貴族院規則(大正十年三月二十六日議決・昭和二十二年五月二日時点)

第一章 成立. 3

第二章 仮議長選挙. 5

第三章 委員. 5

第一節 通則. 5

第二節 全院委員. 6

第三節 常任委員. 7

第四節 特別委員. 10

第四章 開議散会及延会. 11

第五章 議事日程. 12

第六章 議事及質問. 13

第一節 発議及動議. 13

第二節 読会. 13

第三節 発言. 15

第四節 修正. 18

第五節 表決. 19

第六節 予算会議. 21

第七節 質問. 21

第七章 議事録及速記録. 21

第一節 議事録. 21

第二節 速記録. 23

第八章 上奏建議及議案ノ奏上. 23

第九章 請願. 23

第十章 請暇及辞職. 25

第一節 請暇. 25

第二節 辞職. 26

第十一章 警察及秩序. 26

第一節 警察. 26

第二節 議場内ノ秩序. 27

第十二章 傍聴. 27

第十三章 懲罰. 29

第十四章 衆議院トノ関係. 31

第十五章 補則. 31

 

  貴族院規則(大正十年三月二十六日議決・昭和二十二年五月二日時点)

   第一章 成立

第一条 議員ハ召集ノ詔書ニ指定シタル期日ノ午前九時貴族院ニ集会スヘシ

第二条 集会シタル議員ハ名刺ヲ事務局ニ通スヘシ

第三条 集会シタル議員総議員三分ノ一ニ充チタルトキハ議長ハ議長席ニ著クヘシ

第四条 皇族ノ議席ハ議員ノ首班ニ置キ其ノ席次ハ宮中ノ列次ニ依ル其ノ他ノ議員ノ議席ハ議長之ヲ定ム

第五条 議長ハ書記官ヲシテ抽籤セシメ総議員ヲ九部ニ配分シ各部ニ号数ヲ附ス

 均分スルコト能ハサルトキハ第一部ヨリ以下毎部一員ヲ加フヘシ

 議長副議長ハ部員ノ中ニ入ラス

 部属定マリタル後議員トナリタル者ノ所属部ハ議長之ヲ定ム

第六条 部属ハ毎会期ニ之ヲ定ム

臨時会ニ於テハ前会ノ部属ヲ継続スヘシ

第七条 各部ハ年長部員ヲ管理者トシ無名投票ヲ以テ部員中ヨリ部長一名ヲ互選シ其ノ最多数ヲ得タル者ヲ以テ当選人トス得票相同シキ者アルトキハ年長ヲ取リ同年月日ナルトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム

第八条 部長ハ部ノ事務ヲ整理ス

第九条 各部ハ部員中ヨリ理事一名ヲ互選ス

 理事ノ互選ハ部長互選ノ例ニ同シ

第十条 部長又ハ理事ニ選挙セラレタル者ハ正当ノ事由ナクシテ其ノ任ヲ辞スルコトヲ得ス

第十一条 理事ハ部長故障アルトキ其ノ職務ヲ代理スヘシ

第十二条 部長理事倶ニ故障アルトキハ出席員中ノ首席者部長ノ職務ヲ行フヘシ

第十三条 部属定マリタルトキハ議長ハ議院成立シタルコトヲ政府及衆議院ニ通知スヘシ

   第二章 仮議長選挙

第十四条 仮議長ノ選挙ハ無名投票ヲ以テ之ヲ行ヒ最多数ヲ得タル者ヲ以テ当選人トス得票相同シキ者アルトキハ年長ヲ取リ同年月日ナルトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム

 議院ハ仮議長ノ選挙ヲ議長ニ委任スルコトヲ得

第十五条 仮議長ノ選挙ヲ行フ場合ニ於テ議長ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ全院委員長議長ノ職務ヲ行フヘシ但シ全院委員長故障アルトキ又ハ其ノ選挙未タ施行セラレサルトキハ出席議員中ノ首席者ヲ以テ之ニ充ツ

   第三章 委員

    第一節 通則

第十六条 委員会ノ審査ハ議院ノ付託シタル事件ノ外ニ渉ルコトヲ得ス

第十七条 委員ハ委員会ニ於テ同一事件ニ付キ幾回タリトモ発言スルコトヲ得

第十八条 委員長ハ委員会ノ会議ヲ整理シ秩序ヲ保持ス

第十九条 委員委員長副委員長主査又ハ副主査ニ選挙セラレタル者ハ正当ノ事由ナクシテ其ノ任ヲ辞スルコトヲ得ス

第二十条 委員会ノ議事ハ出席員ノ過半数ヲ以テ決ス可否同数ナルトキハ委員長ノ決スル所ニ依ル

 委員長ハ討議スルノ権ヲ妨ケラルヽコトナシ

    第二節 全院委員

第二十一条 全院委員長ノ選挙ハ無名投票ヲ以テ之ヲ行ヒ最多数ヲ得タル者ヲ以テ当選人トス得票相同シキ者アルトキハ年長ヲ取リ同年月日ナルトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム

