること、下げるとがんも死亡も増え、低すぎは大問題ということを知っておいてください。                   (医薬ビジランスセンター〈理事長浜六郎〉発行 『薬のチェックは命のチェック』 No.2)
 
 ふだん、よほど健康状態や栄養状態が悪くない限り、「かぜ、インフルエンザにかかってもこわくない」という自信をもつことです。…熱はウィルスや細菌をやっつけるための重要な防御反応、「さむけ」や「ふるえ」は体温をあげようとする筋肉の収縮反応。
 抗炎症解熱剤を使うと、かぜが治りにくくなるだけでなく、かぜが重症化して脳症やライ症候群で死亡したり、後遺症を抱えることにもなりかねません。…
 かぜ、インフルエンザはあなた自身の身体が自然に治してくれます。熱をはじめ、鼻水や咳、痛みなど、かぜ薬はすべて対症療法薬です。対症療法薬は、抗炎症解熱剤をはじめ、大なり小なり、自然に備わった“治す力”を邪魔するものです。                                    (浜六郎著 『のんではいけない薬』 金曜日 2006)

※ 浜医師は、特にコレステロールや血圧の場合、病気でもない健康な人が病気と診断されて薬を処方され、挙句の果てにそれで病気になってしまう、という問題が起っているとして、『下げたらあかん!コレステロールと血圧』、『高血圧は薬で下げるな』などの本で、消費者に警告しています。

※ かぜ、インフルエンザについても、「安静第一にして様子を見、寒気がきたら体を温め、熱は基本的には下げる必要はない。どうしても使うときはアセトアミノヘンに(非ステロイド抗炎症解熱剤は絶対に使わない)。ふだん健康なら、抗インフルエンザ剤(タミフル、リレンザ)に頼らなくてもよい。インフルエンザワクチンは効かないので、一切受けないでよい、というような助言をしています。

@「病気は医者が治すもの」と思ってはいけない!
 現代は医療が進んでいるし、健康保険もあるので、ともすれば「病気は医者にまかせればいい」と考えがちですが、これから必要なのは、患者の意識改革であり、何といっても自助努力なのです。医者任せにするのではなく、常日頃から自分自身で健康に留意して、深刻な病状になる前に健康を回復する、そういう意識を私たちすべてがもつことが望まれます。
 現代において免疫力を低下させる主な原因としては、@X線の照射、A抗がん剤、B消耗性の病気(ガン・リウマチ・アレルギーなど)、C老化、D精神的ストレス、E栄養不良などがあります。いかに健康的な生き方をしても、このどれにも無縁と言う人は1人もいない。
 生体防御システムをしっかり守り、それを高めること。これがいちばん大切で、それさえ守っていれば、ガンだ老化だ成人病だといわれても、すぐに死んでしまうようなことはありません。むしろ“多病息災”人間として人生を全うできる。実際に最近のお年寄りにはそういう方も決して少なくありません。

(野本亀久雄著『免疫力 病気をはねのける体になる』ダイヤモンド社 1998年)

※ 著者(病理医)は、国民皆保険の実施以後、国民が病気になったら病院へ直行し、「病気はは医者が治すもの」と考えて、医者任せにする傾向が顕著なことを嘆いている。そして、健康を維持するにも、病気を克服するにも、一人ひとりの自助努力が大切だと説いている。
 確かに、その通りで、一病息災、多病息災は自助努力なしには実現しない。病気になれば医者に頼る(診てもらう)のは事実だが、すべてを医者任せにする姿勢は、自分の身体を守る責任がある人間本来のあり方ではないのだろう。

A免疫力を維持するには、医者任せにせず、自分で考えること!
 高い免疫力が維持される生活とは、すなわち自分自身の健康に対し、責任をもつ、自分で考えるということに尽きます。……私が思うに、日本の医療は、どうも患者本人の参加が少ないように思えます。医師の判断に寄りかかることが多く、患者から見ればおまかせ医療です。
 こうした医師の指示のままに治療を受け、薬を飲むような関係をベースにした医療提供者中心の医療では、免疫力を維持した健康的な生活を送ることは難しいでしょう。
 実際の診察では、きちんと医師の顔を見て、簡潔に質問し、メモをとるところはしっかりメモをとることです。わからないところをなくすようにしたいものです。事前に調べていくことも重要です。そういう習慣を身につけてほしいと思います。

廣川勝著『 病気に強くなる 免疫力アップの生活術』(家の光協会、2008年)

※ この著者(病理医)の警告はまさにその通りと思う。患者が自分の頭で何も考えず、医師の指示のままに治療を受け、薬を飲むようなことをしていると、最初はちょっとした不調だったのに、症状が悪化したり増えたりする事例が少なくない。3分間診療で、しかも患者が新たな症状を訴えるたびに薬を増やすような、流れ作業的な診療をするだけの医者もいるので、医者任せにしている限り、免疫力を維持した健康的な生活には戻れない。

B自分の診療に積極的にかかわり、一定の緊張感を保とう!
 薬で簡単に治療できず、入院しなければならなくなったら、どうすればいいのか。最も大事なことは、自分から積極的に診療にかかわっていくという姿勢を医者にはっきり見せることだ。
 ともすると、「自分は素人で何もわからないから、医者にすべて任せるしかない」と考えがちである。しかし、受身一辺倒であってはいけない。自分の体なのだから、医者の言いなりになっている必要はないのだ。
 医者が全能だと思ってはいけない。どんなに優れた医者でも、時にはミスを犯す。医者の診療に関して何か重大な疑問があるときには、医者に対してこう言う勇気を持つことである。
「セカンド・オピニオンを求めますから、資料を貸してください」
……中には、資料を出したがらない病院もあるが、そうした場合でもひるむことなく要求をするべきだ。少しでも疑問が残っているうちは、手術を受けてはいけない。……(中略)
 大切なポイントは、自分に施される処置について、説明を受けるチャンスをたくさん持つことである。わからないこと、疑問に思うこと、納得できないことについて積極的に説明を求めるのだ。
 それは当然、医療従事者との間に緊張感をもたらすことになる。日本人の場合、ともすれば「ことなかれ主義」に陥る傾向があるが、それではいけない。医療従事者との間に、つねに一定の緊張感が保てる関係でなければならないのだ。

(森功著 『診せてはいけない』 幻冬舎 2001)

※ 患者が参加する医療がもっと浸透すれば、医療側にも、患者側にも、メリットがある。防げる医療ミス(薬剤の取り違えなど)もあるし、医療者と患者のあいだに良質の緊張感も生まれ、コミュニケーションもずっと充実して、誤解や苦情も減るにちがいない。
 これが大切なことは前々から言われていて、医療者に気を配りながら実践する患者も多くなった。でも、まだ事なかれ主義で遠慮がちな患者が多い。一方、患者が疑問や不安を自然に口にでき、それをしっかり受け止めてくれるような医療環境がもっと整ってほしいとも思う。

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