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     第二章 戦争の基本原則は自己を保存し敵を消滅することである

 遊撃戦争の戦略問題を具体的にのべるまえに、戦争の基本問題についてのべなければならない。
 あらゆる軍事行動の指導原則は、できるかぎり自己の力を保存し、敵の力を消滅するという基本原則にもとづいている。この原則は、革命戦争においては基本的な政治原則と直接につながっている。たとえば、中国の抗日戦争の基本的政治原則すなわち政治目的は、日本帝国主義を駆逐し、独立、自由、幸福の新中国を樹立することである。それを軍事の面で実行すれば、軍事力で祖国を防衛し、日本侵略者を駆逐するということになる。この目的をたっするため、軍隊自身としては、一万では自己の力をできるかぎり保存し、他方では敵の力をできるかぎり消滅するという行動をとる。戦争のなかで勇敢な犠牲を提唱することを、どう解釈したらよいか。どの戦争でも代価を、ときには非常に大きな代価を支払わなければならないが、これは「自己保存」と矛盾しないだろうか。じつは少しも矛盾しない。もう少し正確にいうならば、それはたがいに反しあいながら、たがいに成りたたせあっているのである。なぜなら、このような犠牲は、敵の消滅に必要であるばかりでなく、自己の保存にも必要である――部分的、一時的に「保存しない」 (犠牲になるか代価を支払う)ことは、全体的、永久的に保存するために必要だからである。この基本的な原則から、軍事行動全体を指導する一連のいわゆる原則がうまれてくる。射撃の原則(身体を隠蔽《いんぺい》すること、火力を発揮すること、前者は自己を保存するためのもの、後者は敵を消滅するためのもの)から、戦略原則にいたるまでのすべてが、この基本原則の精神によってつらぬかれている。すべての技術的、戦術的、戦役的、戦略的な原則は、この基本原則を実行するときの条件である。自己を保存し、敵を消滅するという原則は、あらゆる軍事原則の根拠である。