ペットショップにいる小犬たち、その親犬達はどこでどうしているのでしょう?

安易に繁殖、と考える前に

可愛い仔犬たちのいる影には
こういったワンちゃんの存在もあるのだという事を
頭に入れておいてほしい

そういったことを考えるきっかけになった物の一つを紹介します。

これは、ホームページ「てんしのおへや」(2006年閉鎖)の文章を、許可をいただいて掲載しています。
注意:リンクしたり画像を持っていかないでください。

2004年12月12日

我家は繁殖リタイヤ犬と呼ばれる犬を迎えました。
7歳の茶白のパピヨン、本名はパフィー我家ではタケちゃんと呼ばれています。


生まれながらに「血統」が良かったために「繁殖犬」として
様々なブリーダーの元を転々とし、最後には某ブリーダーの元で
「繁殖犬」として狭いゲージ生活を送ってきました。

その年月7年間です。

手入れもまともにされていなかったのか
歯は歯石と歯周病で堅い食べ物が噛み砕けません。


声を出すことを禁じられたのか
声帯を取られていて鳴くことができません。


走ることがなかったのか
歩行も、まっすぐ歩くことすら困難で
右に左に・・・そんな後姿でした。

ゲージ生活が長かったので運動能力や筋力が
通常以下しかないからです。


自由を知りません。
そのため我家に来てからはとまどいが大きく
落ち着きがありません。


躾がなされていません。
ゲージでの生活以外を経験してないので
マーキングもありとあらゆるところにします。


ただただ繁殖のために生きてきたのでしょう。
その答えは我家に来て一目瞭然でした。


そして繁殖リタイヤ犬と呼ばれるようになったとき
飼育の維持費の関係上、ブリーダーから手放され
慣れ親しんだ匂いのする家を離れ
我家に迎えられました。


「この子は何のために生まれたのだろう・・
この子に自由と天真爛漫な姿を」


そう願って私は意を決して迎えました。 

我家に来て新年を迎え、タケちゃんも我家の仲間との生活を堪能していた頃

想像もしなかった事が起こりました。


ある日、仕事から帰宅すると廊下に血痕が・・

またリビングのいたる所に血痕が散っていました。
私は、すぐにチビ達の体を確認しますが

どの子も問題なく元気です。

しかしセナ(先住犬のオス)の尻尾には大量の血痕がありました。
けれどセナに傷が確認されたのは、かすり傷程度で

大きな傷はありません。

つまり、これだけの血痕がつく原因がセナにはなかったのです。

そして気になったのはタケちゃんの、腹のコートでした。

タケちゃんの腹のコートには同じく血痕がついていました。

血尿かと思い、獣医さんに血液検査を依頼しました。
万が一、腫瘍でもあったら・・・

その焦りだけでした

幸いにも尿検査で異常はなく、むしろ尿からは血液は採取されませんでした。

すると原因は・・・・?


原因は過度の交配により発情させられ


タケちゃんの陰部(ペニス)が炎症を起こし


また、このまま状態を放置すると炎症が悪化、


その炎症は尿道をも蝕んでいきます。


最終的にはオシッコをすることが不可能となり
大手術が必要になると言う事でした。


タケちゃんは大人しいセナに、マウンティングをすることがあります。
この行為のとき炎症を起こしたペニスが突起し流血すると言う状態です。
そのためセナの尻尾には血痕があったのです。
セナのかすり傷は、セナが抵抗した際に若干、もみ合いになったのか
もしくは我家では、よくチビ同士、派手に遊んでいるので、そのときに
少しぶつけたのか・・・と言った程度のものです。

ゲージから出たら繁殖・・・ただ、それだけの生活だったタケちゃん。

その習性は今も尚、残っている・・いや、むしろ染みこんでいるのです。


繁殖リタイヤ犬はメス犬の方が体のリスクも高く
抵抗力も弱くなる子が多いと言いますが
種オスだったタケちゃんも、こんな状態になるまで繁殖に
使われてきたのかもしれません。

しかし獣医さんの話だと、過度だから、こうなった・・その過度の尺度は
素人判断で繁殖に使うくらい何度も・・と考えがちですが
これには個体差があります。

必ずしも、過度に交尾を行ったからなるのではなく

少ない数でも、損傷を起こし、のちに尿道にまで炎症が広がり

犬が痛む結果になるのです。


  タケちゃんの陰部は真っ赤に腫れて、ただれていました。

私は出産についてのコンテンツで
「一度、繁殖の味を知ったオスは本能が働く」と言ったコメントを残してます。
去勢をほどこすことで、その本能や発情を止める事が出来る子もいれば
出来ない子もいます。
ましてタケちゃんのように繁殖に使われてきた犬は本能が習性、癖になります。
「去勢をして、その本能が収まるかは断言できない」
これが獣医師の答えでした。

タケちゃんの歯石除去も早急に行わないと、すでに歯茎にも影響しているので
この歯石除去も施術するためタケちゃんの炎症が薬で収まったら
去勢の手術を、できるだけ早く施術する事となりました。
今は炎症を抑える治療をしています。

しかし、この治療に必要なのが「隔離」なんです。
タケちゃんにゲージの世界以外の自由を・・・
私は、そう望んでいましたし他の子と打ち解け遊ぶタケちゃんの姿を見ると
切ない思いと、憤りを感じます。

飼い主の不在時はタケちゃんは再びゲージの生活です。
たまたま獣医さんの所に診察に行ったとき
偶然にも最近、獣医さんの所に、あきらかに繁殖に使われたと思われる
ヨーキーのメスが3匹、捨てられていたそうです。
もう老犬で体も弱く3匹のうち1匹は子宮蓄膿症に侵されていたため
獣医さんが飼育することにしたらしいのですが

獣医さんが言っていました。

「ゲージしか知らない子は一般飼育する上で想像する以上の努力が必要。

なぜなら、ゲージを出ると、ただ本能で生きた野性の動物と変わらないから」

いつかタケちゃんに本当の意味で
この我家の仲間と自由に、のびのびと生活できる状況を与えたい。
2度とゲージに閉じ込めないでいい生活を与えたい。
その為に、タケちゃんと一緒に頑張るしかない。その覚悟です。


タケちゃんの余生は「自由」を。

繁殖をされたい方へ

ここまで考えたことありますか?


またショップや様々な所から子犬を迎えた方々、

誰にも知られる事なく身を傷つけ息絶える繁殖犬の存在を忘れないでください。

その存在が生命を生み出しているのです。

薬による炎症止めと止血の治療を行ってきました。
また、隔離の生活をしていましたが
声帯のないタケちゃんは、やはり自分だけが隔離されることに
はじめは、出ない声で鳴いていました。

今はマウンティング行為の際、ほかの子が、その行為を怒るようになり
タケちゃんも自らマウンティング行為をしなくなりました。

マーキング行為は、まだダメですが・・・

また止血はされたのですが
炎症が思ったより酷く、まだ薬治療は続きます。

最近は、我が家の生活の中に自分の居場所をみつけたのでしょう。
主張もするようになりましたし、また、みんなと一緒に寝ることも
問題なく出来るようになりました。
←セナ君(右)と…  

この子の自由な未来は、これからです。

今まで頑張ったぶん、たくさんの自由と幸せを与えてあげようと思います。

暖かく見守ってください。





HOME