医療消費者ネットワーク MECON

医療の実態を知る②

検査・手術・院内感染の医療事故

(本会発行の『平成の医療常識 あなたならどうする?』より)

1.気管支鏡の検査で、大量出血

 夫(30代)が肺がんの疑いで気管支鏡の検査を受けたが、検査中に大量出血し、一時、生命が危険な状態に陥った。
 医師は「気管支の静脈を切断した」とか「血が止まらない体質」と言ったが、実際には動脈を切断して2000mlもの大出血があった。検査中、そしてその前後の説明が不十分だと思う。どうしたらいいか。

2.脳血管造影検査で、植物状態から死亡

 姉(60代)は、症状はなかったが、脳腫瘍との診断で脳血管造影検査を受けた。しかし、検査室から戻っても意識不明のまま。夜中に泡を吹いたり、危篤状態に陥ったり。何年も植物状態から回復しないまま、亡くなった。
 医療費の請求は一度もなく、病院の過失につき担当医が研究費で落としている、と聞いた。

3.不要な脳の血管造影検査で、ショック死

 夫(60代)は元気に暮らしていたが、多少のもの忘れを気にして、近くの脳神経外科を受診。いつの間にか次々と検査(MRI,X線、脳波、血液、心電図など)へ誘導された。それらの検査ではどこも異常はなかった。
 それなのに、医師はさらに「簡単だから」と脳血管造影検査を勧めた。これを受けたところ、夫はショックを起こし、1時間後に死亡してしまった。
 病院へ行ってすぐに死んでしまうなんて…!

4.心臓の血管造影検査で、手足が麻痺

 義姉(40代)が心臓の血管造影検査で入院したが、検査後、手足が麻痺して動かなくなった。10日の入院予定が、もう1ヶ月になる。医師は「原因はわからない。心理的なものかもしれない」と言った。心臓は悪くないことがわかったのに。

5.検査入院中に病気(院内感染)をもらい、半年も入院する羽目に

 健康チェックのつもりだったが、検査入院中に本当の病人にされてしまった。
 検査の過程で、肝臓と胆嚢の間にがんのような影があると言われ、胸やお腹の4箇所を切開してさら   に検査したが、結果は良性だった。
 ところが、その2日後に42度の高熱が出て下がらず、医師は緊急手術をして、「お腹を洗った」と言った。それで半年も入院する羽目になってしまった。わたし(60代)が何度聞いてもきちんと説明がなかったが、おそらくMRSAだろう。
 今も癒着などの後遺症で通っているが、怒りがおさまらない。

6.簡単な中心静脈挿入手術で死亡

 義弟(60歳)が脳梗塞で倒れたが、治療とリハビリで杖をついて歩けるほどに回復した。ところが、足のつけ根が突然痛くて動けなくなり、転地先の病院に入院した。そこで、中心静脈挿入術を受けたところ、失敗して内出血を起こし、肺の内出血も併発して死亡した。

7.手術中に呼吸マヒ、病室に戻ってから死亡

 息子(40代)が手を思うように動かせなくなって、整形外科で頚椎の手術を勧められるままに受けた。「簡単な手術」という説明だった。しかし手術中に呼吸マヒに陥ったらしい。病室に戻って「暑いから足を冷やしてくれ」とか言っていたが、家族が席をはずした間におかしくなった。家族が気づいて医師や看護婦へ訴えたが、対応が悪く、麻酔医も手術中で駆けつけてもらえなかった。息子は結局、死亡した。

8.大腿骨骨折手術で地獄を見た

 息子(10代後半)が大腿部を骨折し、大学病院で「ギブスだと時間がかかる。手術のほうが簡単に済むから」と言われて、手術を受けた。手術は3,4時間のはずが、10時間もかかった。足の骨に特殊な器具を入れるのに手間取ったらしい。
 手術が終わってからの日々は地獄だった。親子で泣いた一年だった。手術後、足が何も感じない神経マヒ状態になり、息子は歩くことができなくなった。症状を訴えても、医師は「時期がくれば治る」と言うだけで、対応は本当にひどいものだった。
 本人はこのまま歩けなくなるのか、と悩み続けた。ノイローゼ気味になって、毎日のように、「死にたい」「死にたい」と息子が言うのを聞くのは辛かった。
 息子は心身ともにボロボロになって、医者を全く信頼しない段階に至っていた。ある日、先生との面談で、「もうおまえたち、殺してやる」と怒った。医者が手術ミスを説明しようとせず、「原因がわからない」「神経科の医者を紹介してあげる」と突っぱねたからだ。
 無責任な態度に息子が怒ったのも当然だった。こういう場合、ミスを認めてそれなりの対応をしてくれれば、患者・家族がこんな地獄を見ることもなく、気持ちは少しは救われたと思う。病院側はミスを認めなかったくせに、入院費はとらなかった。患者の健康保険は利用したが…。
 結局、他の整形外科で診てもらうと、足の神経を圧迫しすぎて、神経が死んで老化した状態だった。だから、何も感じないし、動かなかったのだ。そこで、死んだ神経を浮き上がらせ生き返らせるきっかけをつくるために、神経剥離の手術をしてもらった。器具を取りだすだけでも5時間もかかり、すごい傷痕が残った。
 このまま黙っていると、地獄のような病院体験が夢の中にくり返し出てきて眠れなくて困るので、誰かに聞いてほしかった。

9.大腸がんの手術後、すさまじい院内感染の犠牲に

 夫(40代)が大腸がんの手術を受けた。医師は「完璧な手術」と言ったが、抜糸の直後から傷口とお腹に痛みが発生した。
 1週間後に腹膜炎で緊急の再手術。医師は「腸内はきれいに洗った」と言ったが、毎日40度の高熱が続き、やがて皮下膿瘍が始まり、背中は全部化膿し、胃の縫合部分は裂けていた。個室に移され、再々手術後は毎日のように医者2,3人が駆けつけ、ポンプでウミをくみ出した。
 夫はこの病院は変だと訴え続け、「本当のことを教えてほしい」と興奮して医師に迫ったが、薬で静かにさせられた。体は腫れ上がり赤い斑点ができ、顔は黒くなっても、医師は気休めしか言わなかった。
 結局、夫はまもなく死亡した。病院に殺された気がする。
 死亡後にカルテ開示を求めた。1か月後、部長が出てきて頭を下げ、カルテを手渡された。そこに詳しい記述があり、手術後の異常事態はMRSA院内感染によるものと判明した。

10.ポリープ切除と院内感染で数年間も病人に、そして死亡

 夫(50代)はともかく健康な人だったが、新しい土地へ赴任(栄転)する前に大学病院へ行ったために、2度と職場へ戻ることができなくなった。
 受診すると、「ポリープがある。がんになるかもしれないので、手術をしたほうがいい」と言われ、その日のうちに入院手続きをさせられた。
 すぐに開腹手術を受けたところ、若い医師のミスがきっかけで治療が長引き、さらに腹膜炎になったり、人工肛門を付けたりはずしたりするなど、数年間も入退院をくり返す羽目になった。その後、夫は腸管出血であっという間に死んだ。この間、病院の納得のいく説明と謝罪はまったくなかった。
 若い医師がベッドサイドでミスを謝罪した頃はこんなに大事になるとは思わなかった。夫の死後、病院に説明を求めると、「MRSAの院内感染だった」と。思えばMRSAで有名な大学病院だった。
 弁護士に相談したが、カルテももう改ざんされているだろうからむずかしいと言われ、悔しい思いをしている。あきらめられる問題ではない。子供たちも「お父さんが浮かばれない」と言う。

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