César Guerra-Peixeのピアノ曲リスト
1941
- Desafio, Op. 1 歌合戦、作品1
1942
- Sonata ソナタ
- 1a. Suíte infantil 子どもの組曲第1集
- Ponteio ポンテイオ
- Valsa ワルツ
- Choro ショーロ
- Seresta セレスタ
- Achechê アチェチェ
- Fanfarra ファンファーレ
1944
- À infância 幼年時代へ
- Quatro bagatelas 4つのバガテル
- Largo
- Allegretto
- Lento
- Allegro
1945
- Música Nº 1 音楽第1番
- Lento
- Allegro giusto - Lento
- Quatro peças breves 4つの短い作品
- Allegro
- Allegretto vivace
- Largo
- Allegro molto
1946
- Dez bagatelas 10のバガテル
- Allegro
- Largo
- Allegretto
- Vivace
- Andante
- Allegro
- Allegretto con moto
- Allegro
- Larghetto
- Allegrissimo (allá breve)
1947
- Duas peças e coda 2つの作品とコーダ
- Allegretto moderato
- Larghetto ; Coda - Allegretto moderato
- Larghetto ラルゲット
- Miniaturas Nº 1 ミニアチュール第1番
- Allegretto
- Lento
- Allegretto moderaro
- Miniaturas Nº 2 ミニアチュール第2番
- Allegro
- Adagio
- Allegro
- Música Nº 2 音楽第2番
- Peça para dois minutos 2分間の作品
1948
- Miniaturas Nº 3 ミニアチュール第3番
- Moderato
- Allegro
1949
- Miniaturas Nº 4 ミニアチュール第4番
- Allegretto
- Adagio
- Presto
- Prelúdios I, II, III 前奏曲1、2、3番
- Suíte infantil Nº 2 子どもの組曲第2集
- Ponteio ポンテイオ
- Valsa ワルツ
- Modinha モジーニャ
- Marcha マーチ
- Suíte Nº 1 組曲第1番
- Ponteio ポンテイオ
- Chôro ショーロ
- Toada トアーダ
- Deborado デボラード
- Três entretenimentos, Op. 2 3つの気晴らし、作品2
- Allegro
- Andante
- Allegro vivo
- Três toadinhas 3つの小さなトアーダ
- Valsa Nº 1 ワルツ第1番
- Valsa Nº 2 ワルツ第2番
- Valsa Nº 3 ワルツ第3番
1950
- Sonata Nº 1 ソナタ第1番
- Allegro moderato
- Larghetto
- Allegro (Frevo)
1951
- Sonatina Nº 1 ソナチネ第1番
- Allegro moderato
- Andante
- Allegro
1954
- Suíte Nº 2 (Nordestina) 組曲第2番(ノルデスチーナ)
- Violeiro ヴィオレイロ
- Cabocolinhos カボクリーニョス
- Pedinte 物乞い
- Polca ポルカ
- Frêvo フレヴォ
- Suíte Nº 3 (Paulista) 組曲第3番(パウリスタ)
- Cateretê カテレテ
- Jongo ジョンゴ
- Canto-de-trabalho 労働の歌
- Tambu タンブー
1955?
- Nagô, Nagô, Nagô (Toada de maracatú) ナゴ、ナゴ、ナゴ(マラカトゥーのトアーダ)
1967
- Sonata Nº 2 ソナタ第2番
- Vivace
- Largo
- Allegro
1968
- Suíte infantil Nº 3 子どもの組曲第3集
- Marcha-rancho ランチョの行進
- Toada トアーダ
- Frêvo フレヴォ
1969
- Sonatina Nº 2 ソナチネ第2番
- Allegro moderato
- Andante
- Allegretto moderato (come Valsa)
1971
1979
- Prelúdios tropicais Nº 1, Cantiga de Folia de Reis 熱帯の前奏曲集第1番、王の祭りの歌
- Prelúdios tropicais Nº 2, Marcha abaianada 熱帯の前奏曲集第2番、バイーアの行進曲