第二十二条 全院委員長故障アルトキハ第一部長ヲシテ其ノ職務ヲ行ハシムヘシ第一部長又故障アルトキハ順次ニ第二部長以下ヲシテ之ヲ行ハシムヘシ

第二十三条 全院委員会ハ議長又ハ議員十人以上ノ発議ニ由リ討論ヲ用ヰス議院ノ決議ヲ以テ之ヲ開ク

第二十四条 全院委員会ヲ開クコトヲ議決シタルトキハ即時ニ開会スヘシ

 即時ニ開会セサルノ議決ヲ為シタルトキハ議長ハ開会ノ期日ヲ定メ議事日程ニ記載スヘシ

第二十五条 全院委員会ヲ開クトキハ議長其ノ席ヲ退クヘシ

 委員長ノ席ハ議長ノ席ヲ以テ之ニ充ツ

第二十六条 全院委員会ニ於ケル動議ハ一人以上ノ賛成者ヲ待チテ議題ト為スヘシ

第二十七条 全院委員会ハ自ラ其ノ規則ヲ議決スルコトヲ得ス

第二十八条 全院委員会議事ヲ終ルトキハ委員長ハ議長ノ復席ヲ求メ其ノ結果ヲ議院ニ報告スヘシ

第二十九条 全院委員会ハ自ラ延会スルコトヲ得ス若シ議事終局セサルトキハ委員長ハ議長ノ復席ヲ求メ議事ノ経過ヲ議院ニ報告スヘシ

 此ノ場合ニ於テハ議長ハ更ニ開会ノ期日ヲ定メ議事日程ニ記載スヘシ

第三十条 全院委員会ニ於テ議院法若ハ議院規則ニ違ヒ議場ノ秩序ヲ紊ル者アルトキハ議長ハ委員長ノ請求ヲ待タス其ノ席ニ復シ委員会ヲ解クコトヲ得

第三十一条 全院委員会ノ議決スルコトヲ得サル事件生スルトキハ委員長ハ議長ノ復席ヲ求メ其ノ席ヲ退クヘシ

第三十二条 全院委員会ニ於テハ書記官書記官長ノ席ニ著キ委員長ノ指揮ニ依リ其ノ事務ヲ掌理スヘシ

    第三節 常任委員

第三十三条 議院ハ毎会期ノ始ニ於テ左ニ列記スル常任委員ヲ選挙ス

 一 資格審査委員              九人

 二 予算委員              六十三人

 三 懲罰委員                九人

 四 請願委員              四十五人

 五 決算委員              四十五人

 其ノ他議院ニ於テ必要ト認ムルモノ

第三十四条 常任委員ハ各部ニ於テ無名投票ヲ以テ選挙シ最多数ヲ得タル者ヲ以テ当選人トス得票相同シキ者アルトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム

第三十五条 各常任委員ヲ選挙スルハ議院ノ定ムル所ニ依リ各部同一日時ニ於テスヘシ

第三十六条 当選人定マリタルトキハ部長ハ之ヲ議長ニ報告スヘシ

第三十七条 数部ノ選挙ニ当選シタル者ハ其ノ所属部ノ当選人トス

所属部ノ外ニ於テ数部ノ選挙ニ当選シタル者ハ部号ノ順序ニ従ヒ其ノ当選人トス

第三十八条 常任委員ニ闕員ヲ生シタルトキハ其ノ選挙シタル部ニ於テ補闕選挙ヲ行フヘシ

第三十九条 常任委員会ハ無名投票ヲ以テ委員長副委員長各一名ヲ互選シ最多数ヲ得タル者ヲ以テ当選人トス得票相同シキ者アルトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム

 委員長及副委員長ノ選挙ヲ終ルマテ委員会ニ関スル事務ハ委員中ノ首席者之ヲ行フヘシ

第四十条 副委員長ハ委員長故障アルトキ其ノ職務ヲ代理スヘシ

第四十一条 議院ニ於テ委員会ノ期日ヲ指定セサルトキハ委員長之ヲ定ム

第四十二条 常任委員会ハ議院ノ会議時間ニ於テ之ヲ開クコトヲ得ス但シ議院ノ許可ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラス

第四十三条 常任委員会ハ其ノ付託ヲ受ケタル事件ニ関シ意見ヲ有スル議員アルトキハ其ノ意見ヲ聞クコトヲ得

第四十四条 常任委員会ノ審査終ルトキハ報告書ヲ作リ委員長ヨリ議院ニ提出スヘシ

 常任委員会ノ決議ニ依リ委員長ハ口述ヲ以テ報告スルコトヲ得但シ議院ハ文書ノ報告ヲ求ムルコトヲ得

 常任委員長ハ委員会ノ決議ヲ経テ其ノ報告ヲ他ノ委員ニ依託スルコトヲ得

 議長ニ於テ特ニ秘密ト認ムルモノヽ外委員会ノ報告書ハ印刷シテ予メ之ヲ議員ニ配布スヘシ

第四十五条 議院ハ期限ヲ定メ委員会ヲシテ審査ノ報告ヲ為サシムルコトヲ得

第四十六条 常任委員会故ナク其ノ報告ヲ遅延スルトキハ議院ハ委員ヲ改選スルコトヲ得

第四十七条 議院ハ常任委員会ノ報告ヲ受クルノ後再ヒ其ノ事件ノ審査ヲ為サシメ又ハ委員ヲ改選シテ審査ヲ為サシムルコトヲ得

第四十八条 常任委員会ニ於テ少数ヲ以テ廃棄セラレタル意見ヲ議院ニ提出セムト欲スル者出席委員三分ノ一ニ及フトキハ連署シテ其意見ヲ提出スルコトヲ得

 少数意見ノ提出者ハ代表者ヲ定メ議院ニ於テ意見ノ趣旨ヲ説明スルコトヲ得

第四十九条 常任委員会ハ委員会議録ヲ作リ出席者ノ氏名表決ノ数決議ノ要領及其ノ他重要ノ事件ヲ記載スヘシ

第五十条 常任委員会議録ハ委員長及副委員長之ニ署名シ又ハ記名捺印シ事務局ニ保存スヘシ

第五十一条 常任委員会ハ其ノ事務ヲ捷速ナラシムル為ニ分テ数科ト為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ各科ニ主査副主査各一名ヲ互選スヘシ主査及副主査ノ互選ニ付テハ第三十九条第一項ノ規定ヲ適用ス

