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     二 党内でも全国でも投降主義に反対しなければならない

   党内では、他階級にたいする階級的投降主義に反対する

 (一六)一九二七年、陳独秀《チェントウシウ》の投降主義は、当時の革命を失敗にみちびいた。共産党員の一人ひとりは、この歴史上の血の教訓をわすれてはならない。
 (一七)党の抗日民族統一戦線の路線についていうと、蘆溝橋《ルーコウチァオ》事変までの党内のおもな危険な偏向は「左」翼日和見主義、つまり閉鎖主義であった。これは、主として国民党がまだ抗日していなかったことによる。
 (一八)蘆溝橋事変のあと、党内のおもな危険な偏向は、もはや「左」翼閉鎖主義ではなく、右翼日和見主義、つまり投降主義の側に転じた。これは、主として国民党が抗日するようになったことによる。
 (一九)四月に延安でひらかれた党の活動者会議のとき、五月にひらかれた党の全国代表会議のとき、とくに八月におこなわれた中央委員会政治局会議(洛川《ルオチョワン》会議)のとき、われわれはすでにつぎの問題を提起した。統一戦線では、プロレタリア階級がブルジョア階級を指導するのか、それともブルジョア階級がプロレタリア階級を指導するのか。国民党が共産党をひきつけるのか、それとも共産党が国民党をひきつけるのか。当面の具体的な政治的任務のなかでは、この問題は、つまり自民党を共産党の主張する抗日救国十大綱領と全面的抗戦にまでひきあげるのか、それとも共産党を国民党の地主・ブルジョア階級の独裁と一面的抗戦にまでひきさげるのか、ということである。
 (二○)どうしてこんなにするどく問題を提起するのか。それはこういうわけである。
 一方では、中国のブルジョア階級が妥協性をもっていること、国民党が実力の面で優勢であること、国民党中央執行委員会第三回全体会議がその宣言と決議のなかで、共産党を中傷し侮辱し、「階級闘争をやめよ」とわめきたてていること、国民党が「共産党の投降」を心からのぞみ、それをひろく宣伝していること、蒋介石《チァンチェシー》が共産党を統制しようとたくらんでいること、国民党が赤軍を制限し弱化する政策をとっていること、国民党が抗日民主根拠地を制限し弱化する政策をとっていること、国民党が七月の廬山《ルーシャン》訓練班〔3〕で「抗日戦争中に共産党の力を五分の三によわめる」陰謀計画をもちだしたこと、国民党が官位、金銭、酒色、享楽で共産党の幹部を誘惑していること、一部の小ブルジョア急進分子に政治的投降の動きがある(その代表は章乃器〔4〕)こと、などの状況がみられる。
 他方では、共産党内の理論水準にでこぼこがあること、多くの党員が北伐戦争時期の国共両党合作の経験に欠けていること、党内に小ブルジョア階級出身者がたくさんいること、一部の党員にこれまでの苦しい闘争生活をつづけたがらない気分があること、統一戦線のなかに国民党に迎合する無原則的な傾向があること、八路軍のなかに新しい軍閥主義の偏向がうまれていること、共産党が国民党の政権に参加する問題がうまれていること、抗日民主根拠地のなかに迎合的傾向がうまれていること、などの状況がみられる。
 こうした両方のきびしい状況からして、だれがだれを指導するかという問題をするどく提起しなければならず、投降主義に断固反対しなければならない。
 (二一)ここ数ヵ月、主として抗戦いらい、共産党の中央および各級の組織では、すでにうまれている、またうまれる可能性のあるこうした投降主義の偏向にたいして、はっきりした断固たる闘争をおこない、必要な予防策をとり、しかも成果をあげてきた。
 政権に参加する問題については、党中央から決議案草案がだされた〔5〕
 八路軍のなかでは、新しい軍閥主義の偏向にたいする闘争をはじめている。この偏向は、赤軍の編成がえがおこなわれたのち、少数の個々のものが、厳格に共産党の指導をうけることをいやがり、個人英雄主義をつのらせ、国民党から任命されることを光栄におもう(任官することを光栄におもう)などの現象としてあらわれている。この新しい軍閥主義の偏向は、人をなぐったり、どなりつけたり、規律をやぶったりするなどの現象としてあらわれる、ふるい軍閥主義の偏向とおなじ根(共産党を国民党の水準までひきさげること)をもち、おなじ結果(大衆から遊離すること)をもたらすものであるが、それは国共両党の統一戦線の時期にうまれたもので、とくに大きな危険性をもっている。