「霊夢と魔理沙の雑談」
Written by 佐々木真史
「なぁ」
魔理沙はいつものように勝手にやって来て、普段どおりに人の茶をすすり、当たり前の
ごとく私の揚げ煎餅を我が物顔でかじっている時のことだった。
「幻想郷のやつらで妹にするなら誰がいい?」
意図は掴めないけど、話のネタとしては面白そうだから乗ってあげることにする。
「そうねぇ、妖夢あたりがいいんじゃないの」
「それはお前、自分が楽したいだけで選んだろ?」
図星だった。でも、それを悪びれるつもりはない。
「当然。掃除洗濯炊事、全部任せるわね」
「その間霊夢は何してるんだ?」
「それは……境内をぶらついたりあんたとこうしてお茶したりするんじゃない? たまに
は異変の解決もしてあげなくはないけど」
「そうかい。本当にヘッドハンティグやるか?」
やってもいいけど、あのお嬢が素直に首を縦に振るとも思えないしかといって無理やり
拉致るのはいささか気が引けるのでまたの機会にしておこう。
「やんないわよ。それであんたはどうなの?」
「私か? そうだなぁ……チルノ」
「なんで!?」
今の回答はチョット予想外だった。
「いやな、なんてぇか、構いたくならないか? アイツ」
「う〜ん、言われてみるとそんな気もしなくはないわね」
「だろ? あぁいうのを傍に置いて眺めるのってゼッタイ飽きないと思うぜ」
「それ置物とか観葉植物みたいな扱いじゃないの」
さすがにあの子でももうちょっとキチンと扱ってあげた方がいいと思う。
「バレたか。ま、いいか。じゃ、次は姉にするなら誰がいい?」
「そうねぇ、咲夜かしら」
「お前また同じ理由で選んだろ?」
「見抜かれたか」
えぇ、家事の一切を任せるつもりだったけれどソレが何か?
「見抜くも何もあるかい。もうちょっとその自堕落な性格は直したほうがいいと思うぜ」
「まぁ失礼な。私はもっと自制心溢れる人間だと自負してるつもりよ」
「ホントか? むちゃくちゃ胡散臭いぜ」
「で、あんたは?」
「私の場合はメーリンだな。なんかさ、見てて和むと思わないか?」
「魔理沙はもうちょっとその自分本位な性格を直したほうがいいと思うわ」
選んでる基準が見てて面白いと思えるか否か、うん、魔理沙も性格面では人のこといえ
ない。とはいえ、言うことには一理あるのも確か。
「そこは否定しないわ。庇護欲をそそられるというか、この駄目なお姉ちゃんを私が守っ
てあげなきゃって思わせる人物ね」
「だろだろ? 理解者がいるってのは面白いなぁ。じゃ、次は彼女にするなら誰がいい?」
「女×女が前提なんだ」
「はぁ? 何言ってるんだ霊夢は」
いや、確かにここは百合色は強いけど皆が皆好き好んでいるかというと、一概にはそう
言い切れない。そういうことを魔理沙は分かってるんだろか……これはきっと分かってて
言ってるわね。
「はいはい、で、何、彼女?」
「おう」
「彼女彼女彼女……紫」
「おっ? それは意外だぜ! なんでだ? なんでだ??」
あんまり深く考えずに答えたから、そうがっつかれても少し困る。
「多分だけど、退屈しなさそうだから」
「あぁ、なるほどなぁ。持ってる力のおかげで楽しみは尽きなさそうだな」
「気が向けば外の世界を出歩くのもいいし、そんなことしなくてもあちこちホイホイ出歩
くだけでも面白いかなぁなんて」
一つ難点を挙げるとすれば紫自身活動時間が短いっていうのがあるけれど、仮定の話だ
から深くは突っ込まないでおこうかな。
「魔理沙は誰がいいのよ」
「私はだな、妹紅だな」
「えぇ!?」
驚いた。声出してしまうぐらい。それは意外すぎるだろ魔理沙さん。
「なんで? いや、あんまり言うと妹紅に失礼だけどそれでもなんで??」
「驚きすぎだろ。それはともかく、なんちゅうか……アイツってさ、なんか傍にいたいと
思わせる何かがあると思うんだな」
驚きが過ぎ去った後に、自分の名前じゃないことをショックに思う自分がいた。あぁい
やだいやだ。
「へ、へぇ。そうなんだ」
「だな。誤解承知で言えば変なヤツだから気になって仕方ないのさ」
「質問はコレで終わり? もうないの?」
なんかちょっと癪に障ったから話を無理やり進めてみることにした。妹紅は悪くない、
悪くないけどなんか……
「次は嫁、だな。誰がいい?」
「奥さんに迎えるとしたらやっぱり……藍でしょ」
「お前の回答は筋が通っていて非常に気持ちがいいな」
「あら? そうかしら」
好みの傾向が似たり寄ったりになるのは仕方が無いことじゃないの。
「そうだぜ。基本的に家事が出来るが前提だろ? 紫は除くが」
「出来ないより出来るに越したことはないわ」
「でもな、そんだけ家事万能キャラを取り揃えて一体どんな暮らしをするつもりなんだ?」
「そうねぇ……」
仮定の話をイメージしてみると、自分がダメ人間になりそうな、いやきっとなるという
確信が得られた。
「もうちょっと自立的精神が必要ね。私には」
「同意だぜ」
「で、あんたは誰がいいの?」
「私か? 私はほら、霊夢一択だぜ」
「え!? いや、ちょ、えっ??」
びっくりのあまり動揺が隠せない。
「おいおい、ちょっと落ち着け。話出来ないだろ?」
「あ、うん。ゴメン……」
「私はほとんど毎日ココに来てるだろ? どうしてだと思う?」
それが当たり前って思っていたことにどうしても何もあったものじゃない。それが自然
だと感じていたことの理由なんて思ってもみなかった。
「……分からないわね」
「なんだかんだでココが一番落ち着けるっていうか、なんで私はこうも足繁くココに通っ
てるのかと思ったら、なんてことはない、霊夢の顔が見たいからって話だったのさ。あま
りの単純さに自分でもビックリだぜ」
「そう……」
「いやぁ、まぁそんなわけで今後ともヨロシクな」
「……うん」
気恥ずかしさのあまりマトモな返答が出来ない。
「じゃあ、お茶のおかわりをもらおうかな」
「分かった。とびっきりなヤツを淹れてくる」
「おう。頼んだぜ」
完
作後贅言
物語性を排除して、キャラを動かすことだけに意識を傾けた今作いかがだったでしょうか。
当初は僕の一番大好きなもこけねでやろうとしたところ、けーねの回答が妹紅一色に染ま
りそうだったので、見送ることにしました。それはそれで面白いと思うのですけどね(笑
というわけで、セカンダリプッシュな霊魔理で書いてみました。コノ二人は熟年カップル
チックな雰囲気がすごく好きです。なのであえて青臭くしてみました。いやはや、好きな
キャラを好きなように動かせるのが二次創作の醍醐味だなぁとひしひし感じた今作でした。
それではまた。
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