◇セレナード シューベルト 3分16秒
| Standchen Schwanegesang D.957 F.P.Schubert |
| セレナード 〜歌 曲集「白鳥の歌」D.957 作 曲 F.P.シューベルト |
夜の闇をぬけて私の歌は 密かに君に呼びかける あそこの静かな森に下りて 恋人よ私の許においで ほっそりとした梢は 月光の中にざわめいている こっそり立ち聞きする人など 愛するものよ恐れることはないよ ナイチンゲールの鳴くのが聞こえるかい ああ あれは私にかわって 甘い悲しみを込めた声で お前に呼びかけている ナイチンゲールは私の胸の憧れを知り 愛の悩みを知り 銀のような声で 感じやすい心を揺り動かすのだ おまえも心を動かしておくれ 私の声をお聞き 私は胸ときめかせておまえを待っている 来て私を幸せにしておくれ (H.F.L.レルシュタープ 作詞) |
「セレナード」は、シューベルトのリート(歌曲)のなかで最も有名なもののひとつで、 メロディの清純で思いを込めた静けさは無類の美しさを放っている第一級品です。 (ピアノの伴奏はギターもしくはマンドリンの伴奏を模している) ウィーンの楽譜出版者ハスリンガー(1787−1842)はシューベルトの死後半年 たった1829年5月に、シューベルトがこの世を去った年の8月に作曲した13曲の リートと、10月に作曲され、たぶん彼の最後の曲ではないかと想像される「鳩の 使い」の合計14曲をひとまとめにし、それに『白鳥の歌』というタイトルをつけて 出版しました。 つまり、この曲集は連作歌曲ではなく、また、シューベルト自身このような形に まとめられたことも、『白鳥の歌』などとつけられたこともまったく知らずに亡くなり ました。白鳥は平常は決して鳴かず、ただ死の直前に鳴くという俗説に従って、 故人と故人の仕事を回想させようという商策だったそうです。 『白鳥の歌』の14曲中、この「セレナード」は第4曲に入ります。第1曲から 第7曲まではレルシュタープ(1799〜1860)の詩です。レルシュタープの詩は ベートーヴェンが作曲するつもりになっていて、彼の死後、遺品の中からその詩集 がシントラー(ベートーヴェンの弟子であまり信憑性のない人ともいわれる)により 見出され、それがシューベルトの手に渡ったという話しもあるそうですが、真偽の程 はわかっていません(第8曲以降は、ハイネ(1797〜1856)の詩による)。 『白鳥の歌』は上記のような事情から、はじめから各曲別個に作曲され、連作 として意味を持つものではないので、曲集としての一貫した特色はないようです。 しかし、これらはすべてシューベルトの最後にたどりついたリートの様式で、音楽の 言葉への強い傾斜、密着があり、一方では洗練され明快簡素な作風も交え、 ロマン主義リートを強力に牽引(けんいん)するものとして大きな意味を持ちます。 ◆『セレナード』 『小夜曲』の意。夜、戸外で歌い奏でられる音楽全般を指す。主に恋人の 窓辺で歌われる恋の歌。持ち運びやすいギター等を伴奏楽器とし、単純で 美しいメロディを持つ。オペラのアリアや演奏会用歌曲に数多くの例がある。 ◆白鳥の歌 D957 第 1曲 愛のたより 第 2曲 兵士の予感 第 3曲 春へのあこがれ 第 4曲 セレナード 第 5曲 わが宿 第 6曲 遠い国で 第 7曲 別 れ 第 8曲 アトラス 第 9曲 彼女の姿絵 第10曲 漁師の娘 第11曲 都 会 第12曲 海辺で 第13曲 影法師 第14曲 鳩の使い ( |