 主査ハ議院ニ於テ委員長ノ報告ヲ補足スルコトヲ得

 副主査ハ主査故障アルトキ其ノ職務ヲ代理スヘシ

    第四節 特別委員

第五十二条 特別委員ノ数ハ九名トス但シ付託事件ノ種類ニ由リ議院ノ決議ヲ以テ之ヲ増加スルコトヲ得

第五十三条 特別委員ハ議院ニ於テ無名投票ヲ以テ連記選挙シ最多数ヲ得タル者ヲ以テ当選人トス得票相同シキ者アルトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム

 議院ハ特別委員ノ選挙ヲ議長又ハ各部ニ委任スルコトヲ得

第五十四条 特別委員ニ闕員ヲ生シタルトキハ其ノ選挙シタル方法ニ従ヒ補闕選挙ヲ行フヘシ

第五十五条 議院ハ連繋スル数事件ヲ併セテ之ヲ同一ノ特別委員ニ付託スルコトヲ得議長第五十三条第二項ノ規定ニ依リ委任ヲ受ケタル場合亦同シ

第五十六条 本章第三節第三十九条ヨリ第五十条ニ至ルマテノ規定ハ之ヲ特別委員ニ適用ス

   第四章 開議散会及延会

第五十七条 会議ハ通常午前十時ニ始ム

第五十八条 議事日程ニ記載シタル議事ヲ終リタルトキハ議長ハ議院ニ諮ハスシテ散会ヲ宣告ス議事未タ終ラサルモ午後四時ニ至ルトキハ議長ハ延会ヲ宣告スルコトヲ得但シ緊急ノ議事ニ付テハ此ノ限ニ在ラス

第五十九条 議事開始ノ時刻ニ至ルトキハ議長其ノ席ニ著キ諸般ノ事項ヲ報告シテ後ニ会議ヲ開クコトヲ宣告ス

第六十条 出席議員若定足数ニ充タサルトキハ議長ハ相当ノ時間ヲ経テ之ヲ計算セシメ計算二回ニ至リ仍定足数ニ充タサルトキハ延会ヲ宣告スヘシ

 会議中退席者アリテ定足数ヲ闕キタルトキ亦同シ

   第五章 議事日程

第六十一条 凡テ議院ノ会議ニ付スヘキ事件及次序並開議ノ日時ハ之ヲ議事日程ニ記載スヘシ

第六十二条 議長ハ会議ノ終ニ於テ次会ノ議事日程ヲ議院ニ報告スヘシ但シ日程未タ定マラサル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラス

第六十三条 議事日程ハ官報ニ掲載シ及議員ニ配布スヘシ

第六十四条 議事日程ニ某議案ノ会議時刻ヲ定メタル場合ニ於テ其ノ時刻ニ至リタルトキハ議長ハ会議中ノ議事ヲ中止シテ時刻ヲ定メタル事件ノ会議ニ移ルヘシ

第六十五条 議事日程ニ記載シタル事件ノ順序ヲ変更シ若ハ他ノ緊急事件ニ付キ議事日程ニ追加スルノ動議ヲ起ス者アルトキ又ハ議長其ノ必要ヲ認ムルトキハ討論ヲ用ヰスシテ議院ニ諮ヒ議事日程ヲ変更スルコトヲ得

第六十六条 議事日程ニ指定シタル日ニ於テ其ノ記載事件ノ会議ヲ開クコト能ハサルトキ又ハ会議終局ニ至ラサルトキハ議長ハ更ニ其ノ日程ヲ定ムヘシ

第六十七条 衆議院ニ於テ既ニ会議ニ付シタル議案ト同一ナル事件ハ之ヲ議事日程ニ記載スルコトヲ得ス但シ両議院ノ議決ヲ要セサルモノハ此ノ限ニ在ラス

第六十八条 衆議院ヨリ提出シタル議案ハ政府ヨリ提出シタル議案ニ次キ議事日程ニ記載スヘシ

   第六章 議事及質問

    第一節 発議及動議

第六十九条 議員法律案上奏案建議案又ハ決議案ヲ発議セムトスルトキハ其ノ案ヲ具ヘ定規ノ賛成者ト共ニ連署シテ予メ議長ニ提出シ議長ハ之ヲ印刷セシメテ各議員ニ配布スヘシ但シ緊急事件ニ於テハ発議者議場ニ於テ其ノ案ヲ朗読シ定規ノ賛成者ヲ求メテ之ヲ提出スルコトヲ得

第七十条 議院法及此ノ規則ニ於テ特ニ規定シタル場合ヲ除ク外凡ソ動議ハ一人以上ノ賛成者ヲ待チテ議題ト為スヘシ

第七十一条 議題トナリタル議員ノ発議案ハ議院ノ許可ヲ経ルニ非サレハ之ヲ撤回スルコトヲ得ス

    第二節 読会

第七十二条 第一読会ハ議案ヲ各議員ニ配布シタル後少クトモ二日ヲ経テ之ヲ開クヘシ但シ緊急事件ニ付テハ此ノ限ニ在ラス

第七十三条 第一読会ニ於テ議案ヲ朗読シタル後国務大臣政府委員又ハ発議者ハ議案ノ趣旨ヲ説明スルコトヲ得

 議長ハ便宜議案ノ朗読ヲ省略セシムルコトヲ得

第七十四条 前条ノ手続ヲ終リタルトキハ政府又ハ衆議院ヨリ提出シタル議案ハ之ヲ委員ニ付託スヘシ

 議院ハ委員会ノ報告ヲ待チ大体ニ付キ討論シタル後第二読会ヲ開クヘキヤ否ヲ決スヘシ

 議員ヨリ提出シタル議案ハ大体ニ付キ討論シタル後第二読会ヲ開クヘキヤ否ヲ決スヘシ若委員ニ付託スルノ動議アリテ之ヲ可決シタルトキハ其ノ報告ヲ待チ第二読会ヲ開クヘキヤ否ヲ決スヘシ

