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福岡・大牟田4人殺害事件


事件概要

 2004年9月18日、福岡県大牟田市で60歳暴力団幹部A、45歳無職女B、20歳無職C、23歳無職Dの4人が共謀して、58歳無職女性を絞殺し約26万円を奪い、口封じのため長男の18歳大学生と友人の17歳高校生を相次いで殺害。3人の遺体を車ごと川に遺棄した。2日後の9月20日、20歳無職Cと23歳無職Dが共謀し、被害に遭った58歳女性の次男の15歳高校生を殺し、金庫を奪った事件。

 同年9月22日、福岡県警は死体遺棄容疑で45歳女を逮捕、同26日、20歳無職Cを同容疑で逮捕。翌10月2日、23歳無職Cを同容疑で逮捕、同8日60歳暴力団幹部Aを同容疑で逮捕。福岡地検久留米支部は、同年12月27日までに、4容疑者を死体遺棄、強盗殺人、殺人、銃刀法違反などの罪で福岡地裁久留米支部に起訴した。

特集
大牟田4人殺害 - 読売新聞
大牟田・四人殺害 関連特集 - 西日本新聞
更新日時:
2007年10月5日




時系列

日付 摘要
2004 09/18 58歳無職女性が絞殺され約26万円を奪われる
被害女性の長男の18歳大学生とその友人の17歳高校生が射殺される
川に3人の遺体が車ごと遺棄される
09/20 被害女性の次男の15歳高校生が絞殺され、金庫が奪われ、遺体が川に遺棄される
09/22 45歳無職女Bを死体遺棄容疑で逮捕
09/23 福岡県警は、行方不明になっていた58歳女性の軽乗用車を大牟田市の諏訪川下流で発見。車内から男女3人の遺体
09/26 20歳無職Cを死体遺棄容疑で逮捕
10/02 23歳無職Dを死体遺棄容疑で逮捕
10/08 60歳暴力団幹部Aを死体遺棄容疑で逮捕
10/ 福岡地検久留米支部が、B、C、Dを死体遺棄罪で起訴
10/26 福岡地検久留米支部が、Aを死体遺棄罪で起訴
A、B、C、D4人を58歳女性への強盗殺人容疑で再逮捕
11/16 福岡地検久留米支部が、A、B、C、D4人を58歳女性に対する強盗殺人罪で追起訴
A、B、C、D4人を18歳大学生、17歳高校生への殺人容疑で再逮捕
12/07 福岡地検久留米支部が、4人を18歳大学生、17歳高校生への殺人、銃刀法違反の罪で追起訴
Cを15歳高校生への強盗殺人容疑、Dを強盗殺人、死体遺棄容疑、Aを銃刀法違反などの容疑で再逮捕
12/17 福岡地検久留米支部が、Aを銃刀法違反(加重所持)の罪で追起訴
12/27 福岡地検久留米支部が、C、Dを15歳高校生への強盗殺人罪で追起訴
2005 01/11 福岡地検久留米支部が、Dを単純逃走罪で追起訴
03/15 福岡地裁久留米支部で4被告の第一審初公判 (第2回以降、公判を被告BとC、被告AとDの2つに分離)
2006 05/02 検察側は、被告Bと被告Cについて「史上まれに見る凶悪な事案であり、もはや矯正は不可能」などとして、死刑を求刑
10/17 福岡地裁久留米支部(高原正良裁判長)は、被告B、被告Cに対して求刑通り死刑を言い渡し
10/24 検察側は、被告Aと被告Dについて「自己中心的かつ凶悪な犯行で何ら酌むべきものはない」として、死刑を求刑
2007 02/27 福岡地裁久留米支部(高原正良裁判長)は、被告A、被告Dに対して求刑通り死刑を言い渡し
  福岡高裁で被告Bと被告Cの控訴審初公判
10/17 福岡高裁で被告Aと被告Dの控訴審初公判
12/25 被告Bと被告Cの控訴審判決 福岡高裁(正木勝彦裁判長)は、一審判決を支持し、被告Bと被告Cの控訴を棄却
12/27 被告Cが判決を不服として上告
12/28 被告Bが判決を不服として上告
2008 03/27 被告Aと被告Dの控訴審判決 福岡高裁(正木勝彦裁判長)は、一審判決を支持し、被告Aと被告Dの控訴を棄却
被告Aの弁護人が判決を不服として上告
  被告Dが判決を不服として上告
2011 09/09 被告B、被告Cの上告審口頭弁論 最高裁第2小法廷(須藤正彦裁判長) 事件番号:平成20年(あ)第254号
 被告B側は「役割は従属的で真摯に反省している」、被告C側は「家族への忠誠心で加担したに過ぎない」と述べる。検察側は「強い金銭欲で、執拗で残虐な犯行に及び酌量の余地は全くない」と反論
09/12 被告A、被告Dの上告審口頭弁論 最高裁第1小法廷(白木勇裁判長) 事件番号:平成20年(あ)第808号
 被告A側は「心から反省しており、死刑は重すぎる」と刑を軽くするよう求め、被告D側は「殺害には関与していない」などと無罪を主張。検察側は、「責任は重大で更生の可能性はない」と述べ、いずれも死刑が相当だと反論
10/03 被告B、被告Cの上告審判決 最高裁第2小法廷(須藤正彦裁判長)は被告B、被告Cの上告を棄却
 「現金奪取などのために敢行された冷酷、非情で残忍な犯行。北村被告は3人の、井上被告は4人の殺害に関与しており、酌むべき事情を十分考慮しても、死刑とした一、二審判決を是認せざるを得ない」と述べる
10/17 被告A、被告Dの上告審判決 最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は被告A、被告Dの上告を棄却
 判決理由で「現金奪取や犯行隠蔽の目的に酌量の余地はない。強固な殺意に基づく冷酷、非情、残忍な犯行で、複数の被害者が出た結果も重大だ」と指摘
リンク:読売新聞|共同通信
更新日時:
2011年10月17日




