「はぢめてのじゅぎょうさんかん」


Written by 佐々木真史






 今日はヴィヴィオにとって初めての授業参観の日。私とフェイトちゃんは有給を使って

この日をお休みにした。ヴィヴィオにとって初のことだけど、私も保護者として行くのは

初めてで、楽しみでもあるけれどすごく緊張している。

「フェイトちゃん準備できた?」

「これ、どうかな」

 部屋の奥から出てきたフェイトちゃん。彼女の格好は……真っ白な男物のスーツに真っ

黒なシャツ、そして真っ赤なネクタイとどこぞの静かな親分みたいな出で立ちだった。男

装のフェイトちゃんもカッコイイけど、いささか威圧感があり過ぎるような気がする。一

体ドコの組の方ですか? 新鮮?

「もう少し地味な方がいいかな」

「うん。なのはがそういうならこれに決めた」

 一言もそんなこと口にしてない。でもフェイトちゃんが気に入ってるなら、それでいい

よね。

 フェイトちゃんの車で学校まで乗りつけ、ヴィヴィオの教室へ向かう。教室前の廊下に

置いてある机には出席簿があり、高町ヴィヴィオの欄に丸を付けた。今は授業開始五分前。

室内にはもう何人かの保護者さんが来て開始を待っている。

「なのはママ、フェイトママ」

「ヴィヴィオ」

 私達の姿を見かけるやすぐにとてとて走り寄ってくるヴィヴィオ。死ぬほど可愛い。

「初めての授業参観だけど、いつも通りでいいからね」

「うん。分かった。でも、フェイトママの服……」

「コレ? なのはが選んでくれたんだ」

 選んでない。

「ドンと呼ばせてください」

「ヴィヴィオ!?」

 ドンとかそんな単語どこで覚えたの?

「あ、ヴィヴィオちゃんのお母さん」

 一人の男子生徒が私の元へ寄ってきた。

「うん、なぁに?」

「ヴィヴィオちゃんをお嫁に下さい」

「あ? 何、自分SLBで消し炭にされたい、そういうことやな?」

「あ、え、あははは〜ゴメンナサイ」

 悪い虫は早いうちに始末しておかないとね。

 チャイムが鳴るとほぼ同時に先生が入ってきた。とてつもなく気合の入った衣装を身に

付けている。紅白歌合戦の紅組のトリでも務めるつもりなのだろうか。

「これから算数の授業をします。今日は昨日お勉強した二次関数のおさらいから始めまし

ょう」

 二次関数? 確かそれって中学のときに習ったような。

「それでは教科書三十六億二千一万六ページを開けてください。今回は問二京三兆八千億

からですね。じゃあ問題読みますよ。スーパーヤオヒコで、青森産のりんごが一個八十九

円で売っていました。じゃあ山梨産の梨は一個いくらでしょうか」

 ヴィヴィオは難しい問題やってるんだね。なのはさん全然分からない。

「はい!」

 私の横で立っていたフェイトちゃんが元気よく挙手。ダメだよ邪魔したら。

「百八円です」

 当てられてもいないのに勝手に答えちゃった。

「正解」

 マヂかよ。教室内ではおぉ、とどよめき拍手が起こる。

「さすがなのはさんの配偶者」

「キャーフェイトサーン」

「静かじゃないドン」

「工口執務官」

 なんか色々な賞賛の言葉が出てきた。みんなボキャブラリー豊富だね。

「次の問題、BPM150とBPM240とではどちらが強いでしょうか」

 曲のテンポに速い遅いはあるけど、強いって何だろう。私が答えを考えていると、ヴィ

ヴィオが元気よく手を上げた。

「フランスオランダチベット京都ロンドンロシアオルレアーン!!」

「正解」

 キャーヴィヴィオさすが! 今日はお赤飯炊かなきゃ。

「高町さんよくできました。次の問題いきますよ。]をエッキスと読む数学教師の是非に

ついて論じよ」

 あ、そんな先生いた。toをツーって読む英語の先生もいたね。だから、I want somethi

ng to eatをアイウォントサムシングツーイートって読んでたよ。

「はい!」

「高町さん」

「こたえは『問題外』です」

「正解」

 何がどう正解なのか分からないのは、私の勉強不足なんだよね。ヴィヴィオは本当にお

利口さんだよ。

「他の皆も沢山手を上げましょうね。次の問題、塩水に砂糖を溶かすとどうなるでしょう

か」

 ヤバイ、なのはさん全然答えが分からないの。今時の子供は難しい勉強をしてるんだね。

「はい!」

 またフェイトちゃんが勢いよく挙手しちゃった。なんだか空に向かって拳銃撃ってるみ

たいに見えるのは気のせいなのか衣装のせいなのか。

「答えはエンブントウブンカタカタールです」

「正解」

 そーなのかー。フェイトちゃんよく分かったね。さすが私の……

「よっ、工口パーソナリティ」

「さすが自重しない人」

「淫乱ティディベア」

 フェイトちゃんに向けられる色々な賞賛の言葉。でも、褒められてるような気がしない

ものばかりなのはどうしてだろう。

「本日最後の問題です。コレに正解するとなんと七億点のボーナスが加算されます」

 出た。クイズ番組恒例の「今までの苦労はなんやったんやと突っ込まざるを得ないボー

ナス問題」だね。

「問題、日本の首都は」

 そこですかさずヴィヴィオが挙手。正直他の生徒はまるで空気。

「千葉滋賀佐賀」

「正解」

 ヴィヴィオえらーい! 超エライ。なのはママはとっても誇らしいよ。

 とまぁ初めての授業参観はフェイトちゃんとヴィヴィオのターンばかりで終わりました

とさ。え? オチは無いのかって? 試験にオチないためオチは無いってね。お粗末。










作後贅言

本当はほのぼのとしたゆる〜いものを書くはずだったのが、途中でヤバイスイッチが入っ

てしまい相変わらずのぶっ壊れギャグに。ホント色々申し訳ない。タイトルではじるすだ

のはじいしゃだのを思い浮かべた方は、僕と良き友になれると思います。それでは、また。