オオヒシクイヒシクイ  2,007年3月12日        目次に戻る


 2,007年の2月12日から18日にかけて愛西市の木曽川に6羽のヒシクイがやってきた。   
 ヒシクイは亜種オオヒシクイと亜種ヒシクイの2種類が日本にやってきて越冬するが、この辺りでは極めて珍しい。。

 オオヒシクイは日本海側の各地や琵琶湖で越冬するが、ヒシクイはほとんどが宮城県の伊豆沼で越冬と聞いていたので愛西市
にやってきたのはオオヒシクイだと信じ込んで写真を掲載したところ、オオヒシクイではなくヒシクイではないかとの指摘を受けた。
 曖昧なままには出来ないので少し勉強してみた。

             

 オオヒシクイとヒシクイの識別は鳴き声や大きさ・嘴の長さなどが言われているが、都合よく鳴いてくれるわけではないし、大きさは
並んでくれないと比較のしようがなく首の長さだってそうだ。  結局のところ識別のポイントは嘴ということになる。

 大雑把に顔を比較すると下の絵のようになる。  
 ヒシクイは     頭から上側嘴へのラインが嘴の付け根で一旦くぼんで短く、下側の嘴が分厚い。 
 オオヒシクイ
は  頭から上側嘴への線が直線的で全体的に長く、下側の嘴が薄い。
  
 端的に言うとヒシクイの頭は丸く、オオヒシクイはほっそりと細長くて三角に見える。
   
                        
  

  takaさんから西池で撮影された貴重なオオヒシクイの写真を貸していただいた。 
これによれば左の写真の個体はすんなりとオオヒシクイの絵とほぼ同じに見えるが、右の写真の2羽は図のように額から嘴に至るライ
ンが必ずしも一直線では無くて若干窪んでいる。  特に手前の個体がそうだ。
 また、嘴の長さは右側の写真の2羽では太さも長さもかなり差が有り、手前の方はヒシクイに近く見えて個体差がかなり有ることが
わかる。

          


                       今回 愛西市の木曽川に現われたヒシクイ

               

 残念ながらアップの写真は撮れなかったので細部を見る為に写真を大きくした。  この写真によると一番右と右から2番目の個体
は頭の形と嘴のつながり方がヒシクイの絵と同じであり、下側の嘴が分厚い。
真ん中の個体は頭から嘴のラインが直線的でオオヒシクイ型に見えるが長さと下嘴の厚さはヒシクイ型で全体的にとても分厚い。
 
 この写真で見る限り6羽のヒシクイはオオヒシクイよりヒシクイと言えそうで、この辺りに現われるのはとても珍しい。
とすればどこから来たのか大変気になる。  一番近い琵琶湖から迷い込んできたかもしれないので、琵琶湖の湖北付近で長年観
察している人に琵琶湖周辺へのヒシクイの出現を聞いてみた。  それによるとほとんどがオオヒシクイヒシクイはごく稀との事。
写真のヒシクイはオオヒシクイではないがヒシクイとは断定できないのでヒシクイ型とのことだった。
 
 ヒシクイ型というのは何?  両者の繁殖地はカムチャツカのタイガ地帯(オオヒシクイ)ツンドラ地帯(ヒシクイ)に分かれている
が、厳密に言えば重なっている部分も有って交雑することもあるので両者の中間的な個体も存在するそうだ。
 端と端は別物でも中間的な個体はどちらとも言えないということだろう。  それほど微妙なものも存在する。
 図鑑やネット上に掲載された写真にはどう見てもヒシクイとしか思えないものをオオヒシクイとして掲載したものが有って、はっきり
識別出来ていないきらいがあった。


 余談ながら、この写真は冒頭に掲載した写真の一部をトリミングしたものだがかなり鮮明だ。
使っているカメラは1020万画素の一眼デジカメで、レンズは640ミリの焦点距離を持つボーグ(天体望遠鏡の鏡筒)。
 F値は6.3でちょっと暗めであるが、天気が良くてピントが合い、相手が動かなければ本体内蔵の手振れ防止機能の効果も有って
かなりのトリミングに耐える。
1,020万画素という画素数は伊達ではないという証拠でこれは大変有りがたかった。 

 もう1枚掲載しておく。  右から2羽目は上の写真の真ん中に写っているのと同じ個体で、やはり嘴全体が分厚くて下側嘴も分厚
く写っている。


         

 ヒシクイとするとどこから来たのか?  

 オオヒシクイはカムチャツカのタイガ地帯で繁殖し、日本の日本海側で越冬する。
新潟市の福島潟・新潟市の佐潟(HPではオオヒシクイをヒシクイと表示)・新潟市の鳥屋野潟(ヒシクイと表示)・宮城県の蕪栗沼・
伊豆沼・花山湖、茨城県稲敷市稲波干拓地(関東唯一のオオヒシクイ越冬地)・加賀市の鴨池(ヒシクイと表示)・琵琶湖の湖北
周辺と西池などが主な越冬地となっている。 
 これらの越冬地ではヒシクイとオオヒシクイを厳密には分けていないところが多かった。


 ヒシクイはカムチャツカのツンドラ地帯で繁殖し、宮城県の伊豆沼で越冬する。 他に越冬地の資料は見付からなかった。

 これらとは別に、島根県の平田市・斐伊川中下流や山口県の土路川河口きらら浜でも越冬することがあって
オオヒシクイヒシ
クイ
が混じってやってくるそうだ。  ここに来るヒシクイは北の方で越冬する亜種とは別亜種の第3の亜種で韓半島にやってくる
ものと同じかもしれないと注目されている。


 宮城県の伊豆沼で越冬するヒシクイが東海地方まで南下してくるのは考え難い。  また、山口県や島根県のヒシクイがやって
くるのも難しくどこから来たのかまったくわからない。
 同じ時期に弥富市の鍋田干拓地に同じく6羽のマガンが入っていた。  ひょっとすると間違ってこのマガンたちと共にやってき
た可能性を否定できないが、どこから来たのかはやはりわからない。

それにしても微妙である。  takaさんからお借りした写真を更に掲載しておくのでじっくり見ていただきたい。

           
       
        
 

  写真を提供していただいたtakaさんに篤く御礼申し上げます。 有難うございました。