メレンゲ音楽会

『メレンゲde Go!!』という大胆なタイトルを持ちながら、メレンゲを扱わずに来てしまったわけですが、暖かい声援をいただきましたゆえ 遂にメレンゲコーナー登場です。

メレンゲは1840年代にドミニカ共和国で生まれ、ハイチなどに広がったダンス・ミュージック。ギターを主体とした編成からスタートし、ボタン・アコーディオンやサックスが次々にリード楽器として導入され、メレンゲはそのスタイルを変え続けた。1960年代に入るとメレンゲ・バンドはサルサ・バンドの編成に接近。数本のサックスをまじえたホーン編成でリズムもアップ。現在一般に知られるところのメレンゲである。

『Caribian Beat VOLUME1』

(INTUTION Records INT 3112 2)

お恥ずかしい話で恐縮です。ラテンを聴き始めるにあたって、どこから手をつけたら良いのか見当がつかなかった僕は、こんなオムニバスを入手したのでした。カリブ海周辺のダンス音楽をコンパイルしたコンピレーションものです。いつだって、そんなものだと思いますが新しいジャンルの音楽を聴く時って最初に出会ったCDの印象が強すぎてそのアルバムが自分にとっての最高傑作になってしまうケースが多いですよね。僕は、このアルバムを聴きすぎたがゆえにラテンのベーシックは、このアルバムによって定義されてしまいました。サルサ、ズーク、ソカ、カネコ・・・、ジャンルのごった煮的なコンパイルだったのですが、僕にとって別格だったのがソカとメレンゲ。特にメレンゲは、その心地よい名称とともに強く印象を残しました。このアルバムの収録曲でジャンル全体を評価してしまうなんて乱暴な話なのですが、僕はそんな偶然の出会いを信用する方なので、素敵な出会いだったと今でも思っています。その出会いが素敵だったと認識されているのも、出会いのきっかけとなったのが本アルバム収録の『Bailando(演奏 Ramon Orlando & Orquesta Internacional)』という楽曲であったからなのでしょう。美声で丁寧に歌われる名曲で、ちょっと“ヤサぐれた”印象のラテン的不良っぽさとは対局にありますが、きれいでセンチメンタルなメロディであるにも関わらず、リズムはスピーディで、ホーンズの“キメ”の嵐にはシビレます。パワフルなビートと超絶の演奏能力、さらに俗っぽいメロディと歌唱。この曲にはメレンゲの魅力が全て詰まっています。

『12 GOLDEN HITS(BONNY CEPEDA)』

(COMBO RECORDS RSCD2101)

そして出会った最初のスターシンガーがBonny Cepeda(ボニー・セペーダ)。1980年代の最強勢力らしいです。パーカッション(タンボーラ?)はぶっとい音で「ポッゴポコ」と唸りを上げ、ピアノがだらしない低音で「ジャンガジャンガ」と鳴り響き、シャープなホーンセクションが切り込む瞬間はスリリング。そして、恐ろしく速いテンポ! 複雑な“キメ”をパキパキと決めまくります。僕は個人的に「ハードコア・メレンゲ」などと名付け愛聴していました。実際、エッジのあるサウンドと超高速な演奏は絶品です。セペーダの歌唱は「色男成分」が少なく、喉を効かせた発声がパワフル! スペイン語の特性もあるのでしょうか、ドスが効きながらもマッタリとコモる声質が特徴です。ジェームス・ブラウンがドスが効いて通る声なのにコモってる、あの感じに近いかな? この人の楽曲はコーラスとのコール&レスポンスを多用するなど、とても楽しい作りになっています。ライブはめちゃくちゃ楽しそう! ルックスがイマイチかな? (CDジャケットのコーナー『ラテン色男編』にジャケがアップされているので参照して下さい。馬ヅラってやつです。)

『JUANA LA CUBANA(LAS CHICAS DEL CAN)』

(BOMBA RECORDS BOM2008)

国内盤有り

メジャーどころでLAS CHICAS DEL CAN(ラス・チカス・デル・カン)はいかがでしょうか? 熱心なメレンゲファンからはカラい評価もあるでしょうが、まあまあ! 10人以上の大所帯で可愛いメレンゲを聴かせてくれるのですが、このバンドを聴いてある事に気付き愕然としました。僕はフェミニストでもなければ、男尊女卑思想も無いことを前提に言いますが、このおネエちゃん達 下手なんですよ。演奏にバラつきがあったり、例えばトランペットが1人だけモタったりするの。「だめだなあ、女のメレンゲバンドはぁ」なんか思ってから、ふと気付いたわけです。10人以上のバンドが、このテンポの曲を演奏して たったこれだけのズレで済んでるわけぇ? メチャクチャ上手いってことじゃん!? つまり、他のメレンゲバンドの演奏があまりに完璧であり、なおかつそれが常識であったため、演奏の絶技に気付かなかったってわけです。しかもライブでは笑顔なんか浮かべちゃって軽々と決めるわけですよ、あの複雑なキメのユニゾンを! 僕はその事実に気付いた瞬間から、世界で一番演奏が上手いのはラテン人だと確信しました。それまで夢中になって聴いていたファンクが「平和」だと感じてしまった。

『AUTENTICO(MANNY MANUEL)』

(MERENGAZO RECORDS VNCY-21)

国内盤有り

メレンゲと遠ざかってしまっていた1997年に、TOWER RECORD が「最近ブームのメレンゲ」なんて言い出した。嘘つけ、と思いながらもCDをゲット。JUAN LUIS GUERRA(ファン・ルイス・ゲーラ) のアルバム。これがシティ・メレンゲとでも言うべき洗練されたニューヨークテイストのメレンゲで、もう最悪。ガッカリした。実際、ニューヨーク辺りではアダルトでクチあたりの良いメレンゲが多かったらしい。ゲエッ! そんな風潮に反発したのがMANNY MANUEL(マニー・マヌエル)。 「50年代のオールドメレンゲのテイスト」を武器に下世話に決めまくる。大衆歌謡としてのメレンゲを復活させてくれた。これが、また出来の良い色男! 流し目も完璧。さぞかし、ライブはイカスんだろうね。個人的に敢えて苦言を書かせてもらえば、ボニー・セペーダがそうであったように、メレンゲのスタイルを一歩前進させるような新領域を開拓してもらいたいですね。1998年にはオールド・メレンゲが革新だとは言え、メレンゲは展開・発展する音楽だからね。僕はラス・チカス・デル・カンが流行に色目を使いまくってるみたいなショービス精神も嫌いじゃないし、なにしろ世界のシーンで勝利するようなメレンゲを作って欲しい。君の敵はシティメレンゲではなく、プライマル・スクリームやエイジアン・ダブ・ファンデーションなのだ!

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