
「また来週」ということは、これは毎週やってるのかと思って、先週と同じ曜日同じ時間同じチャンネルのテレビをつけた。
すると、そこにはやっぱりアレが映っていた。
「Mahoo!テレビショッピング2」
written by ユラ
「はい皆さんごきげんよう。Mahoo!テレビショッピングのお時間がやって参りました。司会の福沢祐巳です」
「ごきげんよう。アシスタントの島津由乃です」
「ごきげんよう。アシスタントの藤堂志摩子です」
あれ? 祥子さんがいないぞ? 代わりに祐巳の友人達が。
「本日はお姉さまがお休みなので、由乃さんと志摩子さんにお手伝いに来てもらいました。拍手!」
今日は祐巳がメインか。なんかすんごい心配だな。そうか、そのために由乃さんや志摩子さんがいるのか。
「祥子さまは急な頭痛でお休みですってね」
「そうなんです。残念ですよね。今日は食品特集でしたのに」
祥子さん先週は酷い目にあってたからなぁ。降板じゃなくて休みということは、一応続ける気はあるんだ。
「さて、本日は食品特集ということなので早速商品のご紹介に参りたいと思います。本日最初の商品は眠気スッキリのガムです」
「ガム…なの祐巳さん?」
一応ガムは食品と言えば食品だけど、なんか微妙だな。志摩子さんが首を傾げるのも無理はない。
「そうなんですよ。このガムは一粒噛めば眠気なんてたちまち吹き飛んでしまう優れものなんです。実は私は昨日から一睡も
していません」
そういえば祐巳は自分の部屋で夜通し何かやってたな。しかも何かがたごと五月蝿かったし変な声も聞こえてきたし。
「徹夜で何やってたの?」
「秘密」
「祐巳さん何をやってらしたの?」
「秘密…ニヤソ」
なんだなんだ今の「ニヤソ」って。怪し過ぎるぞ祐巳。
「では、試しに私が一粒いただいてみます」
祐巳は包装紙をむいて緑色のガムを口に放り込み、もぐもぐと咀嚼する。
「きたぁぁぁぁ!!」
何がきたんだ? 三途の川へのお誘いか?
「「祐巳さん!?」」
おいおい。友人達がちょっと引いてるぞ祐巳。もっと考えてリアクションとれよな。
「今の私のリアクションをみていただければ、いかにこのガムがすごいかお分かりいただけたかと思います」
分かんねえよそれじゃあ。祐巳の顔が面白かっただけだし。
「祐巳さんそれじゃ分かんないよ」
「ごめんなさい。私にもよく分からなかったわ」
「あら? 仕方ないですね。それでは、由乃さんと志摩子さんもどうぞ召し上がれ」
はい、と各人の手に一粒ずつガムを配る祐巳。渡されたガムの包装紙をむいてを恐る恐る口にいれる二人。
「「きたぁぁぁぁ!!」」
っておい! 二人とも同じリアクションだよ!!
「すっごく強烈な味がするねこのガム。舌がぴりぴりして痛いし」
「私、この味好きかもしれないわ。ただちょっと刺激がきつすぎる気がするけど」
「これギンナン味のガムだから志摩子さんにはぴったりだね」
ギンナン味のガム? またギンナンかよ! もうちょっと他の味は無かったのか。ミント味とか。
「これで眠気はとれるようなとれないような。そうだ、これ、何かの罰ゲームみたいだよね」
由乃さんには不評なようだ。俺もそんな罰ゲームみたいなガムはいらないや。
「祐巳さん。もう一粒いただいていいかしら?」
一方志摩子さんには割と好評なようだ。でも、志摩子さんみたいな人は例外かもしれないな。
「では、お値段のほうに参りたいと思います。眠気スッキリガム『ギンナンの夜』は十二粒入りまして八十八円と大変お買い得です」
