日々好日
 よい絵というのは見る人に感動を与える絵のことを言う。鑑賞者はさまざまなレベルの鑑賞眼をもっているのでどこに合わせたらよいのか判断に迷うわけであるが、プロをめざすならその道の専門家が認めるレベルに合わせるべきだ。素人のレベルで満足していては進歩が望めない。そのためには、いろいろな絵に接して自分のレベルを高める勉強が必要だ。日本画だけでなく洋画にも精通して、絵画全般を研究する必要がある。日本画だけしか知らないというのは、レベルが低い段階だ。長い作家生活を続ける意志があるなら必要条件として研究したい。洋画を実際に描けというのではなく、洋画の絵ごころを理解して幅広い鑑賞眼を身につけるということである。日本画と洋画の画材の扱い方や主題の違いや表現の違いなどを知って取り組むことが次ぎのステップにつながり、レベルを高めることにもなる。この両方を知ることにより、絵画全般についての造詣を深める結果にもなる。その勉強をしないでも作品は造ることはできるが、ダイナミックな創造性のある作品は望めない。絵画全般について知ることは、今、生きている時代の絵が描けるということだ。習いはじめの頃は、明治時代や大正時代の絵を描いていてもその古さに気づきもしなかったと思うが、絵画全般の造詣が深まっていくと、知らずのうちに気づくようになってくる。今、生きている時代の絵を描かなくては駄目だ。ただ、きれいに描けているとか、写真みたいに描けているというのは、まだ、レベルが低い。きれいに描くとか写真みたいに描くは、絵画の技術としては必要な条件ではあるが、十分ではない。それを超えたダイナミック性が、絵画には必要だ。ダイナミック性というのは、発想のよさとか大胆さ、迫力、ムーブマン、活力などの情動性の高いものを指す。古典を乗り越えた、新しい創造を作品づくりに生かすことが大切である。このことは、作品を造っていれば自然と身につくというものではない。いろいろな絵を鑑賞して、鑑賞眼を養うと同時に、絵に関する書物を読んで絵画論を深める必要がある。絵から作者の思想がはっきり読み取れるような絵がハイレベルだ。絵は理屈ではないとよく言うが、必ずしもそうではない。理屈を絵には入れることはできないが、形と色で作者の思想を入れることはできる。いい絵は必ず、作者の思想が表現できている。思想のない絵は、レベルとして低い。絵は言葉を超えた表現ではあるが、自分の作品については言葉で言い表すぐらいの批評知識がないと駄目だ。自分の作品を言葉で客観的にとらえることができれば、ハイレベルのところにいると言える。作品を造って、後は、批評家や鑑賞者に任せたというのは作者の思想のない証拠だ。認めれられるか、認められないかは別問題ではあるが、自分の作品に対する考えはしっかりしたものを持っている必要がある。しかしながら、見る人にいちいち説明しないと理解してもらえないような作品では駄目だ。心の中にしっかりとした絵に対する考えを持っていることが大切だということだ。誰でも何枚か絵を描いているうちには、1枚や2枚の傑作はできるものだ。しかし、プロを目指すならこれでは駄目だ。前にも言ったが100枚描いたら99枚は、いい絵でなければプロとは言えない。そのためには、絵に対して確固たる思想が根底になければならない。ピカソの絵には確固たる思想があるから、世界のプロ達があこがれる理由だ。彼は、生まれながらの才能の他、たゆまない努力と、新しい創造の実践を終生続けてきたから、あれだけのすばらしい業績を残すことができた。彼は批評家もびっくりするくらいの批評眼を持っていたと言われている。自分の作品についての分析を常にしていて、作風を次から次へと変え、時代の先取りをした作品をいつも造っていた。ピカソに関する逸話で、「ピカソには自分の作品を見せたくない。」という話があった。これはどういうことかと言うと、ピカソは他の作家のよいところをすぐに自分のものにしてしまうところがあって、画家達にとっては自分の技術を抜きとられてしまうのではないかという心配があったようだ。この逸話にあるようにピカソは批評眼が高かった証拠でもある。日本画とピカソはあまり関わりがないように思えるかも知れないが、絵をやる者にとっては一度はピカソを通り越さねばならない。これも必要条件のレベルと考えてもよいと思う。絵の習いはじめは、写真のようにきちんと描けるようにしたい。これはレベル1。次に長く追求できる主題を見つけたい。これはレベル2。絵画全般についての知識を深めることを目指したい。これはレベル3。そして団体展で会員以上になること。これはレベル4。プロと言えるような画家になることを目指す。これはレベル5と言うようにレベルアップしたいものだ。              
 
                               平成18年3月7日(火)記  
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