 第二読会ヲ開クヘカラスト決シタルトキハ其ノ議案ヲ廃棄シタルモノトス

第七十五条 第二読会ハ第一読会ヲ終リタル後少クトモ二日ヲ経テ之ヲ開クヘシ但シ議長必要ト認ムルトキ又ハ議員ノ動議アルトキハ議長ハ議院ニ諮ヒ時日ヲ短縮シ又ハ第一読会ト同日ニ之ヲ開クコトヲ得

第七十六条 第二読会ニ於テハ議案ヲ逐条朗読シテ之ヲ議決スヘシ

 議長ハ便宜朗読ヲ省略セシムルコトヲ得

第七十七条 第二読会ニ於テハ議案ニ対シ修正ノ動議ヲ提出スルコトヲ得

 議員ハ読会ノ前予メ修正案ヲ議長ニ提出スルコトヲ得

第七十八条 議長ハ逐条審議ノ順序ヲ変更シ又ハ数条ヲ連ネ又ハ一条ヲ分割シテ討論ニ付スルコトヲ得但シ議員異議ヲ申立テ一人以上ノ賛成者アルトキハ討論ヲ用ヰスシテ議院ニ諮ヒ之ヲ決スヘシ

第七十九条 第三読会ニ於テハ第二読会ノ決議ヲ以テ議案トス

 議長ハ便宜朗読ヲ省略セシムルコトヲ得

第八十条 第三読会ハ第二読会ノ後少クトモ二日ヲ経テ之ヲ開クヘシ但シ議長必要ト認ムルトキ又ハ議員ノ動議アルトキハ議長ハ議院ニ諮ヒ時日ヲ短縮シ又ハ第二読会ト同日ニ之ヲ開クコトヲ得

第八十一条 第三読会ニ於テハ議案全体ノ可否ヲ議決スヘシ

第八十二条 第三読会ニ於テハ文字ヲ更正スルノ外修正ノ動議ヲ為スコトヲ得ス但シ議案中互ニ牴触スル事項又ハ現行法律ト牴触スル事項アルコトヲ発見シタルトキ必要ノ修正ヲ動議スルハ此ノ限ニ在ラス

    第三節 発言

第八十三条 議事日程ニ記載シタル議題ニ対シ発言セムト欲スル者ハ会議開始ノ前ニ予メ其ノ氏名及反対又ハ賛成ノ旨ヲ書記官ニ通告スルコトヲ得

第八十四条 書記官ハ前条通告ノ順序ニ由リ之ヲ発言表ニ記入シ議長ニ報告スヘシ議長ハ討論ヲ始ムルニ当リ発言表ニ依リ反対者ヲシテ最初ニ発言セシメ次ニ賛成者及反対者ヲ可成交互ニ指名シテ発言セシムヘシ

