今月の特集は管理人所有の57年製ストラトキャスター2本のご紹介です。

<特集No.18 ’57年製ストラトキャスター>


50年代STRATOCASTERの中でも57年製はアルダーボディ、硬質塩化ビニールパーツ、Vシェイプネックという仕様が安定した年ということで生産本数も多く、 日本に輸入されているメイプルネックストラトキャスターの中でも一番数が多いと思われます。 そのため、「現在所有されている方」や「以前所有していたことがある」という方が多い年式でもあるでしょう。 メイプルネックストラトキャスターに関しては色んな書籍に詳しい解説がされていますので一般的な内容につきましては割愛させていただきます。 ここではRS修平所有の2本の57年製ストラトキャスターについてご紹介をさせて頂きます。左の57年製,Serial Noは -179xx 右側△Serial Noは -205xx です。
ちなみにかの有名なE.C氏のブラッキーは-20036ですね。
57年製のシリアルNoは−(ハイフンorマイナス)無しの14000〜16000番台と、−(ハイフンorマイナス)有りの-17000〜-23000番台までと、 −(ハイフンorマイナス)の代わりに0が付いた022000〜025000番台までが存在するようです。



左側の57年製,離椒妊はアルダー3ピース、右側57年製△離椒妊はアルダー2ピースです。 65年以降では珍しくないアルダー3ピースボディですが、この57年製でも3ピースボディというのはそんなに珍しいものではないようです。 なお、57年以前は真っ白だったピックガードですが、57年頃から顔料の配合が変わっているらしく、まるでリイシュー物のように若干青白く見えます。 重量は左が3260g、右が3315gです。



サンバーストの外周の幅は個体差もありますし、写真の撮りかたによって広くも細くも見えますが、57年製△離曄璽麌分の外周のブラウンは実際にかなり細く、写真の撮り方によってこんなに細く写ります。
コンター部分の外周のブラウンは若干滲んでおり(ブラウンが乾く前にクリアを吹いてしまったと思われます)、この個体に関しては塗装に不慣れな職人さんが塗ったであろうことが明らかに判ります。



さっそくアッセンブリー内部を確認してみます。58年製ストラト特集でも書きましたが、58年の初め頃まではNailHoleと呼ばれるクギ穴は4箇所あります。 (ピックガードに隠れる部分3箇所と、ジャックプレートの下側に1箇所)。58年の中ごろから生産性向上のためか、3箇所に減り、位置も変更されます。



どちらもハンダまで含めて全てオリジナル状態なのでピックアップの配線をまとめているマスキングテープも残ったままです。 PUの直流抵抗値は左側が6.0kΩ/5.7kΩ/6.0kΩ、右側が6.4kΩ/6.4kΩ/6.5kΩです。(直流抵抗値で音が判る訳ではないのですが、一応調べたので載せておきます。)



どちらもスタックポール製の丸溝タイプのPOTが付いております。POT-dateは左,3個とも304715(57年15週)右△3個とも304723(57年23週)です。 CRL製のスイッチからPOTへの配線材ですが、左側は黒い配線、右側は白い配線が使用されています。 54〜57年の終わり頃まではこのように白黒どちらの仕様も存在しますが58年以降は殆ど白が使用されているようです。 キャパシターはポッティング処理されたコーネルダプラー社製の0.1μF耐圧150Vですが、57年の終わり頃からはポッティング処理されていない白いタイプのものに換わります。



POTの基板部分には黄土色のモノと黒っぽいものの2種類が存在し、混在している場合もありますが、大抵3個とも黄土色か、3個とも黒っぽいモノがセットで使用されています。 私の57年製は、偶然2本ともフロントPU用のTONE POTのみ黒っぽい基板のモノが使用されています。


ボディDATEは57年5月と57年9月です。56年製のボディDATEはフロントPUキャビティにネックポケット側を上にして書かれていることが多いようですが、 57年製のボディDATEはこのようにミドルPUキャビティーにネックポケット側を下にして書かれていることが多いようです。しかし57年製の中には裏面のスプリングキャビティーに書かれていることもあるようです。