「私はいらないなぁ…」
「祐巳さん、後でボックス買いするから用意しておいてくださらないかしら?」
俺はいらないや。ギンナン味のガム。
「さて、次にご紹介するのはこんにゃくうどんです。最近美味しいものがいっぱいで、太りすぎに悩んでいる方や、ダイエットをお考えの
方にはもってこいの商品なんですよ」
「どこがどうもってこいなの?」
「はい、これは一袋に二百五十グラムも入ってますので食べ応えは抜群ですし、さらには、なんと一食あたり九キロカロリーしかなく、
付属のおつゆを全部飲んだとしても四十一キロカロリーしかないためカロリーが気になる方には是非お勧めしたい商品なんです」
「へえ。そんなにカロリーないんだ」
すごいカロリー低いなこれ。茸クラスに低い。
「付属のおつゆはメーカー独自の味付けで、うどんと申しましてもこんにゃくでできていますので、時間が経っても伸びません」
「祐巳さん。うどんのおつゆにはどんな味があるのかしら」
「では、由乃さんと志摩子さんいは実際に召し上がっていただきましょう。シェフカモン!」
と、祐巳がパチンと指を鳴らすと、どんぶりを二つ乗せたお盆を両手に真っ白な調理服に山高帽がピシッときまっているが令さんが、
セットの右端からうどんを運んでいる。
「令ちゃん!? なんでここにいるの??」
「やあ由乃。今日はね祐巳ちゃんのお手伝い。はい、これ召し上がれ」
二人の前に出来たてほやほやのうどんが二つ置かれる。立ち上る湯気がなんとも食欲をそそるのだが、祐巳がいやに笑顔なのが気になる。
令さんがセットから退場し、
「「いただきます」」
割り箸を割ってこんにゃくうどんを食べ始めた二人だが…
「祐巳さん。これ何?」
「本当に何なのかしらこの味? 不味いとまでは言わないんだけど…」
二人とも軽く眉間に皺が寄っている。少なくとも美味しくはなさそうだ。
「今、由乃が召し上がっているのはマグロの刺身味で、志摩子さんが召し上がっているのはいかそうめん味なんですよ」
マグロの刺身味? いかそうめんあじ? ってなんだそれは! 今日の商品なんかへんだぞ祐巳!
「ささ、どうぞおつゆの方も飲んでみて下さい」
しぶしぶながらといった様子でつゆを飲む二人。そのお味は?
「志摩子さんどんな味する? 私はマグロジュース」
「私のはいかジュ−ス」
魚介類のジュ−スって美味しいのか? 買ってきたマグロの刺身をミキサーにかけて試してみるのもアレだしな…。
「よほどのことが無い限り食べたくないよね、これ」
「私もそう思うわ」
二人とも不評なようだ。てか、やっぱ今日の商品おかしいぞ。お目付け役の祥子さんはやはり必要だということか。
「では、お値段のほうに参りたいと思います。カロリーがほとんど気にならないダイエットこんにゃくうどん『サドンインパクト』は、
一袋に二百五十グラム入ったものを、マグロの刺身味といかそうめん味を七袋ずつの計十四食をセットにいたしまして、
二千円ぽっきりと大変お買い得です。カロリーが気になる方や三段腹が気になる方には是非お勧めします」
いらない。これもいらない。こんな嫌がらせみたいなうどん。
どんぶりを回収しに令さんがまた現れた。すると…
「ちょっと令ちゃん!!」
凄い剣幕で由乃さんが怒鳴る。やはりどこかに怒りをぶつけないといたたまれないんだろう。
「どうしたの由乃?」
「どうしたもこうしたもないわよ!! 何よこのうどん。なんでこんな変な味なのよ!」
おろおろとうろたえる令さん。一応番組生放送なんだけどいいのかこれ?
