レミリアと銀の糸

さんさんと降り注ぐ月の光。

窓辺に座る少女は、赤い液体の満たされたカップを傾ける。

その小さく可憐な喉が申し訳程度にそれを飲み、

「・・・・・・不味い。」

そう、小さく漏らした。

紅魔館当主、レミリア・スカーレット。

その人形のように整った顔が、不機嫌にしかめられた。

メイドたちの入れる紅茶は、いつも不味い。

毎日違うメイドが入れているようなので、誰が下手というわけでもない。

いつも、不味い。

美味しい紅茶を入れる秘訣は、いい茶葉や厳選された水、だけではない。

吸血鬼である彼女は、紅茶にいつも少量の血液を混ぜるよう指示しているので、

その血液の質、というのもあるにはある。

が、一番大切なのはそれではない。

手間。

労を惜しまぬ手間。

カップを事前に暖めておいたり、蒸らしの時間を適度に置いたり。

そう言った細々とした手間が、本当に紅茶を美味しくする。

その人に紅茶を飲んでもらいたいという気持ちが、本当に紅茶を美味しくする。

だからこの紅茶は不味い。

そう言った手間が惜しまれているこの紅茶は、不味い。

「・・・・・・退屈だ。本当に。」

レミリアはすっと目を細めると、部屋中を見回すように巡らせた。

ふわり、と視界を何かが掠める。

それはうっすらと、徐々に数を増して。

それは『糸』だった。

色とりどりの、糸。

別にメイドたちが掃除に手を抜いているからではない。

レミリアにしか見えない糸。

彼女の『運命を操る程度の能力』が見せる糸だ。

運命を、糸という形で視ることが出来る。

糸。

あるいは、意図。

「・・・うん?」

そのうちの一本に、レミリアは目を留めた。

月明かりに煌く、一本の銀の糸。

糸の色は内容や重要度によって色分けされて映る。

中でも最も重要なのが金の糸。

それに次ぐのが、銀の糸だった。

銀の糸は、主に自分にとってなにかとてもいいことが起きる前兆。

以前、銀の糸を追った時は、一人図書館に居候ができた。

金の糸は、主に自分にとってなにかとても悪いことが起きる前兆。

心に大きな傷を残すようなことや、酷く後悔すること、命に関わることによく視られる。

悪いことのほうが優先順位が高いのは、生物としては当然か。

ともかく、その目の前に浮いている銀の糸は、

レミリアにとっては最大の吉報の証なのである。

「紅茶のことは忘れられそうだな。」

ふっと、小さく微笑むと、

レミリアはその銀の糸を目で追った。

糸は扉の隙間から外へと流れていて・・・

 

* * *

 

「出るぞ、美鈴。」

「ふえっ? ね、寝てません! 寝てませんよ!?」

門の前。

脱力しきっていた門番に声をかけると、

彼女はあわてて跳ね起きた。

声をかける前に十分確認したので寝ていたのはわかっていたが、

「・・・寝てたな?」

あえて気付いていないふりをする。

「と、とんでもないです!!」

「ふぅ、まあいい。」

どうせ侵入者が出たところで、私の敵ではないのだし。

美鈴が居眠りをしていたのは不問にする。

なにしろ、今は最高に機嫌がいい。

「お出かけですか、お嬢様?」

さっきも言ったはずだが・・・。

まあ、寝ていたのだから聞こえなかったのだろう。

それも不問にする。

「ああ、月光浴にな。」

「お供しますよ?」

「そのつもりで声をかけた。」

美鈴があわててそばにつくのを気配で確認する。

レミリアは最初から目的があるように迷いなく歩き始め、

「お嬢様、今日はどちらへ?」

「さぁ?」

しかし答えは曖昧。

美鈴は最初、からかわれているのかと思ったが、

どうも彼女の様子をみると、そうでもないらしい。

なにか楽しいことが起きるのを期待するような顔で。

事実、本人にすらわかっていないのだ。

その銀の糸が続く先を。

「今夜は、月が綺麗だな。」

「はぁ、いつもと変わらない様な気がしますけど。」

レミリアは苦笑する。

普通は主人に合わせて、そうですね、とか言うのがスジだろうが。

しかし美鈴はまっすぐに自分の意見を返してきて。

それが、レミリアがこの駄目な門番を気に入っている理由でもある。

「あっ、お嬢様! あれはなんでしょうか?」

「うん?」

美鈴が指差したのは、銀の糸の先。

その広い草原の只中。

なんだあれは?