- Prelúdios tropicais Nº 3, Persistência 熱帯の前奏曲集第3番、執拗に
- Prelúdios tropicais Nº 4, Ponteado de viola 熱帯の前奏曲集第4番、ギターのつま弾き
- Sugestões poéticas em memória de Fernando Pessoa 詩的な想起ーフェルナンド・ペッソアの思い出に
- Tema (Sugestões portuguesas) 主題
- Nuvens 雲
- Aniversário 記念日
- Insônia 不眠
- Tema novamente 再びの主題
- Começo a cohecer-me
- Na casa defronte 家に向かい合って
1980
- Prelúdios tropicais Nº 5, Pequeno bailado 熱帯の前奏曲集第5番、小さな踊り
- Prelúdios tropicais Nº 6, Reza-de-defunto 熱帯の前奏曲集第6番、死者への祈り
- Prelúdios tropicais Nº 7, Tocata 熱帯の前奏曲集第7番、トッカータ
1981
- Minúsculas - I ミヌスクラス第1集
- Introdução 序曲
- Dramático 劇的に
- Marchando 行進して
- Minúsculas - II ミヌスクラス第2集
- Caminhando 散歩
- Cantiga カンティーガ
- No estilo carioca カリオカ風に
- Minúsculas - III ミヌスクラス第3集
- Fanfarra ファンファーレ
- Valseado ワルツを踊って
- Indiozinho carnavalesco カーニバルの先住民の子
- Minúsculas - IV ミヌスクラス第4集
- Prelúdio 前奏曲
- Contrastes コントラスト
- Caipira 田舎者
- Minúsculas - V ミヌスクラス第5集
- Canto negro 黒人の歌
- Coral コラール
- Mãos cruzadas 交差する両手
- Minúsculas - VI ミヌスクラス第6集
- Barroquinho バロック風に
- Noturno 夜想曲
- Lembrando Bartók バルトークを思い出して
1982
- O gato malhado トラネコ
- O gato malhado トラネコ
- A andorinha sinhá 若い雌ツバメ
- O namoro e os murmúrios 恋愛と陰口
- A noite sem estrelas 星のない夜に
1987
- No estilo popular urbano 都会の民謡のスタイルで
- Vinte de janeiro - Choro 1月20日、ショーロ
- Falso pau-de-arara - Baião 偽の「インコのとまり木」、バイアォン
- Tema de um domingo - Valsa-lenta ある日曜日のテーマ、ゆっくりとしたワルツ
- Espertinho - Choro alegre ずる賢い人、陽気なショーロ
- Tocata de Joezinho ジョエジーニョのトッカータ
1988
- Prelúdios tropicais Nº 8, Cantiga plana 熱帯の前奏曲集第8番、平原の歌
- Prelúdios tropicais Nº 9, Polqueada 熱帯の前奏曲集第9番、ポルケアーダ
- Prelúdios tropicais Nº 10, Tangendo 熱帯の前奏曲集第10番、楽器を鳴らして
1991
- Telefones de gente amiga, para piano a quatro mãos 親しい人たちとの電話、ピアノ連弾のための
- Sonia ソニア
- Ernani エルナーニ
- Rogerio (em memória) - Ruth ロジェリオ(思い出に)ールス
- Jane ジェーン
1993
- Rapsódica 狂詩曲
- Angustiante 不安になって
- Rapsodicamente 狂詩曲風に
César Guerra-Peixeのピアノ曲の解説
1942
- 1a. Suíte infantil 子どもの組曲第1集
ゲーハ=ペイシェは自己の作品に厳しい性格であり、1943年以前の作品の多くを自ら破棄してしまっている。この1a. Suíte infantilは、彼の初期の作品で現存する数少ない一つである。両手共ト音記号で書かれ、子どもの小さな手でも弾けるように音程は殆どが七度までで、唯一第3番Choroで現れるオクターブはアルペジオで弾かれる。子ども向けとあって、ゲーハ=ペイシェの作品の中では和声的にも分かり易いが、それでも少ない音を効果的に用いた、作曲家としての優れた伎倆を窺わせる組曲である。
- Ponteio ポンテイオ