 前項ノ指名ニ応セサル者ハ通告ノ効ヲ失フ

第八十五条 通告ヲ為サヽル議員ハ通告ヲ為シタル議員総テ発言ヲ終リタル後ニ非サレハ発言ヲ求ムコトヲ得ス

 通告ヲ為シタル甲方ノ議員未タ発言ヲ終ラスト雖乙方ノ議員既ニ発言ヲ終リタルトキハ通告ヲ為サヽル乙方ノ議員発言ヲ求ムルコトヲ得

第八十六条 通告ヲ為サスシテ発言セムト欲スル者ハ起立シテ議長ト呼ヒ及自己ノ氏名ヲ呼ヒ議長ノ許可ヲ待チテ発言スヘシ

第八十七条 二人以上起立シテ発言ヲ求ムルトキハ議長ハ先起立者ト認ムル者ヲ指名シテ発言セシムヘシ

第八十八条 議長開議ヲ宣告スル前及散会延会又ハ会議中止ヲ宣告シタル後ハ何人モ議事ニ付キ発言スルコトヲ得ス

第八十九条 停会延会又ハ其ノ他ノ事由ニ因リ発言ヲ中止セラレタル議員ハ更ニ会議ヲ開クトキニ於テ前ノ発言ヲ継続スルコトヲ得

第九十条 議題ニ対スル発言ハ演壇ニ於テ之ヲ為スヘシ但シ特ニ議長ノ許可ヲ得タルトキ又ハ極メテ簡単ナル発言ニ付テハ此ノ限ニ在ラス

第九十一条 国務大臣及政府委員ノ発言ハ演壇ニ於テ之ヲ為スヘシ但シ特ニ議長ノ許可ヲ得タルトキ又ハ極メテ簡単ナル発言ニ付テハ此ノ限ニ在ラス

第九十二条 議長ハ何時ニテモ議席又ハ国務大臣及政府委員席ニ於テ発言スル者ヲシテ演壇ニ於テ発言セシムルコトヲ得

第九十三条 討論ハ議題外ニ渉ルコトヲ得ス

第九十四条 議員ハ同一ノ議題ニ付発言二回ニ及フコトヲ得ス但シ質疑応答又ハ注意ノ喚起ハ此ノ限ニ在ラス

第九十五条 委員長又ハ報告者ハ其ノ報告ノ趣旨ヲ説明スル為ニ数回ノ発言ヲ為スコトヲ得

 国務大臣政府委員発議者及動議者ハ議案又ハ発議動議ノ趣旨ヲ説明スル為ニ数回ノ発言ヲ為スコトヲ得

第九十六条 資格ニ付キ異議ヲ申立テラレタル議員又ハ懲罰事犯アリト告ケラレタル議員ハ弁明ノ為ニ数回ノ発言ヲ為スコトヲ得

第九十七条 議員ハ会議ニ於テ意見書ヲ朗読スルコトヲ得ス但シ引証ノ為ニ文書ヲ朗読スルハ此ノ限ニ在ラス

 国務大臣政府委員及委員長又ハ報告者ハ理由書又ハ報告書ヲ朗読スルコトヲ得

第九十八条 議長自ラ討論ニ与カラムトスルトキハ議席ニ著キ副議長ヲシテ議長席ニ著カシムヘシ

第九十九条 議長討論ニ与カリタルトキハ其ノ問題ノ表決ニ至ルマテ議長席ニ復スルコトヲ得ス

第百条 議場ニ於テ議員ヲ呼フトキハ敬称ヲ用フヘシ

第百一条 議長ハ討論ノ終局ヲ宣告ス

第百二条 発言者未タ尽キスト雖議員討論終局ノ動議ヲ提出シ二十人以上ノ賛成者アルトキハ議長ハ討論ヲ用ヰスシテ議院ニ諮ヒ之ヲ決スヘシ

 討論終局ノ動議ハ賛否各二人以上ノ発言アリタル後ニ非サレハ之ヲ提出スルコトヲ得ス但シ一方ノミ二人以上発言シ他ノ一方ニ於テ発言ノ要求者ナキ場合ハ此ノ限ニ在ラス

第百三条 討論終局ノ動議成立シ若ハ討論終局シタル後本議題ニ関シ国務大臣又ハ政府委員ノ発言アリタルトキハ更ニ討論ニ入リタルモノト看做ス

第百四条 討論終局ノ後未タ議題トナラサル修正ノ成案アルトキハ議長ハ之ヲ議院ニ報告シ其ノ未タ定規ノ賛成者ヲ具ヘサルモノハ賛成者ノ有無ヲ問ヒタル後其ノ成案ニ関シ更ニ討論ヲ開クヘキヤ否ヲ討論ヲ用ヰスシテ表決ニ付スヘシ若討論ヲ開クヘカラスト決スルトキハ直ニ之ヲ表決ニ付スヘシ

 委員付託ノ動議ハ討論終局ノ後ト雖之ヲ提出スルコトヲ得但シ本議題ノ可否ニ論及スルコトヲ得ス

第百五条 問題ニ対シ質疑続出シテ容易ニ終局セサルトキハ議員ハ質疑ヲ終局スルノ動議ヲ提出スルコトヲ得此ノ動議ニハ第百二条第一項ノ規定ヲ適用ス

    第四節 修正

第百六条 議案ニ対スル修正ノ動議ハ其ノ案ヲ具ヘ定規ノ賛成者ト共ニ連署シテ予メ議長ニ提出シ議長ハ之ヲ印刷セシメテ各議員ニ配布スヘシ但シ動議者議場ニ於テ其ノ案ヲ朗読シ定規ノ賛成者ヲ求メテ之ヲ提出スルコトヲ得

第百七条 委員会ノ報告ニ係ル修正ハ賛成者ヲ待タスシテ議題ト為スヘシ

第百八条 同一ノ議題ニ付キ数箇ノ修正案提出セラレタル場合ニ於テハ其ノ原案ニ最モ遠キモノヨリ順次之ヲ表決ニ付スヘシ

 前項表決ノ順序ハ議長之ヲ定ム但シ議員異議ヲ申立テ一人以上ノ賛成者アルトキハ討論ヲ用ヰスシテ議院ニ諮ヒ之ヲ決スヘシ

第百九条 議員ノ提出シタル修正案ハ委員会ノ提出シタル修正案ニ先チテ表決ヲ取ルヘシ

第百十条 議題トナリタル修正ノ動議ハ議院ノ許可ヲ経ルニ非サレハ之ヲ撤回スルコトヲ得ス

 一議員ノ撤回シタル動議ハ他ノ議員定規ノ賛成者ト共ニ之ヲ継続スルコトヲ得

第百十一条 修正案総テ否決セラレタルトキハ原案ニ就テ表決ヲ取ルヘシ

    第五節 表決

第百十二条 表決ニハ条件ヲ附スルコトヲ得ス

第百十三条 表決ノ際議場ニ現在セサル議員ハ表決ニ加ハルコトヲ得ス

第百十四条 議長表決ヲ取ラムトスルトキハ表決ニ付スヘキ問題ヲ議院ニ宣告スヘシ

 議長表決ニ付スヘキ問題ヲ宣告シタル後ハ議員ハ議題ニ付キ発言スルコトヲ得ス

第百十五条 第七十八条ノ規定ニ依リ討論ヲ為シタルトキハ議長ハ其ノ討論ノ順序ニ由リテ表決ニ付スルコトヲ得但シ議員異議ヲ申立テ一人以上ノ賛成者アルトキハ討論ヲ用ヰスシテ議院ニ諮ヒ之ヲ決スヘシ

第百十六条 議長表決ヲ取ラムトスルトキハ問題ヲ可トスル者ヲ起立セシメ起立者ノ多少ヲ認定シ可否ノ結果ヲ宣告スヘシ其ノ結果疑ハシト認ムルトキ又ハ議員議長ノ宣告ニ対シ異議アルトキハ反対者ヲ起立セシメテ之ヲ反証シ仍疑ハシト認ムルトキ又ハ議員仍異議ヲ申立テ十人以上ノ賛成者アルトキハ議長ハ書記官ニ命シ議員ノ氏名ヲ点呼セシメ議員ハ起立シテ可否ヲ表スヘシ

 氏名点呼ノ結果ニ付キ仍議員ヨリ異議ヲ申立テ二十人以上ノ賛成者アルトキハ議長ハ記名投票ヲ以テ表決ヲ為サシムヘシ

第百十七条 議長ハ問題ニ付キ異議ノ有無ヲ議院ニ諮フコトヲ得異議ナシト認ムルトキハ可決ノ旨ヲ宣告スヘシ但シ議員問題ニ付キ又ハ議長ノ宣告ニ対シ異議アルトキハ本節ニ規定スル他ノ方法ニ依リ表決ヲ取ルヘシ