4被告への罪名別起訴状況

仮称 58歳女性に対しての 18歳大学生に対しての 17歳高校生に対しての 3人に対しての 15歳高校生に対しての その他の罪
強盗殺人罪 殺人罪 銃刀法違反罪 殺人罪 銃刀法違反罪 死体遺棄罪 強盗殺人罪 死体遺棄罪
A     銃刀法違反罪
B      
C    
D 単純逃走罪

刑法
(2004年の事件のため、改正前の条文)

(強盗致死傷)
第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

(殺人)
第百九十九条  人を殺した者は、死刑又は無期若しくは三年以上の懲役に処する。

(死体損壊等)
第百九十条  死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

(逃走)
第九十七条 裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する


銃砲刀剣類所持等取締法

第三条  何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。

(発射の禁止)
第三条の十三 何人も、道路、公園、駅、劇場、百貨店その他の不特定若しくは多数の者の用に供される場所若しくは電車、乗合自動車その他の不特定若しくは多数の者の用に供される乗物に向かつて、又はこれらの場所(銃砲で射撃を行う施設(以下「射撃場」という。)であつて内閣府令で定めるものを除く。)若しくはこれらの乗物においてけん銃等を発射してはならない。ただし、法令に基づき職務のためけん銃等を所持する者がその職務を遂行するに当たつて当該けん銃等を発射する場合は、この限りでない。

第三十一条 第三条の十三の規定に違反した者は、無期又は三年以上の有期懲役に処する。

第三十一条の三  第三条第一項の規定に違反してけん銃等を所持した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2  前項の違反行為をした者で、当該違反行為に係るけん銃等を、当該けん銃等に適合する実包又は当該けん銃等に適合する金属性弾丸及び火薬と共に携帯し、運搬し、又は保管したものは、三年以上の有期懲役に処する。
 
