『臨時ローマ字調査会議事録』現代表記への書き改めにあたり(凡例)

 

 

 

  本稿は1930(昭和5)年から1936(昭和11)年にかけて開かれた「臨時ローマ字調査会」の議事録を、現代表記に書き改めたものである。議事録の原本については、写真版として本ホームページに載せているので、そちらをご覧いただきたい。

  議事録は(戦前の文書としては当然のことながら)旧字体・旧かなづかいで書かれており、しかも送りがなが統一されていなかったり、現代では見慣れない、読みの難しい表記があったりと、戦前の本や文書を読み慣れない者にとっては抵抗を覚えるものである。そこで下に掲げる凡例に基づいて表記を改めた。

  本稿では現代人がなるべく抵抗を覚えることなく読めるような表記を志向した。本稿が原本の価値を損ない、あるいは曲解の余地を持っている場合、それは筆者の力不足に帰するものである。(文責:hiyu)

 

 

(凡  例)

●原文の旧字体・旧かなづかいは、(固有名詞も含め)全面的に新字体・新かなづかいに改めた。

●訓読みの送りがなは、原則として「送り仮名の付け方」(昭和48年6月18日内閣告示)によった。

●原文の漢字のうち、現在ではかな表記が一般化しているもの(指示代名詞・接続詞や一部の名詞・動詞など)については、ひらがなとした。その際複数の読みがなが考えられるものについては、漢字のままとするか、筆者の責任においてひらがなとした。

(例)「と云ふ事の為に」→「ということのために」

     「尚更」          →「なおさら」

     「及び」「及」   →「および」

●原文の漢数字は、一部を除いて算用数字に改めた。

●常用外漢字については、次のとおり扱った。

(1)原則として新字体に改めてそのままとし、語によっては理解のために〔〕内に常用表記か読みがなを加えた。

(2)一部の現代では見慣れない表記や、現代と用法の異なる表記(常用外表記)については、ひらがなあるいは常用表記に改めた。

(例)「一番初めに」「明治三十九年の始めに」→「一番はじめに」「明治39年のはじめに」

「使ひ途」              →「使いみち」

「今まで多く視られ」    →「今まで多く見られ」

「私の遇ひました委員」  →「私の会いました委員」

「云へる」              →「言える」

「這入る」              →「入る」

「理窟」                →「理屈」

「工合」                →「具合」

●外来音のカタカナ表記は、拗音を小字で表記した。「ラヂオ」「フォノロヂー」など、現代の表記と異なる外来音表記については、あえてそのままとした。

●文の読みやすさを考え、適宜原文にない読点(、)や中点(・)を加えた。

  一方明らかに誤植と思われる句読点や、読点のあまりに多いために読みにくくなっている文は、筆者の責任で句読点を省いたり、読点を中点あるいは句点に置き換えるなどした。

●注釈・説明を要すると思われる語句については、〔〕でくくって記した。また本文にある語句・引用文で、「」などがないと文意が取りづらいと思われる場合には、原文の「」と区別して《》を加えた。

●段落についても、長すぎて読みにくいと思われるものについては、意味のまとまりや読みやすさを考えて数段落に分けた。またインターネットでの表示を考え、委員の発言ごとに2行、いくつかの段落ごとに1行分改行した。

●「居る」は「おる」とも「いる」とも読め、どちらかに特定できないため、そのままとした。ただし送りがなや文脈によって特定できる場合のみ、ひらがなに改めた。

(例)「居らない」→「おらない」

「居る、居らないと云ふことは問題でない。」→「おる、おらないということは問題でない。」