◆北タイの森を守る人々を支えるプロジェクト    

 北タイ地方では19世紀半ば以降、内外資本によって大規模な森林伐採が進められました。その結果、各地で干ばつ、洪水、土砂災害が頻発し、人命や田畑の損失、森林火災の激化、水源の枯渇が起こり、地域のくらしが破壊されるとともに、首都バンコクを含む下流域における環境破壊や水争いの原因となってきました。
 山村にくらしてきた村人たちこそが、森林と共生する術を知る森林保護の最適任者でしたが、度重なる災害を受けて立案された政府の一連の森林保護政策は、逆に彼らを森林破壊の元凶とみなして排除するものでした。こうした政策により、地域の人々は森林資源の利用を大幅に制限されたばかりでなく、時には土地を追われました。
 村人のくらしは森と密接に結びついています。森を切り開いて田畑をつくり、主食のコメを育てます。森からは果物や野菜類、キノコ、タケノコを採るほか、鹿やイノシシ、ウサギや鳥などの動物、そこを流れる川からは魚やエビ、カニ、水草などの食料を獲ます。薬も染料も建材も、さらには薪などの燃料も、籐や竹などの籠や道具の材料も、くらしに必要なあらゆるものを周囲の森(=コミュニティ林)から得、そのために森を守ってくらしてきました。しかし森から排除されることによって人々の生活は行き詰まり、社会の底辺に位置づけられ、子どもまでもが人身売買の対象にされるような最貧層となっていったのです。
 地域住民に森林の管理と利用を認める “コミュニティ林” 法が国会で議論されて10年近くがたちますが、いまだ成立していません。しかし、村人が利用する森の範囲を地図で明示して森林局や国立公園局と交渉し、その利用が事実上認められている例がではじめています。こうしたことから多くの村で地図作成への要望が高まっているのですが、村人の多くはGPSを使用した地図の作成ができないために、実行できずにいます。
 これだけでなく、村人は様々な面で自力で村落開発に取り組むことが要求されるようになっています。しかし社会の急激な変化に加え、自己分析するのに必要な村の歴史、人口から産業までのあらゆるデータがなく、またその収集や利用の方法も知らない場合が多いため、村の将来像を描くのが難しいという問題を抱えています。そこでLinkはこうした村々でコミュニティ林の地図作りを進めるだけでなく、“村の百科事典”と称し、村おこしに必要な様々なデータを村人と共にまとめ、冊子にする活を行ってきました。
 これまでLinkはチェンマイ県とチェンライ県の合計21村で支援活動を行ってきました。この活動を通して培ってきたノウハウは“村を知る”という冊子にまとめて公開することができました。 →こちら

住民が利用する「コミュニティー林」の設定範囲を調査

GPSを利用した測量により住民自身の手で立体地図を作成


 

 

     

 ○活動村(ローマ字表記)の実績○
 No.  村名  県 郡  区  世帯数 人口 活動終了 “村の百科事典 
 1 ノンキーノックヤン村
( Nong Khi Nok Yang)
 チェンマイ  メーアイ  メーナワン  120  376 2010年5月26日  PDF
 2 ホアファイ村
( Hua Fai)
 チェンマイ  チャイプラカン  スィードンイェン  214 1,104 2010年3月23日 PDF
 3 ホイボン村 
(Huai Bong)
 チェンマイ  チャイプラカン  ポンタム  127  627  2009年12月2日 PDF
 4 マイポーガム村 
(Mai Po Ngam)
 チェンマイ  メーアイ  バンルアン  67  200  2010年3月22日 PDF
 5 サンパカー村
( San Pa Kha)
 チェンマイ  メーアイ  メーサオ  74  520 2010年3月30日 PDF
 6 スィーデンムアン村
( Si Daen Muang)
 チェンマイ  ドイロー ヤンクラム  190  505  2010年4月30日 PDF
 7 ノンパサン村
( Nong Pa Sang)
 チェンマイ  チャイプラカン  スィードンイェン  160  487  2010年8月1日 PDF
 8 ペ村
( Phae)
 チェンマイ  サンカンペン  オンタイ  115  439  2011年1月28日 PDF
 9 パトゥン村
( Pa Teung)
 チェンマイ  サンカンペン  オンタイ  219  794  2011年9月28日 PDF
 10 ノンキョ―村
( Nong Khiau)
 チェンライ  ムアン  メコン  212 955 2011年12月11日 PDF
 11 パンフェーン村
( Pang Faen)
 チェンマイ  ドイサケット  パーミヤン  223  716 2011年12月29日 PDF
 12  クランドン村
(Klang Dong)
チェンマイ メーワン  トゥンピー  136 426 2012年2月26日  PDF
 13 トゥンパカーヌア村
(Thung Pa Kha Neua) 
チェンマイ メーワン  トゥンピー 64 236 2012年3月31日  PDF
 14 センカム村
(Sen Kham)
 チェンマイ メーワン  トゥンピー  110 330 2012年5月15日 PDF
 15 リムワン村
(Rim Wan) 
チェンマイ メーワン トゥンピー 113 358 2012年7月12日 PDF
 16 ノンイェン村
(Nong Yen)
チェンマイ メーワン トゥンピー 157 532 2012年9月28日  PDF
 17 ノンパカー村
(Nong Pa Kha)
チェンマイ メーワン トゥンピー 82 264 2012年12月28日 PDF
18  ロンキーレック村
(Ron Khi Lek)
チェンマイ  ドイサケット チュンドーイ 252 778 2013年1月10日 PDF
19 パパイスィーコン村
(Pa Phai Sri Khon) 
チェンマイ ドイサケット チュンドーイ  99 297  2013年3月27日 PDF
20 メードクデン村
(Mae Dok Daeng)
チェンマイ ドイサケット チュンドーイ 518 1,557 2014年4月6日 PDF
21  ホイグーナイ村
(Huai Ngu Nai)
チェンマイ ファーン サンサーイ 281 1,123 2014年5月16日 PDF