「何って言われてもね… ただ私は調理しただけだし…」
「もういいわ!! 早くこれ下げて!」
令さんもいろいろ大変なんだな。
「さて、次にご紹介する商品は青汁です」
「青汁ぅ?」
露骨に嫌な顔をする由乃さん。俺も飲みたいとは思わない。
「はい青汁ですよ。今回ご紹介する青汁は一般に市販されているものとは違うんですよ。メーカーの必死の努力によって、従来の青汁
よりもはるかに摂取しやすいように改良に改良を重ねた商品なんです」
「祐巳さん。どれぐらい飲みやすくなったのかしら」
お? 志摩子さんはちょっと興味がある様子。でもその若さで青汁の世話にならないといけないほど不健康にはとても思えないが。
「具体的な数値で言うと百三十億ベターぐらいかな?」
なんだその「ベター」っていう単位。そんなもの聞いたこと無いぞ。
「百聞は一見にしかずということで実際にお二人には飲んでいただきましょう。」
「私いらない!」
由乃さんは断固拒否の構え。それに対して祐巳は…
「由乃さんこれな〜んだ?」
由乃さんだけに見えるように何か写真らしきものを見せるや否や、由乃さんの顔は一気に血の気が引き青白くなった。
「ちょっと、これ誰が撮ったのよ…」
「秘密。飲まないとこの写真を新聞部に横流ししちゃうけどいいのかな? かな?」
「参りました。飲ませていただきます」
瞬殺。あまりにあっけない決着だった。あの由乃さんを一撃で黙らせるあの写真には何が写っているんだろうか。
「Camon社製デジタルカメラ『激写蔦子百式』は好評発売中です。さてさて、青汁カモン」
と、祐巳が指をパチンと鳴らすと濃緑色の液体が入ったグラスを二つ乗せたお盆を令さんがまた運んでくる。
「はい、召し上がれ」
とんと二人の前にグラスが二つ置かれた。
「……………」
「いただきます」
二人は青汁に口をつけた。また、祐巳がにやにやしてる。怪しいことこの上ないな。
「うへっ!! なにこれ??」
由乃さんがすごく苦しそうだ。
「味は普通だけどこれってもしかして…」
「はい、そうなんです。この青汁はシェイク状になってるんです」
シェイク状の青汁… 飲みやすいのかそれ? むしろ気持ち悪くて仕方が無いような気がする。
「うわぁ気持ち悪いよこれ」
ほとんど涙目の由乃さん。給食残して昼休みなっても食べさせられてる小学生みたいだな。給食食べなきゃ遊びにいけない。
「ごちそうさま」
こくこくと青汁を飲み干した志摩子さん。「不味い! もう一杯!」な青汁を飲み干すとは強者だな志摩子さん。
「さすが志摩子さん。素晴らしいです。あとでこの写真差し上げますね。では、お値段のほうに参りたいと思います」
「ちょ、ちょっと祐巳さん!?」
「青汁も飲まれへんやつに発言権はないんじゃい!!」
ヤクザばりの凄味を効かせて威圧する祐巳。おい、まだ黒くなるつもりか我が姉よ。
「お値段は、健康の維持にはかかせない青汁『ワンモア不味い』は一箱に三十袋一か月分入りまして三千九百八十円です。
今ならなんと、もう一箱お付けしてお値段そのままです」
「ということは、二箱で三千九百八十円なのかしら?」
「そうなんです。ですから健康が気になるという方は、この機会に是非ご注文くださいませ」
健康が気になっても青汁シェイクはいらないと思う。だって●●みたいじゃん!!
「ぷはぁ… やっと飲み終わった…」
令さんが空になったグラスを下げに現れると、
「ちょっと令ちゃん!!」
「どうしたの由乃??」
「どうしたもこうしたもないでしょ!!」
先ほどとほとんど同じようなやりとりだ。しかし、その後が違った。令さんにだけ聞こえるようにささやくよう何かを言うと、
「えぇぇぇぇぇぇぇ!!! ちょっと祐巳ちゃん!?」
「はい、なんでしょうか令さま」
「その写真さ、後で焼き増ししてくれないかな?」
「何言ってんのよ!! 令ちゃんのバカ!!」
その直後、赤、白、黄色の薔薇が咲き誇る美しい画像を背景に「しばらくお待ち下さい」と画面いっぱいに表示された。
待つこと二分、お待ち下さい解除。そこにはKOされた令さんがバタリと倒れていた。
番組スタッフ(乃梨子ちゃんと瞳子ちゃん)によって引きずられるように退場する令さん。ついでに空のグラスも片付けられた。
「さて、次にご紹介します商品はかりんとうです」
「やっとまともなものが出てきた気がする」
「この商品のご説明は歌でさせていただきます」
「えっ!? 祐巳さんが歌うのかしら」
あれ? 志摩子さんは祐巳が歌うこと知らないのか。知らないほうがいいと思うが残念ながら俺には止められない…
その一方由乃さんは何とも言えないといった表情をしている。おそらくアレを知っているんだろう。
「では、いきますよ。『かりんと。』」
パチンと祐巳が指を鳴らすと、また例の如く赤い幕が上がり、そこには親友トリオの聖さん、蓉子さん、江利子さんの三人がそれぞれ、
ドラムとギターとベースの演奏準備を完了して待機している。
「お姉さま?」
なぜここに、とでも言うように首を傾げる志摩子さん。たしか祥子さんも似たような反応だったな。
「やぁ志摩子。私が何故ここにいるのかって? 祐巳ちゃんのお手伝い」
「ご苦労様ですお姉さま」
一、二、三、四と聖さまがリズムをとって曲が始まった。あれ? 先週のと比べてすごくゆっくりでさらに重く悲しい調べ。
重厚で切ないメタルバラードといった感じのイントロが終わり祐巳がマイクを握った。
悲しみに沈むあなたの瞳には 何が映っているの
わたしのこと? あの人のこと?