ブリッジのサドルはどちらも57年製に比較的多く見られるFENDER PAT.PEND.の刻印が深いタイプです。 両方ともブリッジカバー付属でした。おそらく前オーナーがカバーを付けた状態で弾いていたと思われ、サドルが全く錆びていません。 また、57年以前のピックガードはブリッジ部分の両脇に殆ど隙間がなかったのですが、57年頃から両脇に若干隙間が出来るようになります。



オリジナルのネックとボディの組み合わせかどうか確認するには、ネックを外してネックとボディの取り付け部分の 剥がれたラッカーの跡が一致しているかどうかを見れば一目瞭然ですね。これが一致しなければネックとボディが生き別れになっている可能性が高いです。 ネックの裏側にある4本のスクリュー穴以外の小さな穴はネック切り出しの際にテンプレートを固定した穴です。もう一箇所の穴はヘッド裏のペグの下に隠れています。



滅多にネックを取り外すことはないのでついでに63年製ストラトのネックも取り外してちょっとした検証をしてみようと思い立ちました。
こうやって並べてみると57年製のヘッドのほうが色白で、一般的に言われている通り変色し難いラッカーを使用しているという事が判ります。 57年製,離優奪厚は1fretで23.0mm、5fretで23.5mm、12fretで25.0mmです。63年製のネック厚は1fretで21.3mm、5fretで23.1mm、12fretで25.1mmです。 ナット幅は57年製,42.0mm、63年製は42.2mmでした。(もう一本の57年製△1fret 22.9mm、5fret 23.8mm、12fret 25.3mm、ナット幅41.5mmです。) これまた数値のみでグリップの感じが伝わるわけではありませんが、せっかく測定したので参考のために載せておきます。



63年製のボディに57年製,離優奪を取り付けてみました。逆に57年製,離椒妊に63年製のネックを取り付けようとしたらネックの幅の方が広くてネックポケットに入りませんでした。 21fretのネック幅を計ってみたら57年製,55.5mmに対して63年製は55.9mmありました。これじゃ入らないハズですね。
(もう一本の57年製△眛韻犬55.5mm、もう一本の63年製は56.2mmもあり、60年代のほうがネックエンドの幅が広いようです。)



一応音も確認してみましたが一般的に言われているように指板の違いによる音の変化はやはり大きかったです。 (『THE FENDER1 STRATOCASTER』という書籍に周波数測定結果のグラフまで載っているからわざわざ自分でやってみなくても良かったのですが・・・・。)
故アレン・コリンズ氏の57年製ストラトには何故か3プライのピックガードが装着されていました。そう考えながら弾いてみるとアレンのストラトの音に近いような気がしてくるのが人間の不思議な所ですね。(錯覚ってヤツですね)
(バングラディシュコンサートで故ジョージ・ハリスン氏が抱えていた白いストラトもメイプル1ピースネックに3プライピックガードの組み合わせでしたね。) 確認後、直ぐに元に戻しましたが、またもやかけた労力の割には新たな発見はありませんでした。(涙)



55年中頃〜57年終わり頃までのツイードケースには真鍮製のfenderロゴプレートがついていますが、グルーン氏によると99.9%欠落しているそうです。 どうやらこのケースは0.1%のうちの1個のようです。もう1個のケースはプレートが外れそうだったので自ら外して大切に保管しています。 この時期のケースは毛足の長い赤い内装で、この画像のようにKoylonという製造メーカーのマークが付いている個体もあります。 私のは1個がマーク付きで1個がマーク無しでした。


色んな書籍に詳細な解説がされている57年製ストラトキャスターであり、「何を今更?」とか、「貴重なギターを意味も無くバラしてしまって〜!」というお叱りを受けるかもしれませんが、 私の2本の57年製はそれぞれ購入時に内部を確認したものの、購入後2本同時に内部を見る機会が無かったので新たな発見があるかもしれない?と思い、この特集を組みました。
案の定、3点ほど新たな発見がありました。

1.SWからPOTへの配線が片方は黒でもう片方は白が使用されていたということ。
2.フロントPUのTONE POTのみ2本とも黒っぽい基板だったこと。
3.60年代のボディに50年代のネックを付けるのは簡単だが、逆の事を行うには加工が必要である。

1本ずつ別々に内部をみても違いに気がつかないのに、複数を同時に比較することで色んな発見があるということが良く判りました。 皆さんがお持ちの57年製ストラトキャスターを一堂に集めて比較するなんてことが出来たら面白いでしょうね。(完)