したがって、とくに注意をはらい、断固として反対する必要がある。国民党の干渉によって廃止された政治委員制度や、国民党の干渉によって政訓処と改められた政治部の名称は、現在すでに復活している。「独立自主の山岳地帯遊撃戦」という新しい戦略原則を提起し、断固実行しているので、八路軍の作戦上、活動上の勝利が基本的に保障されている。国民党がその派遣する党員を八路軍の幹部にしてほしいという要求を拒否し、八路軍にたいする共産党の絶対的指導という原則を堅持している。それぞれの革命的な抗日根拠地では、おなじように「統一戦線における独立自主」という原則を提起している。「議会主義」的偏向(もちろん第二インターナショナルの議会主義ではない。そういう議会主義は中国の党内にはない)〔6〕を是正し、匪賊《ひぞく》、スパイ、破壊分子にたいする闘争を断固すすめている。
 西安《シーアン》では、両党関係における無原則的な傾向(迎合的傾向)を是正し、ふたたび大衆闘争をくりひろげている。
 甘粛《カンスー》省東部では、西安とほぼおなじ状況である。
 上海では、「よびかけを少なくし、献策を多くする」という章乃器主義を批判し、救国活動における迎合的傾向を是正しはじめている。
 南方の各遊撃区――これは、われわれが国民党との十年にわたる血戦でたたかいとった成果の一部であり、抗日民族革命戦争の南方各省における戦略的支点であり、国民党が西安事変後もなお「包囲討伐」政策で滅ぼそうとし、蘆溝橋事変後はさらにおびきだし政策にあらためてよわめようとしている勢力である――では、われわれの注意力はつぎの点に集中される。(1)無条件の集結(それらの支点をとりのぞこうとする国民党の要求にかなっている)を防止すること、(2)国民党の人員派遣を拒否すること、(3)何鳴《ホーミン》のばあいのような危険(国民党に包囲されて武装解除される危険)〔7〕を警戒すること。
 『解放週刊』〔8〕では、厳正な批判の態度を堅持している。
 (二二)抗戦を堅持し、最後の勝利をたたかいとるためには、また一面的抗戦を全面的抗戦に変えていくためには、抗日民族統一戦線の路線を堅持し、統一戦線を拡大し強化しなければならない。国共両党の統一戦線を分裂させるどんな主張もゆるされない。「左」翼閉鎖主義はひきつづき防止しなければならない。だが同時に、統一戦線のすべての活動は、独立自主の原則とかたく結びついたものでなければならない。われわれが国民党およびその他のいかなる政党とむすぶ統一戦線も、一定の綱領を実行することを基礎とした統一戦線である。この基礎をはなれてはどんな統一戦線もありえず、そういう協力は無原則的な行動となるのであって、投降主義のあらわれである。したがって、「統一戦線における独立自主」の原則を説明し、実践し、堅持することは、抗日民族革命戦争を勝利の道にみちびく中心的な環である。
(二三)われわれがそうする目的はどこにあるのか。一つは、自分がすでにたたかいとった陣地を保持することにある。これは、われわれの戦略的出発点であり、この陣地をうしなえば、なにもかもおしまいである。だが、主要な目的は、もう一つの方にある。つまり、陣地を発展させるためであり、「何百何干方の大衆を抗日民族統一戦線に参加させて、日本帝国主義をうちたおす」というこの積極的な目的を実現するためである。陣地を保持することと陣地を発展させることとは切りはなせない。ここ数ヵ月らい、いっそう広範な小ブルジョア階級の左翼大衆がわれわれの影響下に結集しており、国民党陣営内の新しい勢力も大きくなりつつあり、山西《シャンシー》省の大衆闘争も発展したし、多くの地方では党の組織も発展した。
 (二四)だが、はっきり知っておかなければならないのは、全国では、党組織の力が一般的にいってまだ弱いということである。全国の大衆の力もまだ非常に弱く、全国の労農基本大衆はまだ組織されていない。これらのことはすべて、一方では、国民党の統制と抑圧の政策によるものであるが、他方では、われわれ自身が働きかけなかったか、あるいは働きかけが不十分だったためである。これは、現在の抗日民族革命戦争におけるわが党のもっとも基本的な弱点である。この弱点を克服しなければ、日本帝国主義にうち勝つことはできない。この目的を達成するには、かならず「統一戦線における独立自主」の原則を実行し、投降主義または迎合主義を克服しなければならない。


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