第百十八条 議長必要ト認ムルトキ又ハ議員二十人以上ノ要求アルトキハ起立ノ方法ヲ用ヰスシテ記名投票ヲ以テ表決ヲ為サシムヘシ

第百十九条 記名投票ヲ行フ場合ニ於テハ問題ヲ可トスル議員ハ白色票ニ問題ヲ否トスル議員ハ青色票ニ各其ノ氏名ヲ記シ投票函ニ投入スヘシ

第百二十条 議長必要ト認ムルトキ又ハ議員二十人以上ノ要求アルトキハ無名投票ヲ以テ表決ヲ為サシムヘシ

第百二十一条 無名投票ヲ行フ場合ニ於テハ問題ヲ可トスル議員ハ白球ヲ問題ヲ否トスル議員ハ黒球ヲ特ニ設ケタル函ニ投入シ同時ニ其ノ名刺ヲ名刺函ニ投入スヘシ

第百二十二条 氏名点呼又ハ記名若ハ無名投票ヲ行フトキハ議場ノ入口ヲ閉鎖スヘシ

第百二十三条 投票ヲ終リタルトキハ議長ハ其ノ結果ヲ宣告スヘシ

第百二十四条 議員ハ自己表決ノ更正ヲ求ムルコトヲ得ス

    第六節 予算会議

第百二十五条 予算ノ会議ハ三読会ヲ経ルヲ要セス

第百二十六条 予算委員会予算案ヲ数部ニ分割シタルトキハ残部ノ審査終ルニ従ヒ会議ヲ開クコトヲ得

 予算各部ノ議事ヲ終リタルトキハ総額ニ付キ確定ノ議決ヲ為スヘシ

第百二十七条 予算ノ会議ニ於テ更ニ審査ヲ必要トスル事項ヲ発見シタルトキハ其ノ事項ニ限リ再ヒ予算委員ニ付託シ之ヲ審査セシムルコトヲ得

    第七節 質問

第百二十八条 議員質問主意書ヲ提出シタルトキハ議院ニ於テ質問ノ趣旨ヲ説明スルコトヲ得

 前項ノ説明ニ対シ他ノ議員ハ意見ヲ述フルコトヲ得ス

   第七章 議事録及速記録

    第一節 議事録

第百二十九条 議事録ハ左ノ事項ヲ記載ス

 一 議院成立及開会閉会停会ニ関スル事項及年月日時

 二 開議延会会議中止及散会ノ月日時

 三 出席国務大臣及政府委員ノ氏名

 四 勅語及勅旨

 五 議長及委員長報告ノ件

 六 会議ニ付シタル議案ノ題目

 七 議題ト為リタル動議及動議者ノ氏名

 八 決議ノ事件

 九 表決及可否ノ数ヲ計算シタルトキハ其ノ数

 十 議院ニ於テ必要ト認メタル事項

第百三十条 議員議事録ニ記載シタル事実ニ対シテ異議アルトキハ議長ハ書記官長ヲシテ答弁セシムヘシ議員其ノ答弁ニ服セス又ハ議長ノ処置ニ対シ不服ナルトキハ議長ハ討論ヲ用ヰスシテ表決ヲ取ルヘシ

第百三十一条 議事録ハ議長又ハ当日ノ会議ヲ整理シタル副議長若ハ仮議長及書記官長又ハ其ノ代理タル書記官之ニ署名シ又ハ記名捺印スヘシ

    第二節 速記録

第百三十二条 議事速記録ハ速記法ニ依リ議事ヲ記載ス

第百三十三条 議院法第八十七条ニ依リ議長取消ヲ命シタル発言ハ速記録ニ記載セス

第百三十四条 発言シタル議員ハ速記録配布ノ当日午後六時マテニ其ノ訂正ヲ求ムルコトヲ得但シ訂正ハ字句ニ止マリ発言ノ趣旨ヲ変更スルコトヲ得ス国務大臣及政府委員ノ発言ニ付キ亦同シ

 速記録ノ訂正ニ対シ議員異議ヲ申立テ一人以上ノ賛成者アルトキハ議長ハ討論ヲ用ヰスシテ議院ニ諮ヒ之ヲ決スヘシ

   第八章 上奏建議及議案ノ奏上

第百三十五条 議院上奏シ又ハ勅語及勅旨ニ対シ奉答ノ敬礼ヲ表セムトスルトキハ議長ハ宮内大臣ニ依リ謁見ヲ請フヘシ

第百三十六条 議院ノ建議書ハ議長ヨリ内閣総理大臣ニ提出スヘシ

第百三十七条 議案ヲ奏上スル場合ハ内閣総理大臣ヲ経由スヘシ

   第九章 請願

第百三十八条 議院ハ請願者ノ住所身分年齢ヲ記シ各自署名捺印シタル請願書ニ非サレハ受理セス但シ請願者自ラ署名スル能ハサルトキ他人ヲシテ代署セシメ自ラ捺印スルモノハ此ノ限リニ在ラス

