チェンライ新名所 白亜の寺院

- ワット・ロンクン -



















 チェンライに、新しい観光名所ができました。
  チェンライ市街の南、10キロメートルあまりの田舎に、
まばゆいばかりの「白亜の寺院」が造営されました。


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 この「お寺」を作った人は、チャルムチャイ コーシッピパットさんという、「画家」で、仏教絵画のちょっとばかり名の知れた芸術家である。
横尾忠則風のイラスト・タッチの仏画が得意のようである。
 タイの芸術家の登竜門のコンクールで、最高金賞を獲得し、その後も、さまざまな賞をえて、最近では、「民族芸術保有者(日本の無形文化財保有者に相当)」の称号をえている。国内はもとより、ロンドンはじめ、世界各地のタイ寺院の壁画などを描いてきた、50代にさしかかったばかりの、中堅の画家、工芸家である。
 タイの仏教芸術家は、絵画ばかりか、仏教彫刻、寺院建築を手がける総合芸術家が多いが、彼もそんな芸術家のひとりである。
 2004年に、日本の「人間国宝」に相当する、タイ国では最初の「伝統芸術保持者」の栄誉を受けられたそうである。

 
  この「お寺」の名前は、「ワット・ロンクン」といいます。「ロン・クン」というのは、「濁った小川」という意味です。この「お寺」の近くにある「ロン・クン村」が、「先生」の出身地です。
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 チャルムチャイ師、ご自身の述懐によりますと、子供の頃は、大変ないたずら坊主で、悪いことばかりしていたそうです。学校の成績の方も、最低でしたが、ただ、「絵を描く」ことだけは、誰にも負けなかったそうです。長じてからも、女遊びなど極道の限りを尽くしたそうですが、ある日、思い立って、誰にも負けない絵描きになろうと決心して、絵の勉強に専心するようになったそうです。やがて、芸術大学を卒業する頃には、すでに、国内では有名な画家になっていました。コンクールで金賞を取って以来、あちこちの寺院などから、製作依頼が殺到し、以来ずっと、仏画を描き続けてきました。
 10年ほど前、故郷の村の「みすぼらしい寺」(といっても、北タイの田舎では、ごく普通のお寺ですが)の再建をしようと決意したそうです。
 現在の自分が、こうしていられるのは、多くの人たちの支えがあってのことだということを、仏教の教えから学び、中でも、両親はじめ「ふるさと」の人々のお蔭であると思うようになり、ほかでは見られない「素晴らしい」お寺を作って、「恩返し」をしようと決心したそうです。
 お寺を作るためには、彫刻や建築のことも勉強しなければなりません。その後、3年あまりかけて、タイの伝統的な寺院建築、とりわけ、「ライ・タイ」と呼ばれるタイの寺院で使われているデザイン模様の習得に努めたそうです。
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 そして準備もととのった1997年(仏暦2540年)、「ワット・ロンクン」の建築が始まりました。
 最初に手がけたのが、「ウボソット(本堂)」でした。
田舎の人たちのなかから、希望者に集まってもらい、「漆喰(しっくい)」技術者の養成もしました。そして、2年が経過した頃、本堂の完成だけでも10年はかかることが判明し、建設費用も、最低7,000万バーツ(約2億円)は、必要であることがわかりました。
タイでは、寺院を新しく造ったり、建て替えたりする場合は、寄進を募って建設するのが普通ですが、彼は、最初から、寄進は当てにしてませんでした。
人々の寄進というのは、仏様に対してなされるもので、それを当てにして、寺つくりをすることは、彼の良心が許さなかったそうです。私財と余命のすべてをささげる覚悟をしたそうです。
 着工以来、現在(2006年)、9年が経過しましたが、まだ、本堂さえ完成しておりません。
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 すでに、彼は、5,000万バーツあまりの私財を投入したそうです。現時点での予測では、完成までにさらに5,6年以上、費用の方も、今までにかけた額と同額か、それ以上が必要になるだろうとのことです。
 気の長い、壮大な話で、ちょっとばかり、スペインの「サグラダ・ファミリア」のミニミニ版といった感じがしてきました。
 工事も進み、本堂の全容が見られるようになりはじめた数年前から、噂が広まり始め、TVでも報道されるようになり、未完成ながらも、引きもきらず観光客や信者が集まり始めました。今では、多いときには、遠方からの観光バスが、数十台も並ぶこともあるくらいな盛況ぶりで、寺の周囲にも、「門前、市をなす」のことわざどおりに、数十軒の店や、物売りが並ぶようになり、チェンライでは、有数の観光地になりました。建築資金援助の寄付も集まるようになったそうです。

 白一色に、たくさんのガラスをはめ込んだ建物や、庭に置かれた彫刻は、光の具合で「クリスタル・ガラス」のようにも見え、「幽玄」の美は、タイ国内では、おそらく始めての試みではないかと思います。
「純粋・無垢(ボリスッチャイ)の、仏陀の世界」を、この世に作り上げることが、作者の願いだそうです。
 「ワット・ロンコン」の作品などについては、次回また、ご紹介する予定でおります。


 今回掲載した写真は、すべて、2005年8月20日に撮影したものです。
雨期さなかの悪天候のため、色彩がよくありません。腕も良くないのですが。
後日、機会がありましたら、より美しい写真の続編を予定しております。

「ワット・ロンクン」への案内図は こちら をクリックしてください。


(関連ホームページ)
http://www.dhammathai.org/watthai/north/watrongkhun.php (タイ語)
http://www.saranair.com/article.php?sid=10264 (タイ語・写真多)