いくら訊ねても あなたは何も答えてはくれない
ただ あなたはうつむき 目を逸らすだけ
ねぇどうして? わたしじゃ ダメなの?
ねぇ聞かせて あなたの ホントの気持ち
ねぇ何故なの あの人は わたしよりも…
そんな そんな時には…
かりんとう!! かりんとうを食え!!
かりんとう!! かりんとうをeaten!!
甘いぞ! おいしいぞ! 甘いぞ! みんなでどうぞ!
コンソメ味のかりんと 白かりんと!!
カレー味のかりんと 黄かりんと!!
ピザ味のかりんと 赤かりんと!!
食べろ! 食せ! いただけ! たいらげろ!
か り ん と か り ん と か り ん と
かりんとう!!
バナナ味のかりんと 緑かりんと!!
風船味のかりんと 青かりんと!!
しょうゆ味のかりんと 黒かりんと!!
捧げろ! 全てを! かりんとに! 全てを捧げろ!
か り ん と か り ん と か り ん と
かりんとフォーリンラ〜ヴ!!
(間奏三十秒)
やりやがった。始めは切ないバラードだと思わせておいて途中でいきなりハイスピードなヘヴィメタルに!!
ところで風船味のかりんとうってどんな味だよ。ゴム臭そうな味だなおい。
またもや炸裂する蓉子さんの超高速ギターソロ(祐巳のお手伝いにしてはあまりにも勿体無い)が終わり曲は終盤へと向かう。
春雨味のかりんと 紫かりんと!!
フライパン味のかりんと 灰かりんと
魚肉味のかりんと 桃かりんと!!
味わえ! かりんと! 手を合わせて! いただきま〜す!
か り ん と か り ん と か り ん と
白かりんと黄かりんと赤かりんと 緑かりんと青かりんと黒かりんと 紫かりんと灰かりんと桃かりんと
九つのパワーが 炸裂するぜ 究極奥義の九頭竜かりんとう!!
かりんとう!! 愛してるぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
終った。ところでフライパン味のかりんとうってどんな味だよ。鉄の味しかしないだろ?
赤い幕が降りて聖さん達は退場していった。
「祐巳さん…」
いつも柔らかそうな志摩子さんがいつになく真剣な顔つきで祐巳に話しかける。もしかして怒ってるのかな?
「素敵だったわね。ファンになってしまいました」
おいぃぃ!! なんだよそりゃ。まあ怒られるよりは遥かにいいから、これはこれでありなのか?
「ところで、これいくらするの」
由乃さんはいたって冷静であろうと努めている。普段祐巳から聞いてるのとは違うキャラになってるぞ。
「はい、特選かりんとう『失恋かりんと21』はなんと贅沢にも一缶に三キログラムも入りましてお値段たったの五百円なんです」
おぉ!? それは安い、と思ったがよく考えてみると魚肉味のかりんとうとかカレー味のかりんとうとか入ってるんだよな…
「一缶には九つの味がミックスされていて、お茶請けや家族の団欒にはもってこいの一品です」
本当にお客さんとかに出すのか。コンソメ味のかりんとうとか。
「さて、本日最後にご紹介いたします商品はお米です」
食品特集の最後は米か。ガムにうどんに青汁にかりんとうに米。なんだこの特集!! なんか変だぞ。
「このお米『コシヒカリ姫』は新潟の魚沼丘陵の側にあるどっかの空き地で栽培された原生米なので、当然無農薬なんですよ」
「志摩子さん。コシヒカリ姫っていう単語どこかで聞いたことない?」
「さぁどうかしら。どこかで聞いたことがあるような気もするんだけど…」
俺もこれをどこかで聞いたはずなんだがどこで聞いたか直ぐには思い出せそうにない。
「あぁコシヒカリ姫? ほら祥子さまの別荘に行ったときにいやがった金だけが取り柄の雑種どもがほざいてた単語ですよ」
祐巳。顔が笑ってるけど目が笑ってないぞ。まだ根に持ってたんだな。すっかり忘れてたと思ってた。
「さて、このお米は非常に収穫量が少ない貴重なお米なのでご希望のお客様は直ぐにでもご注文をお願い致します。