A-A'形式。一応ハ長調の子守歌のような静かな旋律が右手に奏される。後半は同じ旋律が左手で繰り返されるが、伴奏の和音が異なってイ短調風の響きになるのが特徴的。- Valsa ワルツ
ト長調、三部形式。普通に調性感のある可憐なワルツが奏される。中間部はホ短調で、左手に悲しげな旋律が現れる。- Choro ショーロ
ホ短調、三部形式。哀愁ただようしっとりとした旋律が奏され、左手ベースの半音階下降がやるせない雰囲気。中間部はハ長調で、これがまた郷愁を感じさせる旋律になっている。- Seresta セレスタ
イ短調、三部形式。ギターのつま弾きを思わせる伴奏にのってもの悲しい旋律が現れる。- Achechê アチェチェ
一応イ短調。アチェチェとはヨルバ人(主にナイジェリアあたりの西アフリカの民族で、ブラジルには奴隷として連れてこられたヨルバ人の末裔がいる)の葬送の儀式らしい。曲は二部構成で、"INTRODUÇÃO" と楽譜に記された前半では、神秘的な旋律が2オクターブ離れたユニゾンで奏される。後半は "DANSA" と記され、太鼓を思わせる左手のリズムにのって、右手でペンタトニックの旋律が奏される。- Fanfarra ファンファーレ
リオのカーニバルのラッパの音色に印象を受けて作られた曲らしいが、楽譜出版社のIrmãos Vitale社が出版時にこの曲を除いてしまったので、どんな曲だか残念ながら不明。1947
- Larghetto ラルゲット
静かな曲。冒頭の旋律はミ-ミ♭-ソ-ファ-シ♭-レ-ド-ファ-シ♭とほぼ無調だが、左手に属七の和音が時々聴かれる。- Peça para dois minutos 2分間の作品
ゲーハ=ペイシェが十二音技法の作曲家として活動していた頃の作品。三部形式で、題名通り約2分間で終わる小品。この曲は十二音技法は用いていないものの、全体的に無調で、6つの音から成る速い8分音符のモチーフがユニゾンになったりカノン風になったりと奏される。中間部は、冒頭に似たモチーフがゆっくりと奏される。1949
- Suíte infantil Nº 2 子どもの組曲第2集
- Ponteio ポンテイオ
不協和音のの伴奏にのって、憂うつな旋律が静かに奏される。- Valsa ワルツ
ハ短調。旋律は、スタッカート連打がちょっと気取っているが、哀愁漂う曲。- Modinha モジーニャ
一応ホ長調〜ホ短調。ぽつぽつと語るような静かな旋律が流れる。- Marcha マーチ
憂うつな雰囲気の行進曲だ。- Valsa Nº 1 ワルツ第1番
ゲーハ=ペイシェは1949年に3曲のワルツを作曲した。第1番は三部形式。旋律の雰囲気はやや哀愁を感じるものの、和声は減三和音などの不協和音だらけで調性も定まらず、Aの最後でイ短調と辛うじて分かる。中間部はフラット系の不協和音が続く。- Valsa Nº 2 ワルツ第2番
イ短調、三部形式。この曲はValsa brasileiraらしい哀愁を漂わせつつ調性を残しているが、右手はシャープ系へ、左手はフラット系の和音が多用されてやや多調の響き。- Valsa Nº 3 ワルツ第3番
三部形式。この曲も哀愁漂う旋律に、音階を下降していくベース音の組み合わせがValsa brasileiraらしい雰囲気。冒頭は一応ヘ短調で、ホ短調へ転調する。中間部の高音部パッセージはフルートを、低音部の旋律はギターを思わせる。1950
- Sonata Nº 1 ソナタ第1番
第1楽章Allegro moderatoはソナタ形式で、快活な第1主題と、陰うつでゆっくりした第2主題から成る。第1主題の右手旋律はホ長調だが、左手スタッカートの遊び回るような対旋律は調性が勝手に目まぐるしく変わるのが面白い響きだ。第2主題はモジーニャ風の陰うつな旋律が始めロ短調で左手に、次にイ短調で右手にと奏される。展開部は主に第1主題のモチーフがあちこちに聴かれつつ展開していく。再現部は第1主題の右手主旋律、左手対旋律ともにオクターブとなって力強く奏され、第2主題はイ短調で現れる。第2楽章Larghettoは、Xangô do Nordeste(またはXangô do Recife)というノルデスチに伝わるアフロ・ブラジリアン宗教の儀式を描いているらしい。低音部と中音部に7/8拍子で静かに繰り返されるリズムは儀式の太鼓の音を描き、それにのって奏される呟くような旋律はオリシャ(神々のこと)が憑依した信者の声とのこと。徐々に音量をまして盛り上がり、また静かに戻り、繰り返されるリズムはいつの間にか高音部で奏されながら消えるように終わる。第3楽章Allegroは三部形式。縦横無尽に跳ね回る16分音符のリズムはFrevoであろう。
- Allegro moderato
- Larghetto
- Allegro
1951
- Sonatina Nº 1 ソナチネ第1番
第1楽章Allegro moderatoはソナタ形式。第1主題はほぼ毎拍が弱起のモチーフがミのミクソリディア旋法で現れ、次に第2主題が低音部の息の長い旋律で奏される。展開部は第1主題の変奏〜第2主題の変奏〜第1主題の変奏〜第2主題の変奏と奏される。再現部は2つの主題がほぼ混じって現れて終わる。第2楽章Andanteはゆっくりと呟くようなオクターブ旋律がシ♭のミクソリディア旋法で奏される(これはブラジルの牧童の歌であるAbôioであるとする文献がある)。この旋律の前後で、静かに同音が連打されるのは放牧されている牛の放カウベルの響きを思わせる。第3楽章Allegroは、快活な16分音符が右手左手と交互に続く。