罪名 該当法 法定刑 量刑例
強盗殺人罪 刑法第240条 死刑、無期懲役 主たる罪が強盗殺人罪の場合
殺人罪 刑法第199条 死刑、無期、3年以上の懲役
銃刀法違反罪(発射) 銃刀法3条の13 無期、3年以上の懲役
銃刀法違反罪(実包も所持) 銃刀法3条 3年以上の有期懲役
死体遺棄罪 刑法第190条 3年以下の懲役
逃走罪 刑法第97条 1年以下の懲役

※ 求刑死刑に対しての判決例死刑がやむを得ない場合死刑執行方法
更新日時:
2007年10月5日




検察側冒頭陳述要旨

 第一審初公判で、検察側が読み上げた冒頭陳述の要旨は次の通り。(敬称、呼称略)


【犯行に至る経緯】
 北村真美は1998年ごろ高見小夜子から約300万円を借り、これ以外の借金を含めると2004年時点で6600万円に上った。建設業の収入もほとんどなく、真美と夫の北村実雄は暴力団の上部団体への上納金や生活費にも困っていた。

 真美は高見方の改装工事を請け負ったが、小夜子は工事代金を貸した金と相殺して支払おうとしなかった。小夜子は真美に対し常々「1億2億は右から左」と豪語し、04年7月ごろ「資本金1億円の金融会社を設立する」と言った。孝は新居購入費を必要としており、実雄も含め3人は小夜子を殺害して現金を奪おうと計画していった。

 真美は04年9月以降、小夜子に「実雄の紹介で安く買える土地がある」と持ちかけた。小夜子はこれに応じ2600万円と改装工事代80万円を用意すると答えた。

 真美は小夜子が2680万円を用意しているのを確認。同月16日に小夜子殺害の決意を固め、実雄と孝も了承。小夜子を殺して金品を奪う共謀が成立した。


【小夜子の二男穣吏の殺害に至る経緯と犯行状況】
 孝は真美と実雄より先に小夜子の金品を奪おうと考え、弟の孝紘に「小夜子の家に2千数百万円があるので奪おう。穣吏が1人でいるので殺す。おまえには500万円をやる。両親には言うな」と持ちかけた。穣吏をタオルで絞殺すると決め、2人に穣吏殺害と金品強取の共謀が成立した。

 孝紘は同日夜、高見方を訪れ、すきをうかがって穣吏の首をタオルで絞めて失神させた。その後、孝と2人で室内にあった金庫と穣吏を自分の乗用車に運び込んだ。

 大牟田市内を走行中、穣吏がまだ生きていることが分かり、馬沖橋上で穣吏の首をロープで絞めて殺し、ロープでコンクリートブロックを結び付け諏訪川に投げ込んだ。

 金庫の中には指輪等しかなく、孝紘は翌17日午後、自分の身分証明書を用いて指輪6個を計10万8000円で質入れし、現金を孝に渡した。孝は4万円を孝紘に分配した。


【小夜子殺害の犯行状況】
 真美は小夜子殺害に踏み切れずにいた。9月17日午前、北村組アパートから小夜子がいったん外出。真美が孝に電話をすると、孝は「殺しきらんなら、おれが殺してやる」などと言った。小夜子がアパートに帰っても、真美はどのように殺害しようか思案がつかず、同日午後、孝に電話で「もうどげんもしきらんばい。お願い、お母さんば助けて」などと言って、小夜子殺害の協力を求めた。孝は高見方から奪った金庫に目当ての現金がなかったことから、小夜子から現金を強取しようと考え、了承した。

 孝は孝紘に「おかん(母)がおれに小夜子ば殺せち言いよる」などと打ち明け、協力を求めた。孝は真美に電話で「殺すんならトバした方がいい。食い物か飲み物に睡眠薬を入れてきてやろうか」と伝えると、真美も賛同。孝と孝紘は、弁当のタルタルソースに睡眠導入剤を混入させることを決め、孝紘が持っていた12錠を、車の助手席ですり鉢とすりこぎですりつぶした。

