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運河返還とアメリカに対する国民感情
SENTIMIENTO PANAMEÑO


これは作者がパナマの報道関係や、パナマ人及び米国人、米軍関係者との
個人的付き合いの中から得た情報をもとに個人的考察と見解で書かれたものです。



1. 微妙な反米感情

     パナマはもともとはスペインの植民地でしたが、コロンビアの一州としてスペインから独立し、その後運河流域の領土提供を条件にアメリカの保護を受けてコロンビアから独立した経緯があります。 今でもスペインとコロンビアからの二つの独立記念日を祝っていますが、1999年12月31日は運河返還と米軍撤退による第3の独立となります。
     米国の保護と影響でパナマは金融、貿易の拠点として繁栄してきた経緯がありながらもアメリカ人に対する感情は1部の関係従事者を除いては、一般的によくありません。
      原因は、いろいろあり、一つはパナマが米国の援護によるコロンビアからの独立直後、運河建設に関する協定を結ぶ際に、フランス人の交渉人を立てて米国と協定を結ばせましたが、この協定は米国に無期限に運河地帯の権利を与えるというもので一方的に米国に有利な条約にされてしまったという考えがまず第一で、次に、多くのパナマ人がパナマは米軍部の対外戦略の実験台になってきたと意識しているためです。
     1989年の、麻薬ビジネスに関与するノリエガ将軍を逮捕するためという理由をかかげて、行われた米軍のパナマ侵略は実際は、米国に対して反発の多いパナマ軍隊を完全に潰すことと、イラクとの湾岸戦争を前にした最新兵器のテストと予行練習を行うことであったと考えられています。 それはその少し前にパナマ軍部の愛国心の強いグループが米軍侵略による惨事を避けるためにクーデターを起こし、ノリエガ将軍を捕らえて米軍に引き渡そうしたにもかかわらず米軍はそれに応じなかったためで、 そのためクーデターは失敗に終わり一揆を起こした者たちはノリエガ将軍に処刑されてしまった上に、米軍の侵攻によってパナマ市は多くの死傷者を出し、旧市街は大被害を被った経緯があります。
    (参考となる他者の詳細情報: パナマ侵攻 パナマ侵攻の真実 ドキュメンタリー映画:米軍パナマ侵攻 Pandora Report

2. 運河返還後の対米関係

     運河返還についての協定が成立した後も米国は、運河の安全と対南米拠点としての戦略的関係からパナマに最低規模の米軍基地を残す考えを見せていましたが、パナマ側はこの根強い反米感情のために一部を除いた国民の大多数が米軍全面撤退を望んでいるようでした。 しかし99年9月で政権が交代し、前大統領の就労口を増大する公約も実現されなかったためと、新大統領が比較的親米的であることから米軍残留についての新しい交渉の可能性が出てきました。 そして一方では、パナマ国内の一般人を対象に行ったマスコミの世論アンケートも65%が米軍が残る交渉をすることには問題ないといった推定的な意見が強くなってきました。
     運河返還も残り半年を切ったところで、コロンビアゲリラが国境を越えてパナマ側の農村を襲ったり、パナマ市内で身を隠して活動(銀行強盗や身の代金目当ての誘拐犯罪)が頻繁に発覚したりしてきたこともあり、それに対して米国側はパナマは自分の国の治安を管理することもできず、国内の安全を守る能力を持っていないため、世界貿易に重要な役割を担う運河の安全まで脅かされているといった批判をもとに運河返還を取り止める案が米国議会で提案され、クリントン大統領に圧力がかけられるようになりました。
     しかし、運河返還に対する懸念は、パナマのペレス・バジャダレス前政権が運河内の港湾の運営権を、香港にある英国資本の港湾会社ホッチンソン社に依託契約によって与えたことからも出ており、これによると香港返還後の中国政府が当社を通しパナマ運河を通行する全ての船舶の検査を行う権限を得たことになり、米国海軍のプライバシーや安全を脅かすことになると米軍関係者が大騒ぎをしている模様が報道されています。
     しかし一方では、運河返還を前にコロンビアゲリラの国境侵入や国内での誘拐事件の勃発などは、運河返還や米軍基地撤退を白紙に戻したい米国側の工作だという意見もパナマのマスコミにでており、パナマの自立(独立)は無事に実現できるのか本当に目を話せないところです。


<速報>12月14日の運河返還式

    パナマ人にとって待ちにまった運河返還の式典が12月14日の午前10時パナマ運河のミラフロレス水門において、米国代表ジミ・カーター元米大統領、スペイン国王、そして中南米諸国の友好国の大統領や高官などを迎えて厳かに行われました。 日本からも衆院議員1名が全権特命大使として出席しました。 この式典ではミレージャ・モスコッソ・パナマ大統領が米国を代表するカーター元大統領と間で引き渡しについての署名が交換され幕が引かれました。

     パナマの歴史にとって、特にパナマ人にとっては最も重要な出来ごとでありマスコミの社説やニュースも運河返還のお祭り騒ぎにスポットを当てており、政府関係者の振る舞いも「めでたい雰囲気」一色にそまっていましたが、一方では一般市民の反応が対照的で、毎年行われるカーニバルや独立記念日ほどではなかったので、なにか不安を抱いているような感じを受けました。



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