- Allegro moderato
- Andante
- Allegro
1954
- Suíte Nº 2 (Nordestina) 組曲第2番(ノルデスチーナ)
ノルデスチとはブラジル北東部のことを指す。ノルデスチの独特の民族音楽に興味を持ったゲーハ=ペイシェは、1949年から1952年までブラジル北東部ペルナンブーコ州のレシフェに住み、当地の民族音楽を詳しく調査研究している。ノルデスチの民族音楽を個性的に芸術作品に昇華したこの組曲は、ゲーハ=ペイシェの代表作の一つに数えていい傑作である。この作品は、ブラジルの楽譜出版社Ricordi brasileiraが、本社ミラノのRicordi社の創業150周年をして催した作曲コンクールで一等を受賞した。
- Violeiro ヴィオレイロ
三部形式。ヴィオレイロとはノルデスチ(ブラジル北東部)で即興でギター(特にViola caipira=ブラジルの10絃ギター)の弾き語りをする、いわば吟遊詩人のような大道芸人のような人のこと(ヘペンチスタとも呼ばれることもあり)。曲は全体的にノルデスチの熱帯的な雰囲気が漂う。ギターの低弦を思わせる符点リズムのオスティナートで曲は始まり、9小節目からヴィオレイロが歌う即興詩 "Gemedeira" の節回しがラのミクソリディア旋法で右手に現れる(下記の楽譜)。中間部で16分音符混じりで現れる旋律は即興詩 "Galope à beira mar" で、ひとしきりffまで盛り上がる。最後は "Gemedeira" が再び歌われ、ヴィオレイロが雑踏の中に消えていくように終わる。
Suíte Nº 2 (Nordestina), I. Violeiro、8〜11小節、Irmãos Vitaleより引用- Cabocolinhos カボクリーニョス
カボクリーニョスとはノルデスチの民族舞踊の一つ。レシフェあたりのカーニバルでは、先住民の衣装を纏った一団が「カボクリーニョス」を踊る。曲はまず低音に、太鼓を打つような躍動的な符点リズムが現れる。これにのって高音部でinúbia(カボクリーニョスの演奏で使われる小さな笛)の音色を模した軽快な旋律が、ファやラのリディア旋法で奏される(下記の楽譜)。
Suíte Nº 2 (Nordestina), II. Cabocolinhos、1〜12小節、Irmãos Vitaleより引用- Pedinte 物乞い
A-A'形式。左手にソのミクソリディア旋法の音階混じりの伴奏が静かに流れ、それにのって高音部に物乞いの歌のような弱々しい旋律が、これまたリディア旋法やミクソリディア旋法で奏される。教会旋法の使用が、物乞いの虚脱感とノルデスチの雰囲気を上手く出しているように思えます。- Polca ポルカ
三部形式。19世紀後半にショーロ音楽がリオデジャネイロではやり始めていた頃、ノルデスチではポルカがはやっていたようで、ミザエル・ドミンゲスなどの作曲家が活躍していた。曲は三部形式。冒頭はイ長調の軽快な旋律で始まるが、伴奏は多調で、転調も頻繁なコミカルな雰囲気。中間部はちょっと陰うつになって、ギターの伴奏でカバキーニョが16分音符の旋律を奏でるような感じ。- Frêvo フレヴォ
フレヴォとは、19世紀末頃のレシフェのカーニバルあたりを始まりとする、2拍子の速いテンポの舞踊音楽。当時のレシフェのカーニバルでは、フレヴォを演奏するチームの先頭にカポエイラを踊る屈強な男達がナイフを持って用心棒の如くいて、相手チームと遭遇するとお互いを挑発し、挙げ句の果てには殺し合いにもなったとのこと。警察がナイフを持った男達を取り締まるようになったため、ナイフの代りに傘を持って踊るようになり、今ではフレヴォを踊るダンサーは傘をくるくる回しながら、カポエイラのような華麗な足技を繰り出す踊りとなっている。楽譜の解説には、この曲はフレヴォの中でも器楽演奏で行われる "Frêvo-de-rua" に印象を受けて作曲されたと記されている。曲の冒頭はシンコペーション混じりのユニゾンが力強く奏され、フレヴォの楽団の金管楽器の華やかな響きを思わせる(下記の楽譜)。続いてダンサーの激しい踊りさながら、右手16分音符が上へ下へと飛び回る。曲の構成はA-B-Aだが、AもBもユニゾンのモチーフと華やかな右手16分音符の変奏の繰り返しが、カーニバルの行進が進むように続いていく。
Suíte Nº 2 (Nordestina), V. Frêvo、1〜2小節、Irmãos Vitaleより引用1967
- Sonata Nº 2 ソナタ第2番