 孝と孝紘はコンビニエンスストアに寄り、弁当とタルタルソースなどを購入。孝紘が睡眠導入剤をタルタルソースに混入させて弁当にかけ、北村組アパートの玄関で真美に手渡した。真美が弁当を食べるよう勧めると、小夜子は睡眠導入剤の影響で眠りに落ちた。

 同日夜、北村組アパートで4人は、小夜子と真美が行動をともにしていたことを知った小夜子の長男龍幸の口封じのため、龍幸も殺害してともに車ごと川の中に沈めようと謀議を遂げた。

 4人は18日未明、意識がもうろうとしていた小夜子を車に乗せて大牟田港岸壁に。停車中の車内で、孝紘が小夜子の首にワイヤを引っかけ、窒息死させた。

 孝は小夜子殺害の様子をうかがっていたが、孝紘に対し、その依頼に応じてたばこを手渡したり、車の窓に「人殺し」などと指で書くなどして冷やかしたりした。孝紘はたばこを吸いながら、また、笑いながら小夜子の首を絞め続けた。  実雄は小夜子が死亡したことが分かり「もうよか。死んだ。死んだ」と言い、それを聞いた真美は、小夜子が息を吹き返すのではないかと心配し、孝紘に首を絞め続けるよう指示した。


【龍幸と原の殺人に至る経緯と犯行状況】
 4人は自宅で合流。車中で、龍幸も殺害して小夜子とともに車ごと諏訪川に遺棄することを再確認した。4人は高見方前路上で龍幸と、その友人の原純一が乗った軽乗用車に出くわしたため、顔を見られた原も殺害することにした。実雄は携帯していた実包6発入りの拳銃を孝紘に渡して2人の殺害を指示。いっしょに穣吏を探すふりをして信用させた2人を後部座席に乗せると、孝紘が助手席、孝が運転して高見方前を出発した。

 18日午前2時15分ごろ、大牟田市の岸壁に停車すると、孝紘は高見方の現金保管場所を聞き出すため、先に原の頭部を1発撃った後、龍幸に「穣吏も小夜子もおれが殺した。家に2000万円あるだろう。金はどこか」と追及したが、知らないと答えたため龍幸の頭部を1発撃った。

 2人がまだ生きていたことから、実雄と真美は携帯電話で「胸を撃て。6発全部撃て」などと指示。孝紘はさらに2発ずつ撃って龍幸を失血死させ、絶命していなかった原についても孝紘がアイスピックで胸を突き刺し失血死させた。


【小夜子、龍幸、原の死体遺棄状況】
 同日午前3時半ごろ、小夜子ら3人の遺体を乗せ、エンジンをかけてドライブギアにしたままの軽乗用車を、実雄が運転席外側から操作。諏訪川土手の斜面から走行させて川に水没させて遺棄した。被告4人は水没を確認して自宅に戻った。


【奪った現金の使途】
 その後、4人は計画通り高見方に鍵を使って侵入したが、目当ての現金は発見できなかった。孝と孝紘は、穣吏殺害時に奪った指輪を質入れしており、鑑定書が残っていると警察が指輪を探すうちに犯行が発覚することを懸念。鑑定書などを盗み出した。小夜子のバッグに入っていた現金約26万円のうち、孝と孝紘に5万円ずつが分配された。孝は家賃の支払いに、実雄と真美は電話料金、暴力団への上納金、飲食費などに使った。


【証拠隠滅工作】
 穣吏の遺体が浮かび上がってくることを心配した孝紘が、川に潜って遺体を捜したが確認できなかった。殺害に使った凶器は孝紘らが川に投棄するなどした。