レミリアは奇妙な光景に面食らった。

それは銀の糸の終着点。

銀の糸が、ごっそりと固まりになって転がっていて。

いままで一度だって、こんなことはなかった。

これはよほどの吉兆の表れなのか。

美鈴が傍に行って草を掻き分けると、

ああ、なんだ。なんてことはない。

「・・・行き倒れ、ですかねぇ?」

それは人間だった。

銀の糸で編まれたような、月光に煌く銀髪の少女。

銀の糸の固まりのように見えたのは、少女の髪の毛だったわけだ。

見た目はそう、自分よりも少し下くらいの、年端も行かない子供。

まあ、自分は吸血鬼で400を軽く越える歳月を過ごしているが・・・。

「こんなところで爆睡とは、見上げた根性だな。」

「そんなわけないじゃないですか。たぶん行き倒れですよ。

 どうします? このままだと野犬のエサになりますけど。」

ふつうの人間なら、迷わずこの少女を助けるだろう。

だが生憎と、彼女達は人間でなく。

結局のところ、この少女の生死などどちらでもよかった。

レミリアに対するこの問いは、

「非常食くらいにならなると思いますけど、持って帰ります?」

ということ。

別に非道な話ではない。

彼女達はどちらも、人間を糧として生きる人外なのだから。

「さて、どうするかな。」

レミリアは少女に目を向ける。

夜に映える銀の髪と、人形のように綺麗な顔。

泥だらけで、身なりはこれでもかというほど貧相だったが、

しかし、それらを差し引いてもこの少女はかわいい、

いや、綺麗だった。

「・・・持ち帰るか。」

「は〜い。」

美鈴は、ひょい、と荷物のように少女を担ぐ。

さて、この少女が一体何をしでかしてくれるのか。

その日のレミリアは、終始機嫌が良さそうだった。

 

* * *

 

翌日。

といっても、魔の住処である紅魔館はとっくに夜なのだが。

「・・・不味い。」

相変わらずの不味い紅茶を、レミリアは飲んでいて、

―コンコン

控えめなノックが部屋に響く。

「入れ。」

誰が来るのかはわかっている。

自分が呼んだのだから当たり前だが。

入ってきたのは二人。

美鈴が昨日拾ってきた少女を連れてきた。

「えっと、とりあえず有り余っていたメイド服着せてみましたけど。」

泥も落とされ、身なりも整えられて、

少女はやはり人形のように綺麗だった。

「お前、名前は?」

「・・・・・・。」

それはまるで人形のよう。

銀の糸で編まれたような銀髪。

名工が試行錯誤して作り上げたような、絶妙なバランスの目鼻立ち。

無表情という仮面を貼り付けたような表情。

一言も声を発さない、息をしているようにすら見えない口。

そして、世界に絶望しきったガラス玉のような瞳。

なにもかもが、人形のようで。

「名前どころか一言も喋ってくれないんですよ〜。」

「・・・・・・そのようだな。」

レミリアはすっと夜空を見上げて、

今夜も、月は綺麗だ、と。

「なら好きに呼ばせてもらう。そうだな・・・、お前は十六夜 咲夜だ。」

「・・・・・・。」

にこりともしない。

それどころか、なにか言われたことにすら反応せずに。

それにレミリアは、落胆した。

こんな人形が、私の幸運だと?

