医療消費者ネットワーク MECON

より良い医療を選ぶ④

カルテ開示は遠慮せず求めるべし

(読売新聞2001.6.3付 患者道指南)

 カルテのコピーが欲しいと医師や病院に申し入れる人々が増えている。理由はさまざまだが、その要望は等しく切実だ。

 「一生、慢性疾患と上手につき合いたいので」「手術前後の説明がほとんどなかったから」「結婚して遠くへ引っ越す」「治療後の経過が思わしくないまま外国に転勤する」

 確かに、病気の治療経過を記録したカルテを手元に置けば、患者としては、病気とうまくつき合う工夫をしたり、体の状態を把握して納得したりするのに役立つし、転居先の医師に治療の継続を依頼するにも便利である。

 それにもまして強く「カルテを見たい」と訴えるのは、医療ミスが原因と考えられる障害や後遺症に苦しむ患者、普通の生活を送っていたのに検査や投薬、治療を受けた直後に亡くなった人々の遺族である。医師や病院に納得のいく説明を求めても、拒絶されたり、うやむやにされたりするためだ。

 例えばMECONの会員の中にも、病院へ歩いて出かけた身内を検査や手術の当日に失った人々がかなりいる。危険な血管造影検査や生体組織検査が安易に行なわれたり、簡単なはずの手術で神経や動脈、臓器が傷つけられたと思われる場合である。遺族の自然な情として、「真実を知りたい」とカルテ開示を望むのが通例である。

 こうして、患者や医療被害者がカルテ開示を交渉し、念願の診療情報を手にする例も増えてきたが、まだ少数だ。

 いまだに「前例がない」「法的根拠がない」など、理由にならない理由で、患者の真摯は願いを無視する非情な病院が多い。全国的にカルテ開示のニュースが流れても、閲覧だけでコピーができなかったり、「院内の開示委員会で検討してから」と時間がかかったり、中途半端な開示が多い。

 理由を問わず、速やかにカルテ開示してこそ、病院側が自信を持って質の高い医療を提供し、ミスを隠さず説明責任を果たそうとしている証拠でもある。

 どんな姿勢でカルテ開示をしているかは、病院選びの判断材料になるし、医療ミス防止の患者心得にもなるだろう。

        (医療消費者ネットワークMECON代表世話人 清水とよ子)

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