【実雄の自殺未遂】
 実雄は真美が穣吏の死体遺棄事件で逮捕されたことを知り、真美らをかばうため、自分の単独犯行と主張した上で自殺しようと決意。9月22日午前、出頭した大牟田署の取調室で拳銃1発を撃ち自殺を図った。


【孝の逃走事件】
 11月13日夕方、取り調べのため福岡地検久留米支部庁舎にいた孝が、看守のすきをついて逃走。「暴力団から逃げてきた」などとうそを言ってタクシーに乗った。同日午後9時前、熊本県荒尾市内に駐車中のタクシーを大牟田署員が発見、身柄を確保した。
更新日時:
2007年10月5日




起訴された4被告の第一審での判決状況

仮称 続柄 犯行時 求刑 判決 罪名 裁判所 日付 上訴
年齢 職業
D 23 無職 求刑死刑 死刑 強盗殺人などの罪 福岡地裁久留米支部 2007/02/27 控訴
A 父親 60 暴力団幹部 求刑死刑 死刑 強盗殺人などの罪 福岡地裁久留米支部 2007/02/27 控訴
C 20 無職 求刑死刑 死刑 強盗殺人などの罪 福岡地裁久留米支部 2006/10/17 控訴
B 母親 45 無職 求刑死刑 死刑 強盗殺人などの罪 福岡地裁久留米支部 2006/10/17 控訴




控訴審での判決状況

仮称 続柄 犯行時 判決 罪名 裁判所 日付 上訴
年齢 職業
D 23 無職 控訴棄却 死刑 強盗殺人などの罪 福岡高裁 2008/03/27 上告
A 父親 60 暴力団幹部 控訴棄却 死刑 強盗殺人などの罪 福岡高裁 2008/03/27 上告
C 20 無職 控訴棄却 死刑 強盗殺人などの罪 福岡高裁 2007/12/25 上告
B 母親 45 無職 控訴棄却 死刑 強盗殺人などの罪 福岡高裁 2007/12/25 上告




上告審口頭弁論での傍聴記

 2chのコテハン傍聴係 ◆7CIaP.edcOMLさんによる傍聴記です。

 弁護側が死刑事件の被告に対してどういう弁論を行われているか、箇条書きでまとめてあり非常に分かりやすいと思います。

最高裁判所第二小法廷 平成20年(あ)第254号 刑事弁論期日:2011年9月9日13時30分
 裁判官 須藤(裁判長),古田,竹内,千葉
 検察官 城祐一郎
 事件名 強盗殺人,死体遺棄,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反
 被告人 北村真美,北村孝紘(新姓井上)
 弁護人 真美につき鈴木敏彦(主任)と樋口明巳
孝紘につき福島昭宏(主任)と松井仁
一般傍聴人は開廷時で少なくとも29人。特別傍聴人なし。

真美につき上告趣意書、孝紘につき上告趣意書と上告趣意補充書を陳述。(※補充書は死刑に関する国際情勢とのこと)

真美の弁護人の主な主張(13:31〜13:45):
・永山基準で考えると、真美は死刑とすべき事案でない。殺害の指示も実行もしていない。
・上告審を受任して3年以上経ち何度も接見したが、長男孝の傷害致死の被害者を含む5人の死者に対して反省が顕著。(以上鈴木)
・真美は女性被害者から都合良く使いまわされた。殺害の動機は金銭欲ではなく憤まんである。
・真美が言った「ちゃんと首を絞めろ」は孝の発言を孝紘に伝えただけ。真美が渡したアイスピックによる刺創は鑑定によれば死亡の原因になっていない。実雄が撃った銃弾が真美に当たって怪我をしたことがあり、それ以来、真美は実雄に逆らえない立場。
・憤まんを動機とする複数殺人で死刑求刑に対し無期とした最高裁判例があるではないか(※岡田孝紀のこと)。被殺者3で無期が確定した事案もある。(以上樋口)

