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       軍事一点ばりの観点について

 軍事一点ばりの観点が赤軍の一部の同志のあいだに、非常にはびこっている。それはつぎのような点にあらわれている。
 (一)軍事と政治は対立するものだと考え、軍事は政治的任務を完遂する道具の一つにすぎないということを認めない。それどころか、「軍事がよければ、政治は自然によくなる、軍事がわるければ、政治もわるいはずだ」というものさえいるが、これはさらに一歩すすんで、軍事が政治を指導すると考えるものである。
 (二)赤軍の任務も白軍のそれと似たようなもので、ただたんに戦争をするだけだとおもっている。中国の赤軍は革命の政治的任務を遂行する武装集団であることを知らない。とくに現在では、赤軍は、けっしてたんに戦争をするだけではなく、戦争で敵の軍事力を消滅するほかに、なお大衆に宣伝し、大衆を組織し、大衆を武装化し、大衆の革命政権の樹立をたすけることから、共産党の組織をうちたてることまでのさまざまの重大な任務をになっている。赤軍が戦争するのは、たんに戦争のために戦争するのではなくて、大衆に宣伝し、大衆を組織し、大衆を武装化し、また大衆の革命政権の樹立をたすけるために戦争するのであり、大衆にたいする宣伝、組織、武装化および革命政権樹立などの目標をはなれては、戦争することの意義がうしなわれ、また赤軍存在の意義もうしなわれるのである。
 (三)したがって、組織のうえでは、赤軍の政治機関を軍事機関に従属させ、「軍外活動も司令部で」というスローガンをもちだしている。このような思想が発展していけば、国民党軍隊が軍閥主義の道をたどっているのとおなじように、大衆からはなれ、軍隊で政権を制御し、プロレタリア階級の指導からはなれる危険な道を歩むことになる。
 (四)同時に、宣伝活動のうえでは、宣伝隊の重要性を無視している。大衆を組織するうえでは、軍隊内の兵士委員会の組織を無視し、また地方の労農大衆を組織することを無視している。その結果、宣伝活動と組織活動が、すべて解消された状態になっている。
 (五)戦いに勝てばいばりかえり、戦いに負ければしょげかえる。
 (六)本位主義、すなわち地方の大衆を武装化することが赤軍の重要な任務の一つであることを知らず、あらゆることを、ただ第四軍のためだけから考える。これは拡大された小集団主義である。
 (七)少数の同志たちは、第四軍の局部的な環境にとらわれ、ここ以外には、ほかに革命勢力はないもののように考えている。そのために、実力を保存し、闘争をさけようとする思想が非常に濃厚である。これは日和見主義の残りかすである。
 (八)主体的、客観的条件を無視し、革命のせっかち病にかかり、労苦にたえて、きめのこまかい、地味な大衆活動をやろうとせず、はでにやることばかり考え、幻想でいっぱいになっている。これは盲動主義の残りかす〔1〕である。
 軍事一点ばりの観点の根源
 (一)政治的水準が低い。したがって、軍隊内の政治指導の役割を知らず、赤軍は白軍と根本的にちがったものであることを知らない。
 (二)やとい兵の思想。たびたびの戦いで捕虜が非常に多く、こうしたものが赤軍にくわわり、濃厚なやとい兵の思想をもちこんできたので、軍事一点ばりの観点は下層において基盤をもつようになった。
 (三)以上の二つの原因によって、第三の原因がうまれている。すなわち軍事力を信じすぎて、人民大衆の力を信じないことである。
 (四)党が軍事活動にたいして積極的に心をそそがず、討議をおこなわなかったことも、一部の同志が軍事一点ばりの観点をもつようになった原因である。
 是正の方法
 (一)教育をつうじて、党内の政治的水準を高め、軍事一点ばりの観点の理論的根源を一掃し、赤軍と白軍との根本的なちがいをはっきり理解させる。同時に、日和見主義と盲動主義の残りかすを一掃し、第四軍の本位主義をうちやぶる。
 (二)将兵の政治的訓練を強化し、とくに捕虜出身者にたいする教育を強化する。同時に、組織の面から、軍事一点ばりの観点の根源をよわめ、とりのぞくために、できるかぎり地方政権機関が闘争経験をもった労働者や農民をえらんで赤軍に参加させるようにする。
 (三)赤軍内の党組織や赤軍将兵に影響をあたえるために、赤軍内の党組織にたいする地方の党組織の批判や、赤軍にたいする大衆政権機関の批判をおこさせていく。
 (四)党は軍事活動にたいして積極的に心をそそぎ、討議をおこなう。すべての活動は、党が討議し、決定したのち、大衆をつうじて実行にうつす。
 (五)赤軍にかんする法規を制定し、赤軍の任務、軍事の系統と政治の系統との関係、赤軍と人民大衆との関係、兵士委員会の権限・機能およびそれと軍事・政治機関との関係をはっきり規定する。


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