 
   
◆環境教育活動支援プロジェクト    
   “コミュニティ林”は村の共有財産であり、それはいま生きている世代だけでなく、過去のそして未来の世代を通じてのものであるとLinkは考えます。
 これを永く維持していくためには、村人による“コミュニティ林”の利用を実現するだけでなく、それがいかに村にとって貴重な財産であるかを次の世代にも伝えていくことが必要と考え、こどもたちへの環境教育の仕組みづくりのお手伝いもしています。
 具体的にはホアファイ村の小中学校で、現場体験型の環境学習プログラムの作成と実施を、駒澤大学と三者協働で行っています。そこでは単に環境が貴重なモノだという価値観をこどもたちに押しつけるのではなく、環境やその変化が自分たちの生活とどのようにつながっているのかを考え、必要な行動につなげていけるよう、実践を重視したカリキュラムの創造を意図しています。
 

 
 
◆スタディーツアー    
 

 開発や環境問題、多文化共生社会の創出、国際交流などに関心のある人々を対象としたスタディーツアーを、年2回(3月と8月)、各一週間程度の日程で実施しています。このスタディーツアーを通じて、北タイの実情と日本との関わりについて、幅広く学ぶ機会を提供してきました。
 また大学などの教育機関や市民団体の依頼によるスタディーツアーを企画・実施したり、あるいはそれらの団体が主催するスタディツアーのお手伝い(コーディネート)や、現地で合流してLinkの活動を紹介する講演活動なども実施してきました。
 さらに、北タイの環境や社会・文化などについて研究する個人や団体と共同で調査を行ったり、そのお手伝いもしています。
 みなさんも北タイの豊かな自然に触れながら、これらの自然の意味と私たちとのつながりについて、一緒に考えてみませんか?
過去のスタディーツアー参加者の感想はこちら
(別ウィンドウが開きます)
ツアーの様子の写真紹介はこちら(別ウィンドウが開きます)

 

 
 
◆講演会・座談会    
   上記の各プロジェクトや各種事業を通して得られた経験を日本へ発信するために、チェンマイで活動している本会会長兼現地専門家スタッフの木村茂が年2回(5月と10月)帰国しています。関西と関東を中心に、教育機関や市民団体、地方自治体などの依頼を受けて、プロジェクトの進捗状況の報告や、北タイの現状などについての講演会を実施してきました。
 主な講演先は下記の通りです。
追手門学院大学、神戸大学、大阪経済大学、龍谷大学、京都精華大学、京都教育大学、滋賀大学、中京大学、県立三重看護大学、和歌山大学、お茶の水女子大学、日本大学、東京大学、桜美林大学、明治学院大学、早稲田大学、武蔵大学、神田外語学院大学、学習院高等科、茨城県立真壁高等学校、茨木市立庄栄小学校、コープ自然派ピュア大阪平和・国際課題委員会、アジアボランティアセンター、アムネスティー「風」グループ、NGOセンターみえ、大阪府八尾市、和歌山県かつらぎ町、JICA新人職員対象講演会…など
くわしい講演会の記録はこちら(別ウィンドウが開きます)
 また堅苦しい「講演」ばかりでなく、車座でお茶を飲みながらの座談会なども行っています。
 興味のある個人または団体の方は、どうかお気軽にご連絡ください。
   
 
 
◆機関紙・年次報告書の発行    
    Linkは機関誌として年3〜4回、会報『まっぷらん』を発行しています。
 チェンマイのスタッフが作成し、賛助会員の皆さんにお送りしています。
 また、年次活動報告書を毎年5月頃に作成し、『まっぷらん』と共に北タイの現状と本会の支援事業について日本への発信を行っています。
※バックナンバーはこちらよりダウンロードできます。
     