第百三十九条 法人ノ請願書ハ代表者之ニ署名シ法人ノ印章ヲ捺スヘシ

第百四十条 請願ヲ紹介スル議員ハ請願書ノ表紙ニ署名シ又ハ記名捺印スヘシ

第百四十一条 請願委員会ハ請願提出ノ順序ニ依リ之ヲ審査スヘシ

第百四十二条 議員簡単ナル説明書ヲ以テ一ノ請願ニ対シ至急ノ審査ヲ議院ニ要求スルトキハ議長ハ討論ヲ用ヰスシテ表決ヲ取リ時日ヲ限リ請願委員ニ付託スヘシ

第百四十三条 請願文書表ニハ請願ノ趣旨提出ノ年月日請願者ノ住所身分氏名紹介議員ノ氏名ヲ記スヘシ

 請願者数名アルトキハ請願者某及外幾名ト記スヘシ

第百四十四条 請願文書表ハ議長之ヲ印刷セシメテ毎週一回議員ニ配布スヘシ

 請願書ハ議院ノ決議ニ依ルニ非サレハ印刷配布セス

第百四十五条 請願委員会ハ審査ノ結果ニ従ヒ左ノ区別ヲ為シ議院ニ報告スヘシ

 一 議院ノ会議ニ付スヘシトスルモノ

 二 議院ノ会議ニ付スルヲ要セストスルモノ

第百四十六条 請願委員会ハ議院ノ会議ニ付スヘシトスルノ請願ニ付テハ特別ノ報告ヲ為スヘシ

第百四十七条 請願委員会ニ於テ議院ノ会議ニ付スルヲ要セストスルノ報告ニ対シ一週間内ニ議員ヨリ会議ニ付スルノ要求ヲ為ス者ナキトキハ委員会ノ決議ヲ以テ確定トス

第百四十八条 請願書ハ会議ニ付スルモ之ヲ朗読セス但シ議員朗読ヲ要求スル者アルトキハ議長ハ討論ヲ用ヰスシテ議院ニ諮ヒ之ヲ決スヘシ

   第十章 請暇及辞職

    第一節 請暇

第百四十九条 議員事故ノ為ニ数日間議院ニ出席スルコト能ハサルトキハ其ノ理由ヲ具ヘ日数ヲ定メテ予メ請暇書ヲ差出シ許可ヲ受クヘシ

 公務又ハ疾病若ハ一時已ムヲ得サル事故アリテ議院ニ出席スルコトヲ得サルトキハ其ノ理由ヲ具ヘ闕席届書ヲ差出スヘシ

第百五十条 請暇ノ許可ヲ得議院所在ノ地ヲ離ルヽ者ハ其ノ出発及帰著ノ時ニ於テ議長ニ届出ツヘシ

第百五十一条 議員請暇ノ許可ヲ得タル日限ニ至リ事故ニ由リ仍議院ニ出席スルコトヲ得サルトキハ其ノ理由ヲ具ヘ日数ヲ定メテ更ニ請暇書ヲ差出シ許可ヲ受クヘシ

第百五十二条 請暇ノ許可ヲ得タル議員其ノ請暇ノ期限内ニ議院ニ出席スルトキハ請暇許可ノ効ヲ失フ

    第二節 辞職

第百五十三条 公侯爵議員伯子男爵被選議員及勅任議員辞職セムトスルトキハ議長ヲ経由シテ之ヲ奏請スヘシ

第百五十四条 辞表中不敬又ハ無礼ノ言辞アリト認ムルトキハ議長ハ其ノ辞表ヲ懲罰委員ニ付シテ審査報告セシメ議院ニ諮フテ後之ヲ処分スヘシ

   第十一章 警察及秩序

    第一節 警察

第百五十五条 議長ハ守衛及警察官吏ヲ指揮シテ議院内部ノ警察権ヲ施行ス

第百五十六条 守衛ハ議院建物内警察官吏ハ議院建物外ノ警察ヲ為ス

第百五十七条 議院ノ防火点灯導水煖炉及衛生ニ関スル事項ハ守衛之ヲ監督ス

第百五十八条 議院内部ニ於テ禁錮以上ノ刑ニ該ル罪ノ現行犯人アルトキハ守衛又ハ警察官吏ハ之ヲ逮捕シテ議長ノ命令ヲ請フヘシ但シ議場ニ於テハ議長ノ命令ヲ待タスシテ逮捕スルコトヲ得ス