「・・・私の勘も、鈍ったかな。」

ちゃら、と鎖の擦れる音。

レミリアは、テーブルに置かれた懐中時計を手に取った。

それに初めて、少女、咲夜が反応を示した。

「ああ、これはお前の持ち物だったな。」

昨晩、倒れていた咲夜が唯一大事そうに抱えていた物だった。

咲夜があまりにもつまらないので、

本当はこの懐中時計が銀の糸の指し示す先なのかと思ったが、

なんのことはない。

ただの懐中時計。

運命の糸などまったく見えない。

「返すぞ。ただの懐中時計のようだしな。」

レミリアはそれを咲夜に返そうとして、

驚きに目を丸くした。

まったく同じものをもう一つ、咲夜は持っていた。

いや、それは違う。

まったく同じものではなく、その懐中時計そのもの。

それが、いつの間にかレミリアの手から奪い取られていて。

「お前、今一体何を・・・?」

レミリアほどの者がこんな小さな少女に、

手から直接物を取られて気付かないはずがない。

しかし、実際にそれは起こって・・・。

レミリアが、咲夜に手を伸ばすと、

 

咲夜は忽然と、姿を消した。

 

今度は、レミリアも美鈴も十分に注意を払った状態で。

なお、咲夜は突然居なくなったようにしか見えない。

「く、空間転移・・・でしょうか?」

「・・・いや。」

時間を、操れるのか?

だとしたら、興味深いな。

美鈴がぴったりと閉めたはずのドアが、

きぃ、と風に吹かれて揺れた。

 

* * *

 

数日、咲夜を観察してわかった。

咲夜は面倒なことを極度に嫌う。

メイド長に適当に指示を出させてメイドの仕事でもさせようかと思ったが、

咲夜はそれにもまったく反応を示さない。

咲夜にはやる気がない。

咲夜には生きようとする意思がない。

ただ、死ぬ方が面倒そうだから生きているだけ。

それは、生きているのとは違う。

ただ、死んでいないだけ。

見ているといらいらする。

どんな小さな生物ですら、生きることに必死だというのに。

何もせずに生きている咲夜が。

生きようともせずに生きている咲夜が。

 

その日、咲夜はレミリアの部屋に呼び出された。

あまりにも仕事をしない咲夜に、メイド長が折檻してくれと進言してきたからだ。

ノックもせずに部屋に入ってくる咲夜。

レミリアはそれについて叱ったりはしない。

不味い紅茶の入ったカップをかちゃりとソーサーに置いた。

ただ、無表情に見つめてくる咲夜に、

「お前には、もう飽きた。」

そう、告げた。

咲夜は、無表情のまま反応すらしない。

それにレミリアは不快になる。

人間は好きだった。

人間はどんな生き物よりも死に対して臆病で、生きることに必死だ。

生きるために、人間同士で争うことすらある。

その必死な姿が、レミリアは好きだった。

だが、咲夜は違う。

ただ生きているだけ。

ただ死んでいないだけ。

こうして、レミリアが殺気に近い気配をぶつけている時ですら、

自分の生に関心を持たない。

「もう、いい。」

落胆した声で。

レミリアの姿が消えた。

いや、消えたように見えただけ。

他の生物の限界をはるかに超えた高速移動。

咲夜の時間停止には及ばないが、十分に消えたように見える動きで。

咲夜の目の前に移動した。

そのか細い肩を掴み、口を開く。

異様に鋭く伸びた犬歯。

人を糧とする吸血鬼の証。

それが、咲夜の首に触れて、

 

咲夜は、無表情。

 

―ドンッ

レミリアは咲夜を突き飛ばした。

咲夜は勢いあまってしりもちをつく。

「私は私を恐れる者の血しか吸わない。

 お前には、その価値すらない。
 
 ・・・目障りだ。失せろ。」

咲夜は、のとのろと立ち上がると、

一礼もせずに部屋を出て行った。

あれが、私にとっての銀糸?

