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本の紹介

こちらでは管理人が読んで面白いと思った本などを不定期に紹介してゆきます。文学書からナンジャこりゃ!といったものまで出来るだけ多ジャンルでご紹介してゆこうと思います。



『僕が日本を選んだ理由』 ピーター・フランクル 著 (集英社)
数学者であり大道芸人としても活躍するピーター・フランクル氏の自伝。氏は1953年ハンガリー生まれ、79年社会主義国だったハンガリーからフランスに亡命し、88年に日本に在住するまで世界各国で数学の研究をする。本書は世界を飛び回り日本に行き着くまでの経緯、恋愛のこと、世界の数学者たちや大道芸を通じて出会った人々との交流、マスコミに登場するようになるまでの様子が記されている。世界と日本を行き来するうちに日本を深く愛し、定住を決めるまでの思いが伝わってくる。氏は数学者として評価され大道芸の腕も確かなものなのだが、大学の教授となって研究したり劇団などと契約して芸をするといったことはないという。なにより自分の人生を楽しむことが重要なのであり「数学の研究はしたいが特定の研究機関に所属しなくてもノートとペンがあれば足りる」、「大道芸は街の中でお客さんに参加してもらって一緒にやる方が楽しい」と氏は語る。父親の「おまえの財産は頭と心だよ」という言葉を大切にしており常に自由に数学の研究・大道芸に打ち込める環境を優先している様だ。金銭に困窮しているような場合でもその姿はすがすがしい。生き生きと変化に富んだ人生を送り、何事にも情熱を持って取り組む氏のものの考え方、価値観が窺える。世界各国を滞在してきた氏の日本観、日本人観も大変興味深い。自分の視野、世界が拡がる思いがする書です。  
04/11/30掲載



『BC!な話 あなたの知らない精子競争』 竹内久美子 著 (新潮社)
人間の性に関する事柄に動物行動学の面からアプローチする科学エッセイ。題名の『BC!な話』とは Biologically(生物学的に) Correct(正しい)の略。ドキッとする題名を付けるなあと感心してしまう。
一般に動物の生殖行動はTV番組やあるいは学校の教育の場などで度々紹介されている。ある種の昆虫は雄が餌となる別の種の昆虫を捕らえて団子を作り雌に贈りものをするだとか、コオロギやセミ、多くの鳥類は雄が綺麗な音色を奏で雌はどの雄をパートナーにするか選ぶ、等の話はどなたも耳に入れたことがあるのではないだろうか。但しその話題の対象が人間になるととたんにその雰囲気は変わってしまう。
本書は男女の無意識に取っている戦略を解き明かそうというものだ。私が特に印象に残ったのは若い女性はなぜ痩せたがるのか、マスターベーションの真の意味は何かの二つ。女性と男性の生物学的な観点から見た一番の違いは子どもを産むことだが若い女性はこの一点において痩せたがるらしい。あまりの肥満体は別として体脂肪率の高い女性ほど妊娠しやすく、健康な子を産みやすいことが知られている。つまりは脂肪を蓄えている事は妊娠しやすい状態ですよと外(異性)に向かってアピールしている訳である。結婚もせずに妊娠しても、また仮に子を産んだとしても育てる環境が整っていないならば適当な時期が来るまで妊娠するのは避けた方が賢明だ。限られたエネルギーを有効に使うため若い女性は妊娠を避けて細身を目指しているのだと著者は叙述する。
もう一つのマスターベーションは欲求不満の男性が仕方なしなし行うものだと認識されているところがあるが実際はこれも多くの動物に共通する戦略。サルだったか(忘れました)群のボスがマスターベーションしているのを見た動物学者が「ボスなら交接相手に困ることはないはず、何か意味があって行っているに違いない」と考え調べたところ、定期的にマスターベーションを行うことによって古くなった精子を体外に出した方が次につくられる精子の運動能力が上がっているということが分かった。より質のいい精子を送り出すための工夫だったのだ。
数の少ない珍種ではなく人間を研究対象としており「ああ、そうだったのか」と思わず目から鱗が落ちる思いがする書。きちんとしたデータの裏付けもあり確証の元に書かれたと感じられる。科学とは日頃縁がないという方にも面白く読めるのではないだろうか。ファーブルのような昆虫少年のためだけに動物行動学があるのではないと言ってくれそうな書物だ。  
04/10/27掲載