孝紘の弁護人の主な主張(13:45〜14:00):
・控訴審判決後の平成20年春に孝紘から「真相を知ってほしい」として上申書や手紙が来た。それに沿って弁論する。
・「控訴審までは兄の孝や暴力団組織に対して突っ張っていて本当のことを言っていなかった」、「本件各行為には自分たちの他に協力者がいた」、「女性殺害は第三者が真美に指示してきた」、「6発すべてを自分が撃ったとされる銃弾は、自分は中間の2発だけで、最初と最後の2発ずつは孝が撃った」、「首にタオルを掛けて背負い投げの態勢で締めたのは自分ではなく孝、自分がやるのは身長差からして無理」、など。(以上福島)
・控訴審からの国選弁護人でこれまでに111回接見した。死刑にする必要ないと確信する。一家4人の差入れと宅下げは自分がしていて、毎回かなりの量がある。
・若い孝紘にとって家族が何より大事で、忠誠心があった。孝紘の行為は、国や王を守るためには兵士が時には残虐な行為をするのと似ている。
・4月に今回の弁論期日が指定されたとき、孝紘はさすがに動揺していた。(以上松井)

検察官の弁論後、14:10閉廷。
歴代死刑囚について語ろう〜確定七十八年目〜 643-644 - 2ch


最高裁判所第一小法廷 平成20年(あ)第808号 刑事弁論期日:2011年9月12日13時30分
 裁判官 白木(裁判長),宮川,櫻井,金築,横田
 検察官 城祐一郎
 事件名 強盗殺人,死体遺棄,殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反,逃走(孝のみ)
 被告人 北村實雄,北村孝
 弁護人 實雄につき中井淳
孝につき小松初男(主任)と今村憲
一般傍聴人は開廷時で約30人。特別傍聴人なし。

實雄につき上告趣意書、孝につき上告趣意書と上告趣意補充書、被告人本人の上告趣意書を陳述。

實雄の弁護人の主な主張(13:31〜13:46):
・女性被殺者について、動機は真美が馬鹿にされたことに対する怒りであり、金銭奪取の犯意は死亡後に生じた。つまり殺人罪と窃盗罪が成立するに過ぎない。金銭に困っていたという客観証拠もない。孝は「父は鮮魚卸売業などで年収4〜5,000万円あった」と言っている。
・死刑制度は違憲。これを合憲とすると憲法前文の「国際社会において名誉ある地位を占めたい」に反する。
・永山基準で考えると死刑とすべき事案でない。強盗殺人が成立しないこと(上述)、計画がずさんで事件後間もなく発覚し逮捕されたこと、S53年-H4年に服役前科4犯があるが直近は罰金前科である、實雄の娘が「優しく面倒見が良い人」と言っている、拳銃自殺未遂は反省の表れ。

孝の弁護人の主な主張(13:46〜14:11):
・主位的に共謀共同正犯でないこと、予備的に量刑不当を主張する。
・共謀が成立しない。實雄と真美が犯行のきっかけを作り孝紘が実行しただけ。殺害方法その他につき具体的で詳細な決定をしていない相談の機会に孝がいても、共謀成立とは言えない。
・自分の手を汚したくないから孝紘にやらせたという評価は間違い、もともと犯行に消極的だった。
・犯行時に孝の内妻は妊娠しており實雄もそれを知っていて、父親になる孝を犯行から遠ざけていた。
・猪突猛進の孝紘は二代目北村組組長になる野望があり、孝から言われなくても犯行をして自分を誇示したかった。
・孝は腰痛持ちだった。被殺者を沈めるために車外に引きずり出すことは孝紘との共同作業でも不可能。
・孝の衣服からは血液反応がない。発砲時やその後に自動車内にいたのなら、少しは血が付いているはず。
・検察からの逃走時には「おっちゃん、すまん」と言い残した。直後に乗ったタクシーから友人に電話を掛けてタクシー代の支払いを依頼し、目的地に付いてからもその友人が来るまでタクシー内にとどまった。犯罪性向の強い人間なら、「すまん」などと言わないし、発見を恐れるから一カ所にとどまることもない。