冗談じゃない。

きっと不味い紅茶のせいで、白い糸と見間違えでもしたのだろう。

まったく、つまらない話だ。

再び、レミリアはカップを手にとって、

―コンコン

今度はちゃんとノックがされる。

が、返事を待たずに彼女は部屋に勝手に入ってきて、

「あの〜、お嬢様? 咲夜って娘、出て行っちゃいましたけど?」

そんな美鈴に呆れながらも、

「ああ。追い出した。」

もう関心がまったくない様子でそう答えた。

そうですか、と美鈴は窓の外に目を向ける。

外は連日の月夜が嘘のような、土砂降りの雨。

「あの娘、きっと死んじゃいますね。」

「だろうな。」

この土砂降りの中あてもなく歩けば体を壊すだろう。

野犬の群れに襲われてかみ殺されるかもしれない。

咲夜には生きる気力がない。

そんな者が、生きながらえる道理はない。

「綺麗な娘だったんですけどね。残念です。」

美鈴が少し残念そうに肩を落として、

その、肩。

それにレミリアは目を見開いて、

「・・・美鈴。お前、その肩の糸?」

「ふぇ!? 糸くず付いてますか? どこですかぁ〜?」

美鈴があわてて肩を見回して。

しかし、見つけることができない。

見えるはずがないのだ。

それはレミリアにしか見えない。

 

その、金の糸は。

 

* * *

 

寒い。

体が寒い。

雨に濡れて寒い。

ひとりぼっちで、心が、寒い。

咲夜はあてもなく門を出て、

今、森の中を歩いている。

時間を止めて歩けば、雨に濡れるのも少なくなるだろうか。

そんなことを考えて、

面倒なので結局やめた。

どうでもいい。

面倒くさい。

やがて、歩くのも面倒になって足を止めた。

バケツをひっくり返したような雨が降り注ぐ。

せめて雨宿りができる木の下にでも止まればよかったが、

別に、どっちでもよくなったので歩くのはやめた。

雨が降り注ぐ音が聞こえる。

それと、懐中時計が時を刻む音。

それから、

 

荒い息遣い。それも、複数。

 

咲夜は視線を巡らせる。

痛いほどの視線を感じる。

野犬の群れだった。

それが、こちらの隙をうかがっている。

一瞬でも隙を見せれば、すぐさま喉笛に喰らいついてくるだろう。

咲夜は、

時間を止めて逃げるのと、

このまま野犬の群れに食い殺されるのと、

どちらが面倒かを天秤にかけて。

そして、

「・・・・・・。」

立っているのすら面倒になって座り込んだ。

ぐしゃり、と水気を吸った泥。

気持ち悪い感触が下着すら通り越して伝わってきて。

でも、どうでもよかった。

どうせもう、死ぬのだから。

ずっと隙をうかがっていた野犬が、

そんな隙を見逃すはずもなく。

一斉に飛び掛った。

咲夜はそっとそのガラスの瞳を閉じて。

 

―ぶしゃっ

 

肉が裂けて血が噴出す音。

全身血に濡れた咲夜が驚いたように見上げる。

「ええい、くそっ。面倒くさい。」

本当に忌々しそうに呟く。

真紅の槍を携えた吸血鬼。

ぼとり、と野犬の死体が転がった。

ぐわっ、と二匹目が飛び掛り、

一閃した槍に両断される。

「本当に面倒くさい。面倒くさいが・・・、助けてやる。」

その吸血鬼、レミリア・スカーレットは咲夜を半眼で睨みつける。

全身から煙を噴き出しながら。

溶けた鉄がかけられたかのように煙を噴き出しながら。

吸血鬼にとって、流水は溶岩も同じ。

雨は硫酸が降り注ぐも同じ。

それでもなお、咲夜を助けるために槍を振るって。

「・・・・・・。」

咲夜は、馬鹿みたいに口を開けてその姿を見つめていた。

あっという間に、野犬の群れは退散していって。

「・・・まったく、もっと早く撤退しろ。」

レミリアは木の根元にどっと腰を下ろした。

雨は直接当たらないが、

葉から時折垂れる雫が肌を焼く。

(・・・これは、さすがに死ぬか?)