 
◆北タイ手工芸品の販売  
 Linkでは特定非営利活動法人の「その他の事業」として、村の女性たちが立ち上げた機織りグループの作成した草木染めの手工芸品を販売していました。フェアトレードの観点から設定した価格は、機械織り・人工染料を使用し、人件費を切り詰めた大量生産品には到底勝てませんが、一品一品が手織りで自然由来の染料のみを使用した風合いの豊かさが自慢です。
 この事業は2013年5月をもってすべて終了しました。これまでご支援下さったみなさま、誠にありがとうございました。
詳しくはこちらをご覧ください (別ウィンドウが開きます)
   
 
◆その他のプロジェクト    
  <機織りグループの設立・運営の支援>
 2004年、チェンマイ県北部のホアファイ村ホイポン集落(世帯数40戸)の少数民族の女性たちによる、伝統文化の継承と収入向上のための機織りグループの設立支援事業を開始しました。支援した村の女性グループは途絶えていた草木染めを学び、復活させ、いまではチャイプラカン郡の地域産業奨励事業のモデル村にまでなりました。
 2006年12月、住民組織が自立したとみてLinkのプロジェクトとしては終了しました。

<チェンマイでの環境保全活動(エコライフ・イン・チェンマイ)>
●エコライフの活動
 2004年のLink設立をきっかけに、女性スタッフが中心となって環境問題に取り組んだ活動です。主な活動は石けん普及推進活動。具体的には、合成洗剤と石けんの違いについての情報提供とあわせて行なう「石けん作り講習会」や、使い心地のよい廃油石けん作りを目指す「廃油石けんの試作」などを実施しました。
 2005年度後半からは、石けんの原料生産過程における問題点や、石けんが河川に与える負荷を考慮して、特に「石けんに頼らない生活の提案」を目的とした、重曹やクエン酸、身の回りの植物など、石けんの代替品となるものについての情報収集に力を入れてきました。
 2006年度にはさらに、活動を始めた時からの念願であった、生産者と消費者を結ぶ活動の第一歩として、チェンマイ在住の方と協力して、石けんの共同購入グループ「らっくさぶー」を発足させることができました。
「環境に良い物、身体に良い物を使いたいけれど、何を使ったらよいのかわからない」、「満足できるものが見つからないのだけれど、自分で作るのは大変」という方のために、紹介できるものがあればと信頼できる生産者を探していたところ、バンコク在住の方から、知り合いの生産者を紹介していただくことができ、2006年8月より共同購入を開始しました。
 エコライフではこの他にもフリーマーケットの実施やコンポストの普及活動なども行いました。
●ホイポンでの「石けん作り講習会」
 2006年10月にはチャイプラカン郡のホアファイ村ホイポン集落で、農家の女性たちを対象に「石けん作り講習会」も実施しました。
 村人からの希望により開催を決めたものの、正直なところスタッフ側には不安がありました。村人は約15名の参加者を予定しているとのことで、通訳を介するとはいえ、これほど多くの参加者にタイ語のみで講習会を行なった経験はこれまでありませんでした。
 しかし、川の水源地に近い村で、多くの女性が参加を希望しているということは、成功すればホイポン集落だけではなく、下流の村にとっても大きな意味があります。
 しっかり準備をして臨むべく、手分けをしてタイ語の説明書を作り、当日のタイムテーブル作りなどに励みました。また、村の様子を知る「北タイの森を守る人々を支えるプロジェクト」のスタッフにも、多くのアドバイスをもらいました。
 当日のプログラムは、午前中「石けん作り講習会」、午後「『石けんと合成洗剤の違い』や『石けんの使い方』についての講習会」。事前に石けんについての研修を受けた「北タイの森を守る人々を支えるプロジェクト」のスタッフも含め、Linkスタッフ総出で対応しました。
●プロジェクトの終了とその後
 エコライフ・イン・チェンマイの活動はその後、これまでの一般参加者たちとともに、石けんの共同購入グループ「らっくさぶー」と、環境を考える「コンポストの会」という2つの市民グループを設立しました。そして両グループとも充分に自立して活動していける見込みが立ったこと、また「活動を通して自分たちの生活を振り返り、身の回りから環境問題を考える」という当初の活動方針を「らっくさぶー」が引き継ぐことになったことから、Linkのプロジェクトとしては2008年9月に終了しました。
 なお、2006年にホイポン集落で行った石けん講習の参加者の一部はその後自分たちで道具を買い足し、いまも石けんの自給を行っています。
 これまでの活動の詳細については会報“まっぷらん”などもご覧ください。
 




 
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