ジュ・トゥ・ヴー/おまえが欲しい サティ 5分16秒


Je te veux   E.A.L.Satie

ジュ・トゥ・ヴ-/おまえが欲しい    作曲 E.A.L.サティ
  あんたが欲しいの(女性版) おまえが欲しい(男性版)

 あんたの苦しみ あたしにもわかるわ
 愛しい恋人よ
 だから、あんたの懇願にカブトをぬぐわ
 どうかあたしを彼女にしてね

 思慮分別も向こうへおしやり
 悲しみなんかもはやない
 あたしはとっても憧れる
 二人で幸せなあのときを
 あんたが欲しいの

 あたしは少しも悔やまない
 望みはたった一つだけ
 あんたのそばで すぐそばのそこにいて
 ずっと生きること

 どうかあたしの心があんたの心に
 あんたの唇が私の唇となりますように
 あんたの身体があたしの身体に
 あたしの肉体のぜんぶが
 あんたの肉体となりますように

 あんたの苦しみ あたしにもわかるわ・・
 そう、あたしはあんたの眼の中に
 神聖な約束を読んでいる
 あんたの恋する心は
 あたしの愛撫を求めにくるから

 永遠にいだきあい 同じ炎に燃えたって
 愛の夢の中で交換しましょう
 あたしたち二人の魂を

 あんたの苦しみ あたしにもわかるわ・・


黄金の天使、陶酔の果実
 眼の魅力
許しておくれ、おまえが欲しい
 俺の恋人になっておくれ

俺の苦しみを鎮めるために
来ておくれ おお、女神よ
俺は強く憧れる、二人して幸せな
あの貴重なときを
おまえが欲しい

おまえのすばらしい髪の毛は
おまえを後光で飾る
その優雅なブロンドは
偶像のブロンドだ

どうか俺の心がおまえの心に
おまえの唇が俺の唇となってくれ
おまえの身体が俺の身体に
俺の肉体のぜんぶが
おまえの肉体となってくれ!

黄金の天使 陶酔の果実
そう、俺は読み取る
おまえの眼に神聖な約束を
もう怖がらないでほしい
おまえの恋する心が俺の愛撫を

永遠にいだきあい 同じ炎に燃えたって
愛の夢の中で交換しよう
俺たち二人の魂を

 黄金の天使 陶酔の果実・・・




 ポーレット・ダルティ
 「あんたが欲しいの」
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 “歌うワルツ”の副題を持つ『ジュ・トゥ・ヴー(あんたが欲しいの)』は、サティが
 34歳(1900年)のとき、シャンソニエ、アンリ・パコリの作詞に作曲しました。
 もともとは当時、【スロー・ワルツの女王】といわれた花形シャンソン歌手、
 ポーレット・ダルティのレパートリーとして盛んに唄われた曲(サティは彼女の
 ためにこの曲を作曲)ですが、のちに男性版も歌詞を変えて作られました。
 また、サティ自身の手でピアノ編曲版も作られ、ピアノ独奏用には歌曲には
 ない部分が含まれ、楽曲は拡大されています。

 サティは20歳頃から文学酒場(カフェ)「黒猫」や「旅籠屋”釘”」などでピア
 ニストをして生計を立てていました。1900年〜03年にかけて、この「おま
 えが欲しい」をはじめシャンソンやポピュラー音楽の作曲を続け、一説による
 と、その数は未出版のものを含めて60曲以上あるといわれています。

 サティはこうしたシャンソンや、ミュージックホールとか、カフェなどのために作曲
 された音楽を『おそるべき粗悪品』と呼んでいました。しかし、サティ自身は
 このような世界に身を置いて作曲することを愉しんでおり、決して手を抜いた
 『粗悪品』として作曲したりすることはありませんでした。

 かくして「おまえが欲しい」はサティのシャンソンの中で最も有名な曲になりまし
 たが、なんとも魅力的で粋な作品ですね。透明でサラッとした音楽に、こんな
 濃厚な歌詞がついているとは。(シャンソン、奥深し・・)


上の画像:カフェ「黒猫」のポスター(一部)

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MIDI:Reinmusik