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 ■ギリシア神話と音楽

 パンの笛の話

 パンは羊飼いの神様で半獣人です。パンは「シリンクス」という妖精を
 好きになりました。しかし、シリンクスは半獣人のパンを怖がり、逃げて
 ばかり。パンが手を伸ばしてやっとシリンクスを捕まえたと思った瞬間、
 川の精に助けを求めたシリンクスは、一束の葦(あし)に変わってしま
 いました。
 悲しみのあまり、パンは何本かの葦で笛をこしらえ、毎日夕方になる
 と美しい曲を葦の笛で吹きました。その曲があまりに美しいので、ギリ
 シアじゅうの神様が胸をざわめかせました。(完)



●この胸が騒ぐような現象を「パニック」と
 呼び、それから音楽とは扇情的なもの
 だと考えられるようになった。

●この物語から、細い管を並べた笛の
 ことをパンの笛、シリンクスと呼ぶよう
 になった。また、この葦の笛はのちの
 「オーボエ」「ハーモニカ」「パイプオル
 ガン」等に発展していく。

 オルフェウス伝説

 太陽と音楽の神アポロンの息子、オルフェウスは、リラ(竪琴)の名手
 でした。オルフェウスがリラを奏でると、木々は頭をたれて耳をすまし、
 鳥や獣達は森の奥から出てきて聴き入りました。
 オルフェウスにはエウリディケという美しい妻がいましたが、エウリディケは
 ある日、毒蛇にかまれて死んでしまいます。

 オルフェウスは悲しみに耐えかねて、妻を取り戻そうと黄泉の国に向か
 いました。幾多の困難を乗り越えて、やっと黄泉の国の王様に会うこ
 とができ、リラを演奏しながら妻を帰してほしいと激しく頼みます。
 王様はオルフェウスの演奏が大変すばらしかったので、心を動かされ、
 望みを叶えてやることにしました。しかし、「黄泉の国を出るまでは、
 絶対に妻を見てはならぬ」というのが約束でした。
 オルフェウスは喜んで約束を守りました。
 あと少しで人間の国に着く頃、
 ようやく太陽の光がさしてきました。
 ここまでくれば大丈夫と、うれしさのあまり、
 オルフェウスはついふり向いて妻を見てし
 まいます。すると、そこに居たのは見るも
 無残に朽ち果てた妻の姿でした。(完)

 ●「困難を乗り越えても、なお困難が待ち受ける人間界」、「気のゆるみに
  勝てない弱い生き物=人間」を端的に表現したこの「オルフェウス伝説」
  は、その後、多くの作曲家がオペラの題材として取り上げた。
   ・モンテヴェルディ→1607年 オペラ 「オルフェウス」
   ・グルック→1762年 オペラ 「オルフェウスとエウリディケ」

 ●今世紀までにもオルフェウスを基にした映画、ミュージカル等多数あり。
   ・ジャン・コクトー監督 1951年 映画 「オルフェ」
   ・マルセル・カミュ監督 1959年 映画 「黒いオルフェ」
   *「黒いオルフェ」はボサノバの巨匠アントニオ・カルロス・ジョビンが
    音楽を担当し、テーマの「黒いオルフェ」はスタンダードナンバーに。

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