全身焼け爛れて見るも無残。

回復にはかなりの時間がかかりそうだ。

そもそも、これ以上動けないので館にも戻れない。

一体自分は何をしているのか。

ぼーっと自分を見つめてくる咲夜。

「なにをボサっとしているんだ。

 せっかく助けてやった命なんだから大事に使え。
 
 また襲われても今度は助けんぞ。」

レミリアは目をそらすように閉じて。

あぁ、本格的にまずい。

眠くなってきた・・・。

いっそ寝てしまおうか、と思いかけたところで。

 

急に暖かい感触が伝わってきた。

 

「・・・ん、あれ!?」

レミリアが違和感に目を開けると、

目の前の景色は一変していた。

見慣れた、紅魔館のロビー。

一瞬にして、自分はそんなところにいて。

足を動かしても居ないのに視界が進む。

「・・・はぁ、はぁ。」

咲夜が、今にも倒れそうに自分を背負っていて。

レミリアは理解した。

咲夜が、ここまでの距離をずっと、

時間を止めて背負ってきたのだ。

―バタンッ

咲夜が倒れた。

当然だ。

時間を止めるなんて規格外の能力を使い続けて、

自分よりも大きなレミリアをここまで背負ってきたのだから。

「お、おいっ、咲夜!?」

咲夜は今にも死にそうな調子で、

全身を雨と汗と血でびっしょりと濡らして、

息も絶え絶えに、

「・・・・・・面倒くさい。」

そう、呟いた。

 

* * *

 

咲夜は必要最低限の言葉は喋るようになった。

メイドの仕事も、気が向いたとき程度にはやるようになっていた。

相変わらず無愛想で、表情もほとんど変わらないが、

それでもレミリアは、よく咲夜を自分の部屋に呼ぶようになっていた。

「咲夜。」

「・・・・・・。」

咲夜は答えない。

が、顔はこちらに向けてきた。

「結局、お前の名前はなんだったんだ?」

「・・・・・・。」

咲夜は答えない。

最近、多少は喋るようになったから聞けるかと思ったが。

まあ、いいか。

レミリアは窓の外の月に目を戻そうとして、

「・・・・・・咲夜。」

咲夜はそう答えた。

レミリアは呆れたように、

「それは、私が与えた名だろう。お前の本当の名前だ。」

「・・・・・・十六夜、咲夜。」

咲夜は、再びそう答えた。

レミリアは本当に呆れたように、

そして、ほんの僅かにうれしそうに。

「お前の本当の名前は、十六夜 咲夜か。」

こくり、と頷く。

「・・・わかった。お前は十六夜 咲夜だ。」

レミリアは降参したように手を挙げる。

咲夜は仮面のように無表情に、

そして、ほんの僅かにうれしそうに。

「・・・・・・はい。」

そう、答えた。

 

* * *

 

「お嬢様、どうかなされましたか?」

咲夜に顔を覗き込まれて、はっと我に返った。

「ふふっ、少しばかり昔のことを思い出していたのよ。」

レミリアは、咲夜を見上げる。

そう、いつの間にか見上げるようになっていた。

昔は、自分のほうが高かったのに。

咲夜はレミリアの笑みの含みがわからず、

機嫌の良さそうな顔で首を傾げる。

「咲夜。」

「はい。」

「私の紅茶を入れるのは面倒かしら?」

「面倒ですわ。」

咲夜はきっぱりと、そう答える。

もう、気持ちいいくらいの即答。

それにレミリアは満足げな笑みを浮かべて、

紅茶のカップを手に取る。

そのカップに満たされた赤い液体をこくりと飲んで、

「・・・美味しいわね、あなたの入れた紅茶は。」

「それはよろしゅうございますわ。」

咲夜は本当にうれしそうな笑顔で一礼する。

その銀の糸で編まれたような髪が、さらりと流れた。

 

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