ゲーハ=ペイシェの最後のソナタを飾るに相応しい、堂々とした構成感のある作品で、ノルデスチ(ブラジル北東部)の民族音楽を表現するのに不協和音を上手に用いている。第1楽章Vivaceはソナタ形式。第1主題はAtabaque(アタバキ=ノルデスチの民族楽器で、アフリカ由来の太鼓。カポエイラの踊りやカンドンブレの儀式で用いられる)を思わせる荒々しいリズム(ラのドリア旋法)と、時折炸裂する右手和音強打から成り、さながらカーニバルの行進のよう。これがひとしきり盛り上がり、続いて現れる第2主題は静かなギターの伴奏を思わせるアルペジオにのって寂しげな旋律が歌うように奏される。展開部は第1主題が変形され、第2主題は左手右手が交替して奏されたりする。再現部は第1主題のみ奏されて終わる。第2楽章Largoは一応三部形式。謎めいたモチーフの主題が静かに現れ、この主題がいろいろ変形されて奏される。中間部では民謡 "Cantiga de Folia de Reis" が厳かな和音で奏される。ここの和音は左手右手で異なる多調で、神秘的な響きだ。第3楽章AllegroはA-B-A'-C-A"-D-A'''-コーダとロンド形式。Aはト短調で、4分音符の威勢の良い左手ベースにのって、右手にシンコペーションの効いた旋律が現れてカーニバルの行進曲風。Bはポルカのリズムにのってフルートを思わせる軽快な旋律が現れる。A'はイ短調になり、左手オクターブでAの旋律が勇壮に奏される。Cはテンポを落として混沌とした雰囲気に。A"は変ロ短調となり、Aの旋律が陰うつにゆっくりと奏される。DはCabocolinhosのリズムとなり、あちこちにinúbia(Cabocolinhosの音楽で使われる小さな笛)の響きを模した軽快な旋律聴こえてくる。A'''はト長調となり、コーダでは第1楽章第1主題が現れて、最後はAの旋律がニ長調で高らかに奏されて終わる。
- Vivace
- Largo
- Allegro
1968
- Suíte infantil Nº 3 子どもの組曲第3集
子どもが弾けるような簡単な作りの曲ばかりながら、各曲ともブラジル音楽のいい所取りのエッセンスのような曲である。
- Marcha-rancho ランチョの行進
イ短調、三部形式。右手シンコペーションのリズムにのって、左手低音に行進を表すような旋律が現れる。- Toada トアーダ
ハ長調、三部形式。哀愁たっぷりの旋律がしっとりと奏される。- Frêvo フレヴォ
ト長調、三部形式。フレヴォの楽団の金管楽器の響きを思わせるオクターブに続いて、お祭り騒ぎのような賑やかな音楽が奏される。1969
- Sonatina Nº 2 ソナチネ第2番
前作のソナタ第2番に比べると構成やピアノの技巧はこじんまりとしているが、ブラジル民族音楽をあちこちに取り入れた秀作である。
- Allegro moderato
ソナタ形式風。3つの主題から成り、第1主題は、右手レ-ラのオスティナートの下で六度重音の穏やかな旋律が現れる(下記の楽譜)。ゲーハ=ペイシェは1949年から1953年までレシフェに住み、ノルデスチの民族音楽を調査・研究したが、この時「盲目のアデラルド (Cego Aderaldo)」として知られるヘペンチスタ(ノルデスチの吟遊詩人)のAderaldo Ferreira de Araújo (1878-1967) の音楽を採譜した。この第1主題の旋律は、Cego Aderaldoが弾くアコーディオンを模したらしく、アコーディオンの蛇腹の伸縮のような3小節ごとに一息つくように書かれ、またいくつかの教会旋法が混じったような調べは独特である。続いての第2主題は右手レ#-ファ#の3連符の下で、32分音符アルペジオで昇り16分音符半音階で下るおどろおどろした旋律が奏される。第3主題は、右手に素朴な旋律がハ長調で奏されるが、左手伴奏がBm♭(変ロ短調主和音)なので多調の幻想的な雰囲気。第3主題は度々転調しつつ繰り返され、その後の再現部は第1主題が4小節〜第2主題の旋律が今度は右手高音部で奏され〜第1主題ほぼ全部再現されて終わる。
Sonatina Nº 2、第1楽章、1〜8小節、Irmãos Vitaleより引用- Andante
三部形式。モジーニャ風の旋律だが、ほとんど調性のない不協和音は謎めいた雰囲気。中間部は楽譜に "ondeggiante(波打つように)" と記されている通り、静かに波打つようなアルペジオが続く。- Allegretto moderato (come Valsa)
A-B-A'-C-A"-コーダの形式。Aのワルツはイ長調で、リオグランデ・ド・スル州の民謡 "Maçanico" の旋律が陽気に奏される(下記の楽譜)。Bは快活なポルカ。A'は "Maçanico" の旋律がハ長調で奏される。Cは4拍子になり、右手和音連打の下で、のびやかな旋律が奏される。最後のA"は "Maçanico" が華やかに再現され、Aの伴奏形が変奏されたコーダで終わる。
Sonatina Nº 2、第3楽章、8〜12小節、Irmãos Vitaleより引用1971
- A inúbia do cabocolinho カボクリーニョのイヌビア
1956年作曲のピッコロと室内オーケストラのための同名曲からのピアノ編曲。inúbiaとはCabocolinhosで使われる小さな笛のことで、軽快な小品。1979
- Prelúdios tropicais Nº 1, Cantiga de Folia de Reis 熱帯の前奏曲集第1番、王の祭りの歌