『夫婦茶碗(めおとぢゃわん)/人間の屑』 町田康 著 (新潮社)
パンク歌手、俳優、詩人としても活躍する町田康の『夫婦茶碗/人間の屑』をご紹介。両作品とも仕事を持たず、毎日ぐうたらして遊ぶように過ごす男を主人公にした中篇小説。仕事をもたないゆえ金銭に乏しく、しかし働く気にもなれない男の生活の様子がコミカルに描かれる。私が「おぉっ、面白い!」と感じたのは町田氏の書く非常に軽快な文体。
『鞄、手袋、金銀財宝。虚飾の極みを極めた、百貨店のフロアーでわたしは妻に、「なんでも好きな物を買ってやるから買いなさい」と鷹揚に宣言して反っくり返った。妻は「あら、よろしいんですの」と、喜んで、これだよ、これ。情熱だよ。と内心得意の絶頂、さらに反っくり返っていると妻はエレベーターの方にすたすら歩きだしたので、通常の姿勢に戻って、自分は小走りに後を追った。』(夫婦茶碗より)
非常にテンポよく流れる中にも文章の折り目正しさが際立っている。主人公の男の失敗談がえんえんと続くのだが、その様子が非常に滑稽に感ぜられ何度も笑わされた。描かれる生活は貧しいもののはずなのに雰囲気が暗くならないのは展開の切り返しの巧みさと登場人物に荒んだ性質が備わっていないため。本に巻かれる帯の謳い文句、
『恥と挫折まみれのダメ人生を笑いのめす最高小説集!金がなく職もなく潤いすらない無為の日々。そんな私に人生の茶柱は立つのか!?』
はこの作品を上手に要約しているように思われる。チャップリンの映画を落ち込んだときに観て、ささいな事を気にしている自分を笑いとばすことにしている、というひとの話を聞いたが同じような感覚でこの小説を読んでもいいかもしれない。お勧めの一作。  
04/10/20掲載



『オール・アバウト辛酸なめ子 処女☆伝説』 辛酸なめ子 著 (洋泉社)
なにやら怪しい題名のついている本ですが成人向け雑誌ではございやせんのであしからず。漫画家、イラストレーターとして活躍する辛酸なめ子さんの歴史生い立ち、学生時代の写真、作文、友人から見た等身大なめ子像等記した解体新書的読本(漫画やイラストは少ない)。
ブラックユーモアとまるで子供が描いたような画が特徴的な作家。脈絡のない展開の作品ばかりで彼女の描く画を正視することに抵抗を感じる。香山リカ曰く、「未成熟なのか老成したのかわからない。その中間のセクシー系の女性っぽさが抜け落ちている」とのこと。私も全く同じ印象を受けた。ヘタウマとも違う画には今にも崩れそうなアンバランスさが窺えて怖さすらも感じられる。辛酸なめ子さんの漫画は恐ろしくて簡単に好きと言えないがこの本は非常に面白かった。自虐的ともあざといとも感じられるペンネームとは裏腹に実際の彼女は大変なおしとやかな女性である様子。内向的で大人しく、非常の読書家で礼儀正しいのが小さい頃から変わらない特徴と紹介されている。写真を見ても身なりを整えた大人しそうな女性という印象を受ける。外見からはブラックユーモアや壊れそうな表現を思わせないが平均的な人から着想がかけ離れていることは容易に見て取れる。
彼女の変わった性癖が細かく紹介してあるのも面白かった。「礼儀正しく公園で2歳の子供にも敬語で話していた」や「異性には控えめで世の男性を殿方と呼んでいた」、「笑いじわが嫌だからできるだけ無表情を心がける」、「他人が見ないような事まで注意し、高校時代の初デートの様子を待ち合わせた店から相手の着ていたTシャツの柄まで友人に手紙に書いた」、「一日の尿の回数を友人と報告し合った」など。
色々と他人と変わったところの多い人間のようだが彼女はその差異に全く平気という訳ではないらしく自虐的な作品はかなり多そうだ。以下ナメリの名で書いた詩「笑いじわ」から。
『…私の顔からは笑い神経が取り除かれた/談笑する友人たちの中に/笑わない能面女が一人/しらけた蜘蛛の糸から逃れるように/一人、二人と友人が去っていった/鳴らない電話/ゼロkbのメールボックス/友達の輪のまわりをぐるぐる回る私は寂しい冥王星/キリストは生涯一度も笑わなかった/しかしそれは聖人君子だから許されるコト…』
辛酸なめ子が書いたコラムも記載されているのだがそこでも文才を見せている。どこまでも一般的という所から離れてしまっている辛酸なめ子の世界を是非一度ご賞味あれ。

>> 辛酸なめ子(/池松江美)の公式サイト
04/10/20掲載


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