10ホールズの音配列

10ホールズハーモニカを買って、音の並びについて不思議に思った方、多いのではないでしょうか?
10ホールズの音配列は他と比べてもかなり特殊なので、じっくり説明したいと思います。

1オクターブ目は和音重視の配列

・10ホールズの音配列

穴番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
吹く音
吸う音 ファ ファ

これが10ホールズの音配列です。音域は3オクターブあります。半音(♯や♭)はないので、基本的に1つの音階しか吹けません。ほとんどのモデルは12調子のハーモニカが用意されているので、曲に合わせてハーモニカを持ち替えるというのが、一般的な使い方です。
ちなみに、このようなハーモニカを、ダイアトニックハーモニカといいます。

音の並びについて説明します。
ハーモニカは、原則的には「ドミソ」が吹く音、「レファラシ」が吸う音です。これは有名ですよね。

ですが、10ホールズはこの原則に従っていません。1オクターブ目(1~3番穴)を見てください。吸う音に、「ファ」と「ラ」がなくて、「ソ」が入っています。なぜでしょうか?

これは、ガバっとくわえて吸った時に、「レソシ」の和音を出せるようにするためです。
(これは「5度:ドミナント」の和音と言って、曲の中にとても多く出てきます。)
1オクターブ目は和音重視の配列という事ですね。

そして、2オクターブ目以降は、ハーモニカの原則に従っています。吹く音は「ドミソ」、吸う音は「レファラシ」が並んでいますね。ただし、「ドミソ」は3つ、「レファラシ」は4つですから、3オクターブ目から吹き吸いの音がズレていきます。

なぜこのような配列になったかは、いくつか説があるようで、楽団で正しい和音を聞くための調子笛だったとか、オルガンを作るための調子笛だったという話を聞いた事があります。

ベンド奏法によって出せる音

上記の表では、普通に吹いて出せる音を示しましたが、10ホールズで出せる音は、実はまだたくさんあります。
「ベンド」という音を下げる奏法を使うと、上記の表にのっていない音を出す事ができるのです。
下の表を見て下さい。

・ベンドを使って出せる音

穴番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
吹く音
ベンド レ♭ ファ
ソ♭
ラ♭

シ♭
レ♭ ラ♭ ミ♭ ソ♭
シ♭
吸う音 ファ ファ

赤字がベンドで出せる音です。
ベンドを使えば、1オクターブ目でも、ドレミファソラシドが吹けて、さらにいくつかの半音を出す事ができます。

ベンドに関して、以下の2点を知っておくと良いと思います。

1.同穴の2音のうち、高い方でベンドを使う事が出来る。
なので、1~6番穴の吸い音、7~10番穴の吹き音でベンドする事が出来ます。
2.ベンドによって、同穴の2音の間の音は出す事が出来ます。
例えば1番穴は「ド」と「レ」の間の「レ♭」、2番穴では「ミ」と「ソ」の間の「ファ、ソ♭」を出せます。

これはぜひ知っておいて下さいね。出来ない所でひたすら練習しても、徒労に終わってしまいますので。

ブルースでの使われ方 ~ クロスポジション奏法

10ホールズでブルースを演奏する時、少し変わった使い方をします。

10ホールズは基本的には1つの音階を吹くように作られているので、曲のキーによってハーモニカを持ち換える必要があります。この時、Cの曲にはCのハーモニカを、Fの曲にはFのハーモニカを使うのが普通だと思いますよね?
フォークソングの弾き語りなどで使う時は、確かにこれでOKです。

でもブルースでは、曲に対して、4度上のハーモニカを使う事が非常に多いです。。
例えば、CのブルースにはFのハーモニカ、AのブルースにはDのハーモニカを使います。そうする事によって、あのブルージーなフレージングが可能になるのです。

このように、一本のハーモニカで色々なキーの曲を演奏する事を、「クロスポジション奏法」といいます。ポジションには色々あって、曲と同じキーのハーモニカを使うのは、「1stポジション」、曲に対して4度上のハーモニカを使うのは、「2ndポジション」と呼ばれています。
この2ndポジションは、ホントにブルースに良く合っていて、10ホールズがブルースのために作られたのではないかと思ってしまうほどです。

・2ndポジションの対応表

曲の
キー
D♭ E♭ F♯ A♭ B♭
10Hの
キー
F♯ A♭ B♭ D♭ E♭

この他にも、ブルースに限らず、マイナー曲のキーに対して2度下のハーモニカを使う「3rdポジション」や、同じくマイナーキーの短3度上を使う「4thポジション」などもあります。詳しくは教則本などで調べてみて下さい。


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