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     四 中国革命は世界革命の一部分である

 中国革命の歴史的特徴は、民主主義と社会主義の二つの段どりにわかれ、しかも、その第一歩が、いまではもはや一般的な民主主義ではなく、中国的な、特殊な、新しい型の民主主義であり、新民主主義であるということにある。では、この歴史的特徴はどのようにして形成されたのか。それは百年もまえからあったものか、それとも、あとになってうまれたものなのか。
 中国と世界の歴史の発展を少しでも研究してみれば、この歴史的特徴が、アヘン戦争のときからあったものではなく、あとになって、第一次帝国主義世界大戦とロシア十月革命ののちにはじめて形成されたものであることがわかる。つぎに、その形成の過程を検討してみよう。
 きわめてあきらかなように、現在の中国社会の性質が植民地・半植民地・半封建のものである以上、中国革命はどうしても二つの段どりにわかれなければならない。その第一歩は、この植民地・半植民地・半封建の社会形態を変えて、独立した民主主義の社会にすることである。第二歩は、革命をさらに発展させて、社会主義の社会をうちたてることである。中国の現在の革命はこの第一歩をあゆんでいる。
 この第一歩の準備段階は、はやくも一八四○年のアヘン戦争から、すなわち中国の社会が封建社会から半植民地・半封建社会に変わりはじめたときからはじまったものである。このかん、太平天国運動、中仏戦争、中日戦争、戊戌《ウーシュイ》政変、辛亥《シンハイ》革命、五・四運動、北伐戦争、土地革命戦争をへて、こんにちの抗日戦争にいたるまで、こうした多くの個々の段階に、ちょうど百年の年月がついやされた。ある意味からいえば、それらはすべてこの第一歩を実行したものであり、中国人民がそれぞれの時期にさまざまな程度でこの第一歩を実行し、帝国主義と封建勢力に反対して、独立した民主主義社会の樹立のためにたたかい、第一歩の革命を達成するためにたたかったものである。そして、辛亥革命は、よりいっそう完全な意味で、この革命の発端となった。この革命は、その社会的性質からいうと、プロレタリア社会主義革命ではなくて、ブルジョア民主主義革命である。この革命は、いまだに達成されておらず、なお多くの精力をそそがなければならない。それは、この革命の敵かいまでもなお非常に強大だからである。孫中山先生が、「革命なおいまだ成功せず、同志よ、さらに努力せよ」といったのは、このようなブルジョア民主主義革命のことである。
 ところが、一九一四年に第一次帝国主義世界大戦がおこり、一九一七年のロシア十月革命で地球の六分の一をしめる土地に社会主義国家がうらたてちれてから、中国のプルジョア民主主義革命には変化が生じた。
 それ以前は、中国のブルジョア民主主義革命は、ふるい世界ブルジョア民主主義革命の範疇にぞくし、ふるい世界ブルジョア民主主義革命の一部分であった。
 それ以後は、中国のブルジョア民主主義革命は、新しいブルジョア民主主義革命の範疇にぞくするものになり、革命の陣営からいえば、世界プロレタリア社会主義革命の一部分となった。
 なぜか。それは、第一次帝国主義世界大戦と最初に勝利した十月社会主義革命が、世界歴史全体の方向を変え、世界歴史全体の時代を画したからである。
 世界資本主義の戦線が地球の一角(その一角は全世界の六分の一の土地をしめている)ですでに崩壊し、その他の個所でもすでにその腐朽性をすっかりさらけだしている時代、これらのまだ残っている資本主義の部分がますます植民地、半植民地にたよらなければ存続できなくなっている時代、社会主義国家がすでにうちたてられ、しかも、すべての植民地、半植民地の解放運動をたすけるためにたたかう用意があると表明している時代、資本主義諸国のプロレタリア階級が日一日と社会帝国主義の社会民主主義政党の影響から解放され、植民地、半植民地の解放運動を支持することを表明している時代、このような時代には、どの植民地、半植民地国でも、そこに帝国主義に反対する革命、すなわち国際ブルジョア階級に反対し、国際資本主義に反対する革命がおこるならば、それはもはや、ふるい世界ブルジョア民主主義革命の範疇にぞくするものではなく、新しい範疇にぞくするものである。それはもはやブルジョア的、資本主義的なふるい世界革命の一部分ではなく、新しい世界革命の一部分、すなわちプロレタリア社会主義世界革命の一部分である。このような革命的な植民地、半植民地は、もはや世界資本主義の反革命戦線の同盟軍とみなすことはできず、世界社会主義の革命戦線の同盟軍に変わっている。
 このような植民地、半植民地の革命の第一段階、第一歩は、その社会的性質からいうと、基本的には依然としてブルジョア民主主義的なものであって、その客観的要求は、資本主義の発展のために道をはききよめることである。だがこのような革命は、もはや、ブルジョア階級の指導する、資本主義社会とブルジョア独裁の国家の樹立を目的としたふるい革命ではなく、プロレタリア階級の指導する、第一段階では新民主主義社会と革命的諸階級の連合独裁の国家の樹立を目的とした新しい革命である。したがって、このような革命はまた、まさしく社会主義の発展のためにいっそうひろびろとした道をはききよめるものである。このような革命は、その進行の過程で、敵の状況と同盟軍の変化によって、さらにいくつかの段階にわかれるが、その基本的性質には変わりはない。
 このような革命は、帝国主義に徹底的な打撃をくわえるものであり、したがって、それは帝国主義からはいれられず、帝国主義からは反対される。だが、それは社会主義からはいれられ、社会主義国や社会主義をめざす国際プロレタリア階級からは援助される。
 したがって、このような革命はプロレタリア社会主義世界革命の一部分に変わらざるをえない。
 「中国革命は世界革命の一部分である」というこの正しい命題は、はやくも一九二四年から一九二七年までの中国の第一次大革命の時期に提起された。これは、中国の共産党員が提起し、当時、反帝・反封建闘争に参加したすべての人びとの賛同をえたものである。ただ、当時この理論の意義がまだ展開されておらず、そのため、この問題はまだばくぜんと認識されているにすぎなかった。
 このような「世界革命」は、もはやふるい世界革命ではなく、ふるいブルジョア世界革命はとっくに終わっている。これは新しい世界革命であり、社会主義世界革命である。同様に、その「一部分」は、もはやふるいブルジョア革命の一部分ではなく、新しい社会主義革命の一部分である。これはこのうえなく大きな変化であり、世界の歴史および中国の歴史はじまっていらい、くらべようのない大きな変化である。
 中国の共産党員が提起したこの正しい命題は、スターリンの理論にもとづくものである。
 はやくも一九一八年、スターリンは十月革命一周年の記念論文でつぎのようにのべている。