Prelúdios tropicais(熱帯の前奏曲集)は、ゲーハ=ペイシェの晩年の傑作と呼ぶに相応しい10曲から成る組曲で、1979年に4曲、1980年に3曲、1988年に最後の3曲が作られた。ブラジルの、特に北東部(ノルデスチ)の民族音楽と自身の音楽語法は1954年作曲の「組曲第2番」などで一体化されているが、今一度、民族主義作曲家としての集大成を作ったような作品揃いである。我々が普段「熱帯」という言葉から想像する、のどかで気楽な雰囲気とはかなり異なって、全体的に不協和音も多く難解に聴こえなくもないが、「熱帯」の真の空気や生活はこういうものだ!とゲーハ=ペイシェが熱く語っているようにも思えてきます。第1番の曲名の "Reis"とは新約聖書に登場する「東方の三博士」のことで、Folia de Reisは幼子イエス・キリストを東方の三博士が訪れたのを記念する祭りのこと。日本語では公現祭と呼ばれているが、ブラジルでは宗主国ポルトガルから伝わったこの祭りが独特に発展し、今も毎年1月6日には盛大なお祭りがブラジル各地で行われている。曲は全体的に独特の神秘感に満ちていて、組曲の第1曲目でいきなりブラジル人の魂の奥底へと引き込まれるような感じである。まず前奏の荘厳なコラールで始まるが、リディア旋法とドリア旋法が混じって神秘的。中間部は踊りのような16分音符になり、ここはCego Aderaldo(ソナチネ第2番の解説を参照)が弾くBaião de Viola(ギターの一種でノルデスチの民族楽器)を模しているらしい。ここも教会旋法が用いられている。最後にもう一度、冒頭のコラールが短く奏されて静かに終わる。- Prelúdios tropicais Nº 2, Marcha abaianada 熱帯の前奏曲集第2番、バイーアの行進曲
バイーアは、ブラジル北東部にある州。冒頭から左手低音部で繰り返される音型は半音階進行で、サンフォーナ(ブラジルのアコーディオン)を模しているらしい。この左手低音部の音型はド-ミ-ソで始まるが、これにのって7小節目から始まる勇ましい右手三度重音の旋律はド-ミ♭で始まりいきなり多調の混沌とした熱帯的?な響きだ(下記の楽譜)。曲は行進が近づいてくるように段々クレッシェンドし、17小節目からは左手の音型がレ-ファ#-ラに移調すると右手旋律は16分音符で即興的に変奏されて賑やか(この右手変奏がドリア旋法だったりミクソリディア旋法だったりでいい響き)。ffまで興奮するように盛り上がり、また冒頭の調に戻って、最後は行進が遠ざかるようにディミヌエンドして終わる。
Prelúdios tropicais Nº 2, Marcha abaianada、5〜8小節、Irmãos Vitaleより引用- Prelúdios tropicais Nº 3, Persistência 熱帯の前奏曲集第3番、執拗に
A-B-A'-C-B-Aの形式。全体的に前衛音楽っぽく神経質な雰囲気の曲。Aはラ音連打と32分音符上行アルペジオから成る3小節のモチーフが繰り返される。BはLentoで不気味な旋律が蠢く。Cは右手に16分音符和音が急き立てるように連打されるが、これはViola caipira(ブラジルの10絃ギター、viola nordestinaと呼ぶこともある)の音色を模しているのだろう。- Prelúdios tropicais Nº 4, Ponteado de viola 熱帯の前奏曲集第4番、ギターのつま弾き
組曲全10曲の中では、最も「熱帯」っぽいムードたっぷりの、親しみやすい曲かな。三部形式。全体的にヴィオレイロ(組曲第2番の第1曲 "ヴィオレイロ" の解説を参照)の即興演奏を思わせる雰囲気の曲。冒頭は5/8拍子でギターのつま弾きを思わせる重音8分音符で始まる。重音の下の音は常にミだが、上の音は旋律っぽくて、最初ホ長調だが、6、7小節目はレが♮(則ちミクソリディア旋法)となるのがノルデスチの雰囲気ムンムンだ。10小節目からは右手冒頭の繰り返しに加え、左手で変ホ長調主和音が交互連打で挟み込まれて多調となり、何とも豊潤な響き(下記の楽譜)。
Prelúdios tropicais Nº 4, Ponteado de viola、10〜13小節、Irmãos Vitaleより引用
ひとしきり両手交互連打が盛り上がると中間部となり、バイヨンと思われる左手符点リズムにのってギターのストロークが段々熱を帯びて奏されていくように盛り上がる(下記の楽譜)。
Prelúdios tropicais Nº 4, Ponteado de viola、38〜44小節、Irmãos Vitaleより引用1980
- Prelúdios tropicais Nº 5, Pequeno bailado 熱帯の前奏曲集第5番、小さな踊り
A-B-A'-C-A"形式。Aはベースが半音階で下降する伴奏にのって、ヴァルサ・ブラジレイラ風の哀愁ある旋律が奏される。Bはシンコペーションが効いた伴奏にのって、8分音符の旋律が上下に舞う。A'では冒頭の旋律・伴奏がオクターブで力強く奏され、そのままffでCの和音連打が続く。最後に冒頭の旋律がレシタティーボ風に静かに回想されて終わる。- Prelúdios tropicais Nº 6, Reza-de-defunto 熱帯の前奏曲集第6番、死者への祈り
