しっぽよ、あれがパリの灯だ


 今年の3月、『ながいながいへびのはなし』のフランス語版を出したいという話が来た。どうぞ進めてくださいと言っておいたら8月に、著者の写真を送ってくれとの連絡があった。送った。時は流れ11月になり、ようやく献本が届いた。奥付では5月刊行となっていた。いろいろと不思議である。
 仏 Editions du Sorbier社との間に、向うのエージェントと日本のエージェントとオリジナルの版元である小峰書店が入るので、何がどのように進んだのか、ぼくはあまり把握していない。
 実際の刊行は6月だったと聞いたので、そもそもの始まりからでも3ヶ月。翻訳絵本ってそんな短期間で出せるものなのだ。6月刊行なのに8月に請求された写真の用途はまったく謎。
 献本が5ヶ月も遅れた理由に関しては若干の説明があったが、一言でいえば「忘れていた」。ははははは。

 とにかく本は届いた。じっくり検分しよう。

 タイトルは『L'histoire du serpent sans fin...』、終りのないへびの話、というところか。
 サイズが一回り大きくなって、20cm×20cmから22cm×22cmになっている。事前に話があったそうだがぼくは聞いていない。が、まあ悪い感じではない。
 カバーなし。これは洋書では普通のこと、カバーをつける日本の方が変わっているらしい。
 それ以外は見返しの色、テキストの入れ方等、なるべく日本版に忠実に作ってくれた印象がある。欧米の本は奥付が前にあるものと思い込んでいたが、この本は後ろにあって日本版と同じ。著者紹介の「子どものころ友人がへびの赤ちゃんを飼っていた」というエピソードも省略せず訳してくれていてちょっと嬉しい。
 翻訳者の名前がどこにもないのには首をひねった。Sorbier社の編集者が訳したということだろうか? 訳文のできはぼくにはわからないから、とりあえず気にしない。
 印刷はきれいに出ている。今回画家による色校チェックはなかったと聞いた。これは日本で海外の絵本を翻訳出版するときもほとんどそうだという。納得できない気もするが、海を越えて何度もやりとりする手間を考えれば信じて任せるしかないのだろうか。
 本文用紙は日本版より若干薄い。フランスの子の方が本をていねいに扱うのかな?
 価格は10ユーロ。1400円くらいだから日本版よりやや高め。

 ざっとこんなところだ。

 本は手に取ったときの感じ、たたずまいのようなものが大事だが、これならまず満足な仕上がりといっていいだろう。
 書評のコピーが6枚同封されてきたが、フランス語が読めないので、転載許可を得ていないので、残念ながら割愛。
 もとはぼくの頭の中だけにいたへびの話を、フランスのお母さんがフランスの子どもに読んであげると想像すると、なんとも不思議な気持ちがする。ずいぶん遠くへ行ったものだね、へびくん。
 フランス語版の『へび』もたくさんの子どもたちに末なが〜く愛されますように。

戻る