 この論文のあと、スターリンは、植民地、半植民地の革命がふるい範疇からぬけでてプロレタリア社会主義革命の一部分になったという理論を、くりかえし展開している。なかでも、もっとも明快、的確に説明しているのは、スターリンが一九二五年六月三十日に発表した、当時のユーゴスラビアの民族主義者と論争した論文である。これは張仲実《チャンチョンシー》訳の『スターリンの民族問題論』に収録されており、表題は『ふたたび民族問題によせて』となっている。それにはつぎの一節がある。

 これによってわかるように、ふたとおりの世界革命がある。一つはブルジョア階級と資本主義の範疇にぞくする世界革命である。この世界革命の時期は、とっくにすぎさっており、はやくも一九一四年、第一次帝国主義世界大戦がおこったとき、とりわけ一九一七年のロシア十月革命のときに終わりをつげた。それ以後もう一つの世界革命、すなわちプロレタリア階級の社会主義世界革命がはじまった。この革命は、資本主義国のプロレタリア階級を主力軍とし、植民地、半植民地の被抑圧民族を同盟軍としている。被抑圧民族のなかで革命に参加している階級、政党、個人がどんな階級、政党、個人であろうと、またかれらがその点を意識しているかどうか、主観的にその点を理解しているかどうかにかかわりなく、かれらが帝国主義に反対するかぎり、その革命はプロレタリア社会主義世界革命の一部分となり、かれらはプロレタリア社会主義世界革命の同盟軍となる。
 中国革命は、こんにちではその意義がいっそう大きくなっている。こんにちは、資本主義の経済的危機と政治的危機によって、世界が日一日と第二次世界大戦におしやられている時期であり、ソ連がすでに社会主義から共産主義への移行をめざしており、全世界のプロレタリア階級と彼抑圧民族を指導し援助して、帝国主義戦争に抵抗し、資本主義的反動に打撃をあたえる力をもっている時期であり、資本主義諸国のプロレタリア階級が資本主義を打倒し、社会主義を実現しようとしている時期であり、中国のプロレタリア階級、農民階級、知識層およびその他の小ブルジョア階級が、中国共産党の指導のもとで、すでに偉大な、独立した政治勢力を形成している時期である。こんにち、われわれはこのような時期におかれているのだから、中国革命の世界的意義がいっそう大きくなったとみるべきではないだろうか。わたしは、そうみるべきだとおもう。中国革命は世界革命の偉大な一部分である。
 この中国革命の第一段階(それはまた多くの小段階にわかれる)は、その社会的性質からいうと、新しい型のブルジョア民主主義革命であって、まだプロレタリア社会主義革命ではないが、それは、とっくにプロレタリア社会主義世界革命の一部分となっており、いまではなおさらこの世界革命の偉大な一部分となり、この世界革命の偉大な同盟軍となっている。この革命の第一歩、第一段階は、けっして中国のブルジョア階級の独裁する資本主義社会を樹立するものではなく、また樹立できるものでもない。それは、中国のプロレタリア階級を指導階級とする中国の革命的諸階級の連合独裁の新民主主義社会を樹立するものであり、これによってこの第一段階を終えるのである。それから、さらにこれを第二の段階に発展させて、中国の社会主義社会を樹立するのである。
 これが、現在の中国革命のもっとも基本的な特徴であり、二十年来(一九一九年の五・四運動からかぞえて)の新しい革命の過程であり、現在の中国革命のいきいきとした具体的な内容である。


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