    第二節 議場内ノ秩序

第百五十九条 議員議場ニ入ルトキハ「フロツクコート」又ハ「モーニングコート」若ハ羽織袴ヲ著スヘシ総テ異様ノ服装ヲ為スヘカラス

第百六十条 議員議場ニ入ルトキハ外套傘杖ノ類ヲ携帯スヘカラス帽子ヲ著スヘカラス但シ已ムヲ得サル事由アルトキハ議長ノ許可ヲ得テ杖ヲ携帯スルコトヲ得

第百六十一条 議場内ニ於テ喫煙スヘカラス

第百六十二条 議員ハ参考ノ為ニスルモノヲ除ク外議事中新聞紙及書籍ヲ閲読スルコトヲ得ス

第百六十三条 何人モ議事中濫ニ発言シ又ハ喧噪シテ他人ノ発言ヲ妨クルコトヲ得ス

第百六十四条 議長号鈴ヲ鳴ラストキハ議員ハ総テ沈黙スヘシ

第百六十五条 凡ソ秩序ノ問題ハ議長之ヲ決ス但シ議長ハ議院ニ諮ヒ之ヲ決スルコトヲ得

   第十二章 傍聴

第百六十六条 傍聴席ヲ分テ皇族席外交官席高等官席衆議院議員席公衆席及新聞記者席トス

第百六十七条 外国外交官ノ傍聴ヲ求ムル者アルトキハ外務省ノ照会ニ依リ書記官長ハ其ノ員数ヲ限リ傍聴券ヲ該省ニ送付スヘシ

第百六十八条 官吏ノ傍聴ヲ求ムル者アルトキハ所属官庁ノ照会ニ依リ書記官長ハ其ノ員数ヲ限リ傍聴券ヲ其ノ官庁ニ送付スヘシ

第百六十九条 公衆ノ傍聴ヲ求ムル者ハ議員ノ紹介ニ依ルヘシ

 書記官長ハ予メ公衆傍聴券ノ員数ヲ定メ之ヲ各議員ニ配布ス

第百七十条 議事開始ノ後一時間ヲ経過シ仍傍聴席ノ空位アリテ議員ノ紹介アルトキハ書記官長ハ傍聴券ヲ交付スルコトヲ得

第百七十一条 新聞社及通信社ノ為ニ一会期ヲ通スル傍聴章ヲ交付ス

 前項傍聴章ノ員数ハ毎会期ノ始ニ於テ之ヲ定ム

第百七十二条 傍聴人ハ傍聴券又ハ傍聴章ヲ守衛ニ示シ其ノ指示スル所ノ席ニ著クヘシ

第百七十三条 凡ソ傍聴席ニ在ル者ハ左ノ事項ヲ遵守スヘシ

 一 羽織袴又ハ洋服ヲ著スヘシ

 二 帽子又ハ外套ヲ著スヘカラス

 三 傘杖ノ類ヲ携帯スヘカラス

 四 飲食又ハ喫煙スヘカラス

 五 議員ノ発言ニ対シ可否ヲ表スヘカラス

 六 喧擾ニ渉リ議事ヲ妨害スヘカラス

第百七十四条 戎器兇器ヲ携持シタル者及酩酊シタル者ハ傍聴席ニ入ルコトヲ許サス

第百七十五条 何等ノ事由アルモ傍聴人ハ議場ニ入ルコトヲ得ス

第百七十六条 秘密会議ヲ開クノ決議アリタルトキ又ハ傍聴席騒擾ナルニ由リ総テノ傍聴人ヲ退場セシムルトキハ議長ハ守衛ヲシテ其ノ命令ヲ執行セシムヘシ

   第十三章 懲罰

第百七十七条 会議ニ於テ懲罰事犯アルトキハ議長ハ会議ヲ中止シ又ハ犯人ヲ退場セシムルコトヲ得

第百七十八条 委員会ニ於テ懲罰事犯アルトキハ委員長ハ委員会ヲ中止スルコトヲ得

第百七十九条 委員長又ハ部長ニ於テ懲罰事犯ト認メサル事件ニ付テモ委員又ハ部員ハ議院法第九十八条ニ依リ懲罰ノ動議ヲ議院ニ提出スルノ権ヲ失ハス

第百八十条 議院法第九十八条第一項ノ場合ニ於テハ議長ハ討論ヲ用ヰスシテ表決ヲ取リ之ヲ懲罰委員ニ付スヘシ

第百八十一条 懲罰事犯ノ議事ハ秘密会議ヲ以テス

第百八十二条 議員ハ自己ノ懲罰事犯ノ会議ニ列席スルコトヲ得ス但シ議長ノ許可ヲ経テ自ラ弁明シ又ハ他ノ議員ヲシテ代リテ弁明セシムルコトヲ得

第百八十三条 懲罰委員会ハ議長ヲ経由シテ本人及関係議員ヲ召喚訊問スルコトヲ得

第百八十四条 議長ノ制止又ハ取消ノ命ニ従ハサル者ハ議長議院法第八十七条ニ依リ之ヲ処分スルノ外仍懲罰事犯トシテ懲罰委員ニ付スルコトヲ得

第百八十五条 公開議場ニ於テ謝辞ヲ表セシメムトスルトキハ懲罰委員会之ヲ起草シ其ノ報告ト共ニ之ヲ議長ニ提出スヘシ

第百八十六条 議院ノ命令ニ抵抗シ又ハ議長ノ職権ヲ侮辱シタル者及同会期中譴責セラルルコト三回ニ至リ更ニ譴責ニ当ルヘキ事犯アル者ニ対シテハ出席ヲ停止スルコトヲ得

第百八十七条 出席停止ハ一箇月ヲ超ユルコトヲ得ス

第百八十八条 出席ヲ停止セラレタル者委員ナルトキハ解任セラレタルモノトス

第百八十九条 出席ヲ停止セラレタル者其ノ停止期限内ニ議場ニ入ルトキハ議長ハ直ニ退去ヲ命シ其ノ命ニ従ハサルトキハ必要ノ処分ヲ為シ更ニ懲罰委員ニ付スヘシ

第百九十条 議院法第九十一条ノ禁ヲ犯シ其ノ情特ニ重キ者及同会期中出席停止セラルヽコト三回ニ至リ更ニ出席停止ニ当ルヘキ事犯アルトキハ除名ノ手続ヲ為スコトヲ得

第百九十一条 凡ソ議院ノ騒擾ヲ醸シ又ハ議院ノ体面ヲ汚スヘキ所行ニシテ其ノ情重キ者ハ出席ヲ停止シ又ハ除名ノ手続ヲ為スコトヲ得

第百九十二条 議院懲罰ヲ議決シタルトキハ議長ハ公開議場ニ於テ之ヲ宣告ス

第百九十三条 議長ハ懲罰事犯ト認ムル所ノ発言ノ一部又ハ全部ヲ公布スルコトヲ禁スルコトヲ得

   第十四章 衆議院トノ関係

第百九十四条 議案ヲ衆議院ニ移ストキハ議長ハ書記官ヲ派シ之ヲ衆議院書記官ニ伝達セシム

第百九十五条 衆議院ヨリ議案ヲ受取リタルトキハ議長ハ之ヲ議院ニ報告スヘシ

第百九十六条 協議委員ノ選挙ハ第五十三条及第五十四条ノ規定ヲ適用ス

第百九十七条 議院法第五十五条ニ依リ衆議院ヨリ回付シタル修正案ヲ議シ及協議会ノ報告ヲ議スルニハ三読会ヲ経ルヲ要セス

第百九十八条 協議会ニ於ケル貴族院ノ委員ハ其ノ報告委員ヲ互選スルコトヲ得

第百九十九条 協議委員ノ数協議会ノ定足数及決議ノ方法並協議会議長ノ権限ハ議院法第六十一条ニ依リ委員ヲ派シ両院協議シテ之ヲ定ムヘシ

   第十五章 補則

第二百条 凡ソ議院規則ノ疑義ハ議長之ヲ決ス但シ議長ハ議院ニ諮ヒ之ヲ決スルコトヲ得

(注) 本改正規則は、その議決の際、次の議会から施行することを議決した。