では、由乃さんと志摩子さんにはこのコシヒカリ姫を試食していただきましょう。はい、お米カモン」
と、祐巳がパチンと指を鳴らすとご飯が盛られたお茶碗を二つ乗せたお盆を乃梨子ちゃんが運んできた。
「乃梨子?」
「令さまは今病院で集中治療室にいるので、代わりに私が運び役なんです」
「そう。がんばってね」
「はい、志摩子さん」
どうぞ、と由乃さんと志摩子さんの前に真っ白なご飯が盛られた茶碗と、ふりかけと塩が並んだ。
見た目だけならばなかなかに美味しそうだぞ。
「「いただきます」」と、由乃さんはふりかけをご飯にまぶし、志摩子さんは塩を振り掛け、箸をつける。
「これは…」
「美味しいわね」
今日始めてまともな商品が出てきたような気がする。
「乃梨子も食べる?」
「はい、是非いただきます!」
志摩子さんの食べさしのご飯をものすごく美味しそうに食べる乃梨子ちゃん。全身から幸せオーラを発してるようだ。
「では、最後にお値段の方に参りたいと思います。『コシヒカリ姫』は一袋に十キログラム入りましてお値段三千円ぽっきりと、
大変お買い得になっていますので、是非この機会にお買い求めくださいませ。なお数量限定の商品ですので売り切れの際はご了承下さい」
お茶碗のご飯を全てたいらげた乃梨子ちゃんはお茶碗を二つお盆に乗せていそいそとセットの端に消えていった。
「本日の商品をおさらいしてみましょう。一番目の商品は眠気スッキリガム『ギンナンの夜』は十二粒入りまして八十八円です」
「変な味だった」
「私は箱買いします」
俺は遠慮しておく。眠気はコーヒーで耐えることにする。
「二番目の商品こんにゃくうどん『サドンインパクト』は十四食セットでたったの二千円なんです」
「どうしても食べてみたいならどうぞ」
「私も強くはお勧めしません」
えらく否定的な勧め方だな。俺はダイエット必要ないからないらないや。
「三番目の商品青汁『ワンモア不味い』は一箱に三十袋一か月分入りまして三千九百八十円で、今ならもう一箱お付けしまして、
なんと二箱で三千九百八十円と大変お買い得になっています」
「………………」
「健康が気になる方は是非どうぞ」
青汁味のシェイクだろこれ。飲んだら吐くかもしれないな。
「四番目の商品かりんとう『失恋かりんとう21』は贅沢にも一缶三キログラムも入りましてたったの五百円なんです」
「罰ゲームにどうぞ」
「嫌がらせにどうぞ」
柏木先輩にお歳暮とかに送ろうかこれ。
「そして最後の商品『コシヒカリ姫』は一袋に十キログラム入りまして三千円ぽっきりなんです」
「今日唯一美味しかった商品ね」
「そうね。でも私はあのガムもなかなかよかったと思うわ」
米か。あとで母さんに相談してみるか。
「ご注文は代引きのみとなっておりまして、お電話番号は0120−1313−9999です。送料に関する詳しいことは、
係りの者にお尋ねくださいませ。では、また来週お会いしましょう。ごきげんよう」
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
なんか今日のは特に変な商品が多かったな。さて、来週はどんなものが出てくるのやら…。
FIN
初版2005年12月2日
作後贅言
どうもこんにちは。ユラです。やってしまいましたテレビショッピング第二弾。
作品はギャグなのに同時に三人のキャラを動かすのが思いのほか難しく自分の実力不足を痛感しました。
特に難しかったのが志摩子の口調。今でも分からんとです。う〜ん。
今回の曲は、『かりんと。』 作詞・作曲:福沢祐巳 BPM90〜180です。
歌詞を考えるのはかなり難しくさらに面白い歌詞となればもっと難しいですが、楽しんでやってるのでもうしばらくは続くと思います。
今回もまた祐巳が黒いです。彼女の暴走は止まらないかもしれません…。
ちょっとでも楽しんでいただければ幸いです。では、また。
ユラ