検察官の弁論の大部分は、真美と孝紘のときと共通。14:22閉廷
歴代死刑囚について語ろう〜確定七十八年目〜 696-697 - 2ch

更新日時:
2011年9月17日




上告審での判決状況

仮称 続柄 犯行時 判決 罪名 裁判所 日付
年齢 職業
D 23 無職 上告棄却 死刑 強盗殺人などの罪 最高裁第1小法廷 2011/10/17
A 父親 60 暴力団幹部 上告棄却 死刑 強盗殺人などの罪 最高裁第1小法廷 2011/10/17
C 20 無職 上告棄却 死刑 強盗殺人などの罪 最高裁第2小法廷 2011/10/03
B 母親 45 無職 上告棄却 死刑 強盗殺人などの罪 最高裁第2小法廷 2011/10/03




同一事件で3人以上の死刑確定者がいる場合

 本件は4人が起訴され、一審で4人全員に死刑判決が出ました。弁護側が上訴しても、2008年3月までに弁護側の控訴を棄却、2011年10月に上告棄却と、仮に判決訂正申立てをしていたとしても、約1ヶ月後の2011年11月には4人の死刑判決が確定していました。

 死刑を執行する場合、法には謳ってありませんが、これまで慣例としてされてきたことがあります。

 共犯者がいる場合は、共犯全員の刑が確定するまでは刑の執行はしない。同一事件の場合は同日執行。そして、刑の執行は概ね午前中に行う。(朝食後、昼食前まで)。

 共犯刑確定や同日執行は、冤罪防止の面もありますが、同一事件で同じ死刑なのに、余命に不公平があってはならないという面もあります。(ただし、同日でも、執行順で1時間程度の差は生じます)。

 刑の執行の流れについて推測して書いたことが以前にあるのですが、その際、一つの刑場では、基本的に2人まで、3人予定していて、暴れるなど何か不測の事態が発生した場合、午前中に終了させるのは難しいだろうという結果が出ました。

 本来なら管轄の福岡拘置所で執行するのですが、本件では4人の死刑囚がいますので、福岡拘置所だけでは同日・午前中執行は無理となります。もし同日執行するためには、4人の内2人を残して他の2人を別の刑場施設がある拘置所に移送する必要があります。

 本件は2011年に刑が確定していますので、2013年時点では、同日執行が可能なように、2人が別の拘置所に移送されています。以下が各死刑囚の現在の収監拘置所になります。
福岡拘置所 広島拘置所 大阪拘置所
北村孝紘
(現姓井上)
北村真美 北村孝 北村実雄
更新日時:
2013年3月11日




控訴審までに死刑判決が下りた被告達の判決状況

仮称 氏名 罪名 第一審 控訴審 上告審
求刑 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付 判決 裁判所・日付
D 北村孝 強盗殺人などの罪 求刑死刑 死刑 福岡地裁久留米支部
2007/02/27
控訴棄却 福岡高裁
2008/03/27
上告棄却 最高裁第1小法廷
2011/10/17
A 北村実雄 強盗殺人などの罪 求刑死刑 死刑 福岡地裁久留米支部
2007/02/27
控訴棄却 福岡高裁
2008/03/27
上告棄却 最高裁第1小法廷
2011/10/17
C 北村孝紘 強盗殺人などの罪 求刑死刑 死刑 福岡地裁久留米支部
2006/10/17
控訴棄却 福岡高裁
2007/12/25
上告棄却 最高裁第2小法廷
2011/10/03
B 北村真美 強盗殺人などの罪 求刑死刑 死刑 福岡地裁久留米支部
2006/10/17
控訴棄却 福岡高裁
2007/12/25
上告棄却 最高裁第2小法廷
2011/10/03
更新日時:
2011年10月17日



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