
村上 春樹
「ノルウェイの森(村上春樹著)」の風景★ベストセラーに出てくる店や風景。
井上ひさし★追悼 (更新;2010年4月15日)
永瀬清子★あけがたにくる共犯者よ (更新;2008年6月9日)
青木昌彦★非「独占」主義の人生ゲーム (更新日;2009年4月23日)
星野桂子★木造校舎の声@絵本屋 ぽこぺん (更新日;2009年8月12日)
ジャン=ルネ・ユグナン★『荒れた海辺』 (更新日;2009年12月28日)アーシュラ・クローバー・ル=グウィン★『ゲド戦記』 (更新日;2010年1月25日)距離も共犯のうち
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村上春樹 「ある編集者の生と死 安原顯氏のこと」 『文藝春秋』、2006年4月号に掲載。
![]() 「安原顕氏が癌を患い、闘病の末になくなって三年になる。 亡くなって少ししたころ、この人について、というかこの人と僕との関わりについて、 まとまった文章にしておいた方がいいのではないかと思った」 「どれほど突っ張っていても、 サラリーマン的な生き方はこの人の中に意外に深く染みついているのかもしれないと、 そのときふと考えた。僕は一度も会社勤めをしたことがないので、 『中央公論社の社員』という肩書きがどれくらい大きなものなのか、 それが与えてくれる安定した収入がどれくらい重要な意味を持つのか、 実感としてよくわからない。それでも、会社の存在を都合良く利用しているのなら、 そこまで悪し様に罵倒することもないんじゃないかと思った。 会社という組織をうまく利用するのはもちろんかまわない。 しかしそれなら、口にする言葉はやはり選ぶべきではないか? それなりの含羞というものはあってしかるべきではないか?」 「編集者としての安原さんについて今でもありがたく思っているのは、 彼が『海』や『マリ・クレール』の編集者であったころに、 僕の翻訳をどんどん掲載してくれたことだ」 「そしてある日(いつだったろう?)安原さんは突然手のひらを返したように、 僕に関するすべてを圧倒的なまでに口汚く罵り始めた。 (・・・)その批判のあまりの痛烈さに僕は度肝を抜かれた。 そこには紛れもない憎しみの感情が込められていた。 一夜にして(としか思えなかった)いったい何が起こったのだろう? いったい何が、安原さんをして僕の『敵』に変えてしまったのだろう? 正直言って、僕にはまったく見当がつかなかった。」 「インターネットのヤフー・オークションにかけられたり、 あるいは古書店の店頭で売られたりしている。 たとえば僕が『海』に掲載したフィッツジェラルドの翻訳『氷の宮殿』(73枚)は 100万を超すとんでもない値段で、古書店で実際に売られていた。 どれも僕がかつて、雑誌編集者としての安原さんに直接手渡した原稿ばかりである」 「中には雑誌掲載のみで本のかたちにしていないものもある。 本にしたくないので、そのまま『握りつぶした』原稿である。 そういうものが商品として市場に出回るのは、作家にとって容認できることではない」 |
『意味がなければスイングはない』(文藝春秋)
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