医療消費者ネットワーク MECON

より良い医療を選ぶ②

手術が本当に必要か見極めるべし

(読売新聞2001.5.6付 患者道指南)

 私たちはとかく、手術に大きな期待を抱きやすい。だが、病気には通常、複数の治療法があり、手術は治療法の一つに過ぎない。しかも治療法は病院や医師によってまちまちな場合も多いので、患者は手術を含めた治療法を慎重に選択することが大切だ。

 三月の本欄で取り上げたAさんが、大学病院で勧められた良性の脳腫瘍の手術を見送り、経過観察だけで何の治療も受けない道を選んだのは、セカンドオピニオン(別の専門医の意見)を聞いた結果だが、自分で結論を出すまでには、手術、放射線、無治療のどれを選ぶべきか随分迷った。腫瘍を切除すれば安心できる、とも思ったからだ。

 Aさんの決断には、脳外科手術を受けた患者たちの本音の声も大きな要素だった。「命は助かるが、(この病院の手術は)受けないほうがいい」

 患者には分かりにくいが、手術成績も後遺症の発生率も病院や医者によって大きく異なる。命は助かっても後遺障害がひどくなるような手術では、患者は生きた心地がしない。それに、医師は後遺症を診ることに熱心ではないので、患者は見捨てられた思いで後遺症に悩み、手術を後悔することになる。

 また、手術には過ちがつきものらしい。手術ミスに起因すると思われる後遺症に苦しむ人々は、MECONに寄せられる様々な苦情の中でも際立って多い。再治療を安心して受けられる施設や、補償の救済機関がないのが不思議なほどだ。

 元気な状態、症状がない段階で医師に手術を勧められ、不幸な結果に至った例も目立つ。
 「夫は転勤前の検診で直腸ポリープが発見され、手術を受けたが、手術ミスや院内感染が重なり死亡」
 「入院直前まで農作業をしていた父が、肝臓がんの手術後、意識を回復することなく死亡」
 「娘は症状がないのに、医師に勧められて胆石の手術を受けたが、今は生死のはざま」

 現代では不要な手術も少なくないと言われる。アメリカの有名な外科医は「手術を第一に考えてはいけない。手術は常に二番目である」と警告している。患者は手術が本当に必要かどうか見極めていきたい。

        (医療消費者ネットワークMECON代表世話人 清水とよ子)

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