"Reza-de-defunto" とはノルデスチ特有の葬儀のことらしい。地味ながら厳粛な雰囲気のこの作品は、ノルデスチの民衆とその音楽を知り尽くしたゲーハ=ペイシェでこそ書き得た作品のように思えます。A-A'形式。最初は単旋律が静かに奏されるが、旋法はド-レ-ミ-ファ♯-ソ-ラ-シ♭-ド(リディア旋法とミクソリディア旋法の混合)で、伴奏の和音や半音階で下がる低音ベースとも相俟って何とも神秘的。後半は葬送行進曲の如く低音4分音符が重々しく続く中、先程の旋律がオクターブとなって繰り返される。- Prelúdios tropicais Nº 7, Tocata 熱帯の前奏曲集第7番、トッカータ
A-B-B-C形式。黒人の叩く太鼓を思わせる3連符が高音部〜中音部と絶え間なく続き、その中から多調の和音や減8度、短9度などの不協和音が響き渡る。この曲はカンドンブレの儀式を思わせるとする文献もある。1981
- Minúsculas - I ミヌスクラス第1集
ミヌスクラスとは「小さな事々」といった意味である。6集18曲から成る曲集。いずれも20小節以内の短い曲で、技巧的にも易しく、右手左手とも音程は七度まででオクターブは使わないなど、子供向けの教本のような作品である。全体的に、バルトークのピアノ曲集「ミクロコスモス」を意識して作曲したような感じが窺えるが、バルトークより更に調性感をぼやかして、和音は難解であり。子供の心を掴むような親しみがある作品とはとても思えませんが‥‥。
- Introdução 序曲
ハ長調2声の素朴な雰囲気で始まるが、旋律・対旋律ともしばしば♭が現れ、増三和音が聴こえたりする。- Dramático 劇的に
fで奏させる力強い4声のコラール風の部分と、pで奏させるユニゾンの静まりかえった部分が対称的。- Marchando 行進して
行進曲風で、旋律は内声に現れる。- Minúsculas - II ミヌスクラス第2集
- Caminhando 散歩
トコトコと散歩しているような旋律の曲。- Cantiga カンティーガ
寂しげな旋律がカノンで奏される。- No estilo carioca カリオカ風に
三度重音連打の伴奏が徐々に半音づつ下がり、それにのって哀愁漂う旋律が奏され、ショーロの雰囲気だ。- Minúsculas - III ミヌスクラス第3集
- Fanfarra ファンファーレ
威勢の良い行進曲風の曲。- Valseado ワルツを踊って
伴奏のベースは半音階で下がり、それにのってもの悲しい旋律が奏される。ヴァルサ・ブラジレイラの雰囲気の曲。- Indiozinho carnavalesco カーニバルの先住民の子
楽譜の脚注に「レシフェのカボクリーニョスを模したメロディーで」と記されている(カボクリーニョスについては組曲第2番第2曲の解説を参照)。太鼓のリズムにのって、inúbia(カボクリーニョスで使われる小さな笛)の軽快な音が聴こえてくるような曲。- Minúsculas - IV ミヌスクラス第4集
- Prelúdio 前奏曲
まず憂うつなモチーフがユニゾンで現れ、続いて左手半音階進行の重音にのってモチーフが繰り返される。- Contrastes コントラスト
pで奏されるユニゾンと、fで奏されるコラールがコントラストを作っている。- Caipira 田舎者
左手ド-ミ-ファ-ソ-ラ♭のペンタトニック音階の伴奏にのって、右手に現れる旋律はドのドリア旋法と、独特の響きの曲。- Minúsculas - V ミヌスクラス第5集
- Canto negro 黒人の歌
民謡の旋律を思わせるような素朴な曲。- Coral コラール
4声のコラールを思わせる曲。内声の半音階進行が陰うつな雰囲気。- Mãos cruzadas 交差する両手
曲名通り、両手交互の和音連打で始まる。最初の4小節は右手は白鍵、左手は黒鍵でヴィラ=ロボスが好んで用いた音型だ。- Minúsculas - VI ミヌスクラス第6集
- Barroquinho バロック風に
2声の旋律が対位法で現れる曲。- Noturno 夜想曲
左手オスティナートにのって、和音が半音階で動く旋律が静かに奏される。ミヌスクラスの中で、この曲のみ楽譜にペダルの指示がある。- Lembrando Bartók バルトークを思い出して
快活な曲。ハンガリー舞曲を思わせる節もある。ゲーハ=ペイシェが、バルトークのピアノ曲集「ミクロコスモス」を意識してこの「ミヌスクラス」を作曲したことを窺わせる。1982
- O gato malhado トラネコ
ブラジルの作家、ジョルジェ・アマード (Jorge Amado, 1912-2001) が1948年に書いた小説「ツバメとトラネコ:ある愛の物語 (O Gato Malhado e a Andorinha Sinhá: uma história de amor)」にゲーハ=ペイシェが霊感を受け、物語の筋に沿って作られた組曲である。物語は「動物たちが言葉を話すことができた大昔」の話で、自然公園に住んでいる中年の雄トラネコと若い雌ツバメが知り合い、恋におちるが、ツバメはナイチンゲール(小夜啼鳥)と結婚させられることになり、悲しい別れで終わるという内容。ジョルジェ・アマードは自分の幼い息子のためにこの物語を書いたーいわゆる童話であるが、その中に人種の違いや偏見で人(トラネコ)を差別してしまう世の中への警鐘がこめられているようにも感じられる小説である。高見英一氏による日本語訳版 (1983年) もかつては新潮社より発売されていたが、現在は絶版である。(左の写真はその表紙です。また一部の文章を下の解説に引用しました。)ジョルジェ・アマードはブラジル北東部のバイーア州出身で、ブラジル北東部の信仰、伝統から貧困の現実に至るまでを追求した小説をいくつも発表し、「ブラジル北東文学」というジャンルを作ったとも言える作家である。同じ北東部の民族や音楽に深い興味を持ち研究を行ったゲーハ=ペイシェにとって、アマードには親しいものを感じたのであろう。楽譜の所々には、物語の場面を示す言葉が添えられている(下記の解説の下線をつけたところです)。ゲーハ=ペイシェらしい不協和音の音楽ではあるが、その中に、この小説が持つ幻想的な世界を上手に描写しているようにも感じられる作品である。1983年にはゲーハ=ペイシェ自身により、室内オーケストラ用にも編曲された。
- O gato malhado トラネコ
自然公園に春が来た。自然公園には一匹の雄のトラネコが居た。このトラネコは一日中寝転がっている怠け者で、その上自分勝手で狂暴なので、周りの動物からは恐れられ嫌われていて、誰もこのトラネコには近寄らなかった。音楽の冒頭は、a) O GATO MAU(怠け者の雄ネコ)がのっそりと動く様が低音の付点音符で描写される。ネコは怠け者である一方、b) O ROMÂNTICO(ロマンチスト)であり、春の息吹を感じて草の上に転がって「にゃーお」と鳴く音が高音に現れる。再びネコは付点音符のリズムで歩き出し、それから、c) PREGUIÇOSO(怠けて)いると、d) APARECE A ANDORINHA(一羽の若い雌のツバメが現れた)のが高音ドの連打音で聞かれる。- A andorinha sinhá 若い雌ツバメ
若い雌ツバメはトラネコに興味を持ち、e) E ANDORINHA PIA PARA O GATO(ツバメはネコと話しだす)。ネコを表すような中音部の気怠い和音と、ツバメを表す高音部連打が奏される。f) JOGA GRAVETOS NO GATO(木の枝でネコと遊ぶ)のは悪戯っぽい32分音符アルペジオで表されている。- O namoro e os murmúrios 恋愛と陰口
トラネコとツバメは春から夏にかけて仲良くなり、g) O NAMORO(いちゃつく)のが、ネコを表す左手中音部の旋律とツバメを表す右手高音連打音の掛け合いで描かれる。ここでは落ち着いた雰囲気になっている。しかし自然公園にいる他の動物たちは、この二匹の恋のことを、h) MURMÚRIOS(陰口)を言っていて、両手ppのトレモロ(バッテリー)がせわしなく奏される。- A noite sem estrelas 星のない夜に
秋が来た。ツバメがトラネコと付き合っているを心配したツバメの両親は、ツバメをナイチンゲールと結婚させることにした。ある冬の日、結婚式が執り行われ、i) MARCHA NUPCIAL(結婚行進曲)が流れるが、ツバメの心の内を表すような陰うつな行進曲が奏される。婚礼の行列がチャペルから、j) REVOADA(舞い出た)とき、ツバメは片隅に寂しげにぽつねんとたたずんでいるトラネコの姿を見た。トラネコとの愛の思い出の印として、k) A Andorinha deixa cair uma petala de rosa vermelha no Gato(ツバメは赤いバラの花びら一つをネコの上へ落としていった)ーここは高音から4オクターブを落ちていく32分音符アルペジオで描かれている。最後は、l) LEMBRANÇA DA ANDORINHA(ツバメとの思い出)が低音部で消えるように奏されて曲は終わる。1988
- Prelúdios tropicais Nº 8, Cantiga plana 熱帯の前奏曲集第8番、平原の歌
謎めいた響きの重々しい前奏が奏された後、農民の素朴な歌のような旋律が高音オクターブで奏される。- Prelúdios tropicais Nº 9, Polqueada 熱帯の前奏曲集第9番、ポルケアーダ
ポルケアーダとは、ポルカ風にという意味らしい。A-A'形式。低音8分音符のミ-レ-レ♭-ドが繰り返されるのにのって、ポルカ風の戯けた旋律がフルートの音色のように奏される。A'では左手は分散オクターブに、右手はオクターブの旋律となって騒がしく再現される。- Prelúdios tropicais Nº 10, Tangendo 熱帯の前奏曲集第10番、楽器を鳴らして
三部形式。ギター(おそらくViola caipira)のつま弾きのような16分音符モチーフが音高を変えながら繰り返される。中間部に現れる旋律のトリルは、ギターのプリング・オフ奏法のよう。